WYSIWYGの呪縛、無意味なレイアウトに時間を費やす

ある学会誌に3名で投稿することになり、原稿を他の著者の方お二人と3人で共同で用意しました。記事を掲載した学会誌が出るのは数ヶ月先ですので内容は今のところ非公開なのですが。

学会誌の記事を連名で書いて投稿するのは初めての経験で、新鮮でしたが、少々無駄な作業に気がつきました。投稿ワークフローを見直しする方が良いのではないかと思いました。

それは原稿のレイアウトです。

原稿を執筆したのはWordです。最初にどんな風にして書いたのか、その経緯を簡単に紹介します。

一番最初に私の担当分をざっと項目を並べてWord文書として出ました。次に別の著者の方が、ご自分の担当分の原稿をすばやく追加をされました。同時に私の担当分について、要望をいただいたので、それに添って自分自身の文章をある程度完成させて提出しました。それを3番目の著者の方が全体を通して校閲されました。その後、Wordの文書を何回かやりとりしてテキストをだいたい完成させました。ここまではスムーズにできましたし、作業のフローに問題は感じませんでした。3人程度であれば、Word文章を共有する方式が便利です。

次は図版です。テキストが固まった段階で、私の担当分の図版の原稿を別に作って幾つかを提出しました。それを別の著者の方に、選択とWordに張り込んでいただきました。

この結果、テキストと図版を貼り込んだものは、学会誌の版面に近い状態にレイアウトされました。つまり本文二段組です。

ここで問題を一つ感じました。Wordのレイアウト結果は、学会誌の版面に近いといっても、学会誌はDTPソフトで組版されていますので、組版結果はWordのレイアウトとは改行位置がかなり違ってくると見込まれます。Wordの組版の仕方とDTPの組版の仕方はかなり違うからです。このため、せっかく、版面を似せても、できあがりのページ数が判断できないのです。そうしますと図版を貼り込んで最終版面に近い状態にするのに掛かった工数にどの位の意味があるのでしょうか。ページ数を見込むのにもっと適切な仕組が欲しいものです。

第二の問題ですが、Wordで二段組した結果は、本文の流れと二段組された表示上のテキストの位置関係がおかしくなってしまいした。次の図に示すように、本文のテキストの流れから判断するとレイアウトは左のようになって欲しいのに、Wordのページレイアウトは右のようになってしまったのです。

Article2

こうなってしまうと、なかなか正しいレイアウトに戻すことができません。ちなみにSBC[1]でPDFに変換しても同じようになりました。Word文書の内容を解析してみれば分かると思いますが、恐らくWord文書の中に、本来はあってはならない改段に関連する情報が入り込んでしまったのでしょう。あるいはWordのバグかもしれませんが、WordのバグならばSBCで同じ現象はでないでしょう。

これを修正するのに著者の方が結構苦労されていました。しかし、翻って考えますと、実はせっかく苦労して二段組にしても、上述の通り、レイアウトはDTPで組版すると変わってしまうのです。Wordで二段組のレイアウトにする、という投稿の方式(ワークフローの組み方)は見直す方が良いのではなかろうか、という印象をもちました。

[1] サーバーベースコンバータ

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