ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズから見る、書籍出版とWebマーケティングの難しさの類似性

CAS電子出版では、現在、「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズ」[1]を次々とリリースしています。

この編集方針は、既に別途紹介しています。一番詳しいのはこちらです:CAS-UBによる本の制作工程の実例: 「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ」編集・制作作業(上)

今日は、本シリーズに書かれている石田社長の話を読んだり、自分自身の経験をもとにして、特に本の出版についてWebマーケティングの視点から考えてみたいと思います。

出版は歴史が長く、さまざまな形態の出版が行われてきました。

紙に印刷した本の出版流通の方式は大雑把には次のように分けられるでしょう。
①取次を通して書店の店頭に並ぶ(間接販売)、②読者への直販・直接配達方式、③職場・学校など職域での販売

日本の書籍の販売が、現在どのような割合になっているかは調べていませんが、日頃のニュースから感じているところは、取次を通して書店の店頭に並ぶという流通方式は苦しくなっているようです。②の読者への直販方式で、オンラインストア方式、もちろんアマゾンが中心でしょう、のシェアが増えているためと思います。職場や学校などの職域販売はどうなっているのでしょうか? これは分かりません。

新しい出版としては、④Kindle/EPUBなどによる電子出版、それから⑤流通によるプリントオンデマンド出版の三つの形式の出版方式があります。流通によるプリントオンデマンド出版は電子出版よりも新しいコンセプトです。詳しくはこちらをご覧ください:流通によるプリントオンデマンドでの出版が現実のものとなった今、その活用の課題を考える。(2017年1月時点)。そこで書きましたように④と⑤はほとんど兄弟と言えます。

アマゾンは、現在、⑤流通によるプリントオンデマンド出版に力を入れているようです。印刷した本の扱いと比べると、書籍を在庫する倉庫や在庫管理が不要になり、またピッキングもほとんど不要になるなど、③の方式はアマゾンにとっては非常に大きなメリットがあります。また、コストについて考えますと、プリントと製本の設備の稼働率を高め、大量に生産し、減価償却を速められるかが勝負でしょう。減価償却を速めることで技術革新によるコストダウンより速く享受できるようになりますので、一旦、アマゾンでの仕組みが回り始めると競争相手がコスト面で立ち向かうのが難しくなるでしょう。

話が横道にそれましたが、現在は、①の取次経由の書店での販売に対して、(②+④+⑤)という形態の、Webを使った新しい流通が伸びているという転換期と言えます。

この両者を対比すると、「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ」の中で繰り返し語られている、リアル店舗とEコマースの相違と似ています。次のような点です。

・リアル店舗には商圏がある。しかし、Eコマースには商圏がなく、日本全国の同業者が競争相手になってしまう。強者の世界となりがち。
・リアル店舗は、通りがかりの人が見つけてくれる(リアルビジネスは立地が重要)。しかし、Eコマースは(見えないので)店を開いても通りがかりの人に気が付いてもらえない。
・ネットショップを開店しても、アクセスがない、思ったほど売れない。

Eコマースの難しさは、結局「とおりがかりで見かけて」発見してもらえないということにあるようです。一方、検索で見つけてもらうには検索エンジンの検索結果で上位に位置されないとアクセスしてもらえない、ということに集約されます。結局、どうやって発見してもらうか? ということがEコマース成功への第一関門です。売上管理、流通、在庫管理とかはすべて売れてからの話ですから。

ひとつひとつの本とEコマースのお店を同列には比較しにくいとは思いますが、電子書籍やプリントオンデマンドなどの新しい出版方式の難しさって、Eコマースの難しさと似ているように思います。

[1] ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズ

『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる? (5) 『PDFインフラストラクチャ解説』のプリントオンデマンド制作と販売

最初、PODで本にしてみたところ、PDFと紙での版面の印象の違いが大きいのに驚いた。本の内容をPDFにして画面で読むのと、同じPDFから印刷・製本して、本として読むのを実際に試してみると想像以上に印象が違う。どうやらPDFと紙の本は全く別物である。

POD版の試作とレイアウト改良

そこで、『PDFインフラストラクチャ解説』の制作中、PODで実際に本を作ってみて、基本版面や表などのレイアウト設定値をより読み易くなるように変更を重ねた。変更したレイアウト設定値を、CAS-UBの「PDFレイアウト設定」のデフォルト値として反映する。こうすれば、新しく本を作るときに、同じことを繰り返さなくて済む。

PODを3回試作した。
・初回のPOD試作 2013年2月 0.24版 256ページ (詳しくは
・第2回POD試作 2013年7月 0.33版 258ページ (詳しくは
・第3回POD試作 2014年3月 0.39版 268ページ (詳しくは

PODで作った本を外部の人などに評価してもらい、基本版面、見出しの文字サイズ・配置・番号の付け方、表の罫線の引き方・セルの空き・本文と表の文字の大きさの関係などを改良した。

基本版面

日本語組版におけるページの文字レイアウトは基本版面で設定する[1]。本書は、B5判型、横組・一段、文字サイズは10ポイント(pt)と決めていた。そのとき、行送り(文字サイズと行間を足した値)、字詰め数(一行の文字数)と行数(一頁の行数)を変更できる。この三つの設定を変更するだけでもページの印象はかなり変わる。

POD 判型 文字サイズ 行送り 字詰め数 行数
0.24版 B5

10pt 19pt 38 30
0.33版 B5 10pt 18pt 39 33
0.39版 B5 10pt 17pt 39 36
リリース版 B5 10pt 16.8pt 39 35

文字だけのページで四つの版面を比較してみる。
v024-1
図1 0.23版
v033-1
図2 0.33版
v039-1
図3 0.39版
v100-1
図4 リリース版

0.24版は行間の空きが広く、また上下の余白が広い。ページに余裕を感じる。
0.33版と0.39版を比較すると0.39版は印刷領域が上下に広く、上下余白がやや余裕がない印象がある。
リリース版は行間を少し詰めて、1行減らしたので上下の余裕を感じる。35行にするか、36行にするかは迷うところである。

表の組版

表のスタイルは当初は、すべてのセルの周囲に罫線を引き、ヘッダ行に網掛けする(レポートスタイル)としたが、最終的にはJIS X4151に定められているスタイルとした。CAS-UBでは、PDF生成時に、どちらかのスタイルを選択できる。また、表のセル内文字の大きさ、セル内のテキスト配置、テキストと罫線の間の空きについてもバージョンを重ねる毎に調整した。

v024-2
図5 0.24版の表

v100-2
図6 リリース版の表

図の大きさ

本書には図版が多数あるが、大きさは一律ではない。PDFを出力するとき、図の大きさはマークアップで指定できる。次は、図の幅を版面の60%にした例である(図8 リリース版)。

[[[:fig =コードポイント・字体・字形
{{:width=60% Unification-JIS.png | Unification-JIS.png}}
]]]

図のキャプションの位置も上と下を選択できる。リリース版では、図のキャプションは図の下に配置することとした。ちなみに、市販の書籍でもキャプションを図を下に置くことが多い。
v024-3
図7 0.24版の図

v100-3
図8 リリース版の図

PODのためのPDF仕様

PODのためのPDFは、アマゾンPOD仕様をベースとしている。

・PDFバージョンは1.3(透明を使えない)
・CAS-UBではPDF/X-1a:2001を指定する(PDF/X-1a:2001はPDF 1.3ベース)
・塗り足し(判型のサイズの外側に3mm)
・判型は新書~A4まで
・頁数は24~746
・ページには所定の余白が必要

POD用PDFとオンライン配布用PDFの比較

オンラインで読むためのPDFと、PODに使うためのPDFは別々に作成する必要がある。そこで、CAS-UBに、オンライン閲覧用PDF設定から、PODに使うPDF設定への変更メニューを追加した。次の点に注意が必要である。

・POD用PDFは周囲に3mmの余白が必要である。
・PDF/X-1aでは、印刷範囲(BleedBox)に注釈を置けない。
・PDFではリンクを注釈で扱うので、POD用PDFには次のようなリンクが出せない。
・目次から本文へのリンク、索引語から本文へのリンク、本部の参照リンクなど。
・POD用PDF(PDF/x-1a)では画像のカラー表現をCMYKに変換する
PODPDF-setting
図9 CAS-UB POD設定

POD版の本の販売

現在、PODで本を作る業者に依頼すれば、どこでも少部数でも製本した本を作れる。これまでにもCAS-UBで制作したレポート類を数冊、POD業者に外注して印刷・製本した実績がある。

こうして作成した本は、自社の直販と、アマゾンのe託を使って販売していた。電子版はインターネットでダウンロード販売できる。これに対して、紙の本は梱包して物流に乗せる必要がある。このため、低価格の書籍を、直接販売するのは手間とコスト面で難しい点がある。これまで出した本は、比較的高価格である。

もう少し割安になる流通手段を期待していたところ、2015年終わりにインプレスR&D社がPOD取次を始めたので、この機会に契約してPOD出版で販売することとした。

次の表はアマゾンのe託とPOD取次を比較したものであるが、e託と比べて、POD取次方式は各段に効率的である。

取り扱い POD製作 取り扱い費用 在庫負担
e託 街の業者 年会費9,000円。定価の40% 在庫負担あり。アマゾンの倉庫に納品するコストもかかる
POD取次 アマゾンが印刷製本 定価の38% PDFで取次に渡すので、在庫負担と納品コスト負担なし

e託は、常にアマゾンの倉庫の在庫をチェックして在庫がなくなったら倉庫に納める必要がある点、不便であり、コストも高い。POD取次ではPDF納品となるのがありがたい。

KPD用の書籍制作と販売

CAS-UBでは出版物の原稿を一回制作すれば、ワンボタンでEPUB、Kindle mobi形式にできる。Kindle mobi形式の販売はアマゾンKindle用のみであるが、EPUBにすればアマゾン以外の電子書店で販売できる。但し、取次を使わないのであれば個人出版を受け付けるストアのみで販売することになる。

KDPの方は、既にいろいろな本をKDPで販売していたので特段新しいことはなくスムーズに出版手続きを行えた。

PODとKDPの発売時期をできるだけ揃えたかったので、KDP登録作業は1週間後に行った。
無料配布版があることがひっかかってしまったが、無償版の配布を終了して翌日にはリリースとなった。POD版の方が発売まで予想外に日数がかかった。

販売促進

PODとKDPを使えば、誰でも、低コストで本を出版できる。大きな部数で印刷・製本して在庫を持たなくて済むのは助かる。しかし、出版したら売らなければならない。

出版社から出版される場合は、取次から書店に配本される。本自体が宣伝材料になる。しかし、個人で本を出版したら、まず、その存在を知ってもらわなければならない。存在を知られないかぎり出版していないのと同じである。

『PDFインフラストラクチャ解説』については、本を制作する段階からfacebookグループを作って参加者を募集してきた。しかし、トピックが一般大衆向けではないためか、参加者はまだ少ない。

PDFinterest facebook グループ

本を紹介するために簡単なWebページを作った。これだけでは不十分である。

『PDFインフラストラクチャ解説』Webページ

販促活動の一環として、2月16日に出版記念講演会を開催した。

『PDFインフラストラクチャ解説』出版記念 特別講演会のお知らせ

販売状況

PODで少部数の出版ができるといっても、ビジネスとして成立するかどうかは別である。まだ数字をまとめる段階ではないが、簡単にレポートする。

POD版の実績は、まだ不明である。

KDPでは、Kindle独占(セレクト)の選択ができる。現在のところ、セレクトとして登録・販売している。セレクトにするとロイヤリティ70%である。さらにアマゾンのプライム会員は毎月1冊を無料で読めるが、KDPセレクトで販売している本がその対象になるようだ。

多い日は1日500頁(KENP)以上読まれている。どうも、休日に読まれることが多いようなのは興味深い。KDPの販売部数に比べて、読まれるページ数がだんだん増えているようだ。これは、本の単価が高いことが原因かもしれない。

20160222
図9 販売部数(上)とプライムで読まれたKENPページ数(下)

現在までの実績は27部(KDP)であり、ロイヤリティは2万円強。KENPは、読まれたページ数を恐らく端末の差を調整した値のようだ。これがどのように金額に換算されるかは不明である。

いづれにせよ、単独のプロジェクトとして収支を計算すれば、制作・販売コストの回収はともなく、人件費の回収ができるかどうかはまだ分からない。長く売れれば、意外に売上が増えるかもしれない。

[1] 『日本語組版処理の要件(用語集)』では、組方向、段数、文字サイズ、字詰め数(文字数/一行)、行数、行間と段間で指定する。
[2] 『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる?
[3] 『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる? (2)紙の本と電子の本をワンソースで作りたい
[4] 『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる? (3) 電子テキストは印刷ではなく、音声の暗喩と見る方が良い
[5] 『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる? (4) 『PDFインフラストラクチャ解説』の実践例より
[6] プリントオンデマンドの本を作る デジタル書籍制作Webサービス CAS-UB

『PDFインフラストラクチャ解説』 0.55版を公開。無料配布の最終版となります。

2005年10月にブログ「PDF千夜一夜」を開始してから既に満10年を経過しました。

「PDF千夜一夜」はブログを1000日間連続で書き続けるというものでしたが、大勢の方にご愛読いただきました。

PDF千夜一夜 全記事一覧

その記事を中心に、さらに新しい話題を追加し、編集・執筆してきました『PDFインフラストラクチャ解説』。本書は、CAS-UBによるワンソース・マルチユースのユースケースとして、PDF、EPUBの形式で同時に作成するほか、随時プリントオンデマンドで紙の本をサンプルとしても作ってきました。

現在、0.55版を公開しています。

『PDFインフラストラクチャ解説』0.55版(EPUB,PDF)無料ダウンロード ~12月初旬まで
2016年1月に本書発売となり、無償配布を終了させていただきました。(『PDFインフラストラクチャ解説』POD版とKDP版が揃い踏みとなりました

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12月には1.0版として発売する予定です。

今般、弊社では、アマゾン、三省堂書店、ウェブの書斎、honto.jp、楽天ブックスなどのストアから、CAS-UBで制作した本をPOD方式で販売するサービスを始めることになりました。

お知らせ: CAS-UBで作ったPDFを、アマゾンなどから紙の本として出版するサービスを始めます。

12月には『PDFインフラストラクチャ解説』をそのルートで販売開始します。本書は、現在、内容の最終チェックと索引整備の作業に入っています。12月にストアで販売開始後は、勝手ながらPDFとEPUB版の無償ダウンロードは終了させていただきます。いまが、最後のチャンスです。

微力ながら、満10年かけて作りました。手に入らなくなる前にPDFとEPUBのダウンロードをお急ぎください。

お知らせ: CAS-UBで作ったPDFを、アマゾンなどから紙の本として出版するサービスを始めます。

アンテナハウスは、近く、CAS-UBで制作したPDF本をアマゾンなどからプリント・オンデマンド(POD)方式で紙の本として出版・販売するサービスを始めます。

本を事前に印刷して在庫を持つ負担がありません。著者に負担していただく出版・販売のための初期コストはわずか3,888円(税込み)のみです。印刷した在庫の負担はなく、売れた場合は売上に応じた印税を手にしていただけます。

概要

出版可能な書籍

CAS-UBを使用して本文PDFを制作した本

販売できるストア

アマゾン、三省堂書店、ウェブの書斎、honto.jp、楽天ブックス

本の形態

並製本、本文はモノクロ、本文24ページ~746ページ、判型は新書判~A4判

カラーについての詳細はしばらくお待ちください。

出版の条件

出版元

アンテナハウスCAS電子出版

出版条件

著者とアンテナハウス間で一点毎に非独占の出版契約を締結します。その際に内容を確認させていただき、公序良俗に反すると判断した本は出版をお断りします。また、著者には第三者の著作権を侵害していないことに関して責任を持っていただきます。内容について、原則としてそれ以外の条件はございません。

奧付

POD用PDF専用の奧付が必要です。アンテナハウスが管理するISBN番号と出版元名を記載します。

著者に用意していただくもの

本文はCAS-UBの出版物としてご用意ください。
表紙はPDF形式をご自分でご用意ください。表紙はカラーも使えます。ご要望に応じてアンテナハウスで表紙制作を承ります。
書誌情報は著者がEXCEL形式でご用意ください。
詳細な項目は出版契約時にお知らせします。

著者に負担していただく一時費用

初回出版契約締結時

3,600円+消費税(税込み:3,888円)

同一書籍2回目以降

(出版物の改訂などでPDFまたは書誌を差し替えるとき)毎回2,600円+消費税(税込み:2,808円)

定価・売上・収入

一部売れる毎に本をPODで印刷・製本する費用が発生します。
・POD費用=本文ページ数×2.5円+180円 (税別)

ストアや取次のコストは38%です。これを引いた定価の62%からPOD費用が差し引かれます。このため収入額は次になります。

・一部あたり収入額=定価×62%-POD費用

販売定価は一部あたりの収入額が赤字にならない範囲で自由に設定していただけます。
但し、上限を制限させていただく場合があります。

一部あたり収入額が赤字にならないためには次の条件が必要です。

定価≧POD費用÷0.62=(ページ数×2.5円+180円)÷0.62(税別)

例)本文200ページのとき、定価は1,097円(税別)以上としなければなりません。

総収入

一部あたり収入額に販売部数を掛けた数字が総収入となります。
総収入の累積額が1,500円(税別)を超えた場合、著者に印税をお支払いします。

収入がないように定価を設定しても問題ございません。その場合、印税の支払いはなく、一時費用以外の費用はかかりません。

著者へのお支払い

以下は、総収入があるとき該当します。
著者への印税のお支払い頻度を次のいずれかでお選びいただきます。
① 年1回(毎年11月末に締める)
② 年2回(5月末と11月末に締める)
③ 年4回(2月末、5月末、8月末、11月末の4回締める)

支払の有無判定

締め日の時点で総収入の累積未払い残高が1,500円(税別)を超えたときに支払います。(未払い残高はゼロとなります)。
未払金は繰り越します。各締め日に累積残高が1,500円(税別)に達しなかったとき、未払金は次の締め日に繰り越します。

支払い手数料と源泉税

支払い時には支払い手数料として支払い1回毎に1,000円(税別)を累積未払い残高から控除させていただきます。

支払額=累積未払い残高 ― 支払い手数料(1,000円) (税別)

支払額より源泉徴収(10.21%)を致します。銀行振り込み手数料はアンテナハウスの負担となります。源泉徴収分については税金として納付し、毎年末に年間の支払い報告書を発行します。

実際の振込み額

実際の振込額には消費税が加算されますので次の計算になります。

振込み額=支払額(税別)-支払額(税別)の10.21%+支払額にかかる消費税 

計算例

本文200頁、定価2,000円(税別)の本を10部販売したとき著者への振込額は、4,498円となり印税22.5%に相当します(印税率は定価や販売部数により変わります)。

一部あたりPOD費用(税別)=200×2.5円+180円=680円
一部当たり収入額(税別)=2,000円×62%-680円=1,240円-680円=560円
累積未払い残高(税別)=560円×10部=5,600円

支払手数料(税別):1,000円
課税対象額(税別):5,600円-1,000円=4,600円
源泉税:4,600円×10.21%=470円(減算)
消費税:4,600円×8%=368円(加算)
著者への振込金額:4,600円-470円+368円=4,498円

振込みにあたって

・初回支払前に銀行口座とお名前(本名)、ご住所の登録が必要です。
・年間支払額が5万円を超える場合、法定調書を税務署に提出するためマイナンバーをお知らせいただく必要があります。

電子書籍は

・POD版出版契約は非独占ですので、電子書籍は著者ご自身がKDPなどのセルフ出版サービスをご利用されることもできます。
・KDP登録が面倒とお考えの方は、アンテナハウスで登録代行(有償)致します。
・ご希望により「アンテナハウスCAS電子出版」としてKDPにより販売もできます。

お問い合わせ先

さらに詳しい情報につきましては、下記までお問い合わせください。
アンテナハウス株式会社:CAS電子出版担当
eメール:cas-info@antenna.co.jp
電話:03-5829-9021

その他:源泉税、消費税、マイナンバー等の扱いは法令に基づくものですので、法令が変更になったときは取り扱いが変更になります。予めご了承ください。
参考:プリントオンデマンド(PODとは)

◎改訂内容
2015年11月27日 取次の手数料が2%下がり、38%となりましたので数字を変更しました。

『本をつくる者の心 造本40年』

『本をつくる者の心 造本40年』(藤森 善貢著、日本エディターズスクール出版部、1986年発行)
四六判、上製本、262頁

20150322

藤森氏は岩波書店で長く仕事をされ、定年退職後は本づくりを軸として出版技術の体系化・教育・普及のために活動された方である。本書は藤森氏が亡くなったあと、日本エディタースクールがまとめたもので「遺稿集」にあたる。神田の古本屋で入手して一気に読んでしまった。藤森氏と縁が深かったという精興社が印刷を、牧製本が製本を担当している。刊行されてから30年近いが、読みやすく、開きやすく、堅牢にできている。造本が素晴らしい本である。

遺稿集ということで、さまざまな原稿が収録されているが、その中核は造本40年という一種の自分史にあたる章(pp. 21-144)である。

藤森氏は岩波茂雄さんの遠縁にあたる方で、岩波氏を頼って上京し、最初は2年ほど東京の書店で働き、書店が解散したあと岩波書店に入店する。昭和の初めの書店の仕事が生き生きと描かれている。岩波書店に入ってからは営業、広告を経験したあと徴兵されて、終戦後再び岩波書店に復帰した。

満州事変後、戦争が近くなった時期の警察による本の検閲や発売禁止本などへの対応の経験(pp. 31-40)を読むと出版が不自由な時代の世相を身近に感じられる。

戦後は書籍の製作にたづさわり、辞書を中心にさまざまな書籍を作ってきた。特に『広辞苑』の製作がもっとも印象深い。他にも『岩波英和辞典』新版、『岩波ロシア語辞典』、『岩波国語辞典』、などなどの実績が次々に登場して眼が眩むほどである。いまではこのような事典を新しく紙で出すのは難しいのではないだろうか。まさしく出版の輝かしい最盛期である。

藤森氏は「活字の可読性」を研究したり、「造本・装幀」、特に本が壊れない造本ということについて科学的な精神で取り組まれ、その集大成が、日本エディタースクールから発行された『出版編集技術』(上下二巻)となったようだ。

製作面の入門者には、最後の「造本上の良い本・悪い本」という章(pp. 203-245)が参考になる。1974年に行われた株式会社ほるぷの幹部研修会の講演録のようだが、最近の造本が悪くなっていることを述べ、戦後はパルプに闊葉樹を使っているため繊維が短く質が低い、短期間に製本するため膠が本に浸透しない、このため本が壊れるという。

講演録ということで若干話が横に跳んだりしているが、造本は内容・用途・刊行意図によって方式を選ぶという考え方について述べている箇所も興味深い。このポイントは、①長く読まれる専門書は30年、50年という堅牢で長期にわたってもつ紙と製本方式を選ぶことになる。このように内容によって上製本にするか、仮製本にするかを決める。②学生の引く小型事典のように使用頻度が多く、持ち運びやすいものは小型で軽く、しかも開きやすく安い、というように用途で形態が決まる。③文庫本や新書のように図書の普及を狙うものは持ち歩き、定価を安くという条件となる。

但し、今は、専門書は電子化して活用しやすくする方が重要で、紙の本は読み捨てにしても良いのではないかとも思える。このようにデジタル化によって考え方の基準を変えるべきところもあるように思う。そういう意味では批判的に検証する読書態度が必要かもしれない。

米国の本のジャケット 

『編集とはどのような仕事なのか』[1]には「8 装幀・タイトル・オビ」という章があり、装幀は日本の書籍が世界に誇る長所であるという説明がある。

これを読んで米国の本と日本の本を比べて確認してみたいと考えていたところ、昨日、たまたまシカゴのO’Hare空港で空港内の書店があったので、通りがかりにちょっと覗いてチェックしてみた。

20150313

上の写真は書店の様子である。小さな書店なのでそんなに沢山の本はないが、正面の平積になっている本を横から見てもわかる通り、ハードカバーの本はカバー(ジャケット)が付いているが、ソフトカバーの本はジャケットが付いていない。

ざっと見て回ったところ、店内の棚に並んでいる本も同じで、ハードカバーの本にはジャケットがある。しかし、ソフトカバーの本にはジャケットがなく、本の表紙が綺麗にデザインされている。

上の書店では日本の書籍にオビに相当するものが付いている本はみられなかった。

日本の書籍を書店の店頭で見ると、ハードカバーはもとよりソフトカバーも、単行本はほぼすべての本にジャケットが付いている。新書や文庫までジャケットがついている。さすがにオビは新書にはついていないことも多いが。

もとより、たまたま通りかかった米国の書店で本を少しみただけなので、結論を出というのは早すぎると思うが、ジャケットについては米国の書籍の方が合理的に思える。

PS1: facebookに投稿したところ、コメントをいただきました[2]
PS2:用語:ペーパーバック(仮製本)をソフトカバーに変更しました。

[1] 『編集とはどのような仕事なのか』
[2] 日本では書店で売られているほぼすべての本にジャケットが付いているが、これは行き過ぎではないだろうか? 

『出版社社長兼編集者兼作家の購書術 本には買い方があった!』

『出版社社長兼編集者兼作家の購書術 本には買い方があった!』(中川右介著、小学館新書、2015年2月発行)
新書判、208頁、720円+税

20150301

いまは、「本は本屋で売っている」ことを知らない人が多い(はじめに)という衝撃的な文章を読み、本当なんだろうか? と早速購入した。

本を買うための指南書というふれこみであるが、読んでみると、書かれている内容は業界人から見た書籍の流通に関する説明の量が多い、と感じる。

著者が、出版社の経営者であり、また編集者でもあるので当たり前ではあるが、しかし、タイトルと内容にずれがあるのではないだろうか。その分、中途半端なのが惜しまれる。

実際のところ、解説の内容は出版社側の観点からの、次のような話が多い。

・本の初版印刷部数について。新書・文庫は最初にする部数は1万部前後がほとんど。単行本は四六判が最も多く、定価2000円以下で大手の版元だと5000部~1万部が一般的。中小・零細版元の本は3000部が上限。版元の規模と最初の刷り部数は比例する。大手版元はコストが大きいので5000部でないと会社がやっていけないのがその理由である。(p.31)大手では分業体制になっているのでコストが大きくなるとのことだ。
・発売直後の売れ行きを初速という。売れた本か、売れなかった本かは発売直後の数週刊で決まってしまう。(p.47)
・本の値段の決め方は、内容ではなくて製造原価が大きな要因になっている。(p.169)
・印税の話(pp.172-178)

著者自身がかなり大量の本を買っており、その体験に基づく本の買い方についての説明ももちろんある。人によっては参考になるかもしれないが、東京に住んでいて、ある意味業界人としての観点の説明が多いのでかなり異端のように感じる。

今の出版界の稼ぎ頭は、パートワークなのだそうだ。(p.89)
・パートワークとは、「分冊百科」ともいう。など、定期購読もの
・隔週でCDやDVDが付いたもの
・自動車や戦車の模型がついたもの
・全部集めると帆船が組み立てられる
・十数頁の小冊子がおまけについているが、建前は冊子が本体になっている

この他、出版販売は、書籍を取次、書店経由で売るだけでなく、外商、コンビニ、オンライン書店など多様化している実情も説明されている。

やはり、これは業界もののような気がする。

『編集とはどのような仕事なのか』

『編集とはどのような仕事なのか』(鷲尾 賢也著、トランスビュー、2004年初版発行)
四六判、上製本、256頁、2,200円+税

20150221

鷲尾さんは、講談社で「現代新書」編集長、「選書メチエ」創刊を初めとして多数の書籍を編集した名編集者なのだそうだ。本書は鷲尾さんの体験をもとに現役編集者あるいは編集志望者向けの教科書であるが、「編集という仕事は個別的である。ある本に通用したことが、別な企画には役に立たない」(あとがき)ことを念頭に置いてほしいとのこと。

しかし、編集者は本書を繰り返し熟読することで学ぶものが多いように思う。以下、個人的な観点で印象に残ったことのメモである。ちなみに、私は編集者の観点で読んでいるわけではありません。

1.編集者とは何か? の章では編集の機能として次の項目を挙げている(pp.11~14)。
・プランナーである。無から有を作り出す発案者である。
・編集者は著者をたらしこまなければならない。
・フットワーク良く、雑用をこなさねばならない。
・仕事の源は人間である。人間(著者)を育てなければならない。
・志があってほしい。

4.企画の発想法
・編集者のアイデアが出発点。アイデアから著者を見つける。著者を見つけるのも企画力の一つ。
・企画は価値(インパクト)、売れ行き(採算)、実現性の3角形で見る(企画の正三角形)。
・企画力とは(解く能力よりも)問題を作る能力である。
・編集会議で企画を修正・研磨する。編集長は自分なりの正三角形をもっていること。

5.原稿依頼とプロット
・プロットとは筋、構成であり、プロットを作ってから執筆に進まないと危険である。
・近年は編集者がプロット作りに深くかかわるようになった。
・書くことは世界への働きかけ。
・読者との距離感を小さく。

6.催促と読みと修正
・原稿は少しづつもらって早いうちに軌道修正する。
・修正は、著者に繰り返し行ってもらうのが原則。編集者はどのように直して欲しいかを著者に論理的に伝える。修正は苦しいので著者に対する説得力が必要。
・編集者は読者を考えて、途中で本を放り出されないように、分ったという読後感を作り出すために動く。
・読者の目で見て読んでもらえるように。
・原稿の修正を中途半端にしたまま出すのは厳禁。

7.チェックから入稿まで
・生原稿を、一定の方針で整理(原稿手入れ)する。赤字を入れる。
・漢字とひらがなの比率、改行、表現の統一、言い回し、誤字脱字など間違い・差別表現など文章上のチェック。
・四六判は1行40字~45字、1頁14~20行。
・本の単位は32頁。これを1単位にして折という。近年は機械の進化に伴い64頁も可能である。
・目次はふつう章・節で。著者は章・節まで。本文中の項(小見出し)は編集者が挿入する読者サイドの行為。ゴシックで2行取り左寄せが多い。
・目次は自分が読んだ本の中でうまい作り方のものをコピーして真似すると良い。
・参考文献・年表・巻末資料などの作成も編集者の仕事。

8.装幀・帯・タイトル
・日本の書籍が世界に誇る長所の一つが装幀。
・店頭で売れるのか? 目立つか?

11.本に未来はあるか?
・出版社を中心としたシステムが変わる。ここにビジネスチャンスがある。

〇感想
企画の正三角形という考え方はとても面白い。では、書籍以外の製品でも成り立つだろうか、と思って考えてみた。例えばソフトウェア製品では機能構成・用途・APIまたは操作性、競争相手・販売チャネル(販売方法)などもっと多くのパラメータを考慮する必要がある。企画の正三角形というバランス感覚は重要だが、他の業界に適用するにはパラメータが足りないように思う(編集者にはあまり関係ないです)。

本書を通じて一番の印象は、「売れる本を作る」という姿勢である。なにしろ後書きの最後の1行、つまり本書の最終行が「赤字がでるのではないか、実はそればかりを心配しています。」なのだから。うーーん。本書は黒字になったのだろうか? ちなみに、CAS-UBで作って、プリント・オン・デマンドで実売印税なら赤字になることはないのでこの心配はなくなる。逆にどうしたら売上を増やせるか? というところで新しいアイデアが重要になるのだ。つまり「赤字がでることを心配する。」というのは、現在の書籍の流通のしくみを前提としているように思う。ビジネスとしては、どうやってチャンスを広げるかという思考に転換する必要があるのではないだろうかね。

『編集者の仕事』

『編集者の仕事』(柴田 光滋著、新潮新書、2010年発行)
新書版、208頁、定価700円+税

20150219

著者の柴田さんは新潮社で40年間編集経験をもつという方。本書は大学の講座での授業経験から生まれたとのこと、初心者向けにやさしく書かれている。実際に編集に携わる人へのマニュアルではなく、編集の仕事について一般教養レベルでの説明である。

本文は5部からなる。
Ⅰ 本とはモノである
Ⅱ 編集の魂は細部に宿る
Ⅲ 活字は今も生きている
Ⅳ 見える装幀・見えない装幀
Ⅴ 思い出の本から

Ⅰでは、本作りはモノを作る作業であることを、繰り返し説く。

書籍は「心得のある編集者が丁寧に作業した本か、技量のない編集者が適当にやった本かは歴然としている」(p.16)

読みやすく、心地よく頁を繰れる本が良いと言い、具体的な作りの良しあしとして次の点を例に挙げている(pp.15-23)。
・スピン(リボン)がある
・開きが良い、あるいはのど側の余白がある
・目次が内容を伝える
・目次の体裁が良い―書体や行間のバランス

テキスト(原稿)は一次元、本は三次元。本からテキストを抽象的に取り出すのは間違い(p.30)。
モノなので細部までちゃんと仕立てないといけない(p.24)。
書籍の編集はどこかで職人仕事に近い(p.31)。
本は工業生産品ではない(p.31)。

Ⅱは、本文の体裁を中心にしており、技術的な細かい説明もある

個人的には、書籍の編集に関して、微妙なところで用語や仕様が標準化されていないように感じている。本書を見ていくつか新しく理解したこともある。

例えば、四六判は127mm×188mmが標準とされているが、実際の本をモノサシで測ってみると数ミリの相違がある。どうやら製造の誤差だけではないようだ。本書によると、四六判は出版社によってサイズが微妙に異なるということで、柴田さんが長年手掛けてきたのは、130mm×191mmで新潮四六判といい、本文の行数を増やしたい時、ぎりぎりで133mm×191mmも可能(p.43)だそうだ。

実際の本ではいろいろな場所にいろいろな扉が使われている。一方、最近はEPUBの仕様書(英文)にもNaka-Tobiraという用語が登場している[1]。W3Cの文書でもNaka-Tobiraという言葉が、英語で随所に出てきている。おそらく、『日本語組版処理の要件』の影響だろう。

しかし、中扉は特に用語として不統一と感じており気持ちが悪い。つまり、①1冊の本が幾つかに分かれる時に挿入する表題を扉の形式で入れるという説明([2])と、②本文が始まる前に書名を掲げる扉という説明が二つみられる。本書では扉については次のような説明がなされている(pp.57-59)。

・別紙の本扉:書名を記した別紙。別丁扉ともいう。目次の前にある。単行本にある。
・本文紙の本扉:本文紙の最初(1頁目)の扉
・目次扉:目次が2頁以上になる場合は、目次扉を付けるのが一般的。「目次」ないし「書名+目次」を記す。
・中扉:書名を記した扉。目次の後に出てくる。本扉の繰り返しに近い。
・題扉または章扉:章題または短編集の作品名。見出しが独立したもの。

目次扉とか、題扉という用語は、あまり他で見かけたことがなかったのだが、これらは、そのままで意味が通じる・分かりやすい用語なのでもっと普及して欲しいものだ。

[1] EPUB 3.0.1 Changes from EPUB 3.0 2.11 The rendition:align-x-center propertyにThis property was added primarily to handle the problem of Naka-Tobira.とある。
[2] デジタル大辞泉の解説日本語組版処理の要件(日本語版)もこの解釈。

〇JIS X4051の中扉の定義は「書籍の内容が大きく区分される場合に、その内容の区切りを明らかにするために本文中に挿入する」(91)とある。本文の定義をみると、本文は「書籍を構成する主要部分。通常、その前には前付けがつき、その後ろには後付けがつく」(117)とある。従って、JIS X4051では、本文と前付けの間にはいる扉は、中扉ではないということになるだろう。

〇日本語組版処理の要件(日本語版)は、「中扉は,書籍の内容を大きく区分する場合に用いる.標題のために1ページを用い(改丁とする),裏面は白ページにする.」(4.1.1 見出しの種類)とある。ここはJIS X4051と同じだが、その後ろに「大きく内容を区切る要素がない場合は,前付の直後,つまり本文の先頭に書名を中扉として掲げることもよく行われている.」とあって曖昧にしている。

しかし、実際の本を調べると、書名を記した中扉と部または章扉が両方ある本も見つかる。また、章扉の裏に章の本文を入れている本もある。こうしてみると柴田さんのように中扉は本扉の繰り返しとし、題扉・章扉は部や章の表題(見出し)のスタイルの一種と考える方が良いのではないだろうか。このあたりは、実態と要求仕様のかい離が大きいように感じる。

『書籍編集制作』

『書籍編集制作』(中島 正純著、あっぷる出版社、2014年3月発行)
A5判、総頁232頁、定価2000円+税、横組

20150217

57年間一貫して編集制作に携わってきた中島さん(著者)による実務的なマニュアルである。

総論と各論に分かれており、総論は全体的な流れ、各論ではデスクワークの作業を網羅している。各論の内容は次の構成になっている。

A. 企画から原稿入手まで
B. 制作計画
C. 用紙
D. 印刷文字
E. 組版
F. 製版と刷版
G. 製本
H. 原稿整理から校正まで
I. 印刷・製本管理から納本指定まで
J. 出版原簿から広報宣伝まで

各論の内容は、各項目とも具体的で懇切である。著者の独自のやり方ではないかと思われるものも多い。

例えば、「B. 制作計画」に本の内容を順番に整理したものとして次の表が出てくる。

・順付け一覧表(pp.46-48)
・原稿数量一覧表(pp.48-49)
・順付け進行表(pp.48-49)

順付け表が印刷所との連絡面で重要な役割を果たしているようだが、順付け表という言葉は一般的なのだろうか?

「E.組版」の項はもっとも多い頁数が割かれている。版面の寸法を紙面に対する割合から計算で割り出す(pp.75-81)方法は独特ではないだろうか? 著者もいうとおり電卓を手元に置いて計算する必要がある。本文中の引用文の組み方、見出しの組み方・見出しの行取り、箇条書きの組み方、注、圏点とルビ、表の体裁も類書と比べて格段に詳しい。

用紙サイズの説明、折り方、製本なども図を多用して説明しているので、判りやすい。随所に手書きの図がでており、まさに「古い編集者の手作りの味」(「はじめに」より)がする。