編集者や記者のためのガイドブックとして、「記者ハンドブック 第12版」(共同通信社編著、2011年10月11日、ISBN978-4-7641-0619-2)を調べてみます。
まず、この本の構成ですが、全体740頁のうち、先頭から630頁までが縦組みで、資料編110頁が横組みです。外国の地名・人名の表記、新聞略語集などが資料編に収容されています。縦組みで表記しにくいラテンアルファベットの英語表記は横組み頁を設けているのです。
ラテンアルファベット
正立(2-a.)
WHEN、WHERE、WHO、WHAT、WHY、HOW、5W1H、もうひとつのW、WORTH (10頁)、A欄、A+B、など(110頁)、GK、MFなど(125頁)、ウイリアム・J・クリントン(126頁)、AからBまで(127頁)、SLのかま(202頁)、CD(236頁、256頁)、DVD(256頁、276頁)、B5版(383頁)、JOC(408頁)、RSウイルス、IgA腎症(487頁)、E型肝炎、GVHD、A型、A群、HTLV1、HAM、ADH、LD、TSH、QT、IBS(488頁)、ACS、Q熱、ALS、CJD、DIC(489頁)、SARS(490頁)、PTSD、SAS、STD、ATL、GHD(491頁)、ADHD、TSH、H5N1(492頁)、SIDS、VRE、PRL、Bウイルス、ビタミンD(493頁)、CJD、GSS、FFI、CKD、CFS、COPD、MRSA、HUS(494頁)、VRE、O26、MRSA、BSE(495頁)(病気の名前はラテンアルファベット頭文字が多い)、AはBの、lockとrock(小文字だが、正立)、W杯、ASEAN(527頁)、AP、RP(528-529頁)、NHK(531頁)、JR(549頁)、CEO、COO、A氏(550頁)、A=当人、B=・・・、C=称号、D=当人(562頁)、START2、GIレース(570頁)、A340、F22、P3C(571頁)、ABCDのうち(574頁)、4WD(581頁)、SI(585頁)、kW(縦中横)(586頁)、特殊な場合のほかは、「C、F」は使わない。m、cm(縦中横)、km(同)、g、kg(同)、cc(同)、W、kW(同)を使っても良い(587頁)。これ以外にも1文字の例はいくつかありますが省略します。
横倒し(2-b.)
(外来語の書き方の項)現音の語尾の―er, ―or, ―arなどは、-yは(461頁)、語尾の-umは、語尾が-tureの(462頁)、http://www.kyodo.co.jp/(改行)feedback@kyodo.news.jp(以上、全角形で横倒し)(560頁)
先頭から587頁までのラテンアルファベットについては大文字・小文字とも原則正立で、外来語であることを明示的に示したときやURLを横倒しです。つまり横倒しが例外です。かならずしも全角形・半角形ではありません(余談ですが、WebアクセスのためにはURLは半角形が望ましいのにときどき全角形を見かけます。特に、法務省の商業登記簿謄本ではURLを全角形で表記しています。官公庁系文書ではURLを全角で表す決まりがあるのでしょうか。)。
計量単位のラテンアルファベット
ところが、主な計量単位と種類の項(590-597頁)にはラテンアルファベットの正立と横倒しが混在で出てきます。
正立(3-a.)
E, P, G, M, k, h, da, d, c, m, μ, n, p, f, a(アト), a(アール),A, ac, LD50, Ω, Å, oz, nm, M, ct, K, Kt, 24K, cd, Ci, GW, kW, C/kg, Gy, K, G, COD, ppm, cc, Sv, J, pH, dB, eV, AU, t, tn, N, Kt, Kn, Pc, Pa, BOD, ppm, ppb, ppt, μs, bu, FLOPS, MFLOPS, Bq, Hz, μm, M, nm, MPH, M, μ, MIPS, lx, R
横倒し(3-b.)
I.U., floz, cpm, car, Gal, gal, Kcal, MeV, GeV, TeV, lbt, Ltn, barrel, bit, byte, nsec, psec, (discomfort index, DI), hPa, MHz, kHz, rad, rem, lot
3-aを見ますと、1文字は正立、2文字も正立で縦中横として表記、3文字以上は大文字なら正立で縦に並べるという規則のようです。但し、3-aでppm, ppbが正立になっているのは例外ですが、これは定義箇条の見出しだからでしょうか。3-bでは小文字が混じった3文字となり、これは横倒し、( )内で英文表記とセットになっているときは大文字2文字(DI)でも横倒としているようです。全角形とか半角形の区別はないようです。
アラビア数字について
- 目次は縦組で目次の中の頁番号は3桁までの縦中横です。
- 年月日、箇条書きの項目番号、数量(X個、Xつなど)はアラビア数字ですが、2桁までは縦中横、それ以上は正立して表記しています。箇条書きの項目番号を(1)のように表記する場合、括弧まで含めて縦中横としています。(15)という4文字組(115頁)の縦中横が出てきます。
- 投票の得票数の例では2桁でも縦中横を使わずに表記しています。(534頁。電文の例だから例外かもしれません。)
このようにこの書籍の中にはアラビア数字はかなり頻繁にでてきますが、すべて正立です。2桁の縦中横数字の頻度が非常に多いのが特徴です。
新聞方式のまとめ
共同通信社のハンドブックは新聞の表記ともかなり類似していると思いますが、まとめると次のようになります。
アラビア数字はすべて正立で横倒しはない。但し原則2文字まで(まれに年齢などで上下の括弧内3文字)が縦中横です。縦中横の頻度が多いと思います。
ラテンアルファベットも原則として正立です。3-bでみるように単位が小文字交じりで3文字以上になったときのみ横倒し表記となります。全角形と半角形の使い分けはしていません。