Word2013のWord文書をHTML形式で保存を試してみる。その問題点は?

最近、HTMLをどう作るかを再考しています。HTMLの書き方で一番原始的な方法は、テキストエディタで書くことです。それではあまりに効率が悪いのでもう少し簡単に作る方法が必要なことは明らかです。で、ここ10年近くWordでHTMLを作るという問題をあまり考えていませんでしたが、まずはWordでHTMLを作る方法を調べています。

ということは前回も書きましたが、前回「HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。」として、Webにでていたサンプルを見ました。

今回はその続きで、自分で作成したWord文書で調べてみました。作成した文書は次のものです:
・オリジナルのWord文書[1](こちらからダウンロード)
・Word文書をPDF化:(PDFをダウンロード)


図 PDFを画像化したもの(先頭ページ)

これをWord2013でHTML保存してみます。


図 Webページ形式で保存

保存したHTML形式:リンクをクリックすると開きます。

保存したHTML形式を表示しますと、Wordの次の指定はそのまま生きています。
・段落枠による囲み
・段落の文字サイズ
・見出し
・段落と段落の空き
・表

このHTMLのソースを見ますと、こんな感じです。

図 Word2013でHTML保存したHTMLファイル

このHTMLはHTMLのタグとCSSでレイアウトを指定しています。見出しレベル1がh1タグになるためh1タグが複数出てきています[2]。表のタグも正しく付いているようです。多くの属性値は引用符で囲まれていません。

HTML+CSSの表現として大きな問題はないと思いますが、このHTMLを使い回すときはとても難しいでしょう。例えば、他のHTMLと一緒にして、二つの見栄えを揃えようとします。もし、二つのHTMLでフォント指定(サイズ、フォントファミリー)異なっていたとします。すると見栄えを揃えるにはフォント指定を統一する必要があります。しかし、フォント指定がHTMLタグツリーの末端にばらばらに指定されているため、統一する編集はかなり面倒なことにあります。HTMLでこのような操作をするよりも元のWord文書に戻ってWord文書で編集したくなると思います。

ということは、ここで作るHTMLはあくまで出来上がった文書を単独でパブリッシュする(最終用途)ために使うものということです。Wordで保存したHTMLを使って、例えば、他のWebサイトに組み込んで全体のレイアウトを統一したり、EPUBを作ったりするなどの流用は難しいのではないでしょうか。

[1] 3月22日のニュースリリースの原稿です。ニュースリリースはこちら
[2] SEOの本を見ますと、h1タグはHTMLの最上位に1回使うというのが基本的とされているようです。確かに、大見出しは1ページ(1HTMLファイル)あたり1つが望ましいと思います。しかし、HTMLの仕様ではh1タグをHTMLの最上位要素として1回だけしか使うという制限はありません。HTML5では文書をsectionで分けて、各sectionタグの子供としてh1タグを使います。そしてh1~h6の新しいランクタグは新しいセクションを暗黙に作るという考えのもとで、sectionタグはそれを明示的にするという考えのようです。すると、h1⇒p1⇒h1⇒p1の順序でタグが出てきたときは、h1⇒p1⇒section(h1⇒p1)と考えることになるのでしょうか。

■連載
(1) ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。
(2) HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。
(3) Word2013のWord文書をHTML形式で保存を試してみる。その問題点は?(今回)
(4) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(1)(次回)

CAS-UBでEPUB制作。Wordで作成した原稿をEPUBにするまでの流れと出来上がり具合のご紹介。

CAS-UBによる出版物の作成の流れを理解していただくためWordで原稿を用意して、EPUB3を作成する流れを例として説明してみます。

1.Wordの原稿を用意してCAS-UBにインポートするまで

(1) Wordの原稿を用意する

まず、Word2007で原稿を執筆します。Wordの印刷プレビューでみますと、でき上がりは全体で5ページとなりました。

Word-previiew
図1.1 Word文書の印刷プレビュー

CAS-UBにうまく取り込むには、Word文書でできるだけWordのスタイル機能で書式を設定します。この文書では、Wordのスタイルを使った箇条書きを作成し、原稿の見出しには図のようにアウトラインを設定しています。

Word-outline
図1.2 Word原稿のアウトライン

できあがった原稿はWordのdocx形式、ファイル名を「PDFAの作り方.docx」として保存します。

(2) 出版物新規作成

今度はCAS-UB側で出版物を作ります。まず、ログイン後の出版物一覧画面で左上の [出版物新規作成] をクリックします。

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図1.3 出版物新規作成

なお、CAS-UBにはWordの原稿を直接EPUB3に変換する「Word変換」もあります。Word変換を使えば途中のステップを全部飛ばしてEPUB3を生成できます。ただし、きめ細かい編集や設定を行なうことはできません。そこで、ここではWordをインポートしてEPUBをステップ・バイ・ステップで作成してみます。

(3) 出版物ファイル名とタイトルを設定

出版物のファイル名やタイトルを設定します。ファイル名は「how-to-PDFA」、出版物のタイトルは「PDF/Aとその作り方」とします。このふたつが必須項目です。出版物の種類は「書籍2」を選択します。それ以外は設定は変更しないで、一番下の [作成] ボタンをクリックします。

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図1.4 ファイル名とタイトルの設定

サーバー上で[作成]処理が終わると、記事がなにもない出版物がCAS-UBのサーバー上にできます。

(4) 外部データ入力でWordファイルをインポート

(1)のステップで作成したWord原稿ファイルをこの出版物にインポートします。このためには[外部データ入力]をクリックします。

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図1.5 外部データ入力をクリック

すると外部データ入力画面になります。

インポートファイルの形式は「Microsoft Word 2003 XML」とします。(この指定でdocx形式のファイルを変換できます。)インポート先は「主原稿」とし、記事に分割するアウトラインレベルは「1」とします。いずれも既定値のままです。ここで、[参照] ボタンをクリックして、最初に準備したWord文書を開きます。

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図1.6 原稿のWordファイルを指定する

これで準備ができましたので、[インポート]ボタンをクリックします。すると画面に「記事の変換中」という表示が出て、しばらくしますと「主原稿」に変わります。

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図1.7 インポート完了

画面の表示が「主原稿」に変わるとインポートが完了しています。そこで [主原稿] をクリックすると画面が切り替わり、記事のツリーが表示されます。

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図1.8 インポート成功すると記事が3つできる

Wordの原稿をインポートした結果、アウトライン1のレベルで分割されて3つの記事になっています。Wordの見出しが、各記事のタイトルになります。記事タイトルの左のペンシルアイコンをクリックすると記事内容の編集画面に変わります。ここで、インポート結果を確認して、必要があれば記事の内容を追加したり訂正したりできます。

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図1.9 最初の章を「記事内容編集」画面で開く

2.書誌編集

CAS-UBでは、表紙と奥付に出力するデータを書誌情報から引用しますので、表紙と奥付に記載が必要な項目は書誌情報に記入しておきます。また、書誌情報は、EPUB3などのメタデータとして登録されます。

書誌情報は、書誌編集画面で登録します。

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図2.1 書誌編集の選択

[書誌編集] をクリックすると書誌編集画面に移ります。著者のプロフィールと版数・発行年月日を入力します。

(1) 著者のプロフィール

書誌編集画面のプロフィール・著者を選んで[編集]ボタンをクリックし、さらに[追加]をクリックします。

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図2.2 著者のプロフィール追加

著者のプロフィール編集画面が表示されますので、ここで、必要事項を入力します。今回は、「著者の名前(ペンネーム)」、「著者のプロフィール」、「公開する連絡先」の欄に記入しました。

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図2.3 著者のプロフィール項目に入力

入力完了したら、[保存]ボタンをクリックして戻ります。

(2) 版数・発行年月日の設定

書誌編集画面で改訂履歴を選んで[編集]ボタンをクリックし、版数と発行年月日を入力して[追加]ボタンをクリックして戻ります。

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図2.4 版数と発行年月日の入力

3.EPUBの生成

EPUBを生成するには、出版物タイトルの表示の下にある [生成] をクリックします。

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図3.1 生成画面への切り替え

クリックすると生成画面に切り替わります。EPUB3の生成の前に生成設定を変更します。

(1) [一般]設定でCSSのテーマを選択

EPUB3の [一般] をクリックします。

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図3.2 一般設定

クリックすると、一般設定画面になります。ここで、「CSSのテーマ」を設定します。テーマはお好みですが、ここでは「ノーマル明朝(EPUB3)」を選択します。テーマを選択したら、最後に、右下の[保存]ボタンをクリックして変更を保存してください。

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図3.3 一般でCSSのテーマを選択

CSSのテーマを選択しないと、テーマが「未定」のままになり、EPUB3を生成したときレイアウト指定のない状態となりますので、お好みのテーマを選択するようにしてください。

(2) タイトルページで出版元ロゴを指定

次に[タイトルページ]をクリックします。

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図3.4 タイトルページの設定

タイトルページは、本扉に盛り込む内容を設定します。また、EPUB3の[カバー画像]設定でカバー用の画像(cover.pngなど)を指定しない場合、CAS-UBはカバー画像を自動生成します。タイトルページ設定が、自動生成画像に盛り込む項目にもなります。ここでは発行元のロゴをアップロードします。

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図3.5 タイトルページでロゴを指定

発行元ロゴはJPEG形式で用意してください。用意したJPEGファイルを参照して選択、アップロードすると ‘publisherLogo.jpg’という名前で、クラウド・サーバーの画像フォルダーに保存されます。アップロードが終わったら、[保存]ボタンをクリックして設定を保存してください。

(3) EPUBの生成実行

[EPUB3を生成] をクリックすると、「生成確認」と大きく表示されて生成を開始します。

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ya-shita
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図3.6 EPUB3生成

生成には少々時間がかかります。「ダウンロード」に表示が変わったら生成完了です。

生成の完了を待たずに他の作業をしたり、ログアウトしてPCをシャットダウンしても、生成処理は行われていますので、後で生成結果をダウンロードできます。生成画面で、・・・を生成の下に生成済み・・・ダウンロードといったリンクが表示されていれば、そのリンクから前回生成した結果をダウンロードできます(生成済みのファイルは、システムのメンテナンス時などに削除されますので保持期間は保証できません)。

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図3.7 前回の生成結果をダウンロードする

(4) ダウンロード

[ダウンロード] をクリックすると生成されたEPUBがダウンロードされます。

ブラウザの設定によってはダウンロードされずにブラウザ上でEPUBが表示される場合があります。このときは表示されてから「コピーを保存」で保存するか、[ダウンロード] 表示を右クリックすることで表示されるメニューから [名前を付けてリンク先を保存](ブラウザにより表現が異なる場合があります)を実行するなどしてください。

4.完成したEPUBをiBooksで表示

完成したEPUB3をiBooksで表示してみましょう。

(1) カバー画像とナビゲーション

カバー画像はCAS-UBで自動生成したものです。ナビゲーションは、既定値で章と節までを取り込んでいます。なお、ナビゲーションに取り込むレベルは[一般]設定の「目次の生成」で変更できます。

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図4.1 表紙とナビゲーション

(2) タイトルページと本文先頭

[一般]設定で「タイトルページ」を生成するとしていますので、先頭にタイトルページが入ります。また章には自動的に章番号をつけています。タイトルページの内容は書誌情報から自動生成しています。タイトルページを生成しないようにしたり、章番号の自動設定を停止することもできます。

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図4.2 タイトルページと本文先頭

(3) 第3章の先頭

第3章の先頭部分です。

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図4.3 第3章の先頭部分

(4) 本文の最後と奥付け

本文の最後の部分と奥付けです。奥付けは、書誌情報から自動生成しています。奥付けを生成しない設定もできます。

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図4.4 本文の最後と奥付け

最後に
いかがでしょうか。CAS-UBを使えば、Wordで原稿を準備してから、ものの10分でEPUB3を作ることができます。
特に、「Word変換」という直接変換もあります。こちらはまさにEPUB直行便。Word変換を使えば、いろいろ覚える必要もなく、Word文書をEPUBに変換することもできます。

Word2Epub

Word文書のテンプレートの設計や独自の変換メニューを用意することもできますので、関心をお持ちの方は、cas-info@antenna.co.jpまでお問合せください。

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9月4日(水)午後に新CAS-UBご紹介セミナーを開催します。
詳細とお申し込みはこちらからどうぞ▼
http://kokucheese.com/event/index/104697/
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CAS-UB、5月16日のアップデートで「Word変換」メニューを追加します。

CAS-UBは、毎週、定期メンテナンスで小さな機能強化と障害の修正を行なっています。今週は、特別に、少し大きな機能追加として「Word変換」メニューを公開する予定です。

CAS-UBの通常の編集手続きでWordからEPUBを作るときは、①出版物を作成→②Word文書をアップロード→③EPUBを生成という流れです。①~③の各ステップでさまざまな変換条件の詳細設定が必要です。

新しく追加する「Word変換」メニューでは、最低限必要な設定を一枚のパネルで一括設定して、一気にEPUBを出力することができます。

これで飛躍的に設定の手間が少なくなります。さらに、詳細な設定をしたい場合は、設定済みの雛形文書を別に用意して、その雛形の設定を継承することができます。

CAS-UBにログインするとホーム画面(出版物一覧)を表示しますが、ここに「Word変換」が追加になります。

Word変換をクリックしていただきますと、次の画面となります。

この画面で必要な項目を設定して、あとは「WordをEPUB変換に」ボタンを押すだけで、自動的にEPUBを出力できます。

変換の仕様につきましては、5月16日のアップデートでは従来通りです。今後、さらに変換機能を強化する予定です。

なお、変換で作られた出版物はクラウドサーバ上に保存されますので、通常のとおりCAS-UBで編集することができます。

3月1日JEPAにて、「EPUBのビジネス分野での活用を広げる」セミナー開催

3月1日JEPA(日本電子出版協会)主催でEPUBのビジネス分野での活用を広げるセミナーを開催します。

○第一部は、BPIAで立ち上げた「EPUBマニュアル研究会」での活動報告をいたします。実際のところ、企業の業務マニュアルはWordで作成されていることが多いので、CAS-UBとの関係では、Wordインポート機能が重要なポイントになると思います。

○第二部では、CAS-UBとアンテナハウスのEPUBリーダー「AH Reader Preview」をご紹介します。
第二部では、開発中のXMDF生成機能を始めてデモンストレーションしたいと考えています。CAS-UBは、ワンソースから、PDF、EPUB、Kindle、XMDFなどの様々な出版形式を作り出す真のデジタルファーストを実現するサービスを目指しています。

■概要

企業の業務マニュアルは組織の目的を達成するための行動標準を記述したものです。
業務マニュアルを電子化し、スマートフォン、タブレットなどに入れて持ち歩くことでいつでもどこでも使うことができるようになります。しかし、電子化されたからといって、皆に使ってもらえるマニュアルになるとは限りません。「どのように使ってもらうか」(ユーザビリティ)を工夫したり、マニュアルを不断に見直すシステムが組織の中に必要になります。

BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会)では、EPUBがマニュアルの世界でも標準技術として普及するとの見通しの下、ユーザー企業の立場から、ユーザビリティを様々な角度から研究しておく必要性を感じ「EPUBマニュアル研究会」を立ち上げました。この活動についてご説明します。
また本セミナーの第二部では電子書籍制作ツールCAS-UBについて紹介いたします。

■第一部

BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) EPUBマニュアル研究会報告
15:00~15:30 EPUBによるマイマニュアル・いつでもマニュアルの時代
講師:片貝システム研究所 研究員 木村 修三

15:30~16:00 CAS-UBでWordからEPUBに簡単に変換する
(Wordで書かれたマニュアルなどをEPUBにする手順とデモ)
講師:アンテナハウス株式会社 営業グループ 石井 岳美

16:00~16:20 250ページの業務マニュアルをEPUBにしてみての考察
講師:株式会社イトーキ 企画本部 BPR推進室長 森本 俊彦

16:20~ 質疑応答

■第二部 

新しい発想の書籍制作ツールCAS-UBのご紹介
16:40~17:10 ワンソースからPOD用PDF、EPUB、Kindle、XMDFを生成するCAS-UBでデジタルファースト出版に乗り出そう。クラウド・サービスなのでマニュアル、白書、専門書などの共同編集ができます。
講師:アンテナハウス株式会社 代表取締役 小林 徳滋

17:10~ 付録:AH Reader概要紹介
クラウド型EPUB/電子文書リーダー”のWebアプリケーション。XML自動組版エンジンとして世界的に評価をいただいている AH Formatter を組版に使用しており、CSS3拡張、数式、多言語組版対応などに対応。

■○開催概要とお申し込み
http://kokucheese.com/event/index/74444/

アウトライン、アウトライン、アウトラインーWordのアウトライン→CAS-UBのアウトライン→PDFとEPUBのアウトライン

1.Microsoft Wordのアウトライン機能

Wordでは、多くの場合、印刷レイアウトで文書を編集すると思います。印刷レイアウトではアウトラインを操作するメニューは見えません。「見出し1」「見出し2」というような見出しスタイルを設定すると文字の大きさなどの「見出しスタイル」の一部としてアウトラインが設定されます。

①Word文書の「印刷レイアウト」表示

②Word文書の「アウトライン」表示

Wordの表示モードをアウトラインに切り替えると、文書のアウトライン構造が見えます。この画面ではアウトライン・メニューの左右矢印(← →)により段落のアウトラインレベルを直接操作することができます。

2.CAS-UBのアウトライン

CAS-UBではひとつの出版物を複数の記事に分割して構成することができます。Word文書をCAS-UBにインポートするときは、Wordのアウトラインのレベルで文書を分割します。分割点として、レベル1~レベル3を選択できます。

次に分割の概念と例を示します。

2-1 アウトライン・レベル1で分割

上の例にあげたWord文書をレベル1で分割すると次のようになります。

①概念図

②読み込んだ結果(ドラフト→主原稿に移したところ)

最初の記事の編集メニューでは、タイトルが「見出し1-1」となり、見出し1-1の本文と見出し1-2とその本文および見出し1-3とその本文は、本文編集フォームにあります。見出し1-2の行頭は「=」でマークアップされており、見出しであることがわかります。

2-1 アウトラインレベル2で分割

①概念図

②読み込んだ結果(ドラフト→主原稿に移したところ)

レベル1の記事を章とし、レベル2の記事を、その下位に配置するツリー構造になります。

3.PDFとEPUBにおけるアウトライン

次に、このようにしてCAS-UBで編集した出版物をPDFとEPUBにしてみます。なお、PDFとEPUBにするとき、章番号や節番号を自動的に付与することができますが、このためには、記事に「章」「節」という属性を設定する必要があります。

なお、章番号や節番号を付与しない設定にできますので、たとえば、各記事の番号をご自分で手でつけている場合は、章番号・節番号を生成しないように設定してください。

3-1 PDF生成

①レベル1で分割した結果をPDFに出したとき

②レベル2で分割した結果をPDFに出したとき

①と②ではPDFには違いがありません。なぜならば、PDFにするとき、すべての記事を先頭から結合してひとつにまとめるためです。見出しの配置(左寄せ、余白)、フォントのサイズ、明朝・ゴシックなどは設定変更できます。

3-2 EPUB

①レベル1で分割した結果をEPUBに出したとき

EPUBファイル

②レベル2で分割した結果をEPUBに出したとき

EPUBファイル

①と②の相違は、章のタイトルと章の本文、節のタイトルと節の本文、といった組毎にひとつのファイルになっているか、それとも章のタイトル以下が章単位でひとつのファイルになるか、の相違です。つまり、ファイルの分割点の相違のみです。

EPUBで章の扉を単独のファイルにするかどうか、などの扱いは次のように考えます。

(1)章扉を作り、章扉のテキストをセンタリングしたり、画像を配置するなどの扉独自の扱いをする場合はファイルを分割しておくほうが良いと思います。
(2)章の見出しと本文の間には空きを入れるだけで、見出しと同一ページに本文や節を続けていく場合は、ファイルを分割しない方が良いことになります。

Word 文書をCAS-UBでEPUBにーCAS-UB Wordインポートはどこまでできる?

1昨日と昨日の2日間、CAS-UBのWordインポート機能を用いて、簡単にEPUBが作れることを紹介しましたが、今回はさらに突っ込んで、Word の機能の「どこまで」が利用できるのか、もうちょっと突っ込みたいと思います。

次のよく使うであろう項目について、WordからCAS-UBへのインポートで設定が再利用できるかどうかを示します。
なお、Wordインポート機能につきましては、逐次改善の予定です。

機能名 結果 備考
見出し
強調(太字)
強調(イタリック)
下線
箇条書き
外部リンク
表の挿入
写真、画像の貼り付け 作成方法に依存することがあります。
SmartArt ×
囲み文字、囲み線 ×
ルビ(ふりがな) Word2003以前(doc)では不可
取り消し線 ×
上付き、下付き文字

いかがでしょうか。Wordでこれだけ作れば、CAS-UBへインポートした後の編集はさらに容易になります。

Word 文書をCAS-UBでEPUBに~Wordのアウトライン機能を使おう!(EPUB生成)

(昨日の続き)CAS-UBにインポートした原稿を記事編集画面で確認したのち、EPUBに出力してみましょう!

次が、「記事編集」画面のトップ画面です。昨日ご紹介したように、Wordのアウトライン機能を使うと、このように自動的にツリー構造で記事がエントリーされます。

各記事エントリーを見てみましょう。
各記事は、下図のように、Wordのアウトライン設定に従って、見出し「レベル1」(または「レベル2」)は、記事の「タイトル」に反映され、各見出しレベル直下に配置された「本文」は、編集画面に反映されています

誤字脱字や、表現を変えたりするときは、この画面を使って編集を行います。

下図は、「構成編集」の画面です。

ここでは、「出版物の型」を設定します(緑色の円枠)。どんな形で出版物を出したいのか、というところを設定するのですが、「書籍1」が通常の冊子物書籍となります。

書籍の構造について、上下の記事の入れ換えや削除指定等を行うには、「構成編集」画面で行うことができます(今回はやりません)。

最後に、「生成」リンクをクリックします。EPUB出力の最終工程に入りました!

CAS-UBでは、リフロー型のEPUB2、EPUB3、Kindle(暫定対応中)のほか、PDF、Webスナップショット、HTMLヘルプ(Windowsアプリケーション用)を生成できます。今回は、EPUB3を生成します。

生成画面から「EPUB3」生成設定カテゴリから本文内容設定を選択、表示します(下図)。

ここで、CSSのテーマを決めます。CSSのテーマとはEPUB向けの書籍の全体的なレイアウトと考えてください。いくつか種類があるので、好きなテーマを選択し、保存します。

これで、最低限の設定は済みました。画面の右上「EPUB3を生成」リンクをクリックします。確認画面が出ます。しばらく待って、確認のリンクをクリックします。生成完了だと、確認の文字が「ダウンロード」に変わります。生成途中の場合は、上部に「生成中」と出ます。

ダウンロードリンクをクリックし、任意の場所にダウンロードします。
EPUB3のリーダーはいくつかあります。まとめて紹介しているサイトがありますので、ぜひご覧ください。

下の図は、Adobe Digital Editionsで表示したEPUB3です。

Wordに貼り付けられた画像ファイル(png、jpegなどラスター画像。図形描写は不可)や、表をそのままCAS-UBに反映することができます。

Word 文書をCAS-UBでEPUBに~Wordのアウトライン機能を使おう!

これから3回連続で、WordファイルをEPUBに変換する簡単なやり方をご紹介します。

CAS-UBを使いこなすには、(X)HTMLやCSSの知識は不要ですが、代わりにCAS記法という、CAS-UB独自のマークアップの使い方を覚える必要があります。こういうと、「なんだ、結局別の言葉を覚えないといけないのか…」となってしまい、マークアップに拒否感を覚える人はそれだけで引いてしまいます。

そんな時、Microsoft Office Wordをお持ちの方なら、こうしたマークアップ操作を極力避けてEPUBやPDFの制作が可能です!

1.Wordのアウトライン機能

Wordには、「アウトライン機能」というものがあるのをご存知でしょうか?

「アウトライン」とは、文書の構造化を示す段落書式のことです。文書構造を一覧で見渡すことができるので、文書全体の整理ができます。(マイクロソフトのWebページでは、アウトラインモードで詳細機能を確認できます。)

CAS-UBは、Wordファイルのインポート時に、これらを読み取って「CAS-UB」の出版物に反映することができるのです。

2.アウトラインの設定されていないWord文書

さっそく、Word文書を編集しましょう!次のようなWord文書があります。

この文書は一見すると、文書のタイトルがあって、その下に見出しや本文が並び、文書は構造化されているようなレイアウトになっています。しかし、このWord文書を、アウトライン表示すると、すべて「本文」で成り立っていることがわかります。

3.アウトラインの設定

これを、「アウトライン」機能を使い、タイトルや見出しにアウトラインレベルを設定します。ここではファイルのタイトルをレベル1、大見出しを「レベル2」に設定します。さらに、「段落の設定」で箇条書き、フォントの設定で「太字」を個々に設定します。

一通り終了したところで保存し、Wordを終了させます。

4.CAS-UBに出版物を作る

次に、ブラウザーを立ちあげ、CAS-UBへログインします(ログインするにはユーザー登録が必要になりますので、ご注意ください)。

(1) ユーザーの著者ページ左上のタブ「新規出版物作成」→「空の出版物を作成」リンクをクリックします。

(2) 出版物名、出版物のタイトルをそれぞれ入力し「作成」ボタンをクリックします
(3) 記事編集画面に移行するので、ページ上部のリンク集からドラフトを選択します。
(4) ドラフト画面の一番下に、ファイルのインポートがあるので、インポート形式としてMicrosoft Wordを選択し、編集したWordファイルをCAS-UBへインポートします。

なお、Microsoft WordからCAS-UBにインポートする際には、指定したアウトラインレベルでWord文書を複数の記事に分割できます。たとえば、「記事に分割するアウトラインレベル」を「1」とすると、Wordでアウトラインレベル1の見出しから次の見出しまでをひとつの記事になるように分割します。

(5) ドラフトの記事一覧に、インポートしたファイルの記事一覧が表示されます。

いかがでしょうか?この時点で、設定した「レベル」ごとに、記事が分割されてエントリーしています!このまま、本編集の「主原稿」へ移行させましょう!

(6)「記事編集」画面で確認すると、図のように、文書構造がツリーで表示されます。

これでWord文書をCAS-UBに取り込むことができました。

CAS-UBはWord文書を自力で解読します。他の人の作ったMicrosoft Word文書をWordなしで取り込むこともできます。但し、Wordのアウトライン機能などでスタイル付けしたWord文書でないと単にテキストの取り込みとなってしまいます。