縦組みにおける英数字正立論1―はじめに


日本語の書籍の組版には横組みと縦組みの二つの方式があります。技術書・専門書は横組みが多いのに対し文芸書をはじめとする一般書や経済書は縦組みという使い分けがなされていますが、現在は横組みか縦組みかは著者や編集者などが出版する立場から決めています。書籍は刷り上った頁が読者の目に触れることになりますし、読者が組方向を変更することは想定していません。

ところが、EPUB形式の電子書籍では、コンテンツはWebと同じXHTMLの形式であり、そのレイアウトはCSS(Cascading Stylesheet)で指定します。コンテンツを組版して表示するのは読者の手元にあるEPUBリーダです。EPUB3ではCSS3のWriting Modesという仕様を利用してコンテンツに縦組みを指定することができます。しかし、EPUB3リーダには縦組みのできないものもあります。つまり、コンテンツが縦組みで読まれるか横組みで読まれるかを、著者や編集者が確定することができません。

もう少し広く考えますと、電子書籍の形式にはEPUBだけでなく、AmazonのKindleなど、他にも有力な形式があります。また、技術書・専門書ではPDF形式による販売も多くなると見られます。そうしますと、今後は、様々な形式の電子書籍による出版を見込んでコンテンツを作成しなければなりません。

このためにはコンテンツを出版する形式やレイアウトからできるだけ切り離して用意しておくことが重要になります。本書ではそういった観点からコンテンツの中の英数字についてどのように扱ったら良いかを横組み・縦組みとの関係から検討して英数字正立論を提唱しています。まだラフなアイデアの段階ですが、ご参考にしていただくと幸いです。

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