UnicodeにUTR#50という仕様案ができて、Unicodeの各文字(キャラクタ)に対して縦組み時のデフォルトの方向を定義しようとしています。すでに、このブログで何回も書きましたが、現在、そのことをいろいろ考えています。半角形と全角形の扱いを少しさかのぼってみようと思い、初期のOA機器であるワープロ専用機での扱いを調べてみました。
ワープロ専用機はもう販売されていませんが、1980年代の半ばに登場し、1990年代に急速に普及したのですが、マイクロソフト Wordや一太郎などのパソコン用ワープロソフトとの競争で売れなくなり、2000年代初頭までに全メーカが生産終了してしまいました。もう使用している人はあまりいないと思います。
ワープロ専用機で縦組み文書を編集・印刷するときの半角文字の扱いを調べてみてびっくりです。各社各様でまったくばらばらです。
●ルポ、書院は半角文字も正立させていますが、なんと高さを1/2にしています。
●文豪 JX-750は半角文字横倒し、富士通OASYS LX-9500SDは横倒しと正立です。
当時のワープロ専用機の表示・印刷の技術的制約の中で各社が取り扱いを工夫していたのでしょう。
詳しくは下の報告と模式図をご覧ください。
■各社のワープロ専用機の半角縦書き文字の扱い(報告)
会社にあった主要ワープロメーカの4機種の縦書き編集における文字の方向(印刷については、インクリボン等が切れているため、ワープロ上のプレビュー機能での確認によります。
●東芝RUPO JW06H
(1)縦書き文書編集時、画面での縦書き表示無し(横書き表示で編集して印刷時縦書き)
(2)印刷
全角文字の正立に対して
半角文字も正立し、全角1文字分の高さに2文字を配置(文字の高さを1/2に変形)
●シャープ 書院 WD-V01
(1)縦書き文書編集時、画面での縦書き表示無し(横書き表示で編集して印刷時縦書き)
(2)印刷
全角文字の正立に対して
半角文字も正立し、全角1文字分の高さに2文字を配置(文字の高さを1/2に変形)
●NEC文豪 JX-750
(1)縦書き文書編集時の縦書き表示有り
画面表示
縦書き文書編集時
全角文字の正立に対して
半角文字も正立し、全角1文字分の高さに2文字を配置
(2)印刷
全角文字の正立に対して
半角文字は横向きで全角1文字分の高さに2文字を配置
●富士通 OASYS LX-9500SD
(1)縦書き文書編集時の縦書き表示有り
画面表示
縦書き文書編集時
全角文字の正立に対して
半角文字は横向きで全角1文字分の高さに2文字を配置
(2)印刷
「縮小文字の向き」という設定があり、下記の2種類から指定
「横向き」 あるいは「縮小文字2文字単位で縦向き」
(この機種では縦書き指定時、必ず選択させられる。一応、初期選択は「横向き」)
a. 「横向き」の場合
全角文字の正立に対して
半角文字は横向きで全角1文字分の高さに2文字を配置
(画面表示と同じ)
b. 「縮小文字2文字単位で縦向き」の場合
全角文字の正立に対して
半角文字も正立し、全角1文字分の領域に半角2文字を配置
AB
CD
E
●模式図
個人的な感想ですが、1990年代の初頭~前半は、私も「リッチテキスト・コンバータ」を中心に、ワープロ専用機-パソコンソフトの文書変換仕様などを作成したり、開発に関わっていました。当然半角文字の扱いは調べていたはずなのですが、改めてすっかり忘れていたことに気がついて、忘れていた自分に呆れてしまいました。
大変貴重な報告と思いました。もしよろしければ、画面写真か印字物など、一次資料の形でまとめていただけると、さらに有用性が増すように思います。
そうですね。テストデータの印刷結果が書庫に保管されているはずですので、今度調べてみます。なければ写真ですかね。
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昔のテストデータのプリントアウトがありましたが、プリントアウトを調べて整理するのに結構時間がかかりそうです。とりあえず、今日は無理そう。