7月8日AH Formatter事例紹介セミナーが無事終了しました。久しぶりの事例紹介セミナーでしたが多数のご参加をいただき盛況でした。
アンテナハウスの村上によるAH Formatterの機能紹介に続いて、各発表者より6つの事例紹介がありました[1]。事例は皆大変参考になるもので、発表いただいた方々にお礼申し上げます。
ところで、今回は奇しくもCSS組版とXSL-FO組版が半々で、CSSとXSL-FOはどう使い分けたら良いのだろうか、と改めて考えさせられるものでした。
シンプルなレイアウトの組版に使えるCSSの事例
①DITAとCSS組版で気軽にシングルソースパブリッシング
②メディカル業界におけるAH Formatter活用事例
③簡易マークアップとAH Formatterによる商業品質を満たした技術書籍制作フローの展望
最初の発表は、DITAをPDF化するのにCSS Formatterを採用した事例です。現在、XMLドキュメントの応用では、DITAがもっとも多いと見られます。DITAで制作したドキュメントをPDF化するフローは、DITA-OTのPDFプラグインを使うのが主流です。PDFプラグインはXSL-FO組版です。これに対して、coolia 土肥氏は、XHTMLを中間生成物とし、それをCSSで組版するというアプローチをとったところがとても斬新です。CSSはCompassで生成しているということなので、あまり複雑なレイアウト指定は難しいと思いますが、レイアウトが簡単な場合は有効でしょう。操作マニュアルでは、必要な情報を素早く見つける・検索しやすさが重要です。この場合はレイアウトはあまりこだわらず、シンプルとなります。こうしたマニュアルを作るにはCSSによる組版レイアウト指定も良い方法です。
高度なワークフローに耐えるXSL-FO組版の事例
①紙印刷からスマフォ対応までワンソースで作る取扱説明書 ~XMLを使いまわす自社開発システム「ITREX」の事例~
②XSL-FOの実践--このTony Graham氏の発表は、前半がXSL-FOがどのように使われているか、後半はJATS組版の事例です。後半の事例は4月に行なわれた米国のJATS Conferenceで発表された論文に基づく発表です。論文の日本語訳を別途公開しています[2]。
③AH Formatterを使った日本語JATS XML組版の実践
XSL-FOの発表では二つがJATSドキュメントの組版に採用した事例です。JATSは学術論文のためのXML仕様で、日本ではJ-Stageが採用していますが、まだあまりポピュラーではないようです。Tony Graham氏の事例は、XSL-FOを使ってJATSで記述した学術論文を高度なレイアウトのPDFにするということで自動組版の最先端の利用になると思います。
[1] 7月8日 AH Formatter 事例紹介セミナーのタイムテーブル(敬称は省略させていただきます)
10:30 | 開会 | |
10:35~ | AH Formatter概要説明 | アンテナハウス(株)AHFormatter開発担当者 村上真雄 |
11:05~ | DITAとCSS組版で気軽にシングルソースパブリッシング | (有)coolia 土肥弘子 |
11:35~ | メディカル業界におけるAH Formatter活用事例 | ダイコウクリエ(株) 梶原浩喜 |
12:05~ | 質疑応答 | |
12:15~ | 昼休憩 | |
13:15~ | 紙印刷からスマフォ対応までワンソースで作る取扱説明書 ~XMLを使いまわす自社開発システム「ITREX」の事例~ |
三和印刷工業(株) 代表取締役 竹内栄司 |
13:45~ | XSL-FOの実践 | Mentea Director Tony Graham (逐次通訳にて講演します) |
15:45~ | 休憩 | |
16:00~ | AH Formatterを使った日本語JATS XML組版の実践 | 中西印刷(株) 山本剛 |
16:30~ | 簡易マークアップとAH Formatterによる商業品質を満たした技術書籍制作フローの展望 | (株)トップスタジオ 武藤健志 |
17:00~ | 「カタログ作成システム」でのFormatter使用 | 共同印刷(株) 藤森良成 |
17:30~ | 質疑応答 | |
17:45~ | 閉会 |