2013年の国際電子出版EXPOが昨日で終了しました。昔のデジタルパブリッシュングフェアの時代から通算すると随分と長いこと、この展示会に出ています。
昔はAH Formatter[1]という自動組版ソフトを中心に展示していました。AH Formatterは専門的でニッチな製品で、展示会としてはちょっとずれているかな、という感がありました。AH FormatterはXML自動組版なので、XMLドキュメントに関する展示会が本当は向いているのですが、そういう専門的な展示会は残念ながら日本にはないようです。でちょっとずれていると思いながら、出展していたのです。
2011年から2013年までの3年程は、CAS-UBを中心に展示しています。CAS-UBは電子書籍を中心とするデジタルファースト方式の出版物制作ツールという位置づけですので、国際電子出版EXPOでブースにお出でいただいた方の反応がひとつのメルクマールになります。
CAS-UBの製品側としては、システムの改良を重ねて、この1年間で随分と実践的になってきたと思います。CAS出版として制作した数もそう多くないですが実績になり始めています。また、実際に、アマゾンKindleや楽天Koboで販売している出版物の点数も増えていますし、CAS-UBで制作するお客さんも増えつつあります。
来場される方のほうも、当初はEPUBについてまったくご存じないかたが多かったのですが、今年は、「EPUBってなに?」という質問をいただくことはなくなりました。
仕事でEPUBを作っている方も多く見かけるようになり、EPUBが確実に市民権を得たという印象があります。
さて、現在のところ、出版物のEPUBの制作は、印刷会社が行なうケースが多いようです。で、印刷会社で制作を担当している方々は、現在のEPUBの作り方は効率が悪いということで、何かもっと良い方法がないものかと模索しておられるようです。
ただし、商業出版物制作の最上流は版元になります。版元の方からこれでやってほしいと言われると受注業態としてはなかなかそれをひっくり返せないということになります。
現在、CAS-UBを使っていただいているユーザー層の中心は、制作会社側ではなくむしろ版元側が多いのですが、そうなっている理由はこんなことからも理解できます。
今年は、CAS-UBで電子書籍を作るだけではなくて、印刷の本もできるということを認識していただくため『簡単解説20ヶ条 消費税率アップ ~その原則・特例と経過措置』という本を制作してプリント版を配布しました。
これについては手にとっていただいただいた方々から、「おもったより綺麗にできている!」という感想を沢山いただけました。CAS-UBは紙の本の制作というレガシーな部分ももっと追求していきたいと考えていますので、このあたりはもくろみ通りでした。次回も新しいねたで企画してみたいものです。
さて、CAS-UB、次の展示会は10月初旬のフランクフルト・ブックフェアです。いよいよ、海外で売り込み開始ということで、これから約3ヶ月英語版の完成度を高める作業に注力です。
海外出展では、ユーザーアカウントの販売を支援する現地エージェントを募集するのでしょうか。日本国内の版元に海外向け出版に対するアプローチもできますね。