本のかたちを考える:目次の扉・目次開始処理を考える

日本語(紙)書籍では目次の始め方には、次の3通りがあります。

1.目次専用の扉(目次扉)をおき、その裏(偶数頁)から目次の内容を開始する
2.目次扉をおかずに改丁して目次を始める
3.目次扉をおかずに改頁して目次を始める

手元の書籍106冊について目次の開始の仕方を調べてみたところ次の表のようになりました。

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表 目次の開始処理

縦組の本では半数近くの本に目次専用の扉があることが分ります。(数少ないですが)横組の本では目次専用の扉は置かれません。

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図 本扉(共紙)の次に目次扉を置いた例

改丁開始と改頁開始は拮抗しています。但し、目次の直前に「まえがき」などがあり、その内容が偶数頁で終了しているときは、(3)改頁して目次を始めると、奇数頁始まりになりますので、見かけ上は(2)改丁して目次を始めるときと同じになります。(2)と(3)の区別はできあがった書籍を見ただけでは判別できないことに注意してください。

目次扉を置くメリットは?

縦組の本で目次扉を置きその裏から目次の内容を始めると、目次が見開きになり、視認性・一覧性が高いというメリットがあります。横組では見開きにでも行の進む方向と頁の進行方向が逆なので視認性が高くなるとは言えないかもしれません。そのあたりに縦組のとき目次扉を置くことが多い理由だろうと思います[1]

目次を改丁してはじめることにもメリットがあると思います。

本の表紙や本扉は必ず奇数頁にあり、偶数頁は裏となります。そこで自然に紙を捲ると視線は最初に奇数頁に行くと予想します。

特に目次について考えますと、目次は本の最初の方にあります。従って、本を机の上の置いて目次を開いた状態では奇数頁に重心があり眼と平行になります。一方、偶数頁は丸くなり浮いた状態になります。従って、奇数頁の方が読み易いし、注目されやすいはずです。

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図 本扉(共紙)の次に改丁して目次を置いた例

なお、英語の本では、一般論として奇数頁の方が重要な頁とされており[2]、献辞は原則として奇数頁に置きます。

[1] 但し、目次の直前の内容が奇数頁で終わっていれば、目次専用の扉を置かなくても、目次の内容は見開きになりますので、目次扉を置く理由の説明は見開きにするためというだけでは足りないかもしれません。
[2] 例えば、New Harts’s Rulesでは、“The recto is regarded as more important of the two pages of a spread….”とあります。