現在、皆EPUB3のリーダを待ちわびている状態ですが、その一つで、AZARDIというリーダの新しいバージョン(バージョン8)がリリースされました。AZARDIに注目している理由は、レンダリング・エンジンがGeckoベースとされているためです。EPUBリーダのレンダリング・エンジンは、1)独自開発、2)WebKit、3)アドビのRMSDKベースが多いのですが、Geckoベースはあまりありません。
ではなぜ、Geckoベースに着目するかというとEPUB3で標準となった数式(MathML)の表示が可能になるからです。上記の1)~3)いずれも数式を表示できるものはまだありません。Adobe Digital Editionsのプレビュー版(1.8.1)でも数式は不可です。
ということで、早速試してみました。実は以前のバージョン(AZARDI6)でも試したのですが、一つ問題があってCAS-UBで作ったEPUB3を表示できなかったのです。CAS-UB側を直してAZARDIの旧バージョンで表示できるようにする方法(回避策)はありましたが、しかし根本原因はAZARDI側がEPUB仕様に準拠していない、ということなので開発元に直してもらうのが筋だろうと考えて、先方に問題を連絡して直してもらいました。このあたりが相互運用性の難しさということになりますが、向こうも比較的協力的でGood!Microsoft やAdobeでは絶対期待できない迅速な回答は嬉しいです。ベンチャのよさです。やはりイノベーションはベンチャだ!
で待望のAZARDI8を早速試してみました。次の図は数式を表示しているところです。とりあえずレイアウトは別にして表示しています。EPUBリーダで数式を表示するところを実際に見たのは初めてです。感激!
しかし、少し先へ行くとこんな感じになります。
他のEPUBファイルも見てみましたが、どうやらpre要素(整形済み)が頁の表示領域をはみ出すと乱れるようです。この機能は小説などにはあまり出てこないのですが、専門書ではかなり頻繁に使うと思います。数式がでてくるのは専門書なので重要な機能となります。かなりまずいです。
いくつか他のEPUBも試してみました。文字だけであれば表示は特に大きく乱れないようですが、画像が入ると乱れます。
次は「OnDeck」の一画面です。
他の箇所を見ても画像の位置の制御ができていないようです。ということで、結論は、「まだまだ」ということでした。残念。