MathMLの未来を考える―(2)『MathML数式組版入門』の大学図書館への寄贈活動について

前回の「MathMLの未来を考える―(1)現状の整理」の続きです。

Webなどで数式を扱う方法として、MathMLが標準化されてからかなりの年月が経過しています。しかし、MathMLはいまひとつポピュラーになっていないという印象があります。一方で、前回のまとめでも書きましたが、たとえば、Microsoft Edgeのプロジェクトでのアンケートではアクセシビリティの観点でMathMLへの熱烈なリクエストがあります。

前回のブログ以後、いろいろ考えた末、MathMLの普及・啓蒙活動をもっと積極的に行うべきという結論に達しました。ちょうど都合の良いことに、弊社では、道廣氏の執筆による『MathML数式組版入門』を出版しております。

そこで、普及・啓蒙の第1弾として、数式を頻繁に使うであろう学生や研究者が集まる大学図書館に『MathML数式組版入門』を寄贈したらどうかと考えるに至りました。しかし、寄贈しても受け入れていただけない可能性もあります。そこで、昨年末に予備調査として、15の大学図書館に問い合わせをしました。

問い合わせ文
—–
この度、貴図書館へ図書を寄贈したいと考えております。
寄贈の受入れに関してお教えいただきたくメールいたしました。

図書は以下のとおりです。
MathML 数式組版入門

本書はコンピュータ上で数式などの数学的記述を表現するためのMathML(マスエムエル)というマークアップ言語に関する説明、扱っていただくための入門を目的に執筆されたものとなります。

内容面で、貴図書館の受入れ基準に合致いたしますでしょうか。

本書は電子媒体(PDF)にて全文を公開しておりますので、次のアドレスより内容をご確認いただけます。
http://www.antenna.co.jp/AHF/ahf_publication/MathML/1.1/mathml-guide.pdf

また、本書は電子媒体(PDF)と紙媒体も用意しています。
寄贈させていただくにあたり電子媒体(PDF)、紙媒体どちらが望ましいかもお教えいただけますと幸いに存じます。
—-

1月17日現在で、回答は次のようになっています。

分類 図書館数 備考
受け入れる 6 すべて紙を希望
受け入れない 4 受け入れない理由:全文をWebで公開している図書は受け入れない(2)、寄贈書の受け入れを行っていない(2)
未回答 5

全体で見ますと4割の大学図書館で受け入れてもらえる、との結果となりました。そこで、本書を200冊ほど印刷して、受け入れていただける大学図書館を探したうえで寄贈する、という活動を開始することとなりました。

とりあえず、本日、上記6図書館に発送致しました。

もし、寄贈をご希望の図書館がございましたら、cas-info@antenna.co.jpまでご連絡を頂けると幸いです。
なにとぞ、よろしくお願い致します。

CAS-UBで編集中の出版物をダウンロードし、テキストエディタで編集し、元に戻す(2)UBテキスト

(前回)
今回はUBテキストについて解説します。

UBテキストは、CAS-UBの一つの出版物全体を表すテキスト形式です。UBテキストを理解するには、最初にCAS-UBの出版物の構成方法を理解する必要があります。

次の図は、例として『投資信託による資産運用のイロハ』という書名の出版物を対象に、CAS-UBの編集画面の記事一覧を示したものです。

CAS-UBの出版物は複数の記事から構成しており、この出版物は7つのファイルから構成されています。記事一覧では各記事に1~7の番号が付いていますが、番号は仮に付けているものです。

記事一覧には各記事のタイトル、ファイル名、記事の種類を表示しています。

タイトルは記事単位で見たときの最上位の見出しになります。例えば、記事の種類が「章」のときタイトルは章見出しに相当します。ファイル名はサーバー側で記事を管理するときの名前です。出版物の中ではユニークでなければなりません。
記事の種類は、出版物の中での記事の位置付け/役割を表します。どのような記事の種類があるかは、ユーザーガイドの「4–1 記事の種類一覧」を参照してください。

ユーザーガイドの「4–1 記事の種類一覧」

この出版物のUBテキストは次のようなテキストファイルです。ダウンロードしたファイルの一部のみ示しています。

+ updated: 2017-08-01T05:36:46+0900
+ ahax$kind: article
+ author:  
+ title: 『投資信託による資産運用のイロハ』
+ name: publ
+ ahax$entryClass: book3

++++++++
+ updated: 2017-07-25T05:47:43+0900
+ ahax$kind: article
+ name: i01-0001
+ ahax$parent: publ
+ ahax$entryClass: body-title

.

.

.

.

.

:center 『投資信託による資産運用のイロハ』

:center 毎月分配型を中心に

++++++++
+ updated: 2017-07-24T11:07:11+0900
+ ahax$kind: article
+ title: はじめに
+ name: i01-0002
+ ahax$parent: publ
+ ahax$entryClass: preface

どんなひとでも普通に生活していくには、…
(省略)
…

++++++++
+ updated: 2017-07-19T07:43:57+0900
+ ahax$kind: article
+ title: 投資信託とは
+ name: i01-0003
+ ahax$parent: publ
+ ahax$entryClass: chapter

投資信託(ファンドとも呼ばれます)は、…
(省略)
…

++++++++
+ updated: 2017-07-25T09:31:13+0900
+ ahax$kind: article
+ title: 基本知識
+ name: i01-0004
+ ahax$parent: publ
+ ahax$entryClass: chapter

本章では投資信託のリターン…
(省略)
…

++++++++
+ updated: 2017-07-24T08:17:43+0900
+ ahax$kind: article
+ title: 最後に
+ name: 201707240759
+ ahax$parent: publ
+ ahax$entryClass: postface

Webなどのニュースやブログを見ますと、…
(省略)
…

:end 著者

8個の‘+’の並んだ行と、それに続く‘+’で開始する行が記事の先頭(記事のヘッダー)です。

‘+ title’に記事のタイトル、‘+ name’に記事のファイル名、‘+ ahax$entryClass’に記事の種類(記事クラス名)が設定されます。

UBテキストのファイル形式についての説明は、ユーザーガイドの「5–2 UBテキスト」の項をご参照ください。

ユーザーガイドの「5–2 UBテキスト」

(続く)

CAS-UBで編集中の出版物をダウンロードし、テキストエディタで編集し、元に戻す

先日のバージョンアップで追加した二つ目の新機能を紹介します。

CAS-UB V5からクラウドで編集中の出版物を外部に取り出し、使い慣れたテキストエディタで編集して、元に戻せるようになりました。

このテキスト形式はUBテキストという名前です。UBテキストを取り出したり元に戻したりする画面は、編集画面の「ダウンロード」をクリックして表示します。

「ダウンロード」をクリックすると次の画面になります。この画面でUBテキストを取り出したり、戻したりします。

UBテキストとはCAS-UBの出版物全体を表現できるテキスト形式です。
UBテキストZIP形式を使うと、画像ファイルも一緒に入出力できます。

UBテキストでできること
1.出版物の取り出しと戻し
・ダウンロードで保存すると出版物全体を取り出します。
・テキストエディタで出版物全体を編集してアップロードで元に戻すことができます。

2.一部の記事だけの更新
・出版物全体から、一部の記事だけを切り取って編集して戻すことができます。
・記事をテキストエディタで、新しく書いて既存の出版物に追加することもできます。

3.全部の記事をテキストエディタで書く
・UBテキストをゼロからテキストエディタで作成することもできます。

上記の1.のような使い方ではUBテキストについて詳しい知識は必要ないでしょう。しかし、2.、3.のような使い方をするには、CAS-UBの出版物の記事とUBテキストの構造について詳しく知っていることが前提になります。

次回は、UBテキストについて少し詳しく説明します。

CAS-UB V5のプレゼン資料:デジタル出版物制作Webサービス CAS-UB V5による シングルソースパブリッシング
関連記事:CAS-UB V5にアップグレードしました。レスポンシブなWebページ生成や、UBテキスト機能の公開などが目玉です。

本、マニュアル、報告書などのブック形式出版物のWebページをどのように作成するか?

本、マニュアル、報告書などをWebページとして公開するにはどういう風にWebを構成したら良いか?

これがCAS-UB V5のバージョンアップにおけるテーマの一つです。

今年の春先に、いろいろな本のWebページの作り方を調べて、次のブログ[1][2]で簡単に整理してみました。

[1] 本はWeb化するか? PDFとブック型WebページとEPUBを考える
[2] 本はWeb化するか? (続き)Webアプリケーション化したオンライン版の本 vs シンプルなHTML+CSSの本

その結果は次のWebページに整理しています。

[3] ワンソースマルチユースで拓く、ブック型Webページの未来

Webページの目的あるいは種類として「ブック型Webページ」があります。本は、ずっと長いこと紙に印刷して製本する形態で提供されてきました。そして、現在、本の内容が電子媒体で提供されはじめています。そこでブック型Webページをどのように構成すると良いか、が重要な検討課題になっています。

CAS-UBのV5では、そのブック型Webページの形態として3つのポイントを考えました。

①表紙に相当する「タイトルページ」(書名や版元・発行日・著者名など)を作るかどうか。
②本の目次はナビゲーションのためには重要な要素です。これをどのように画面に表したら良いか。
③読み進める順序をナビゲーションとして表す。

次はCAS-UB V5で制作したブック型Webページの見本です。

『XSL-FOの基礎 第2版』

上の見本では目次のフレームをレスポンシブにしており、ノートPCなどの広い画面では次のように、目次のフレームと本文のフレームを横に並べて表示します。

画面の幅が狭くなったときは、目次のフレームをアイコンとして表示します。

目次のアイコンをクリックしますと、目次のフレームを本文の上にオーバラップして表示します。

CAS-UB V5にアップグレードしました。レスポンシブなWebページ生成や、UBテキスト機能の公開などが目玉です。

12月7日(木)の定期メンテナンスにて、CAS-UBのシステムをアップグレードしました。昨年(2016年)12月以来の大幅な機能強化です。今回でCAS-UB V5となりました。

12月7日に追加した機能の一覧は次の通りです。

Webページを生成の強化

1.フレームによる目次の表示をレスポンシブ方式に変更

目次と本文を分割したindex-multiview.htmlを廃止して、目次のメニューアイコンを追加しました。目次のメニューアイコンを生成すると、広い画面のときは目次を左側に常時表示し、スマホや画面幅が狭いときはメニューアイコンのクリックやタップで目次をオーバーラップ表示します。

動画をこちらに用意しています:レスポンシブなWebページ生成

2.出版物全体を通しての全文検索機能を追加

全文検索機能を追加できるようにしました。目次に「全文検索」のリンクが追加され、クリックすると目次が全文検索画面になります。検索ワードを入力して[検索]ボタンをクリックすると、ヒットした記事と該当部分周辺のテキストが一覧されます。

3.WebページのレイアウトをEPUBとは別に自由にカスタマイズ

style_epub3web.css というファイルをスタイルシート画面にアップロードしておくと、Webページを生成したときに、すべてのファイルにリンクされます。この場合、style.cssはリンクされませんので、EPUBとはまったく別にカスタマイズできます。ユーザー・ガイドにWebページのカスタマイズ方法を追加しています。

4.タイトルページの追加

タイトルページを最初のページ(index.html)にできるようにしました。

5.生成設定をEPUB3と分離

従来は、Webページの生成設定はEPUB3の設定を適用していましたが、EPUB3と分離して、Webページ生成専用の設定をできるようにしました。

UBテキスト形式のダウンロードとアップロードを追加

「UBテキスト」は、CAS記法でマークアップして、出版物の構成を示せるようにしたテキストファイルです(UBはUniversal Bookの略)。「UBテキスト」では、出版物の構成とツリー構造を表現できます。各記事の内容は、CAS記法でマークアップします。

ダウンロード画面で、「UBテキスト」のダウンロードとアップロードをします。ダウンロード画面は、記事編集画面などの[その他のメニュー]のクリックで表示されるメニューの「ダウンロード」で表示されます。

バックアップ/リストア機能の操作性改善

1.バックアップファイルのリストアで、書誌情報もリストアできるようにしました。
2.[その他のメニュー]に バックアップ を追加しました。ホーム画面に戻らなくても、編集画面などからバックアップ画面に遷移できます。
3.出版物新規作成で、バックアップファイルをリストアして作成できるようにしました。

その他の強化強化と改善

1.記事編集画面のCAS記法入力支援ボタンを変更

[インクルード]ボタンを廃止して[引用]ボタンを追加しました。[引用]ボタンで、ブロック引用 と 整形済みブロック をマークアップできます。

2.画像画面の変更

画像画面で、各画像のファイルサイズと更新日時を表示するようにしました。

3.スタイルシート画面の変更

スタイルシート画面で、各ファイルのサイズと更新日時を表示するようにしました。

4.生成の一般設定の変更

PDFやEPUBの生成で、書誌編集画面でISBNが登録されていても、ISBNなしを選べるようにしました。

5.PDFの生成設定の複製を強化

PDFの生成設定の複製で、他の出版物の生成設定も複製できるようにしました。

FormatterClub
12月8日のFormatterClubでは主要な機能に絞って紹介させていただきました。

FormatterClubセミナーのプレゼン資料は次のSlideShareにて公開しています。
Slideshare:デジタル出版物制作Webサービス CAS-UB V5による シングルソースパブリッシング(2017年12月8日)
個別の機能強化ポイントについて、順次、ブログでも紹介して行く予定です。よろしくお願いします。

Webページ制作の生産性をアップする: ExcelファイルからQ-A(QuestionーAnswer)ページを自動生成

弊社では、11月下旬から、システム・ソリューション製品の「製品ナビゲータ」ページを公開しました(次のバナーをクリックしてみてください)。

弊社のWebページには、こうしたQ-Aページがいろいろあります。従来、こうしたページは手作業で編集していました。Q-Aページはリンクが多いこともあり、Q-A項目を追加する毎に、Webページを手作業で更新するのは結構面倒です。決して生産性が高い作業とは言えません。

大ボリュームのQ-Aページであれば、システムを作って自動化ということも考えられます。
しかし、数百件項目のQ-Aページへの自動化投資はちょっと重すぎます。

ということで、今回は、Excelファイルに質問と回答の内容を整理・編集し、Excelファイルをアップすると自動的にWebページに変換する仕組を作成しました。

レイアウトは従来のQ-AページのCSSを使っていますので、見栄えは従来のページと一見同じですが、作り方は全く異なります。

この仕組は完全に汎用というわけではないですが、お客様用のページに合わせて比較的簡単にカスタマイズできるかと存じます。
関心のお持ちのお客様には、カスタマイズして専用のものを構築致しますのでお問い合わせください。

slideshareでスライドを公開しました:「エクセルファイルをアップロードしてHTMLを自動生成」

お問い合わせ先:cas-info@antenna.co.jp

FormatterClub 2017 ―冬― セミナーのご案内

12月8日開催の『AH Formatter』や XSL、CSS、XML 多言語組版について会員交流の場「FormatterClub」のセミナーにて、公開予定の CAS-UB V5 新機能を紹介します。

セミナーお申し込み:http://www.kokuchpro.com/event/AH_winter/

<<CAS-UB V5 すこしだけ紹介:新機能>>

━━━━━━━━━━━━━
●Web生成機能を強化●
━━━━━━━━━━━━━

■目次ページのレスポンシブ対応
——————————-
スマホ用では目次アイコンを作成して、目次アイコンタップによる目次表示ができるようになりました。

■出版物全体での全文検索
————————
1冊まるごとからの全文検索ができるようになりました。
html ファイル毎に検索する手間がなくなります。

■タイトルページ
————————
出版物の Web ページの表紙に代わるページとしてタイトルページを生成できるオプションを追加しました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●テキスト形式のエクスポート機能を追加●
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ブラウザ越しの長期時間編集もラクではありません。
V5 では、そうしたブラウザ上の編集記事をテキスト(UB テキスト)としてエクスポートし、外部テキストエディタで編集、再アップロードできるようにしました。

†UB テキスト†
出版物を構成する単位である記事について、全ての記事または一部の記事を一つに結合したテキストファイルのこと。
出版物の構成とツリー構造を表現でき、各記事の内部は、CAS 記法でマークアップすることができます。

┏━┓
┃★┃ FormatterClub 2017 ―冬― お申込み詳細
┗━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 開催日時: 2017年12月8日(金)14:00~18:30
 会  場: 中央区月島区民館
   東京都中央区月島二丁目8番11号
 詳細・お申込みURL: http://www.kokuchpro.com/event/AH_winter/

MathMLの未来を考える―(1)現状の整理

MathMLが今後どのように普及するか、未来を考えてみたい。このため、まずは、2017年11月時点での現状を整理してみる。

1. MathMLの作成
○数式エディタ
デザインサイエンス社のMathTypeは数式専用のエディタであり、編集した数式をMathMLで出力できる。MathTypeをWord、Pages、iBooksAuthorなどのワープロに組み込んで使える。

○WordのOOXMLから変換
Microsoft Wordはバイナリ文書(doc)形式の時代には、MathTypeの簡易版を組み込んでいた。Word文書形式がOffice Open XML(docx)形式になったWord 2007より独自開発の新しい数式エディタを内蔵している[1]。この新しい数式エディタで編集した数式は、OOMXL形式の文書中では独自の数式XML (Office Math Markup Language (OMML))で保存される[2]。このOMML形式の数式をWord内蔵のスタイルシートでMathMLに変換したり、Wordの編集画面から数式をコピーしてメモ帳にMathMLとして貼り付けることができる。

○TeXから変換
TeXマークアップをMathMLマークアップに変換するツールは様々なところからオープンソースとして提供されている。例えば、PagesとiBooks AuthorはLaTeXで数式を書くことができる。その場合は「blahtex」を使ってLaTeXで入力した数式をMathMLに変換している[3]

○直接記述
PagesとiBooks AuthorはMathMLを直接記述して数式を入力できる[4]

2. MathMLを使える主な配布形式の紹介
○XML文書
MathMLはXML形式のマークアップである。XMLではメインの文書の中に他の語彙によるマークアップを組み込む、名前空間という仕組が用意されている。名前空間を使えば任意のXML文書にMathMLを組み込むことができる。なお、以下に主なマークアップ語彙でのMathMLの採用例を挙げる。

○XHTML
XHTMLは、HTMLをXMLとして表現した語彙であり、上記の名前空間の機構をつかってMathMLを組み込むことができる。

○HTML5
HTML5は、MathMLの語彙をHTML5の要素と同様に扱ってHTML5文書中に記述できる(ネイティブサポートという)。こうして組み込まれたMathMLによる数式の解析は、XMLとして組み込まれたときの解析とは若干の相違が生じる。MathMLのバージョン3仕様も、HTML5に組み込むために改訂された(MathML3.0 Second Edition)。

XHTMLとHTMLでどのような点が異なるかはMathML 3.0仕様書に整理されている[5]

○EPUB3
EPUB3.1は、MathMLを本文中に組み込むことができる。但し、若干の制約が付いている[6]

○JATS
Journal Article Tag Suite (JATS) の正式版V1.1および安定ドラフト版V1.2d1は、いずれもMathMLを組み込める。数式の最上位は<mml:math>である。

○DITA
DITA 1.2まではDITAでMathMLを使おうとするとDITA 1.1で導入されたforeign要素を特殊化してMathMLを使えるようにする必要があった。DITA 1.3では数式とMathMLの二つのドメインが追加された。MathMLドメインを使えば特殊化する必要がなくなった[7]

○DAISY
DAISYコンソーシアムのMathML in DAISY Working GroupはDAISY3標準で数式をアクセシブルにするための仕様の策定を最優先課題としている[8]

3. MathMLのレンダリング
(1) 可視化(ビジュアルレンダリング)
○ブラウザネイティブ
FireFoxはMathMLをブラウザ自体の機能で可視化できる。但し、MathMLの要素や属性などを完全にサポートしている状態ではない。MathJax、KaTeX、MediaWIkiに対して、FireFoxのネイティブなMathMLレンダリングを強制するためのAdd-onも用意されている[9]

Safariは5.1からMathMLをサポートしている。それはボランティアによるWebKitの改善努力に依存するものであまり高精度とは言えなかった[10]。しかし、IgaliaによるWebKitの改善が続けられている[11]
Chrome、EdgeはMathMLをサポートしていない。
Microsoft DevelopperのページではMathMLサポートに関する投票が行われている[12]

○MathJaxによるサポート
MathJaxはMathMLをサポートしないブラウザの上で、MathMLを表示するJavaScriptプログラムである。MathJaxは多くの学会や団体が支援しており、最も成功したオープンソースの一つとして普及している。MathJaxの最新版は2.7(2017年8月リリース)である。

MathJaxは、現在、3.0を開発中である。3.0ではアーキテクチャが根本的に変更になることが告知されている[13]

○プラグイン数式レンダラ
デザインサイエンス社のMathPlayerは、当初は、IEのプラグインとして普及した。しかし、IE10以降ではMathPlayerをプラグインとして使うためのAPIが禁止になってしまった。

○XML組版ソフト
(2) 読み上げ(音声レンダリング)
○デザインサイエンス社のMathPlayerは、MathMLを音声で読むことができる[14]。MathPlayerは無料で配布されている。

4.MathMLの歴史
W3C 勧告の歴史はMathML勧告のバージョン史[15]にまとめられている。
1998年4月に MathML 1.0
2001年2月に MathML 2.0 (2003年10月 Second Edition)
2010年10月に MathML 3.0 (2014年4月 Second Edition) Second Editionでは、主にHTML5でMathMLを使うのに適合するようにXMLのパースに関する前提条件の変更の改訂がなされた。

5. まとめ
MathMLは、ドキュメントをXMLで記述するときに、数式を表現する技術として重要な存在である。必ずしも常に順風満帆という状態ではないが、徐々に普及していることが確かめられる。XML以外ではHTML5でもネイティブにサポートされている。但し、ブラウザのネイティブレンダリングに向けて足並みが揃っている状態ではない。MicrosoftのEdgeのプロジェクトでMathMLサポートへの投票が行われているが、投票者のコメントを見ると視覚障害者から熱烈な要望が多いようだ。

[1] Office2007の新しい数式エディタ
[2] 22.1 Math “ECMA-376-1:2016 Office Open XML File Formats — Fundamentals and Markup Language Reference” October 2016
[3] Pages および iBooks Author での LaTeX と MathML の対応について
[4] Pages で書類に方程式を追加するiBooks Author: LaTeX、MathML、または MathType で数式を追加する/編集する
[5] 6.4.3 Mixing MathML and HTML “Mathematical Markup Language (MathML) Version 3.0 2nd Edition”
[6] 2.5.1 Embedded MathML “EPUB Content Documents 3.1
Recommended Specification” 5 January 2017

[7] B.2.1 Changes from DITA 1.2 to DITA 1.3 “Darwin Information Typing Architecture (DITA) Version 1.3 Part 0: Overview”
[8] MathML
[9] Mozilla MathML StatusNative MathML
[10] WebKitの数式(MathML)でSafariはボランティアの努力を採用し、数式を表示できる。Chromeは同じものを不採用として批判を浴びる。
[11] Improvements in MathML Rendering
[12] How can we improve the Microsoft Edge developer experience? MathML
[13] MathJax V3開発は、根本的な方針変更となる
[14] MathPlayer Can Speak!
[15] MathML Recommendation Version History

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「MathML数式組版入門 Ver 1.1」

『瞬簡PDF作成8』プリントオンデマンド版マニュアルのお知らせ

来週27日より発売予定の『瞬簡PDF作成8』(ソフトウエアパッケージ)のプリントオンデマンド(POD)版マニュアルがアマゾンより発売になりました。楽天ブックス、hontoからも発売される予定です。

「瞬簡PDF 作成 8」の製品パッケージは、アプリケーションの「印刷」コマンドを使ってPDFファイルを出力できる仮想プリンタドライバ「Antenna House PDF Driver 7.5」、出力したPDFファイルを対象に分割/結合/セキュリティオプションの変更などを行うことができるユーティリティソフトウェア「瞬簡PDF 作成 8」を組み合わせたものです。
本マニュアルは、ユーティリティソフトウェア「瞬簡PDF 作成 8」の使い方について説明するものです。仮想プリンタドライバ「Antenna House PDF Driver 7.5」についての説明は含んでおりません。「Antenna House PDF Driver 7.5」につきましては、インストールフォルダのPDF版「Antenna House PDF Driver V7.5プリンター操作説明書」を参照していただく必要があります。

書誌情報
書名:「瞬簡PDF作成8ユーザーズマニュアル」
出版社: アンテナハウスCAS電子出版
発売日:2017年10月
著者:アンテナハウス株式会社
発行形式:プリントオンデマンド版
判型:B5 横組
ページ数:106
価格(税込):1,188円
ISBN:978-4-900552-58-6
販売ストア:アマゾンへPODへ、楽天ブックス、hontoからも発売予定です。

電子版はパッケージに同梱されています。

POD版の内容はソフトウェアパッケージに同梱されているPDFとほぼ同じです(相違点は後述)。ご承知のとおり、現在は、特に企業向けの出版物は電子版(PDF)の方が好まれます。ソフトウエアのマニュアルも昔は紙で提供していましたが、時代の流れと共に、電子版(PDF,Windowsのヘルプ形式)のみで提供するようになりました。しかし、やはり紙で欲しいという方もいらっしゃいます。そこで、こうした要望にお答えするには、必要とする方にプリントオンデマンドで販売するのが一番良いのではないかと考えて、昨年来、POD版のマニュアルの販売を試行してきました。本マニュアルはその一環で用意しております。

パッケージ同梱版とPOD版の相違点

パッケージ同梱版は判型A4に対してPOD版の判型はB5版、POD版ではページ数を少なくするため空白をできるだけ少なくするなどのレイアウト変更を行っています。また、サポート連絡先などのユーザーのみ向けの情報はPOD版からは削除されています。

『瞬簡PDF作成8』製品紹介ページへ

『瞬簡PDF編集7』プリントオンデマンド版マニュアルのお知らせ

来週27日より発売予定の『瞬簡PDF編集7』(ソフトウエアパッケージ)のプリントオンデマンド(POD)版マニュアルのお知らせです。

「瞬簡PDF編集」はグラフィカルな分かりやすい操作でPDFのページの入れ替えができ、また複数のPDFを対象にページ結合などのページ編集が簡単にできるのが特徴です。「瞬簡PDF 編集 7」ではさらにPDF本文のテキストを直接編集したり、画像のサイズ変更や移動・削除したりなど、PDF内容の編集ができるようになりました。また、PDFへの注釈の記入、注釈への返信、注釈一覧の作成などができます。

書誌情報
書名:「瞬簡PDF編集7ユーザーズマニュアル」
出版社: アンテナハウスCAS電子出版
発売日:2017年10月
著者:アンテナハウス株式会社
発行形式:プリントオンデマンド版
判型:B5 横組
ページ数:108
価格(税込):1,200円
ISBN:978-4-900552-56-2
販売ストア:アマゾンへPODへ、楽天ブックス、hontoからも発売予定です。

電子版はパッケージに同梱されています。

POD版の内容はソフトウェアパッケージに同梱されているPDFとほぼ同じです(相違点は後述)。ご承知のとおり、現在は、特に企業向けの出版物は電子版(PDF)の方が好まれます。ソフトウエアのマニュアルも昔は紙で提供していましたが、時代の流れと共に、電子版(PDF,Windowsのヘルプ形式)のみで提供するようになりました。しかし、やはり紙で欲しいという方もいらっしゃいます。そこで、こうした要望にお答えするには、必要とする方にプリントオンデマンドで販売するのが一番良いのではないかと考えて、昨年来、POD版のマニュアルの販売を試行してきました。本マニュアルはその一環で用意しております。

パッケージ同梱版とPOD版の相違点

パッケージ同梱版は判型A4に対してPOD版の判型はB5版、POD版ではページ数を少なくするため空白をできるだけ少なくするなどのレイアウト変更を行っています。また、サポート連絡先などのユーザーのみ向けの情報はPOD版からは削除されています。

『瞬簡PDF編集7』製品紹介ページへ