本のかたちを考える:基本版面のパラメータ設定の考え方を整理してみました


紙の書籍で本文を配置する領域を基本版面[1]と言います。

基本版面の設定の考え方は次のようになります。

制約条件としては判型があります。判型により出来あがりの1頁の縦・横の寸法が決まります。

基本版面を設定するとき変更できるパラメータは、1段組では、①文字のサイズ、②1行の文字数、③1頁の行数、④行間の4つです。多段組を指定する場合は段数と段間の空きがパラメータに追加になります。

基本版面の設定値が適切かどうかを評価する尺度としては、編集者や制作者の立場では1頁に入る文字数が重要でしょう。読者の立場から見ますと読み易さが大事です。

1頁の文字数は尺度としては明快です。そして、例えば、1頁に入る文字数を多くするには、判型を大きくし、文字を小さくし、1行の文字数を多くし、行数を増やします。

一方、読み易さはやや曖昧です。読み易さを決める要因は、文字の大きさ、周囲の空きの量と、行間の空きの量が大事なように思います。周囲の余白が狭いと窮屈な感じになります。また、行間が狭いと、ルビや注の合印が行間に入らなかったり、あるいは重なったりします。

以上は、一見簡単そうですが、このパラメータの組み合わせは、無数になります。そしてこれらのパラメータのどれをどういう優先度で動かすべきかということが難しい問題です。

1頁の文字数を決める項目はすべて読み易さに影響を与えます。

たぶん総体的には次のような関係になるのでしょう。

20150722

この図は大雑把なものですので、今後、もう少し詰めていきたいと考えています。続きは「本のかたちを考える:四六判・基本版面の推奨値を検討する(案)」

[1] http://www.w3.org/TR/jlreq/ja/#elements_of_kihonhanmen
[2] 本のかたちを考える:縦書・新書判と四六判の版面パラメータの比較

本のかたちを考える:基本版面のパラメータ設定の考え方を整理してみました” への2件のコメント

  1. 物理本で美しい組版だなと感じさせるものがあります。逆のものもあります。またこれは最大公約数的な可もなく不可もなく安定感をもつ標準的なものもあります。
    組版デザインは、本職のデザイナーや編集者でもなかなかやっかいな、複雑系の感覚と経験が求められる世界ではないでしょうか。
    その意味で、パラメータを自在に選択しある自己型にたどりつくのにはかなり時間がかかり、困難な作業となりそうな予感がします。
    私は表現ジャンル毎の美しい組版を類型化し、パターンから選ぶという方法もあるのではないかと考えています。パターンを微調整する限定的なパラメータは必要なのかもしれません。オートクチュールからプレタポルテへといった感じで、誰でもが電書組版の楽しさと実感を味わえるツールがあるといいなと思っています。

  2. パラメータを自在に調整できるようになると、いろんな組み合わせができてしまって、最適解から却って遠くなる可能性がありますね。それは、最近発売される本を見て実感します。DTPで自由になりすぎて、却って読みにくい本が散見されます。

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