メルマガ配信の新しいステージとEPUBのインパクトを考える―(2)メルマガの配信形式


前回はメルマガ配信スタンドの動向、有料メルマガの増加、著者個人によるメルマガ配信の可能性、などについて考えてみました。

今回は、メルマガの配信形式として、EPUBが普及するかどうかを考えて見ます。

やはり、最初に過去の歴史をさかのぼって見ます。まず、電子メールはこれまではテキスト形式が主流でHTMLメールが副次的に使われてきました。しかし、日本ではHTMLメールはあまり普及していません。米国などではHTMLメールがもっと普及していると耳にします。

「マグマグ」のベストセラーメールの配信形式をみてもHTMLメールは少ないことから、メルマガ配信形式としてのHTMLメールもあまり普及していないと言えるようです。

1. HTMLメールが普及しなかった理由

HTML形式にすることで、テキスト形式に比べて次のようなメリットがあります。

(1) 見出しなどにレイアウトをつけたり、背景をつけたり、フォントサイズ指定、フォントファミリー指定などのレイアウト指定が可能
(2) 画像をページの中に埋め込むことでいままでコンテンツの充実が図れる
(3) 表の表現ができる

こうしてみますと、表現力という点では、HTMLメールがよさそうに見えます。

しかし、HTMLメールには次のような問題点があります。

(1) HTMLメールに対応したメール閲読ソフトが必要。
(2) HTMLメールでは、スクリプトを埋め込むことができるのでこれを悪用したウイルスが可能になるという問題があり、最初の頃にかなりネガティブキャンペーンが行なわれた。
(3) テキストだけと比べて、表などのレイアウトを指定するには、プラスアルファの作業が必要になる。
(4) さらにレイアウトセンスが問われる。一人で執筆能力とレイアウト能力を兼ね備えた著者は少ない。
(5) 画像を含めることが可能になるので、それを生かすためには、テキスト能力に加えて写真やイラストなどの画像を準備することが必要になる。

有料メルマガの場合は、お客さまでもある読者に向かってウイルスを送信する著者はいないでしょうし、(1)、(2)はあまり問題にならないでしょう。

(3)~(5)からは、HTMLメールの可能性を生かすには、著者の方に文章を書くことに加えて、熱意・スキル、スキルが足りない場合にはそれを補う体制作りが必要になることがわかります。

2. EPUB版メルマガの登場

前々回(CAS-UBにメルマガインポート機能(アルファ版)を追加)
に紹介しましたが、2011年10月に津田大介さんのメルマガをEPUBに無償変換するサービスが登場したことがTwitter上で話題になりました。

その後、『津田大介の「メディアの現場」』は既にEPUB版のテキストメールとの同時配信を開始しています。また、「夜間飛行」はテキストメールとEPUBメールの同時配信を行なっています。

さらに、インプレスはEPUB版のみのメルマガを配信開始しています。このようにEPUBがメルマガの形式として採用される動きが出ています。

3. EPUB版メルマガの将来を考える

今後、これらの動きはどこまで進むのでしょうか?

・有料メルマガの間に爆発的に普及するか、
・HTMLメールと同じように、一部の著者の採用するところでとどまるのでしょうか?

EPUB版メルマガは表現力という点ではHTMLメールと類似しています。つまりHTMLメールの長所を引き継ぐことになります。

さらに、HTMLメールに無い、EPUB版メルマガの特徴として第一にパッケージ化があります。パッケージ化によって出版物としての形態を整えることができ、電子書店の店頭に並べることが可能になります。つまり流通ルートを増やせる可能性がある、ということになります。

一方で、HTMLメールが普及しなかった理由の(1)~(5)は、HTMLメールとEPUBメルマガの違いは、閲読環境のメールソフトをEPUBリーダやスマホ・タブレット環境に置き換えて考えると、EPUB版メルマガにもそのままあてはまってしまうようです。

ですので、EPUBメルマガが普及するためには、次の要件が整う必要があるのでしょう。

・まず閲読環境の普及が必須です。
・次にEPUB版メルマガの制作体制を整えること。

■■7月11日「有料メルマガライターまたは制作者のためのEPUB作成セミナー」を開催します。

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