縦組みにおける英数字正立論17―英数字正立論の課題


英数字正立論はまだラフなアイデアのレベルです。これを精緻なものにするには検討すべきことがあります。

さしあたっては次のような批判が考えられます。

プレーン・テキストへの適用

【批判】プレーン・テキストのレベルではマークアップが使えない。すべて正立してしまうと困ることがあるだろう。

【対応】全角文字を使うというのは、XHTMLでは文字単位のマークアップにほぼ同じです。全角文字を廃止してしまうと、プレーン・テキストの段階では横倒しする文字と正立する文字を区別する方法がなくなり、結果として英語の文章などを横倒しさせることもできなくなります。従って、プレーン・テキストの中で横倒ししたい範囲を示したいときは、Unicodeに制御用コードを導入するなどの方式をとること必要があるでしょう。これと類似の方法はラテン文字とアラビア文字が混在したときの方向を制御するために、Unicodeでは古くから採用されており、特に新しい方法ではありません(Unicode Bidirectional Algorithm(UAX#9))。

正立させるに向かない文字列

【批判】アラビア数字で表した小数点がある数値、桁区切りのある数値はどうするか。

【対応】確かに、これを文字単位で正立させてしまうとおかしな表示になります。従って、このような数字は、text-orientationを指定して横倒しにするのが良いと思います。一方で、逆に縦組み用に全角文字で表した小数点のある数値や桁区切りのある数値を横組みにするとおかしな表示になります。つまり全角文字をつかっても縦横切り替えの問題は解消できません。このように数値については縦組みと横組みの互換をとるために何らかの新しい記法変換を考案する必要があります。

互換性

【批判】過去のデータ資産をどうするつもりか?

【対応】確かに、英数字正立論の最大の問題は過去との互換性となります。指摘の通り、過去のデータをどうするかということは大きな問題です。英数字の半角文字と全角文字の使い分けをやめて正規化文字に統一するのは相当な決断が必要になりますので、さらに慎重な検討が必要です。しかし、Webや電子書籍における縦組みはまだ始まったばかりなので、新しい方式を導入するのはいまの時点しかないことも確かです。

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