米国旅行で、メルマガEPUBは待ち時間に読むのに最適なことを実感しました。

今日、5日ゴールデンウィークもそろそろ終盤というところです。電子書籍関係の話題では、ゴールデンウィークにfacebookに「緊デジレスキュー:経産省コンテンツ緊急電子化事業検証グループ」ができました。緊デジについてはどこかで検証は必要ですし、事業主体には説明責任を求めるべきだと思います。

さて、本題ですが、連休を利用して7泊8日米国西海岸(アナハイム、ポートランド)に遊びにいってきました。いままでの旅行では、紙の本を持っていくことが多かったのですが、今回は紙はやめてEPUBを持っていきました。

といっても、書籍ではなくて、小寺メルマガ「金曜ランチボックス」[1](夜間飛行)のEPUB版です。
以前に、CAS-UBのメルマガEPUB変換機能を開発[2]したとき、いろんなEPUBを購読してみましたが、結局、他のメルマガはすべて購読をやめて、「金曜ランチボックス」だけを継続して購読しています。

「金曜ランチボックス」は名前どおり毎週金曜日の12時に配信されます。しかし、とにかくメルマガ以外も含めてメールの受信数が多いため、どうしても読まないままで見過ごすことが多くなっています。実際、日ごろは3分の1も読んでいないように思います。もうやめようかな、とも思っていたのですが。

今回、海外旅行で飛行場などでの待ち時間が多くなりますので、思い立って「金曜ランチボックス」のバックナンバーEPUB版をまとめてダウンロードして、小型タブレット(NEXUS5)に入れてもっていきました。

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図 楽天Kobo(NEXUS5)の「金曜ランチボックス」

空き時間を利用して、メルマガEPUBをちょこちょと読みましたが、実に便利です。

1.EPUBだとオフラインで読むことができます。飛行機の中は無論オフラインです。米国では空港やホテルなどでは無料のWiFiサービスが充実しています。しかし、無料WiFiといっても初回アクセス時に、メールアドレスなど個人情報を登録要求されますのであまりむやみに登録はしたくありません。こうしたときにオフラインで読むことのできるメルマガは便利です。

それに比べますと、Webなどのオンラインニュースも良いですが、やはりオンラインのみというのは不十分です。

2.メルマガは記事もそれほど長くなく、待ち時間でさっと読むには最適な分量です。

こうしたことでメルマガEPUBの便利さを再認識しました。メルマガEPUBは配信の仕組みをもっと考えると、きっと良い媒体になるでしょう。

[1] 金曜ランチボックス
[2]メルマガEPUB変換機能を正式サービスに追加しましたほか

自動生成するカバー画像へのテキストの配置とレイアウトカスタマイズの方法(概略)

単発の単行本は、カバー画像をイラストレータなどで制作するのが良いでしょう。一方、メルマガなどでは、カバー画像に毎号変更になるテキストを埋め込む機能があると便利です。そこで、CAS-UBのV2.1ではカバー画像の自動生成機能を追加しました。

カバー画像の全体のデザインはEPUBに設定するテーマ毎に異なります。現在、テーマは横組み7種類、縦組み1種類の合計8種類あります。テキストはCAS-UBで出版物を登録する情報(出版物情報)データベースに登録したテキストを次図のように配置して画像化します。

図 CAS-UBで自動生成したカバー画像の例

・出版物タイトル、サブタイトル、発行年月日、などの登録情報を埋め込みます。
・例えば、出版物の概要には、出版物情報の「プロジェクトの概要」に設定したテキストを取り込みます。

このレイアウトはユーザーがご自分で変更することができます。
・カバー画像の元はタイトルページですので、タイトルページ用のCSS(opening.css)に修正を加えることになります。しかし、opening.cssはシステム側で用意していますので、一般のユーザーには変更することはできません。
・一般ユーザーは、style.cssの中にopening.cssに対する変更事項を記述する方法で、opening.cssのレイアウトをカスタマイズできます。
・画像生成は、AH Formatter[1]を使って行なっています。AH Formatterをプリント・メディアに位置づけて、プリント・メディアだけのレイアウト指定をすることで、EPUBリーダの表示レイアウトには影響を与えることなくカスタマイズ可能です。
・背景画像を自分で用意して、その上にテキストを配置するのもCSSを使えば簡単にできます。
・レイアウト設定は、標準のCSSに加えて、AH Formatterで独自拡張しているCSS機能を使うことができます。また、AH FormatterのデスクトップGUIを使えば、レイアウトをプレビューすることができます。
・カスタマイズ方法は近日中にドキュメント化して公開する予定です。

急いで行ないたい場合は、サポートまでお問合せください。

[1] AH Formatter

CAS-UBを本日V2.1にバージョンアップ。Kindle用に最適化したEPUB自動生成などを機能強化しました。

2012年12月20日にクラウド型電子書籍制作サービス(CAS-UB)をバージョン2.1としました。バージョン2.1では次の機能を強化しています。

Kindle用に最適化したEPUBを生成する機能

・アマゾンKindle用に最適化したEPUB(Kindlegenでmobiに変換する直前のEPUB)を生成する機能、およびそのEPUBをKindleのmobi形式に変換してダウンロードする機能を正式サポートしました。
・Kindle用のEPUBでは次のような点を最適化しています。
・カバー画像とタイトルページ(オプション)を出力します。カバーページは出力しません。
・カバー画像が指定されていないときは扉(タイトルページ)の内容からカバー画像を自動生成します。
・EPUB2用の論理目次に加えて、XHTML形式で本文の記事として扱う目次を自動生成してガイドに登録します。

Windowsヘルプ(CHM)形式の生成機能

・アプリケーション・マニュアル形式に向いた出版物の種類「マニュアル1」を正式サポートしました。
・「マニュアル1」を使うと、Windowsアプリケーションのヘルプ形式(CHM)の元ファイルをボタン一つで生成することができます。
・アプリケーション・マニュアルに最適化したレイアウトでPDFを出力できます。
・なお、今秋、バージョンアップしたアンテナハウスの『瞬簡PDF』ファミリーのマニュアルに添付しているPDFおよび製品のCHMヘルプはCAS-UBを使用して制作しています。

メルマガ変換機能の強化

・メルマガ変換で作成したEPUBを楽天KoboやAmazon Kindleストアに直ちに配信できるようにメタデータ等の設定機能を強化しました。
・メルマガ変換設定画面から、EPUBのメタ情報やカバー画像などを設定する機能を追加しました。
・これにより、電子書店に配信可能なEPUB版メルマガをワンステップで生成できます。

編集機能の強化

・出版物を構成する記事毎に過去の履歴(リビジョン)を一覧表示し、その中の指定した新・旧ふたつのリビジョンの差分を表示する機能を正式サポートしました。これを使って、記事の更新内容を確認したり、過去の記事に遡っていくことができます。
・セル結合やネストした表のような複雑な表を、CAS記法のテキストの中にXHTMLの表として埋め込む機能を正式サポートしました。
・出版物を構成するすべての記事の中の文字列を横断的に検索し、対話的に確認しながら指定した文字列に置換する機能を正式サポートしました。
・記事のタイトル、本文内の見出し、図・表のキャプションにCAS記法でマークアップする機能を追加しました。見出しやキャプションに簡単な数式を埋め込むことなどができます。

EPUB生成機能の強化

・V2.0まで「表紙」として扱っていたページを、V2.1では「カバーページ」と「タイトルページ(扉)」に分離しました。V2.0までの表紙は、カバー画像を指定したとき全画面画像の表紙となり、カバー画像を指定しないときテキストの表紙になりました。
・V2.1のカバーページには全画面のカバー画像のみを登録します。V2.0においてカバー画像を指定したときの表紙に相当します。
・V2.1のタイトルページは、書籍のタイトルなどを記述したテキスト(HTML)ページです。V2.0においてカバー画像を指定しないときの表紙に相当します。タイトルページを出力しない設定もできます。
・カバー画像が指定されていない場合、タイトルページに表示する内容からカバー画像を自動的に生成して登録します。V2.1では表紙画像を指定しないと自動的に表紙画像を作ることになります。仕様が変わっていますのでご注意ください。自動生成するカバー画像のレイアウトはタイトルページに対するCSSで設定していますので、ユーザーがレイアウトを変更することができます。
・メタデータ設定内容を見直しました。ISBNが指定されているときはISBNを優先的に出版物の固有識別子に指定します。ISBNが指定されていないとき版数と対応するUUIDを生成して固有識別子に指定します。

編集の変更点

・記事の種類を親子の関係から自動的に補完する機能を追加しました。例えば、章の下位の記事は自動的に節になるというような補完機能です。
・構成編集画面のメニューの配置を変更して、出版物記事のアウトライン(ツリー)編集をできるだけわかりやすく、使いやすくしました。

生成メニューの見直し

・出力にKindleの追加に伴い、媒体の並び順を変更しました。
・EPUB・Kindle生成設定で、EPUBのカバー画像指定画面をひとつの画面としました。
・EPUBに設定する出版物メタデータの設定画面を奥付け設定画面から「一般」画面に移しました。
・EPUB出版物の「概要」、「キーワード」をタイトルページに出力できるようにしました。
・PDF生成設定でソースコード用Monoフォントを利用可能としました。
・インポートとリストア時の処理の高速化。インポート時とリストア時に記事をバージョン管理システムに登録する方法を見直して高速化しました。

なお、出版物の種類「ノート1」のPDF生成機能を簡単なレポートなどに向いた形式に仕様を変更しています。本機能は開発中で未完成です。暫定公開の機能となります。

[1] 『瞬簡PDF』

メルマガEPUB変換機能を正式サービスに追加しました

8月10日より、CAS-UBの正式サービスに「メルマガEPUB変換」を追加します。

メルマガEPUB変換は、一定の規則で書いたメールマガジン(メルマガ)のテキストファイルをアップロードすると、規則に従ってEPUB3に自動変換するサービスです。

極簡単な操作で読み易いEPUBを作成できます。
メルマガをEPUBにすることで次のようなメリットがあります。

1. 目次を設定して、目次の項目をクリックすることで記事本文の見出しへジャンプできるようになります。
2. 大見出を設定することで、記事の先頭を見つけやすくなります。
3. メルマガのテキスト本文を読みやすくなります。
3.1 メルマガは1行毎に強制改行されているため行幅を小さくすると文章が行の途中でちぎれてしまいます。CAS-UBではEPUBにする際に段落内のテキストを結合しますので、画面の幅で改行するようになり、小さな端末画面などで読みやすくなります。
3.2 文字の大きさや1画面の文字数をEPUBリーダで変更できるようになりますので読みやすくなります。

メルマガには目次や本文の記事区切りと記事の大見出しがあります。さらに各記事の本文は記号などで見出しの飾りや目印をつけています。EPUBに自動変換するには、これらが一定の規則にしたがって書かれている必要があります。

○変換元のメルマガテキスト

メルマガEPUB変換では、規則的に書かれた飾りや目印を使ってEPUBの見出しなどに変換します。

○変換でできたEPUBをiBooksで表示

飾りや目印のつけ方をテンプレート化して「メルマガ種別」として用意しています。現在、用意している出来合いのメルマガ種別は4種類ですが、正式ユーザーの方には1種類までは無料でメルマガのテンプレートを用意します。ご希望の方は、cas-info@antenna.co.jp まで、ご相談ください。

より詳しいサービス内容やテンプレート・変換サンプルについては、次の記事をご参照ください。

メルマガ変換紹介Webページ

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メルマガEPUB変換の4つのテンプレート(サンプル兼解説)とEPUB変換結果

7月24日にCAS-UBに追加予定のメルマガEPUB変換のα版機能について紹介しました。

メルマガEPUB変換機能(アルファ版)の利用方法

続きとして現在用意している4種類のメルマガ種別(メルマガK、メルマガH、メルマガT、メルマガU)テンプレートのサンプルと解説を用意しました。また、実際に変換してEPUBを作成しました。

メルマガEPUB変換では、テキストで書かれたメルマガを、ヘッダー(タイトル)、前書き、目次、記事、フッター(奥付け)に分割して、記事毎に大見出しをつけ、さらに必要に応じて小見出しをつけます。また、目次から大見出しへのリンクを張る事で読みたい記事にジャンプできるようにします。

こうしたコンテンツの自動マークアップ処理を正しく行なうには、オリジナルのテキストを一定の規則に従って書いていただく必要があります。この書き方の雛形がテンプレートのサンプル兼解説となります。

メルマガの書き方は、作者によって異なり、数限りないパターンがあります。そこで、CAS-UBのメルマガEPUB変換ではまず代表的なメルマガを4種類選んで雛形を作成してみました。

これ以外の雛形については、作者の要望に応じて追加していく予定です。実際に変換してみたいメルマガをお持ちの方は、営業担当窓口(cas-info@antenna.co.jp)までご相談ください。

■メルマガ種別のテンプレート・サンプル兼解説

メルマガ種別 テンプレート EPUB見本 備考
メルマガK テンプレート EPUB見本 小寺信良の「金曜ランチボックス」(「夜間飛行」より配信)を参考に雛形化
メルマガH テンプレート EPUB見本 『堀江貴文のブログでは言えない話』を参考に雛形化
メルマガT テンプレート EPUB見本 津田大介の「メディアの現場」を参考に雛形化
メルマガU テンプレート EPUB見本 内田樹メールマガジン 大人の条件(「夜間飛行」より配信)を参考に雛形化

■ご案内

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メルマガEPUB変換機能(アルファ版)の利用方法

CAS-UBでは、8月上旬より、メルマガをEPUBに変換する機能を追加する予定です。

現在、CAS-UBユーザーの方は、クラウド上でアルファ版機能をお試しいただくことができます。ここで使い方について簡単に説明します。

なお、正式サービス開始時にはメニュー(利用方法)が変更になることがありますのでご了承ください。

自分で作成したメルマガであれば、この機能を使って制作したEPUB3は自由にお使いいただくことができます。(自分以外の作者のメルマガを変換した場合は、私的利用を超える利用は著作権者の許諾が必要です。)

1.メルマガEPUB変換機能の選択

CAS-UBにログインすると、ユーザー毎のホーム画面を表示します。メルマガ変換機能を使うにはホーム画面上でメルマガEPUB変換のボタンをクリックします。

2.メルマガ変換機能のメニュー

次の画面がメルマガ変換機能のメニューです。この画面で「*」がついている項目を入力します。

メルマガ種別は、現在、次の4つあります。メルマガは作者によって書き方ルールが異なるため、作者毎のルールを選択してください。

・メルマガK 
・メルマガH
・メルマガT
・メルマガU

ちなみに、この4つの種別は次の4つの有料メルマガの書き方に対応します。但し、作者が書き方を変えてしまうと、うまく変換できなくなりますので、ご注意ください。現在のところ、次の4種類のメルマガ以外を正しく変換することはできません。

・メルマガK :小寺信良の「金曜ランチボックス」(「夜間飛行」より配信)
・メルマガH :『堀江貴文のブログでは言えない話』
・メルマガT :津田大介の「メディアの現場」
・メルマガU :内田樹メールマガジン 大人の条件(「夜間飛行」より配信)

「マグマグ」より配信されているメルマガは、ファイルが分割されていますが、分割されたファイルはヘッダーとフッターを削除して、ひとつのファイルにまとめてからお試しください。

入力すべき項目をすべて入力してから、一番下の「メルマガをEPUBに変換」のボタンを押すと、変換が始まります。

変換には30秒~1分程度の時間がかかります。

3.EPUB3ダウンロード

変換が完了すると次の画面になります。ブラウザのダウンロード機能を使ってEPUBをダウンロードすることができます。

4.メルマガ変換ルール

CAS-UBのメルマガEPUB変換では、上の2項の説明にもありますように、メルマガの種別毎に変換ルールを用意しなければなりません。サービス利用してみたいというメルマガ作者の方は、メルマガ変換ルール作成についてご相談ください。

○(7/30追記)「メルマガEPUB変換の4つのテンプレート(サンプル兼解説)とEPUB変換結果」にメルマガ種別のサンプルを用意しました。

■参考資料
7月11日のセミナーでのプレゼン資料PDF

■CASオンラインショップでCAS-UBのユーザー登録することで、誰でも30日間だけ無償でご利用いただくことができます。
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メルマガを縦組みのEPUB3やPDFに自動変換する方法の検討

UTR#50の仕様のことを何回も書いていますが、CAS-UBでこのことを取り上げる理由の一つとして、横書きで書いたメルマガを縦組みのEPUB3やPDFによる電子書籍で読むことができるようにしたい、という狙いがあります。

CAS-UBでは、メルマガをEPUBに変換するサービスを計画していますが、いまのところ横組みについての目処をつけた段階です。その後の段階として縦組みはもちろん考えているのですが、縦組みにするには一段階高いハードルがあります。

そう、「文字の方向」です。ほとんどのメルマガでは、英数字と記号が頻繁に出てきます。その英数字と記号の文字コードはほとんどが、Unicodeの基本ラテンブロック(ASCII)範囲のコードになっています。そして、現在、多くのEPUBReaderは、基本ラテンブロックの文字を横倒しにしています。このためメルマガ中の英数字が全部横倒しになってしまいます。これではとても読めません。

ということで、横倒しの文字の方向を調整するのが次のハードルとなります。処理方法として①1文字ずつ正立、②数字は2文字ペアで縦中横、③文字列全体を横倒し、とするとして、この処理を行なうべき箇所がどの位あるかをカウントしてみます。

現在のメルマガの最高峰とも言える『津田大介の「メディアの現場」』(Vol.36、2012年6月30日発行)を題材にして、その中から数ページを取り上げて、①~③の発生頻度を見てみましょう。

CAS-UBでEPUB変換して縦組スタイルシートを適用したものをAdobe Digital Editions 1.8.1で表示して、①にしたら良い箇所を緑で、②にしたら良い箇所を橙で、③にしたら良い箇所を水色の枠で囲ってしめしてみました。

1.「今週のニュースピックアップ」の中の1ページ

このページは、①7箇所、②4箇所、③なしとなります。

2.津田大介クロニクルの中の1ページ

このページは、①8箇所、②1箇所、③4箇所となります。

3.今週の原発情報クリッピングの1ページ

このページは、①7箇所、②7箇所、③5箇所となります。

4.奥の細道の1ページ

このページは、①9箇所、②10箇所、③1箇所となります。

●以上の4ページだけでみますと、

①英数字を1文字ずつ正立させると良い箇所:31箇所
②数字をペアで縦中横にすると良い箇所:22箇所
③英数字を文字列全体として横倒しすると良い箇所:10箇所

となります。

いままでに様々な縦組み書籍の文字の方向を調べて、このブログで結果を報告してきました。それと凡そ同じ傾向を示しています。

数字については横倒しすると良い箇所はほとんどなくほぼ正立が望ましくなります。特に縦中横にすると良い箇所が非常に頻繁に出てくるのが特徴です。

『津田大介の「メディアの現場」』は、URLが頻出します。この例でもURLが4箇所ありますが、それを除くと通常に書かれた日本語文章で英数字を横倒しすべき箇所は少ないことが分かります。

さて、いま、手作業で方向指定方針を示したのですが、これを自動的に判別して最適なマークアップをすることができるとメルマガの縦組みEPUB、縦組み書籍化が自動的に実現できることになります。

英数字がデフォルト正立であれば、このマークアップ数は半減しますが、プログラムで処理するなら作業負荷はどっちでもそれほど変わりません。

メルマガ配信の新しいステージとEPUBのインパクトを考える―(3)メルマガビジネスの将来

『堀江貴文のブログでは言えない話』の成功により、有料メルマガのブームが始まったのですが、それでは将来はどうなるのでしょうか。

日経ビジネス2012年6月25日号の「敗軍の将、兵を語る」は「ホリエモンの獄中手記」です。その記事の最後の方に次のような文章があります:

しかし、「有料メルマガ」というメディアは大きな可能性があるかもしれません。将来は、テレビや新聞、雑誌に置き換わっていくものだと期待し、発信を続けていきます。

・有料メルマガが堀江氏の予見通り大きなメディアに成長するのでしょうか?
・そのためには何が必要なのでしょうか?

このことについて多方面から勉強してみたいと考えて、有料メルマガライターまたは制作者を対象にして、「ビジネスモデルとしての有料メルマガを考える」セミナーを開催することにしました。本セミナーでは、メルマガ評論家の渡辺文重氏をゲストにお招きして、最近の有料メルマガの動きや未来についてお話をいただきます。

また、私は、EPUBがその一つの鍵になるのではないかと考えています。そして、アンテナハウスでは、メルマガを自動でEPUB3に変換するサービスを近く開始します。本セミナーではその狙いや内容についても紹介します。

●本セミナーの概要

テーマ 有料メルマガライターまたは制作者のためのEPUB作成セミナー
~ビジネスモデルとしての有料メルマガを考える~
開催日時 2012年7月11日(水)18時30分~20時45分(受付開始18時00分)
主な内容 ・渡辺 文重氏講演「有料メルマガの未来」(45分)
・アンテナハウスのメルマガからEPUB3への変換サービスの趣旨とサービス内容説明(40分)
・質疑応答(15分)
会場 東京・秋葉原UDXビル8F ネットカンファレンス会議室B
定員 40名
参加費用 一般5,250円(消費税込み)。但し、有料メルマガ・ライターまたは制作者は発行しているメルマガを示していただいた場合、無料となります。
主催 アンテナハウス株式会社
セミナー事務局 株式会社エクスイズム
お申し込み 次のセミナー事務局の申し込みフォームでお申し込みください。
セミナー事務局申し込み先(エクスイズムのWebページにジャンプします)

メルマガ配信の新しいステージとEPUBのインパクトを考える―(2)メルマガの配信形式

前回はメルマガ配信スタンドの動向、有料メルマガの増加、著者個人によるメルマガ配信の可能性、などについて考えてみました。

今回は、メルマガの配信形式として、EPUBが普及するかどうかを考えて見ます。

やはり、最初に過去の歴史をさかのぼって見ます。まず、電子メールはこれまではテキスト形式が主流でHTMLメールが副次的に使われてきました。しかし、日本ではHTMLメールはあまり普及していません。米国などではHTMLメールがもっと普及していると耳にします。

「マグマグ」のベストセラーメールの配信形式をみてもHTMLメールは少ないことから、メルマガ配信形式としてのHTMLメールもあまり普及していないと言えるようです。

1. HTMLメールが普及しなかった理由

HTML形式にすることで、テキスト形式に比べて次のようなメリットがあります。

(1) 見出しなどにレイアウトをつけたり、背景をつけたり、フォントサイズ指定、フォントファミリー指定などのレイアウト指定が可能
(2) 画像をページの中に埋め込むことでいままでコンテンツの充実が図れる
(3) 表の表現ができる

こうしてみますと、表現力という点では、HTMLメールがよさそうに見えます。

しかし、HTMLメールには次のような問題点があります。

(1) HTMLメールに対応したメール閲読ソフトが必要。
(2) HTMLメールでは、スクリプトを埋め込むことができるのでこれを悪用したウイルスが可能になるという問題があり、最初の頃にかなりネガティブキャンペーンが行なわれた。
(3) テキストだけと比べて、表などのレイアウトを指定するには、プラスアルファの作業が必要になる。
(4) さらにレイアウトセンスが問われる。一人で執筆能力とレイアウト能力を兼ね備えた著者は少ない。
(5) 画像を含めることが可能になるので、それを生かすためには、テキスト能力に加えて写真やイラストなどの画像を準備することが必要になる。

有料メルマガの場合は、お客さまでもある読者に向かってウイルスを送信する著者はいないでしょうし、(1)、(2)はあまり問題にならないでしょう。

(3)~(5)からは、HTMLメールの可能性を生かすには、著者の方に文章を書くことに加えて、熱意・スキル、スキルが足りない場合にはそれを補う体制作りが必要になることがわかります。

2. EPUB版メルマガの登場

前々回(CAS-UBにメルマガインポート機能(アルファ版)を追加)
に紹介しましたが、2011年10月に津田大介さんのメルマガをEPUBに無償変換するサービスが登場したことがTwitter上で話題になりました。

その後、『津田大介の「メディアの現場」』は既にEPUB版のテキストメールとの同時配信を開始しています。また、「夜間飛行」はテキストメールとEPUBメールの同時配信を行なっています。

さらに、インプレスはEPUB版のみのメルマガを配信開始しています。このようにEPUBがメルマガの形式として採用される動きが出ています。

3. EPUB版メルマガの将来を考える

今後、これらの動きはどこまで進むのでしょうか?

・有料メルマガの間に爆発的に普及するか、
・HTMLメールと同じように、一部の著者の採用するところでとどまるのでしょうか?

EPUB版メルマガは表現力という点ではHTMLメールと類似しています。つまりHTMLメールの長所を引き継ぐことになります。

さらに、HTMLメールに無い、EPUB版メルマガの特徴として第一にパッケージ化があります。パッケージ化によって出版物としての形態を整えることができ、電子書店の店頭に並べることが可能になります。つまり流通ルートを増やせる可能性がある、ということになります。

一方で、HTMLメールが普及しなかった理由の(1)~(5)は、HTMLメールとEPUBメルマガの違いは、閲読環境のメールソフトをEPUBリーダやスマホ・タブレット環境に置き換えて考えると、EPUB版メルマガにもそのままあてはまってしまうようです。

ですので、EPUBメルマガが普及するためには、次の要件が整う必要があるのでしょう。

・まず閲読環境の普及が必須です。
・次にEPUB版メルマガの制作体制を整えること。

■■7月11日「有料メルマガライターまたは制作者のためのEPUB作成セミナー」を開催します。