CAS-UBで、『瞬簡PDF 書けまっせ7』のマニュアル製作、PDFの行数・文字数設定「一行文字数を増やすとページ数が増えることがある」に驚く

『瞬簡PDF 書けまっせ7』は、先日(9月15日)に7.2となりました。7.2は任意のPDFにフォームフィールドを設定する機能が追加されています。

『瞬簡PDF 書けまっせ7』のWebページ
『瞬簡PDF 書けまっせ 7』 改訂情報・アップデート

『瞬簡PDF 書けまっせ7』は昨年10月リリースで、単品パッケージの他、『瞬簡PDF 統合版9』にも同梱されています。どちらでお求めいただいた方でもアップデート版をインストールすれば最新版にしていただけますので、ぜひアップデートしてみてください。

さて、これに伴い、『瞬簡PDF 書けまっせ7』のマニュアルも全面的に刷新しました。『瞬簡PDF 書けまっせ7』のマニュアルは、製品のCDまたはダウンロードパッケージにPDF、およびWindowsのCHMヘルプの形式で同梱されています。このPDF版、CHM版は、CAS-UBで編集し、CAS-UBの生成機能によって作成しています。


『瞬簡PDF 書けまっせ7』同梱のPDF版マニュアル:A4サイズ、49文字/行、45行/ページ、本文10ポイント、行送り16.5ポイント、196ページ。

同じ内容はCHM形式として作成し、アプリケ-ションのヘルプメニューに組み込んでいます。


『瞬簡PDF 書けまっせ7』のヘルプを表示。

さらに、次のステップとして、同じ内容をWebページとして出力して、製品のページにも公開しています(但し、サポートの連絡先などは除外)。Webページ版のヘルプはこちらです。

Webマニュアル(『瞬簡PDF 書けまっせ7』のWebページ)

さて次のステップとして、マニュアルをプリントオンデマンド(POD)版として有償で販売します。『瞬簡PDF 書けまっせ7』のマニュアルは従来も、アマゾンなどからPODで販売しており、POD版の中では売れ筋でした。これまでの版はB5版135ページで税込み1,600円。今回は内容を大幅に改めたため従来と同じ版面では200ページを超えてしまいそうです。しかし、できるだけ価格は前回と同じにしたいと考えました。そのためにはページ数を減らさねばなりません。

そこでページ数を圧縮するため次のように設定をしました。
・文字サイズを9.5ポイントに変更(従来は10.5ポイント)、行送りは16.3ポイント
・画像の大きさを小さくする。版面に対する幅を(版面に対して60%などに)指定して縮小
・章のタイトルを扉(製品添付版)から改ページの先頭行(POD版)に変更
・節の終りで改ページ(製品添付版)から、成り行き(POD版)に変更
・一ページの行数:38行
・一行の文字数:41文字

このように指定した結果、B5で172ページにまでページ数を少なくできました。

それで、一行の文字数を42文字に増やせばもっとページ数が減らせるのではないかと次のように変更しました。

一行に入る文字数を増やすと、その結果、同じ分量のテキストなら少ない行数で配置できます。すると全体の行数は減って、最終的にページ数が減るだろうと期待したのです。

そうしましたら、なんとページ数が174ページとなり2ページ増えてしまいました。 なんでだろう?

調べてみますと、次の図のように、図版のあるページで42文字/行のときは図が大きくなっているようです。

これは、一行の文字数を増やすと版面の幅が1文字分広がり、図の幅を版面の幅に対する比率で指定しているため、図の幅が広くなります。そうしますと、図の高さがその分高くなるためなんですね。

文字数を増やすと一ページに入るテキストが増えるのは確かですが、図が大きくなるため、ページ数が増えるとは予想外でした。

『DITAのすすめ【第3版】 』Kindle版 発売になりました

『DITAのすすめ』は、DITA(Darwin Information Typing Architecture)を導入することによってどんな成果が見込めるかをできる限り簡単に、技術的な説明をなくしてまとめた資料です。

新しいエピソードを追加して、資料を改訂し、第三版としました。

書誌情報
書名:「DITAのすすめ」【第3版】
出版社: アンテナハウスCAS電子出版
発売日:2017年8月
著者:アンテナハウス株式会社
発行形式:プリントオンデマンド版 アマゾンPOD版へ
発行形式:電子版アマゾンKDP(アマゾンへ)
価格(税込):810円
ISBN:978-4-900552-53-1

「投資信託による資産運用のイロハ: 毎月分配型を中心に」(Kindle版を発売しました)

技術書とは違う系統の本ですが、本日、「投資信託による資産運用のイロハ: 毎月分配型を中心に」のKindle版をリリースしました。

書誌情報
書名:「投資信託による資産運用のイロハ」初版
出版社: アンテナハウスCAS電子出版
発売日:2017年7月
著者:小林 徳滋
発行形式:プリントオンデマンド版 なし
発行形式:電子版アマゾンKDP(アマゾンへ)
価格(税込):250円
ISBN:978-4-900552-51-7

ボリュームは紙の本にして30ページ弱ということで少ないため、まだ、POD版は出していません。(POD版はページ数がもう少し多くないと割高感がぬぐえません。)

本当は、もう少し応用的な内容の原稿を用意したのですが、いろいろ検討事項が残っているため、過激な部分は削除してまずは基本のみとしています。

最近、毎月分配型の投資信託には批判が強まっています。特に金融庁長官が講演で毎月分配型を批判したとか。

毎月分配型投信、初の資金流出 金融庁批判受け上期

このためか、毎月の分配金を減らすファンドが相次いでいます。

確かに元本を切り崩して配当しているという印象の強いものも多く、長期投資という観点から見ますとそれはあまり望ましくありません。元本を切り崩して配当するのみであれば、永続性がないため、長期投資はそもそも成り立ちません。

毎月の分配金を減らすことで適正化となればそれはそれで歓迎すべきこととは思いますが。

アンテナハウスのWebサイトが全面的にレスポンシブになりました

アンテナハウスのWebサイト(https://www.antenna.co.jp/)は、7月10日より全面的にレスポンシブ化してモバイルでも読み易いようになりました。

例えば、「PDF資料室」は、従来はモバイルでは次のように表示されていました。

これでは、狭いモバイル画面で表示するとき、左のナビゲーションメニューのため本文の表示幅がさらに狭くなってしまって大変読みにくい状態です。そこで、新たにモバイルで次のように表示されるようにレイアウトを追加したものです。

CSSとメニュー表示用のJavaScriptの機能を追加して、画面幅が狭いときはモバイル用のレイアウトで表示するようにしたものです。PCファーストのレスポンシブデザインと言えるかもしれません。

アンテナハウスのWebサイトは、2011年に全面的にリニューアルしたものです。当時はモバイルWebはまだマイナーな存在でしたので、WebページはPCの画面を想定してデザインされています。

その後、スマホの隆盛により、Webサイトのデザインの流行もだいぶ変っています。デザインの流行はともかく、PC向けのデザインのままではスマホの画面ではとても読みにくいものとなってしまいます。そこで、とりあえず、レスポンシブデザインの考え方を取り入れて、スマホでもできるだけ読み易いようにすることにしました。

レスポンシブデザインは、表示する画面の幅に応じてレイアウトを最適化するものです。具体的にはCSSのメディアクエリーの機能を使って画面幅に応じたCSSデザインを適用するものと考えます[1]。市販されているレスポンシブデザインの本を読みますと、デザインパターンなどが紹介されており、それらはほとんど、Webをデザインし直して、ゼロから作り直すことを想定しています。考え方としてはモバイルファーストが良いとされているようです。

しかし、アンテナハウスの現在のWebサイトのように(会社の規模にしては)膨大な情報量を用意しているページを、モバイルファーストでゼロから作り直す、というのは無理があります。不可能とまでは言いませんが、工数が大きくなりすぎてとても短時間では実行できません。そこで、今回はPCのときは従来のデザインはそのままとし、狭い画面でのみ新しいデザインとするという、一般の本に書かれているのとは逆の方法でレスポンシブ化してみました。

これにより、ほとんどのWebページでCSSとJavaScriptを入れ替えるだけでレスポンシブ化ができています。

[1]幾つかの本をチェックしてみますと、この考え方は、少し単純化しすぎかもしれません。デザイナーの理想とすることは分からないでもないですが、膨大な(?)Webページをゼロから作り直しは無理があると思います。

FormatterClubセミナーでの、CAS-UBのスライドと動画を公開しました。

7月7日七夕の日のFormatterClubセミナーは、40数名のご参加いただき、大変盛況でした。大変暑い日でしたが、お集まりいただきました皆様に感謝申し上げます。

早速ですが、セミナーのCAS-UBプレゼン資料を下記に公開いたしました。参考にしていただければと存じます。

1. CAS-UBのスライド
「デジタル出版物制作Webサービス「CAS-UB」 ワンソースマルチユースのポイント AH FormatterによるPDF作成を中心に(スライドシェア)

2. 動画
CAS-UB操作の流れ(MP4形式動画)(CAS-UB Webページにて)

本はWeb化するか その3 J-STAGEの新バージョン評価版をみて考えたこと

6月2日開催された「学術情報の流通を考える-ORCIDとJ-STAGE新バージョン評価版をめぐって-」セミナーに参加しました[1]

ORCIDの話も面白かったのですが、小倉 辰徳氏によるJ-STAGEの新バージョンの紹介が、いま考え中の課題「本はWeb化するか」の観点から大変参考になりました。セミナーのスライドはこちらです[2]

J-STAGEは、「見やすく,使いやすいジャーナルサイト構築のため,海外のジャーナルプラットフォームを参考にしつつ,デザインを一新する.」(スライド[2]p5より)として開発中です。機械学会、薬学会より3誌をモデル誌として選択して、1年ほど前からベータ版の運用試験を行っており、2017年度中に全雑誌に適用する予定とのことです。

画面の説明など、詳しくはスライドで紹介されていますのでご参照ください。

早速、J-STAGEの評価版Webページを見ました。機械学会の「Mechanical Engineering Letters」は全文HTMLではなく、PDFダウンロードです。それに対して薬学会の「Chemical and Pharmaceutical Bulletin」「Biological and Pharmaceutical Bulletin」は全文HTMLを見ることができます。

例えば、Chemical and Pharmaceutical Bulletin[3]は、画面切り替えタブで、ジャーナルのホームページ、発行前の原稿が確定した版(Advance online publication)、各号(Journal issue)、主要論文(Featured articles)、ジャーナルについて(About the journal)に切り替わります。そして各論文の内容はPDFダウンロードに加えて全文HTMLを見ることができます。

ちなみに、Palladium(0)-Catalyzed Benzylic C(sp3)–H Functionalization for the Concise Synthesis of Heterocycles and Its Applications(Volume 65 (2017) Issue 5 Pages 409-425)の全文HTMLのWebページを見てみます[4]

Webページ全体のデザインは次のようになっています。

このHTMLページは、Window幅を狭くすると2段階のブレークポイントで表示が切り替わります。第1段階ではジャーナル上位のダウンロードメニューが右からジャーナル概要の下に切り替わります。第2段階でArticle overviewのメニューがボタンに縮退します。スマホで見ると次のようになります。

こうしてみますと、まさに現代風のレスポンシブデザインになっています。

そこで、気になるのが、このWebページがどのように作られているかです。ソースファイルを見ますと、Webページは次のような構成になっています。

HTML5で1953行であり、3行目~35行目がhead要素。9個の外部CSSをリンクしています。
36行目~1952行がbodyで、bodyの最後部1378行目~1952行にJavaScriptがあります。かなり直書きされており、全体の行の29%がJavaScriptです。

bodyは次のように分かれています。
・header要素:39~148行
・ジャーナル専用部
・footer要素:1311~1362行目
・フィードバックボタンなど1363~1377行目

header、footerはJ-STAGEシステム全体のメニューなどがあり、ジャーナル専用の部分は149行目~1310行目です。

ジャーナル専用部は次のように分かれています。
・ジャーナル紹介:151~163行目
・画面切り替えのタブ:166~180行目
・パンクズリスト:180~194行目
・記事毎のタイトルと概要・右メニュー:195~306行目
・ジャーナル記事本文:309~1304行目

全体としては記事本文が半分でそれ以外がタイトルやナビゲーションメニュー部となります。

こうしてみますと、Webページは、コンテンツが半分でそれ以外がリンクやナビゲーションのHTMLとCSSとJavaScriptから構成されている、一種のプログラムとデータの集合体と言えます。

Web誕生の頃は、HTMLだけで書いていたのですが、その後HTMLとCSSが分離し、現在のWebページは、HTML+CSS+JavaScriptとなっていますが、このJ-STAGEページはその典型例です。

こうしたWebページはもはや人手でHTMLをコーディングするものではなくなり、CMSに登録したデータからCMSの機能を使って生成しているはずです。そういう意味でCMSに完全依存となっています。

出版物のコンテンツがプログラムと組み合わさってWeb上のアプリケーション化しています。学術情報誌のページとなりますと、こうしたページが何万、何百万個と作られます。そこで、私として一番気になるのは保守コストです。保守は3つに分かれます。

(1)まず、障害対応です。Webページに直書きされているJavaScriptページは一番問題で、ここにバグがあるとWebページそのものを作り直しとなります。

(2)次は改良です。CSSとJavaScriptが膨大になっていますので、これらを改良したとき今までのWebページに問題が起きないかどうか? 

(3)次に抜本的な作り直しです。今回のJ-STAGEのユーザーインターフェイスの作り直しは2015年から開始しているとのことですので、既に2年掛かっています。これを2017年度内に全雑誌に適用するということですが、膨大な費用が掛かっているのは間違いありません。

WebのコンテンツをHTMLで作り、CSSでレイアウトし、JavaScriptでインターフェイスを操作する、という流れ。さらにスマホの登場でレスポンシブにするという流れが加わり、Webページのメンテナンスコストがどんどん大きくなっていく傾向にあるように感じます。

ここでもう一度、コンテンツとアプリケーションを分離したEPUB3の良さを見直してみる必要がありそうです。特に、学術論文のようにタイトル数が膨大なものをWebにするとき、プログラムを組み込んでアプリケーション化すると、将来の保守コストが大きな問題になるのは間違いないところです。

[1] XSPAセミナー「学術情報の流通を考える-ORCIDとJ-STAGE新バージョン評価版をめぐって-」のご案内
[2] J-STAGEの評価版について(スライドシェア)
[3] Chemical and Pharmaceutical Bulletin
[4] Palladium(0)-Catalyzed Benzylic C(sp3)–H Functionalization for the Concise Synthesis of Heterocycles and Its Applications(Volume 65 (2017) Issue 5 Pages 409-425)

参考
ワンソースマルチユースで拓く、ブック型Webページの未来 (ブログ記事2回分を整理したHTMLページ)

本はWeb化するか? (続き)Webアプリケーション化したオンライン版の本 vs シンプルなHTML+CSSの本

先日、姉妹ブログサイトに「本はWeb化するか? PDFとブック型WebページとEPUBを考える」で、本の中には技術や考え方の啓蒙・普及を目指すタイプがあり、こうしたタイプの本はWebページで提供すると大変便利と述べました。CAS-UBの次バージョンでは、本のWebページ版生成機能をより強化したいと考えています。今日は前回のブログの続きとして本のWeb化について考えてみます。

購読モデルのオンライン本
一冊の本の内容を全部そのままWebページとして提供する例を幾つか示します。まだあまり一般的ではないようですが、探せばもっとたくさん見つかるでしょう。

米国のO’Reilly MediaのSafari Books Onlineは2001年創業で、2014年にO’Reilly Mediaの傘下にはいりました。Webページとして提供する本の草分けといえるでしょう[1]

『Chicago Manual of Style』は100年以上の歴史をもつ、編集者のための制作ガイドです。最新は2010年発行の16版です。15版と16版はオンライン化されています[1]

それから同じ版元の『Science Style and Format』[3]も全文がオンラインで提供されています。

こうしたオンライン本は無料公開ではなく、購読制のビジネスモデルを取っています。ここで紹介したような本を作るのは非常に大きな時間と労力がかかりますし、内容をアップデートする作業も大変です。購読制にしないと維持できないということはよく理解できます。

無料モデルのオンライン本
一方、Webページ版を無償で公開している本もあります。『Web Style Guide』は、プリント版は第4版ですが、第3版以前は全文がWebページとして無料で公開されています[5]。第4版も作業中ということですので、いずれは全文がWebページとして公開されるのでしょう。

第4版を紙で出版したのは、2016年夏です。まだ作業中って随分のんびりですね。CAS-UBを使えば紙版と当時に(ボタンを押すだけで)Webページ版もできるのですが。それとも全文公開すると紙が売れなくなるので、わざとのんびりしているんでしょうか? 

本のWebアプリケーション化
購読制・有償・無償というビジネスモデルとは別の側面として、本のWebアプリケーション化という観点があります。

現在のWebプラットフォームは、JavScriptを使って対話的な操作を付けるのが流行です。「2012年8月時点で、上位100万件のWebサイトのほぼ半数でjQueryが使われているとの推計があります」[6]とのことですから、現時点では恐らく上位Webページの大多数にjQueryが組み込まれていると思われます。これによりメニューのプルダウンやアコーディオン表示などを行います。特にレスポンシブなWebページをモバイルで表示するときはメニューを畳んでおいてタップで開くという対話的表示が有効です。

オンライン版の本については、特に目次のアコーディオン表示が典型的な応用です。大きな本では、章と節の2段階目次でも100項目を超えることもありますから[7]、アコーディオン表示が便利です。但し、階層が深いと操作の繰り返し回数が多くなりますので注意が必要です。

さらに、『Chicago Manual of Style』と『Science Style and Format』のオンライン版(CMSO・SSFO)は、コメントの記入やしおり設定ができるようになっています。

ナビゲーション機能・目次機能も含め、全体としてみますと、CMSO・SSFOは、それ自体が、EPUBリーダーやKindleなどの電子書籍アプリ並の機能をもっています。CMSO・SSFOのWebページはホスト型Webアプリケーションになっているとも言えます。

シンプルなHTML+CSSによるオンライン本
一方で『Web Style Guide』のオンライン版は、HTML+CSSで作られた静的なWebページです。また、本ではないですが、米国で2008年から続いているXMLカンファレンスである「Balisage」の講演録のシリーズは、HTML+CSSのみで記述されたトラディショナルかつ静的なWebページです。こうした静的なWebページは現時点では非常にレガシーな印象を受けます。

未来の本
本のWebページ化は、ここで紹介したようなガイドブックなどの実用的なものが先行しながら、今後着実に進んでいくことでしょう。

では、本をWebページとして作るとき、jQueryを初めとするJavaScriptを多用することについてどういう方針とするべきでしょうか? これは大きな問題です。本をWebアプリケーション的に作ろうとすれば、必然的に制作コストは大きくなります。もっと大きな問題はメンテナンスコストです。何百点、何千点もの本をアプリケーション的にしてしまうと、そのメンテナンスコストが膨大になることは避けられないでしょう。

JavaScriptがWebサイトで多用されるようになってから経過した年月と、その間の変化の激しさを見ますと、本のような多品種ジャンルでアプリケーション化を推進するのは躊躇したくなります。一方で、現在のWebプラットフォームは、HTML+CSS+JavaScriptが基本となり、ますますリッチな表現と便利な機能を備える方向に向かっています。そうしますとレガシーなWebページとして表現された本には魅力がなくなる可能性があります。

このあたりは思案しどころです。

[1] Safari Books Online
[2] Chicago Manual of Style Online
[3] Science Style and Format Online
[5] Web Style Guide
[6]『モダンWeb』(Peter Gasston著・牧野聡訳、オライリー・ジャパン、2014年発行)
[7] 例えば、『PDFインフラストラクチャ解説』は章・節を目次に掲載しており、目次項目は延べ122です。
[8] BalisageのProceedingsページ

■関連記事
「ワンソースマルチユースで拓く、ブック型Webページの未来」(2回のブログをまとめて整理し直しました)

【お詫びと訂正】
最初に公開した文章に下記の記述がありましたが間違いでした。訂正致します。
「米国の大学で使われる研究レポートの書き方についてのガイドとして有名な『AMA Manual of Style』も全文オンライン化しています[4]

[4] AMA Manual of Style
正しくは、
「米国の大学で使われる研究レポートの書き方についてのガイドとして有名なのは、『MLA Handbook』(Modern Language Association刊行)です。こちらは、紙版の他にKindle、Apple、等で電子版を販売していますが、Web版はありません。」

申し訳ございません。

Microsoft EdgeのEPUB表示機能はなかなか良い。これからはEdgeだと言いたいところですが、しかし、残念な点もあります。

4月11日にリリースされたWindows 10のアップデート(バージョン1703)でEdgeのEPUBリーダーが一般に使えるようになったとのことですので、早速、Windows 10をアップデートしてEdgeを使ってみました。

EPUB3のサンプルとしては、先日発売しました『XSL-FOの基礎 第2版』を使いました。こちらで公開していますので、ぜひ、ご一読ください。

「XSL-FO の基礎 XML を組版するためのレイアウト仕様」第2版【新発売】

Webに公開してEPUBをWebページと同じようにリンクで開けます。

図1 EdgeでEPUBをWebと同じように開く

まず、Edgeでは、Windowの幅により2段組と1段組で表示されます。表示Windowの幅が広いと2段組で、表示Windowの幅を狭くすると1段組となります。

図2 2段組みの表示

図3 1段組みの表示

ページの下部に柱が出ています。左が本のタイトル、右が章または節の見出しです。これはなかなか良いです。

Windowの上部をタップするとメニューが表示されます。

図4 メニューを表示

メニューは左側に「ナビゲーション目次」「ブックマーク(一覧)」「検索」、右側に「文字など表示設定」「音声読み上げ」「ブックマーク追加」です。次の画面はナビゲーション目次を表示したところです。

図5 ナビゲーション目次を表示

音声読み上げはなかなか秀逸です。EPUBには音声同期を設定していないのに、読み上げている文節をハイライト表示します。もうメディアオーバレイによる設定は要らなくなります。

図6 音声読み上げ(ハイライト表示)

このEPUBは、章毎にファイルを分けていますので、新しい章の開始位置で改ページまたは改段します。それは普通です。

図7 章の開始で改段

さらに、節の見出しと次の本文や見出しが同じ段に入らないとき、泣き別れしないように節の前で改段できます[2]

図8 節の前で改段

表のテキストだけをポップアップして表示できます。

図9 表のテキストをポップアップで表示

画像は幅または高さに合わせて縮小します。ラスターイメージ(このサンプルではPNG)を縮小すると少し汚くなりますが、図だけ拡大表示もできますので問題はないでしょう。なお、図をSVG形式としたEPUB3版も試して見ました(PDF作成用の図をそのまま使ったもの)。SVGも問題なく表示できるようです。いままで、EPUBを作るときはラスターイメージにしていたのですが、これからは公開するEPUBはSVG画像でも良いかもしれません[1]

気になりましたのは整形済み(pre)のレイアウトです。Edgeではpre要素の前で改ページまたは改段します。これは必要ありません。そしてpreの中では改ページ/改段しません。このためpreの部分が見切れてしまいます。技術系の文書では多くの場合、preの内容はサンプルのコードなのでpreの内容を1段に収める必要はないのです。特に、見切れてしまうのは致命的です。評価用ではなく正式なEPUB3ではpreは使えないということになってしまいます。困りましたね。

図10 preの前で改段してしまう。preの内容が見切れてしまう

[1] 『XSL-FOの基礎』画像制作のこと。Word経由でインポートした画像は印刷品質の劣化が激しいため、第2版ではできるだけSVG形式に変更した件。
[2] ちなみにiBooksでは次のように見出しと本文が泣き別れしてしまいます(iBooks 4.1.1)。

■関連
『XSL-FOの基礎 第2版』は全文をWebでも公開。CAS-UBでプリントオンデマンド用PDFを作り、Web生成機能でWebページもワンタッチで完成。

英語、ラテン語の辞書にみる「ページ」の語源、使用例

『オックスフォード英単語由来大辞典』[1]には「ページ」という言葉の由来が次のように説明されています。

・pageは16世紀後半から
・pages of a book「本のページ」の意味のページは、ラテン語のpãginaから派生したフランス語による。pãginaの元になっているのは、pangere(留める)である。
・pagination「ページつけ」「ページ数」はpaginate(本にページつけをする)という行為の名詞形として19世紀半ばに現われた。ラテン語pãginaから派生したフランス語paginerによる。

ということですので、英語のpageという言葉の歴史は比較的新しいようです。『紙二千年の歴史』[2]によると紙がイギリスに伝わったのは1494年(同書p.61)とあり、『紙の世界史』[3]では、イギリスの初めての印刷業者はウィリアム・キャクストンが1476年にウエストミンスターに開いた印刷工房、初めての製紙工場は1495年とあります(同書p.254)。

そうしますと、15世紀後半に紙と印刷がイギリスに伝わってから英語のpageという言葉が生まれるまで100年ほど掛かっていることになります。紙や印刷はヨーロッパからイギリスに伝わったものですので、「ページ」がラテン語からフランス語へ、そして英語へと伝わったのはわかります。

『古典ラテン語辞典』[4]では、pãginaの意味は次のようになっています。

1.紙(パピルス)の1枚、1頁
2.頁の内容、書きもの、文書、誌、作品

古典ラテン語ではパピルスの髄を並べて紙を作ったことから留めるという言葉からページという言葉が派生したようです。

『新編 英和活用大辞典』[5]には、英語のpageの用例が大量に出ています。ページという言葉は、単に紙の1ぺージという意味だけではなく、歴史の1ぺージというような、比喩的な意味にも使われています。本書は1995年発行ですので、当然、インターネットのWebページに関連する使い方は一つも出てきません。

『三省堂 英語イディオム・句動詞大辞典』[6]では、pageの使い方として、

・page up/page downとして「コンピュータで次/前のページを出す」

とあります。2011年ですので、もうインターネットがかなり普及している時代ですが、まだ、1画面を1ページと見立てた説明になっています。

でも、この説明は英語の元の意味(使い方)と違うような気もします。つまり英語のpage upは縦につながっている巻物全体を1ぺージとして、巻物を上にスクロールする意味なのに、page upを次の「ページを出す」としてしまうと、いかにもページが区切られているように受け取られてしまいませんか?

現在、ページというとWebページという意味で使うことが増えていますが、英語の(紙の)辞書でWebページを説明しているものをまだ見かけていません(Webの辞書における説明は初回のブログにあります。)。次回、図書館で探してみましょう。

[1]『オックスフォード英単語由来大辞典』(グリニス・チャントレル編、株式会社柊風舎、2015年12月25日発行)
[2]『紙二千年の歴史』(ニコラス・A・バスベインズ著、原書房、2016年5月30日発行)
[3]『紙の世界史』(マーク・カーランスキー著、川副 智子訳、徳間書店、2016年11月発行)
[4]『古典ラテン語辞典 改訂増補版』(國原 吉之助著、大学書院、2016年12月30日発行)
[5]『新編 英和活用大辞典』(市川 繁治郎他編、研究社、1995年発行)
[6]『三省堂 英語イディオム・句動詞大辞典』(安藤 貞雄編集、三省堂、2011年7月10日発行)

★ページに関連する過去ブログ記事の一覧
[1] ページってどういう意味? 紙のページ、Webページ (memo)
[2] ページってどういう意味? 続編 Kindleの紙の本の長さと、KENPについて
[3] Kindle Unlimited問題とKENPの関係について(続き)
[4] Amazonでは本のページの数え方が三つある。Kindle Unlimitedは第三のKENPで著者への支払いが行われ、KENP相場が基準になる。
[5] ページっていったい、どういう意味なんだろう? ――Webページ
[6] ページって何? 「ページ」と本のかたちとの関係、「ページ」と「頁」の関係、ブラウザと電子書籍の未来

★「ページ」についてまとめたWebページ
本のかたちを考える ― その2ページって何?「ページ」と本のかたちとの関係

CAS記法によるWebページの作成:Webページ内の参考資料へのID設定と、本文から内部リンクを設定する方法

CAS-UBで次のようなWebのリンクを設定する方法を紹介します。

(1) Webページの末尾に参考資料のリストを作る。
(2) Webページの本文から、参考資料へのページ内リンクを設定する。

出来上がったWebページはこんな感じです。


図1 リンク元


図2 リンク先

HTMLで、このようなページ内部のリンクを作るには、リンク先の要素にid=id値を設定し、リンク元のアンカータグ(aタグ)のhref属性に#id値を設定します。

CAS記法では次のようにします。リンク先の要素にはユーザー独自idのマークアップを使います[1]。CAS-UBでユーザー独自のidを付けるには、二つの方法があります。難しい方法と簡単な方法があります。利用ガイドでは難しい方法のみを詳しく解説しています。(難しい方法には、自動化処理のための用途があるのですが)ここでは単にリンクを設定するだけの簡単な方法をご紹介します。

次のようにすれば良いです。

1.リンク先に:id=id値 という属性名と属性値を設定する
2.リンク元に[[#id値|アンカーテキスト]] というマークアップをする。

上の例では次のようになります。

1.リンク先
CAS記法のマークアップ:
*::nolabel:id=s1 [1] [[http://stackoverflow.com/questions/42618628/how-to-convert-office-file-to-image/43161134|How to convert office file to image]]
HTMLでは右のようになります:
<ul class=”nolabel”><li id=”s1″>[1] <a href=”http://stackoverflow.com/questions/42618628/how-to-convert-office-file-to-image/43161134″ >How to convert office file to image</li>

2.リンク元
CAS記法のマークアップ:
StackOverflow の質問(英語)[[#s1|[1~]]]より引用
HTMLでは右のようになります:
StackOverflow の質問(英語)<a href=”#s1″ >[1]より引用

::nolabelはリンクとは関係なく、CSSで箇条書きのラベルを付けないようにするためのクラス属性の設定です。
:id=s1 が箇条書きの項目(li)のid属性になります。

参考資料
[1] CAS-UBでは見出しや図・表のキャプションには自動的にidを設定します。ユーザーがCAS記法で設定するidについては、自動設定のidと区別するためにユーザー独自idという表現をしています。これは、HTMLでは通常のid属性にあたります。
[2]第9章 CAS記法の属性マークアップリファレンス
[3] ここでCAS-UBで作ったHTMLを埋め込んだWebのページ: Microsoft Office(マイクロソフト オフィス)のファイルを、プログラム開発者が自力でPDFや画像に変換するには、どうしたら良い?