IBM EPUBを社内文書の標準として使う


2月に「IBMがEPUBを社内文書の一つに正式採用」というニュースが流れました。[1]そのとき、IBMがEPUBについての白書を出すという予告がありました。5月27日にその白書が公開されました。白書自体もEPUB3になっています。

○ニュース:EPUB to Create Rich, Inclusive Content Across the Enterprise
Transforming the Mobile Experience – full paper(白書)(EPUB版の白書)

以下はその概要です。ざっと一読して記録したメモですので、詳しくは各自原文をご確認ください。

○はじめに
・コンテンツをモバイル環境向けに仕立てることを考える時期である。

○EPUBとは何か?
・EPUB3についての概要と期待

○なぜEPUBなのか?
EPUBは会社の新しい文書標準である。その理由は:
・PDFとHTMLではモバイルに不十分
・EPUBは標準であり、オープンなWeb技術ベースである
・アクセシビリティ
・PDFよりコンパクト
・対話的な文書ができる、クラウドサービスとの連携
・PDFを作るソフトのライセンスは高価
・EPUBリーダーは多い
・HTML5ベースなのでPDFより翻訳、データマイニングと分析に使いやすい
・IBMはDITAを基本の文書形式としており、DITAの生成物にEPUBを追加するのは容易
・Readium Foundationで問題を解決している
・IDPFとW3Cによる標準化推進

○製品のドキュメンテーションはDITAを使ってEPUBにする
・DITAはIBMが最初開発し、OASISに寄贈して標準となった。既に幅広い業界で利実績がある。
・IBM社内ではDITAをすべての製品のドキュメントに利用している。200万以上のトピックから1000万以上のWebページとPDFを生成している。
・DITA Open Toolkitのカスタム版でDITAからPDF, HTML, OpenDocument, RTF,ヘルプを生成している。EPUBはDITA for Publishersを使える。

○学習コンテンツを配布するためDITAとFrameMakerでEPUBにする
・EPUBは学習コンテンツを様々なデバイスに配布するのに適切である。
・DITAは、モジュール化した学習コンテンツの開発をサポートしている。Overviewトピック、Contentトピック、Summaryトピック、Assessmentトピックという学習トピック型がある。
・学習マップにより組み立てができる。
・IEEEのLOM(Learning Object Metadata)に従うメタデータドメインがある。
・Adobe FremaMaker12は、学習・訓練用のコンテンツをDITAでオーサリングするためのビルトインサポートがある。

○Adobe のInDesignでEPUBを作る
・ブランドマーケティング分野ではInDesignでPDFを作ることが多い。
・InDesign12からEPUB出力をサポートしている。
・DITAをInDesignにインポートしInDesignで洗練されたレイアウトのEPUBを作ることができる。DITAからOTで生成物の自動作成のと両方ができる。

○アクセシビリティの機能強化
・アクセシビリティの中核はオープンなWebにある。
・SVGにアクセシビリティを追加したSVG2が開発されている。SVG2をEPUBに組み込めば、アクセシブルな図版を提供できる。

○EPUB Reader
・EPUB Readerについては、Readium Foundationに期待している。しかし、Readiumはまだ実用的になっていない。
・IBMは暫定的な解決策を探した。IBM全社員向けのシステムはブラウザベースのEPUBリーダーが好都合である。Lucifox EPUBリーダーというFireFox用プラグインを採用し、Lucifoxに対してアクセシブルな機能を追加した。これは現在IBMの40万のシステムに組み込まれている。

[1]「米IBMが電子書籍ファイルフォーマットEPUB3を社内文書の1つに正式採用」、というニュースに接して。EPUBの現状と今後を少し考えてみる。

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