Webページ制作の生産性をアップする: ExcelファイルからQ-A(QuestionーAnswer)ページを自動生成

弊社では、11月下旬から、システム・ソリューション製品の「製品ナビゲータ」ページを公開しました(次のバナーをクリックしてみてください)。

弊社のWebページには、こうしたQ-Aページがいろいろあります。従来、こうしたページは手作業で編集していました。Q-Aページはリンクが多いこともあり、Q-A項目を追加する毎に、Webページを手作業で更新するのは結構面倒です。決して生産性が高い作業とは言えません。

大ボリュームのQ-Aページであれば、システムを作って自動化ということも考えられます。
しかし、数百件項目のQ-Aページへの自動化投資はちょっと重すぎます。

ということで、今回は、Excelファイルに質問と回答の内容を整理・編集し、Excelファイルをアップすると自動的にWebページに変換する仕組を作成しました。

レイアウトは従来のQ-AページのCSSを使っていますので、見栄えは従来のページと一見同じですが、作り方は全く異なります。

この仕組は完全に汎用というわけではないですが、お客様用のページに合わせて比較的簡単にカスタマイズできるかと存じます。
関心のお持ちのお客様には、カスタマイズして専用のものを構築致しますのでお問い合わせください。

お問い合わせ先:cas-info@antenna.co.jp

ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズから見る、書籍出版とWebマーケティングの難しさの類似性

CAS電子出版では、現在、「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズ」[1]を次々とリリースしています。

この編集方針は、既に別途紹介しています。一番詳しいのはこちらです:CAS-UBによる本の制作工程の実例: 「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ」編集・制作作業(上)

今日は、本シリーズに書かれている石田社長の話を読んだり、自分自身の経験をもとにして、特に本の出版についてWebマーケティングの視点から考えてみたいと思います。

出版は歴史が長く、さまざまな形態の出版が行われてきました。

紙に印刷した本の出版流通の方式は大雑把には次のように分けられるでしょう。
①取次を通して書店の店頭に並ぶ(間接販売)、②読者への直販・直接配達方式、③職場・学校など職域での販売

日本の書籍の販売が、現在どのような割合になっているかは調べていませんが、日頃のニュースから感じているところは、取次を通して書店の店頭に並ぶという流通方式は苦しくなっているようです。②の読者への直販方式で、オンラインストア方式、もちろんアマゾンが中心でしょう、のシェアが増えているためと思います。職場や学校などの職域販売はどうなっているのでしょうか? これは分かりません。

新しい出版としては、④Kindle/EPUBなどによる電子出版、それから⑤流通によるプリントオンデマンド出版の三つの形式の出版方式があります。流通によるプリントオンデマンド出版は電子出版よりも新しいコンセプトです。詳しくはこちらをご覧ください:流通によるプリントオンデマンドでの出版が現実のものとなった今、その活用の課題を考える。(2017年1月時点)。そこで書きましたように④と⑤はほとんど兄弟と言えます。

アマゾンは、現在、⑤流通によるプリントオンデマンド出版に力を入れているようです。印刷した本の扱いと比べると、書籍を在庫する倉庫や在庫管理が不要になり、またピッキングもほとんど不要になるなど、③の方式はアマゾンにとっては非常に大きなメリットがあります。また、コストについて考えますと、プリントと製本の設備の稼働率を高め、大量に生産し、減価償却を速められるかが勝負でしょう。減価償却を速めることで技術革新によるコストダウンより速く享受できるようになりますので、一旦、アマゾンでの仕組みが回り始めると競争相手がコスト面で立ち向かうのが難しくなるでしょう。

話が横道にそれましたが、現在は、①の取次経由の書店での販売に対して、(②+④+⑤)という形態の、Webを使った新しい流通が伸びているという転換期と言えます。

この両者を対比すると、「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ」の中で繰り返し語られている、リアル店舗とEコマースの相違と似ています。次のような点です。

・リアル店舗には商圏がある。しかし、Eコマースには商圏がなく、日本全国の同業者が競争相手になってしまう。強者の世界となりがち。
・リアル店舗は、通りがかりの人が見つけてくれる(リアルビジネスは立地が重要)。しかし、Eコマースは(見えないので)店を開いても通りがかりの人に気が付いてもらえない。
・ネットショップを開店しても、アクセスがない、思ったほど売れない。

Eコマースの難しさは、結局「とおりがかりで見かけて」発見してもらえないということにあるようです。一方、検索で見つけてもらうには検索エンジンの検索結果で上位に位置されないとアクセスしてもらえない、ということに集約されます。結局、どうやって発見してもらうか? ということがEコマース成功への第一関門です。売上管理、流通、在庫管理とかはすべて売れてからの話ですから。

ひとつひとつの本とEコマースのお店を同列には比較しにくいとは思いますが、電子書籍やプリントオンデマンドなどの新しい出版方式の難しさって、Eコマースの難しさと似ているように思います。

[1] ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズ

索引について―階層化索引を簡単に作る方法を考えました。

前回[1]は、主に索引の目的について考えてみました。

今回はちょっと実践的に、ECMJ流!のシリーズの制作の際に階層化索引を簡単に作る方法を考案しましたので、それについてご紹介します。

階層化索引というのは例えば次のような形式です。この例では親階層が「Eコマース」、「Eコマース革命」です。その子供の索引として「大企業のEコマース」、「中小企業のEコマース」などがあります。Eコマースが共通ですので、表示を簡素化するためダッシュで代替しています。

○PDFのとき巻末に索引を自動生成し、ページ番号から本文の索引語位置への内部リンクを設定
20170131

○PDFのとき巻末に索引を自動生成し、索引語または(複数箇所あるとき)索引語のカウンターから本文の索引語位置への内部リンクを設定
20170131c

CAS-UBの編集画面には簡単な索引を作る対話式のダイヤログがあり、これを使えば1階層の索引を簡単につくることができます[2]

残念ながら、現在のところ、編集画面のダイヤログでは階層化索引を作ることができません。そこで、CAS-UBの編集画面で手入力でCAS記法のマークアップすることになります。

CAS記法のマークアップの説明はこちら:CAS記法リファレンス

親子の索引は本文に次のようにマークアップします。
[[[:mindex [[[:prim:key=xxx 親の索引語]]][[[:second:key=yyy 子供の索引語]]]]]]
xxxに親の索引語の読み、yyyに子供の索引語の読み

しかし、どうもまだるっこしいので、テキストファイルとして索引を用意する方法を考えてみました。

上の図の例の索引を作るには、次のようなテキストファイルを用意します。

[[[:nodisp:mindex [[[:prim Eコマース]]][[[:second:key=だいきぎょうの―― 大企業の――]]]]]]
[[[:nodisp:mindex [[[:prim Eコマース]]][[[:second:key=ちゅうしょうきぎょうの―― 中小企業の――]]]]]]
[[[:nodisp:mindex [[[:prim Eコマース]]][[[:second パソコンでの――]]]]]]
[[[:nodisp:mindex [[[:prim Eコマース]]][[[:second モバイルでの――]]]]]]

[[[:nodisp:index:key=Eコマースかくめい Eコマース革命]]]
[[[:nodisp:mindex [[[:prim:key=Eコマースかくめい Eコマース革命]]][[[:second:key=――いこうの2ねんかん ――以降の2年間]]]]]]

(:nodispは索引語をPDFとEPUBの本文に表示しないという指定です)

それで索引語検索して、ヒットしたところに、索引のマークアップを貼り付けていきます。こんな感じです。

(1)「大企業のEコマース」を検索します。
20170131a

(2)ヒットした中で索引を付ける箇所を選択します。この場合は(9,76)の位置に付けますので、(9,76)をクリックします。

(3)すると編集画面で(9,76)の位置にジャンプします。テキストファイルから

[[[:nodisp:mindex [[[:prim Eコマース]]][[[:second:key=だいきぎょうの―― 大企業の――]]]]]]

をコピーして、索引語の前に貼り付けます。

(4)貼り付けた結果は次の図のようになります。

20170131b

(5)PDFとEPUBを作成すると索引のページが自動的に作られ、索引の各項目から本文へのリンクが設定されます。本文の索引語が非表示でもリンク先としては有効ですので、索引のマークアップは索引からジャンプしたい箇所に設定して置くのが良いです。

[1] 索引論再訪ー索引の目的とは。索引をどうやってつくるか?
[2] 1階層の索引の作り方は、動画とブログで紹介しています。動画とブログは下記の過去記事をご覧ください。

CAS-SUPPORTブログの索引関連その他の過去記事
[1] CAS-UBの編集デモ動画 新ファイル : 索引を追加する
[2] EPUB・PDFで索引や親子索引を作るためのCAS記法の例
[3] CAS-UBではEPUBに索引を自動的に出力できます。
[4] 索引の作り方を考える。一歩進んで、本文に出てこない索引語や、索引語の階層化の試み。

CAS-SUPPORT ブログより6年間を振り返る(1)

CAS-SUPPORTのブログは2011年1月より初めて12月末でちょうど6年となります。あっという間に6年経ってしまったのに驚きます。年末でもあり、この機会にいままでのブログの見出しをWebで一覧としました。

CAS-SUPPORTのブログ 目次

なお、このWebももちろんCAS-UBで制作しています。制作の工程から動画として作成し、動画一覧に追加しました。

CAS-UB紹介動画一覧より、「Webページ生成」をご覧ください。

もともと、このCAS-SUPPORTブログは、CAS-UBのサービスを利用されている人や、サービスに関心を持っていただいた方向けの情報を中心として企画したものです。そのためCAS-UBの新しい機能の紹介や関連イベントの情報が多くなっています。

CAS-UBの目的は、ワンソースマルチユース技術を本作りに応用して、いままでよりも簡単・便利に、良い本を作れるようにしようということです。そこで、こうした目的に合致する範囲で、本の制作に関わるデジタル技術の話題も随時取り上げています。こちらの方は、全般的&公平ということではないですが、世の中の出来事や変化を反映しています。

ということで、CAS-SUPPORTブログの6年間の変化を振り返ってみたいと思います。まず、最初の3年間です。

1.2011年はEPUB3の将来性が話題の中心

2010年が電子書籍元年ということで、特にEPUB3の標準化がホットなテーマとなりました。ブログを始めた2011年の頭ではEPUB3の仕様制定作業の途中でした。

そのため、2011年時点では、EPUB3が普及するのかどうかは見通しが付いておらず、またEPUB3をどのように制作するかについての手探りの状態でした。この頃のブログ記事では、EPUB3についての紹介や作り方、Adobe Digital Editionの表示機能などの記事も多く、またセミナーでもEPUB3の将来性についてテーマにしています。この頃がEPUB3の制作や表示という基本機能について、一番ホットな時期だったように思います。

しかし、2011年はEPUBを作っても販売する方法が少なかったのです。一方で、EPUBだけでなく、CAS-UBでPDFを作りプリントオンデマンドで本にすることも行っています[1]、[2]

2.2012年はKindleが日本で営業開始、EPUB3が主流になる

2012年になってEPUB3の話題はやや少なくなり、前半は停滞期でした。2012年の話題はなんと言っても日本でのKindleストアの営業開始でしょう。Kindleストア、KDPのサービス開始により漸く、EPUB3で本を作れば誰でも広く本を売れるようになりました。書籍出版社の間でも準備が進んでいたようで、2012年9月には電書協EPUB3制作ガイド V1.0が発表になりました。

CAS-SUPPORTのブログでも短い記事ですが10月25日よりKindleの営業開始を伝えています[3]。CAS-UBもKindleのmobi形式をサポートしました。ブログでもEPUB3とmobiの相違点などを何度か取り上げています。

やや専門的ですが2012年には縦組のとき英数字の向きの既定値をどうするかについての熱い議論がありました。

2012年から『PDFインフラストラクチャ解説』のEPUB版を制作して配布をはじめました[4]

3.2013年はEPUBを業務マニュアルに使う研究会に取り組む、またPDFも本格的に試作

2012年にKindleや楽天Koboが営業を開始して、EPUB3による電子書籍はポピュラーになりました。

2013年にはEPUBマニュアル研究会に参加して、業務マニュアルのEPUB化に取り組みました。CAS-UBは、当初からPDFの自動的制作、EPUB&PDFによるワンソースマルチユースを目標にしていました。これらの話題をあわせてJEPAで報告会を開催致しました[5]

【続く】

[1] CAS-UBで制作した書籍のPDF版を発売しました。
[2] CAS-UB で制作したPDFからプリントオンデマンドで本ができました。
[3] Amazon Kindle登場、iBooksが縦書きサポート
[4] 「PDFインフラストラクチャー解説」EPUB本の0.1版を公開
[5] 3月1日JEPAにて、「EPUBのビジネス分野での活用を広げる」セミナー開催JEPA 第22回 EPUBセミナーでの「新しい発想の書籍制作ツールCAS-UBのご紹介」スライドなど

改めて電子書籍とはなにかを考えてみる

Facebookに仲俣さんが投稿した記事[1]、に触発されて、電子書籍とは何かを改めて考えてみました。電子書籍とは何かを考える方法として、現在起きている現象から考える帰納的なアプローチと、電子書籍の由来から論理的に考える演繹的なアプローチがあると思います。現在起きていることを説明するアプローチはどちらかというとジャーナリストが得意な分野でしょうから、ここではやや演繹的なアプローチを取ってみます。

紙と電子
電子書籍を考えるときの軸としては、まずは紙の書籍との対比があります。

電子書籍=デジタルで配布・頒布される書籍であり、アナログで配布・頒布される紙の書籍と対比されるものとなります。紙の書籍は長い歴史をもちますが、デジタル書籍はコンピュータと通信技術の発展によって実現されたものです。デジタル書籍は、まだ数十年の歴史しかなく、これからの10年間でどうなるかさえも予想できません。

紙の書籍はものとしての実体があり、書店の棚に並んでいる書籍を手に取ってみることもできます。これに対して電子書籍はデジタルデータであり、触ってみることはできません。

紙の書籍はものとして所有することができます。本を所有し、棚に並べることは一種の知的シンボルでもあります。一方で電子書籍には実体がないということで、ものとして所有する感覚は味わえません。

逆に紙の本は重くてかさばり、本を置く場所をとるという弱点がありますが、電子書籍は何冊あっても重さはなく、置き場所に困ることはありません。

紙の本の内容は検索して探すことができませんが、電子書籍であれば内容を検索するのはお手の物です。

Webページと電子書籍
第二の軸はデジタルデータ同士、つまり電子書籍とWebページとの対比です。

電子書籍について前項で紙と比較したときの特徴の多くはWebページでも共通です。それでは、Webページと電子書籍の違いはどんなことでしょうか。

その前に、紙の書籍を少し考察して書籍とは何かを考えてみます。紙とWebページは歴史も発生も異なり水と油の関係ですので、その相違は自明のような気がしないでもないですが。

Webページは分散して配置された情報をリンクによってたどることができるように設定したものです。それぞれのWebページはインターネットの世界においてURLというアドレスが与えられてます。ここで注意すべき点はURLとはアドレスであり、情報の中身ではないことです。

インターネット上のURLというアドレスで特定できるWebページの内容は揮発性です。すなわち、昨日みたURLのWebページを今日再び見たら情報の内容が書き変わっている可能性があります。

書籍は長い間、印刷という方法によって複製され、製本されて形を与えられてきました。印刷では版を作ります。その版を作るまでの執筆と編集の工程によって内容は磨き上げられます。また、長いこと使われている印刷というアナログの複製工程ではある程度の数まとめて複製しないと安くなりませんでした。(但し、最近のデジタルプリンタによる印刷では1部からでも大量複製と同じコストで複製できますので、事情が変わりつつあります。)

このように考えてみますと、揮発性のWebページと版を確定する紙の書籍という対比が生まれます。デジタル書籍=電子書籍は、紙の書籍の概念から発展してきたものであり、リリースの前に内容を確定するもの、揮発性ではないと考えます。それに対してWebページは揮発性であり、随時更新されうるものと差別化できるのではないでしょうか。

青空文庫やWeb小説は、電子書籍なのかそれともWebページなのか、という問いがあります。これらは曖昧な境界の領域に当たると思いますが、揮発性なのか、内容が確定しているのかという観点でみますと、青空文庫やWeb小説は電子書籍に近いといえるのではないでしょうか。

著者の世界観
紙の本はほとんどの場合、一人または少数の著者が内容に責任を持って書いています。著者の考え方や思想・世界観の反映をしたものといえます。これに対して、Webページは、内容が揮発性なこと、あるいはWebサイトは大勢で作ることが多い、また相互にリンクをたどっていくなどの点で、特定の主体者の世界観を提示するのは難しいでしょう。

紙の書籍、電子書籍といった書籍は特定の主体の世界観を色濃く反映しているものです。それに対して、Webページで世界観を表現するのはなかなか難しいと思います。

著者の世界観が反映されるものなのかどうか、という点でみても、青空文庫やWeb小説は電子書籍に近いと思います。

パッケージ
紙の書籍は製本しカバーを付けるという形式でパッケージ化されています。EPUBのような電子書籍には製本や物理的なカバーはありませんが、EPUBは読み順が指定されまとめて1ファイルにまとめるという形でパッケージ化されています。

パッケージ化することでスマホや閲読端末に複製ダウンロードし、オフラインで読むことができます。オフラインで読むということは、URLと切り離されるということになります。その場合、これを特定する手段としてはISBNなどの管理番号や書誌ということになります。

ではパッケージ化されていることが電子書籍の必須要件なのでしょうか? パッケージされていないものを電子書籍と言えるかは、人によって意見が分かれると思います。

私の個人的な意見としては、パッケージは必須要件ではない、とする方に傾いています。

有償・無償
電子書籍の特徴として有償を指摘する意見があります。紙の本のように形があるものは自然に有償になりがちですが、有償・無償はビジネスモデル次第と思います。紙の書籍は作成・運搬・配布にお金が掛かりますが、紙の書籍を無償でばらまくことも十分あり得ます。そういえば、私のところにも、販促用のPR本も来ますね。

パッケージ化は有償で対価と交換しやすいのは確かです。私のいるソフトウェアの世界では、パッケージがどんどん縮小してWebサービスとなり、その対価の支払方式は、永久ライセンスから年間利用料方式(Subscriprion)に遷移しています。

本の読み放題は一種のSubscription制と言えます。電子書籍の世界でも読み放題が普及の兆しを示しています。読み放題になりますと、1タイトル毎の有償・無償という概念は希薄になるでしょう。

STM出版の分野ではSubscriptionだと提供者が寡占化してしまい、料金が高くなりすぎる、ということで、ゴールドOA(著者が出版料金を負担するオープンアクセス)方式が提唱され普及し始めています。

電子書籍という概念はまだできたばかりですし、これからどのように変わるかも分からず、もちろん人によりどう捕らえるかも千差万別でしょう。これからももっといろいろな形態や考え方がでてくるのでしょう。

[1] https://www.facebook.com/NakamataAkio/posts/10211194302834251

Amazonでは本のページの数え方が三つある。Kindle Unlimitedは第三のKENPで著者への支払いが行われ、KENP相場が基準になる。

前回「Kindle Unlimited問題とKENPの関係について(続き)」[1]で、KENP(Kindle Edition Normalized Pages)単価の下落のことを書きました。

ではそもそもKENP数はどのように決定されているのでしょうか? KENP数の前に、前々回「ページってどういう意味? 続編 Kindleの紙の本の長さと、KENPについて」[2]でも触れましたが、Kindleの本の紹介には、「紙の本のページ数」という項目があります。

結局、Amazonでは本のページ数カウント方法には三つの基準があることになります。次に『PDFインフラストラクチャ解説』と、もう一つの本の二つの例を挙げます。
スライド1
この二つの例でみますと、POD本の判型&ページ数とKindle版に表示される「紙の本のページ数」の関係は次の表のようになります。おおよそ900文字弱/ページになっています。まだサンプルが少なすぎますが、文字数だけで見ますと、おおよそ四六判に換算したページ数に近いようです。(『PDFインフラストラクチャ解説』は図版と表が大量にありますので、文字数だけでは評価できないはずですが。)

タイトル a. 1ページの文字数 b. POD総ページ数 c=a×b d. Kindle版の紙の本のページ数 e=c/d
例1 1,365 268 365,820 417 877
例2 1,188 202 239,976 269 892

Kindle版の紙の本のページ数は、購入する人にとっての目安です。

一方、KENPは、著者への支払いの基準となります。このKENPがどのように計算されるかについては明確になっていません。ちなみに、上の例2の本を、実際にKindleセレクトで発売し、Unlimitedで100%読了してみたところ417KENPとなりました。この本の紙の本のページ数に対して1.55倍です。

仮に、1KENPあたり50銭としますと、本書1冊を丸ごと読み終えたときに著者に支払われるロイヤリティは約200円となります。これが高いか安いか? という議論は別として、Kindle Unlimitedに出した本へのロイヤリティは、本の定価とは無関係に、Amazonが定める相場によって支払われる、ということにまず注意する必要があるでしょう。

[1]「Kindle Unlimited問題とKENPの関係について(続き)」
[2] ページってどういう意味? 続編 Kindleの紙の本の長さと、KENPについて

★ページに関連するブログ記事の一覧
[1] ページってどういう意味? 紙のページ、Webページ (memo)
[2] ページってどういう意味? 続編 Kindleの紙の本の長さと、KENPについて(上の[2]と重複しています。)
[3] Kindle Unlimited問題とKENPの関係について(続き)(上の[1]と重複しています。)
[4] Amazonでは本のページの数え方が三つある。Kindle Unlimitedは第三のKENPで著者への支払いが行われ、KENP相場が基準になる。
[5] ページっていったい、どういう意味なんだろう? ――Webページ
[6] ページって何? 「ページ」と本のかたちとの関係、「ページ」と「頁」の関係、ブラウザと電子書籍の未来

ページってどういう意味? 続編 Kindleの紙の本の長さと、KENPについて

アマゾンKDPに詳しい人はご存じかと思いますが、Kindleストアにはページという言葉が二つ登場します。

一つは、KDPの本の紹介で表示される「紙の本の長さ」という項目の値です。図の赤枠で囲った部分です。説明文には「推定の長さは、Kindle で表示されるページ数を使用し、印刷本に極力近い表現になる設定で計算されます。」と表示されます。

20161020

「印刷本に極力近い表現」ってどういう意味なんでしょうか? 図の『PDFインフラストラクチャ解説』Kindle版の場合、417ページと表示されます。ちなみに、『PDFインフラストラクチャ解説』には、POD本が別にあります。POD本はページ数を極力抑えるためにB5判型にしていることもあり、本文268ページなんですが。

もう一つのページ概念は、KENP(Kindle Edition Normalized Pages)というものです。KENPは、Kindle Unlimited[1]とKindleオーナー ライブラリー[2]の利用料支払いの基準になるページ数です。Kindle Unlimitedは「初めて読まれたページ数に応じて KDP セレクト グローバル基金の分配金を受け取る」とあり、オーナーズライブラリーも「初めて読まれたページ数に応じて」ロイヤリティを受け取るとされています。

つまり、ページ数はロイヤリティの支払い基準なので重要な概念なのです。

KENPは、現在、v2.0だそうです。「KENPC v2.0 では、フォント、行の高さ、およびスペースなど本の長さを標準化する計算方法に多くの改良が加えられています。」[3]という説明があります。

それでは、実際のKENPの単価はどうなっているのでしょうか? これに関してはあまりデータがないんですが;

『PDFインフラストラクチャ解説』は発売した1月から7月までKindle Selectに登録しており、この間で、稼いだKENPが延べ8,279ページでした。KENPによるロイヤリティ収入は、6,875円です。計算すると1 KENPが83銭となっています。

ちなみに、鈴木みそさんのブログ[4]には11冊のコミックのKENP数とロイヤリティ収入が公開されていますが、11冊すべて1KENPが50.7銭となっています。コミックは、たぶん、紙と同じページでしょうから、紙版と同等ページが、1ページ読まれたら約50銭の収入が得られる、ということになるのでしょう。

さて、この83銭と50銭をどう考えたら良いんでしょうか?

[1] Kindle Unlimited
[2] Kindleオーナー ライブラリー
[3] Kindle Unlimited およびKindleオーナー ライブラリーのロイヤリティ
[4] 鈴木みそは「アマゾン読み放題」で儲かったのか!? 金額発表!

10月24日(月)バージョンアップ内容についてご案内するセミナーを予定しています。お申し込みはこちらからどうぞ:
http://www.cas-ub.com/user/seminar.html

★ページに関連するブログ記事の一覧
[1] ページってどういう意味? 紙のページ、Webページ (memo)
[2] ページってどういう意味? 続編 Kindleの紙の本の長さと、KENPについて
[3] Kindle Unlimited問題とKENPの関係について(続き)
[4] Amazonでは本のページの数え方が三つある。Kindle Unlimitedは第三のKENPで著者への支払いが行われ、KENP相場が基準になる。
[5] ページっていったい、どういう意味なんだろう? ――Webページ
[6] ページって何? 「ページ」と本のかたちとの関係、「ページ」と「頁」の関係、ブラウザと電子書籍の未来

紙のページと電子デバイスの画面の相違がもたらす、現在のEPUB制作とリーダー開発の難点。

EPUB3には紙のページと同じようなページに関することを指定する仕様は少ない。

紙のページでは次のことができる。

・ページの大きさ(絶対寸法)がある。
・版面の大きさと、版面の位置を指定できる。
・版面の中で左右中央、上下中央、右上、左上という絶対方向を指定しての配置ができる。
・柱やノンブルを配置できる。
・文字の大きさ(絶対寸法)、1ページの行数、1ページの文字数を指定できる。
・左右ページがある。
・横組では左開き(左から右へ)進行、縦組では右開き(右から左へ進行)。
・横組・縦組の混在。
・改ページと改丁を指定できる。
・見開きがある。
・ページシーケンスの偶数開始の指定ができる。

もっと細かいこともあるけれどもそれらはとりあえず省略するとして。

紙のページならできることの中で、EPUB3の仕様で規定されているのは、改ページと進行方向(右開きか左開きかということ)ぐらいである。

上に挙げた紙のページ指定の中には、紙の物的特性と製本という処理に由来するものが多い。そうした特性の多くは、紙を媒体として使うことからくる制約である。そうした制約は、電子デバイスの画面では必要ないか、またはあまり意味のないことが多い。

だから、EPUB3の仕様にページに関する規定がすくないのは自然であるとも言える。

紙には裏表があり、本は背中で製本されているので、本を読む行為はページ捲りの動作と密接に結びついている。しかし、電子デバイスではページ捲りよりもスクロールの方が使い易い。

現在、多くのEPUBリーダーは画面をページのように見立てて、ページめくりっぽいインターフェイスを用意している。これは紙で作った本のイメージを継承するためのギミックである。こうして、EPUB3の仕様に規定されていないページの概念を持ち込んでしまったところに、EPUB制作上の問題、EPUBリーダー開発の難しさが生まれてしまったように思う。

EPUB3.1の最終ドラフトが公開されました。EPUB3.1での機能変更は当初期待より大幅に縮小となりました。

追記【】2017年1月にEPUB 3.1はIDPFの勧告仕様となりました。
EPUB 3.1 Recommended Specification 5 January 2017

————以下、元のブログ————
2016年8月1日、EPUB3.1の仕様書最終ドラフトが公開されました(これはEditor’s Draftとのことです。詳しくは下の追記を参照)。今後は新しい機能が追加される予定はなく、新しい要求があっても次のバージョンに持ち越される予定です。

EPUB3.1の開発は、2015年の夏に始まりました。最初の方向検討会議では、非互換をおそれず、EPUB3.1で様々な新機能を盛り込むという話でした[1]。しかし、その後、市場からのフィードバックなどによるものと思いますが、新機能の話は大幅に後退しました。EPUB3.0.1からEPUB3.1への変更の多くは仕様書の文書としてのメンテナンスになり、実質的変更は小さなものとなります。

EPUB3.1 2016年8月1日版の仕様書は次のモジュールからなっています。

EPUB3.1概要
EPUB3.0.1からEPUB3.1への変更点

仕様書の構成は現行バージョンのEPUB3.0.1からかなり変更されています。しかし、これは仕様書としてモジュール間の整合性を整えるために行われたものが多く、仕様の実質的な変更は、それほど多くはないようです。

以下、主に「EPUB3.0.1からEPUB3.1への変更点」を参考にして、変わった項目をざっと紹介します。なお、以下は、すべてを網羅しているわけではありませんので、予めお断り致します。

1.EPUBパッケージ3.1

EPUB Publications 3.0.1は、EPUBパッケージ3.1にタイトルが変更になりました。さらに、EPUB内容文書3.0.1に収容されていたEPUBナビゲーション文書の仕様は、そっくり、EPUBパッケージ3.1に移動しました。これはEPUBでは幾つものHTML文書を一つにパッケージし、それらの文書をナビゲーションすることが重要との判断に基づいています。

EPUBパッケージ3.1では、パッケージ化について記述する.opfファイル(XMLファイル)を規定しています。
(1) .opfファイルのルート要素packageのversion属性に、EPUBのバージョン番号を記述します。これが<package version=”3.0″>から<package version=”3.1″>に変更になります。バージョンを確認しているEPUBリーダーでは読み込まないかもしれません[2]。従って、EPUB3.1形式の出版物をリリースするにはストア毎に対応を確認してからとなるのでしょう。
(2) package要素の子供からguide要素が削除されました。
(3) metadata要素の子供からOPF2_meta要素が削除されました。
a. metadata要素の子供のdc:identifierにopf:scheme (オプション)が追加されました。
b. 同dc:title要素の属性にopf:alt-script(オプション)とopf:file-as(オプション)が追加されました。
c. 同contributor、creator、publisher要素の属性にopf:alt-scriptとopf:file-as(いずれもオプション)が追加されました。contributor、creator要素の属性にopf:role(オプション)が追加されました。
d. 同meta要素の属性にrefinesが置き換え対象[3]となり、代わってopf:alt-script、opf:file-as(オプション)が追加されました。
(4) manifest要素の子供item要素にduration属性(条件によって必須)が追加されました。
(5) bindings要素が削除され、マニフェストfallbackが追加されました。
(6) NCX(EPUB2の目次)は廃止予定[4]となりました。これにともない、spineのtoc属性が廃止予定となりました。

2.EPUB内容文書3.1

EPUB内容文書3.1は、EPUBの内容を記述するHTML5とSVGについて規定します。HTML5にはHTML構文とXHTML構文がありますが、EPUB3.1ではXHTML構文で記述します。ファイル名の拡張子は.xhtmlを使うべきとされています。このあたりは、EPUB3.0.1.から変わっていません。

(1) HTML5、SVGへの参照方法が変わり、HTML5、SVGの仕様が改訂されるとすぐにEPUB3.1に反映されるようになります。
(2) CSSの参照方法が変わり、CSSサポートがより一般的になります。
  EPUB3.0.1で採用されているプレフィックス付のプロパティは、できるだけ早く使わないようにすることが推奨されています。writing-modeプロパティは変更なし。text-orientationはプロパティの値が変更となります。また、特に、-epub-text-combineプロパティは廃止され、text-combine-uprightプロパティとなります。
(3) リーダーのスタイルよりも、著者とユーザーのスタイルを優先するためのガイダンスを追加します。
(4) スクリプトのサポートの明確化。
(5) コンテント切り替え機能(switch要素)を削除します。
(6) オーディオやビデオのようなマルチメディア再生のためのユーザーインターフェイスをマークアップするtrigger要素は削除されます。EPUB3.1ではオーディオやビデオのようなマルチメディア再生はHTML5のaudio要素、video要素でコントロールすることを勧めています。
(7) EPUBリーダーオブジェクトとして、IDL定義を追加。

その他のモジュールは省略します。

[1] EPUB 3.1 開発計画の概要 2015/10/20現在
[2] 例えば、IDPFで準備した仕様書のEPUB 3.1ファイルは、AdobeのDigital Edition3.0.1、iBooks 4.1.1は現在でもEPUB3.1を開くことができます。KindleGen V2.9でkindle mobi形式に変換もできます。packageのバージョンをチェックしているEPUBリーダーは少ないのかもしれません。
[3] superceded。将来廃止されるので使わないようにする。
[4] obsolete。次のバージョンアップで廃止される。
[5]《経過》2016年1月30日のEditor’s Draft初版では、急進的な変化を組み込んだドラフトが発表されました。
  EPUB 3.1 Changes from EPUB 3.0.1 Editor’s Draft 30 January 2016
  その後、2016年4月26日のEditor’s Draft第2版で急進的なアプローチは否定されたようです。
  EPUB 3.1 Changes from EPUB 3.0.1 Editor’s Draft 26 April 2016
  今回の最終ドラフトは4月26日版の延長となります。

[6] 追記(8月17日) 8月16日にIDPFから来たメールによりますと、8月1日に公開されたのは、3回目のEditor’s Draftであり、機能的には完成で、指摘された問題を解決済みのもの。コミュニティでレビューしてもらい、9月の早いうちに正式なパブリックドラフト(formal Public Draft)にする予定だそうです。

PODで『XSL-FOの基礎』の出版を準備中です。

今回の電子出版ブームは2010年に始まりました。

2010年にEPUB3.0の標準化のお手伝いをさせていただいたとき、これからはEPUBと紙のハイブリッドの出版の時代になる、と予想してクラウドで書籍を制作編集するWebサービス「CAS-UB」の開発を始めました。

その後、御承知の通り、EPUB3.0は既に電子書籍のデファクト形式となりました。
一方で、このところ、プリントオンデマンドで本を売るという仕組みが注目を集め、また実際に使えるようになってまいりました。

そして一部で、電子書籍と紙による同時出版の実践が始まっています。大よそ、5年前の予想通りの進展です。

CAS-UBの方もまだ完成とは言えませんが、なんとかPDFとEPUBを同時に作ることができるようになりました。

プリントオンデマンドは、商業出版では採算に合わないような少部数の出版物や、普及啓もう出版で使われるのではないかと考えております。そこで、その実践として、この度、昔「XSL-School」で使用していましたテキストを刷新してPODで販売することを計画しました。

このテキストは、2001年~2002年にXSL Formatterの草創の時代に作成したものです。とりあえず、昔のものをCAS-UBに移して、PDFとEPUBとして作成してみました。

『XSL-FOの基礎』 EPUB 0.62版
『XSL-FOの基礎』 PDF 0.62版

[4/12追記] 一般配布を終了しました。
4月12日版以降は、Formatter Clubの会員のみ配布いたします。
AH Formatter:Formatter Clubについて

なにしろ、10数年前の資料を元にしておりますので、いろいろ不備もございます。これをPODで販売に値する内容にするには、まだいろいろ手を懸けなければならないところが多くあります。

皆様のご批判をいただきたいと存じます。また、こんな風にしたら良いというご要望もいただければと存じます。
ご意見、ご要望は cas-info@antenna.co.jpまでいただければ幸いです。

また、昔の資料をPODとEPUBで出すのにどのような作業を行ったかを後日整理していきたいと思います。

よろしくお願い致します。

[4/4] 更新しました。
EPUB、PDFを0.60版⇒0.62版
XSL-FO V1.1の機能(しおり、索引)を追加し、第1章~第3章をかなり書き直しました。

[4/12] 一般配布を終了しました。