オープンソース収益化のモデル(メモ)

Gigazineに「オープンソースによる収益化への挑戦」[1]という記事がありました。内容はニューヨークタイムズのブログの記事の紹介のようです。これも一種のオープンソースの利用方法のようなものですが。オープンソースは、利用者には便利この上ないものです。

しかし、オープンソースを提供する立場で考えると、穴の開いたバケツで水(収益)をくむようなものです。収益が穴からこぼれてしまうので、ビジネスモデルとしては難しいところがあります。

ニューヨークタイムズの紹介しているBit Switch Networksの例は、フリーミアムモデルの一種でしょう。つまり、無償の見本と有償の製品を用意して、無償で客を集めて有償製品を売るという方法です。しかし、無料から有料への転換はなかなか難しいものです。

このほかによくあるモデルは補完モデルです。つまり、有償の製品を用意するとともに、無償の補完ツールをオープンソースで提供する方法です。小さな例ですが、アンテナハウスでもPDF5[2]というオープンソースを提供しています。これは、DITAで、AH Formatterという有償製品を選択してもらうためのツールです。PDF5があることによって、DITAのユーザーがAH Formatterを選択しやすくなります。差別化戦略の一つにもなります。

オープンソースの主流は、もっと広い意味での補完モデルでしょう。たとえば、Google がChromeを提供するのも結局は検索エンジンや広告媒体としてのGoogleの利用を増やそうということが目標と思われます。

あとはサービスモデルがあります。つまり、オープンソースの提供者は、自らがそのツールについて詳しいのですから、それを使って企業などに付加価値サービスを提供するというもの。アンテナハウスはDITAのスタイルシートを開発するサービスを行っています[3]が、これはPDF5というオープンソースをお客さんの企業のために自らカスタマイズするサービスです。サービスモデルの問題点は、競争相手も同じオープンソースを使うことができるので、結局、ノウハウを競争相手に提供することになりかねないことです。(続がちょっと:オープンソース収益化のモデル(メモ) 続き

最近、なかなかうまいなと感じたのは、Hypothes.isのモデルです。Hypothes.isについては前回のブログ「注釈実装と注釈サービスの拡大、EPUBリーダーでの実装、および注釈の標準化への動き。」[4]で紹介しました。自らを非営利法人として、スポンサーを募って資金を集める方法です。お金持ちの財団、大学の財団などの慈善団体から資金を集めるというやり方です。これは一種の喜捨モデルと言えます。

ここにいくつかの類型を上げましたが、実際のビジネスではもっといろんなモデルのために知恵を絞っていかねばならないと思います。

[1]オープンソースによる収益化への挑戦
[2]DITAをPDFにするには
[3]アンテナハウスDITAサービス
[4]注釈実装と注釈サービスの拡大、EPUBリーダーでの実装、および注釈の標準化への動き。