縦組み書籍における縦中横の使い方(調査報告)


これまで縦組み書籍の英数字、記号類の方向について調べて本ブログで紹介してきました。前月末から、少し焦点を移して、主に縦中横の使い方を中心に調べています。

縦中横とは、縦組みの行幅に2文字ないし数文字を横組みで収める方式です。最も多いのはアラビア数字2桁の組み合わせです。伝統的な書籍では数字はほとんど漢数字でしたが、最近の縦組みの書籍では、数値や年号に原則として漢数字を使う場合でも、各種の番号にはアラビア数字を使うことが多いので、縦中横の頻度が非常に多くなっています。

いままでに調べた書籍は13冊で総ページ数は3000ページ強になります。中間報告として、いままでにわかったことを簡単に整理してみます。13冊の中で、数字を原則として漢数字としている書籍が9冊、原則アラビア数字が4冊です。すべての書籍が縦中横を使用しており、縦中横が出現しない本はありませんでした。

1.2桁のアラビア数字はほとんどすべて縦中横になります。但し次の例外があります。

(1)数値の小数部は1文字ずつ正立します。たとえば、1ドル=76.25円を縦組みにするとき、「76」は縦中横ですが、「25」は1文字ずつ正立です。数値の少数部が2桁の例は2冊ありましたが、いずれも、1文字ずつ正立させています。この場合、縦中横の整数部は数値の位取り表記といえます。縦中横は数値の位取り表記と解釈できるのでしょうか?なお縦組みでは、「.」は「・」になります。

(2)日付で3.11を縦組みにするとき、「11」を縦中横にしているケースが(1冊)ありました。ところが、2.26事件の26を1文字ずつ正立しているケースも(1冊)あります。おそらく11を「ジュウイチ」と読むときは縦中横、2.26を「ニイテンニイロク」と読むとき1文字ずつ正立と予想しますが、この両方とも各1冊なので、もう少しケースを増やさないとはっきりしたことは言えないでしょう。

2.本文中では、一般には3桁のアラビア数字は1文字ずつ正立です。3桁のアラビア数字を縦中横としている書籍は1冊のみです。なお、目次のページ番号は3桁のアラビア数字も常に縦中横です。

3.数字を原則漢数字としている書籍でも、アラビア数字は珍しくありません。次のような使い方があります。
・章番号、節番号とその参照
・箇条書き項目番号、文中の項目番号、およびその番号参照
・図番号、表番号の参照
・商品名、製品名などの固有名詞(艦艇名、飛行機型名など)
・フォントサイズなど(フォントサイズは漢数字の書籍も多く不統一です)
・ほかの書籍、新聞などのテキスト引用
・慣用句(A4など)
以上のケースで2桁のアラビア数字が使われる場合もすべて縦中横です。

4.括弧類や記号とアラビア数字の組み合わせ
(1)()付のアラビア数字は()を数字の上下に配置するケースが主流です。但し、()を含めて縦中横にしているケースがあります。これはU+2474(⑴)~を使っているのではないかと思います。
(2)記号とアラビア数字の2文字以上の組み合わせを縦中横にした例は少ないですが、「1′を○囲み」(合成文字)、「’04年から」(3文字)が見つかりました。

5.ラテンアルファベットは2文字が連続しても縦中横にするケースは少ないようです。
(1)大文字2文字が連続するとき、1文字ずつ正立が原則です。大文字2文字を組み合わせた縦中横は、今のところ下記の「VS」のみです。
(2)ラテンアルファベット小文字同士の組み合わせは頻度が少ないですが、次のような例があります。
・(bb) ―()は文字の上下、箇条書きの項目番号として使用。
・VS、v.s.、vs、vs. ― 「vs」は異色です。4冊の書籍で4パターンあり、うち2つは「.」と組み合わせですが、すべて縦中横になっています。
・or、if ― orの縦中横がありました。「歴史にifはない」が2つの書籍に出てきましたが、1冊は横倒し、1冊は縦中横です。
・kg、cmなどの単位-これはおそらくUnicodeに1文字で登録されている単位記号でしょう。

6.ラテンアルファベットと記号を組み合わせた縦中横はまれですが、次のようなケースがあります。
・~A(~チルダの全角形とAを組み合わせ) ― ~を否定に使用する例として
・A′(Aプライム)― このパターンは、2冊見かけました。
・i* ― 式中の項目として使用
・(a)、(b) ― これはUnicodeのU+249c~に1文字で登録されているものでしょう。そうでない場合は、()を文字の上下につけるようです。
・“a”を3文字で縦中横にしている例がありました。
・顔文字を縦中横にしている例がありました。この場合、()を含めて5文字以上になります。

7.ラテンアルファベットとアラビア数字の組み合わせは次のようになります。
(1) 一般にはラテンアルファベット1文字とアラビア数字1文字とが連続する場合1文字ずつ正立です。
・A4(用紙サイズ)、8F(フロア)、G8(主要8カ国)などは1文字ずつ正立します。
(2) G10(主要10カ国)、AKB48、BS11(放送)は、アルファベットは1文字ずつ正立ですが、数字は縦中横です。
(3) ラテンアルファベットとアラビア数字を組み合わせて縦中横にするケースは、極めてまれです。
・13冊の中でM2(通貨供給量)のみが見つかりました。

○詳細については、『FormatterClub定例会「文字組版の最先端」』で報告する予定です。

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縦組み書籍における縦中横の使い方(調査報告)” への2件のコメント

  1. kg、cmなどはもともと記号として存在するものではなく、単なる表記なのですが、縦組みのために合字が作られたものがいっぱいあります。それらのうち横組み用の派生もだんだん増えてしまった。

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