7月1日『PDFインフラストラクチャ解説』の第2回目のBOD(ブックオンデマンド)試作版ができあがりました。CAS-UBで原稿を執筆して制作したものです。7月3日から開催の「電子出版EXPO」会場にてお手にとってご覧いただきたいと存じます。
第1回目は2月でしたので、第2回目までに4ヶ月経過しました。この間の変更点は次の通りです。
1.組版の変更
○初回試作のBOD版について組版の専門家に評価していただきました。評価いただいた結果によりCAS-UBのPDF生成レイアウトについて主に次のような点を改めました。
(1) 基本版面にY15a (B5判39文字、33行、10ポイント)を追加して、第2回目はこちらで組版しました。第1回目はY15(B5判38文字、30行、10ポイント)でしたが、ゆったりしているという印象が強かったようですのでもう少し詰めてみました。
(2) 見出しの配置を変更。第1回目で行頭寄せの方が無難という意見が多くありましたので、見出しを中央から行頭寄せに変更しました。但し、行頭1文字を空けています。(行頭を左詰めという意見が多かったのですが、実際の書籍を見ますと、1文字空けているものも多く見られます。)
(3) 章・節番号の形式を変更、章・節番号と見出しテキストの間の空き、図とキャプションの間の空きなどの空きを調整しました。
(4) 図のキャプションを下に、表のキャプションを上に設定しました。
(5) 表セル内の文字のサイズを本文の0.9倍(0.9em)、行送りを1.5emに変更しました。
(6) 注をすべて脚注に変更しました。
なお、PDFレイアウト詳細設定に機能がなかったものは機能を追加しています。PDFレイアウト詳細設定には非常に多数の設定項目がありますが、組版の専門家の意見を元にして既定値の組み合わせを決定して、それを推奨パターン(推奨テーマ)として用意し、ユーザーは推奨テーマを使うことで専門知識なしに専門家の作った組版と同じ結果を得られるようにしたいと考えています。
2.表紙の変更
表紙に無料素材画像を使っていたのですが解像度不足のため、新たにデザインしました。
3.内容の変更
内容も第1回目は0.24版(2/22)から今回は0.33版(6/20)にバージョンアップしています。主な変更は次の通りです。
(1) 9.2節 PDFにおける構造の項を追加
(2) 9.3節タグ付きPDFを追加
(3) 14.1節 Web最適化の記述を追記・編集
(4) 14.2節 アクセシビリティを追記
(5) 21.1 ~21.4節 PDF電子署名、タイムスタンプを追加。
(6) 22.6節 PDF/Aの作り方の解説を追加
(7) 22.7節 PDF長期署名(PAdES)の節を追加。
(8) その他細かい変更
内容はだいぶ増えましたが、基本版面の変更で総ページ数は前回とほぼ同じになっています。
4.参考文献の形式を変更
参考文献の形式をいろいろと調査した結果、MLA方式[2]に準じた形式を採用することにして、参考文献の形式を全面変更しました。参照元の参照形式も書き直しています。MLA方式を採用したのは、参考文献の書き方を具体的に詳しく説明していること、ウェブを参考文献に記載する方法が充実していることなどが主な理由です。
参考文献の記載方法はおおむね次の順序です。
①著者名またはそれに準じる団体名、②記事名、③書名、④発行所、⑤発行年月、⑥媒体、⑦ウェブのときURL、⑧URLへのアクセス日
発行年月が発行所の後ろに付くこと、媒体表記が特長です。
できあがったページは次のようになります。
もともとブログの記事でしたので、文章中に外部リンクを多数埋め込んでいましたが、これらをすべて参考文献に移して、参考文献から外部リンクをするようにしました。
CAS-UBは、電子書籍(EPUB、Kindle)を制作するのにご利用いただくことが多いのですが、今後の出版において紙の優位性はまだかなり長い間続くものと予想されます。そこで、紙と電子の両方の形式を簡単に制作することができるようにすることを開発目標のひとつとしています。BOD版の試作はその実現に向けての取り組みの一つとなります。
5.EPUB版、PDF版はWebから配布しています。
○『PDFインフラストラクチャ解説』(EPUB版、PDF版)は無料でダウンロードしていただくことができます。→CAS電子出版の紹介
2016年1月にPOD版とKDP版を発売しました。これに伴い、無料配布は終了いたしました。
[1] 『PDFインフラストラクチャ解説』をプリントオンデマンドで本にしてみました
[2] 「MLA Handbook for Writers of Reseach Papers, Seventh Edition」(Modern Language Association, 2009)