縦組み書籍における英数字の使われ方―その2


「縦組み書籍における英数字の使われ方」についての実態を調べています。前回(1月24日)は、小説などの文学系の例を3冊とりあげました。

今回は、編集者や記者のためのガイドブックとして、「記者ハンドブック 第12版」(共同通信社編著、2011年10月11日、ISBN978-4-7641-0619-2)を調べてみます。

まず、この本の構成ですが、全体740頁のうち、先頭から630頁までが横書きですが、資料編110頁が横書きです。外国の地名・人名の表記、新聞略語集などが資料編に収容されています。縦書きで表記しにくいラテンアルファベットの英語表記は横書き頁を設けているのです。

(1)数字について
目次は縦組ですが、頁番号は3桁までの縦中横です。
年月日、箇条書きの項目番号、数量(X個、Xつなど)はアラビア数字ですが、2桁までは縦中横、それ以上は正立して表記しています。箇条書きの項目番号を(1)のように表記する場合、括弧まで含めて縦中横としています。(15)という4文字組(115頁)の縦中横が出てきます。
投票の得票数の例では2桁でも縦中横を使わずに表記しています。(534頁。電文の例だから例外かもしれません。)

書籍の中にはアラビア数字はかなり頻繁にでてきますが、すべて正立です。2桁の縦中横数字の頻度が非常に多いのが特徴です。

(2)ラテンアルファベット
2-a. 正立:WHEN、WHERE、WHO、WHAT、WHY、HOW、5W1H、もうひとつのW、WORTH (10頁)、A欄、A+B、など(110頁)、GK、MFなど(125頁)、ウイリアム・J・クリントン(126頁)、AからBまで(127頁)、SLのかま(202頁)、CD(236頁、256頁)、DVD(256頁、276頁)、B5版(383頁)、JOC(408頁)、RSウイルス、IgA腎症(487頁)、E型肝炎、GVHD、A型、A群、HTLV1、HAM、ADH、LD、TSH、QT、IBS(488頁)、ACS、Q熱、ALS、CJD、DIC(489頁)、SARS(490頁)、PTSD、SAS、STD、ATL、GHD(491頁)、ADHD、TSH、H5N1(492頁)、SIDS、VRE、PRL、Bウイルス、ビタミンD(493頁)、CJD、GSS、FFI、CKD、CFS、COPD、MRSA、HUS(494頁)、VRE、O26、MRSA、BSE(495頁)(病気の名前はラテンアルファベット頭文字が多い)、AはBの、lockとrock(小文字だが、正立)、W杯、ASEAN(527頁)、AP、RP(528-529頁)、NHK(531頁)、JR(549頁)、CEO、COO、A氏(550頁)、A=当人、B=・・・、C=称号、D=当人(562頁)、START2、GIレース(570頁)、A340、F22、P3C(571頁)、ABCDのうち(574頁)、4WD(581頁)、SI(585頁)、kW(縦中横)(586頁)、特殊な場合のほかは、「C、F」は使わない。m、cm(縦中横)、km(同)、g、kg(同)、cc(同)、W、kW(同)を使っても良い(587頁)。これ以外にも1文字の例はいくつかありますが省略します。

2-b. 横倒し:(外来語の書き方の項)現音の語尾の―er, ―or, ―arなどは、-yは(461頁)、語尾の-umは、語尾が-tureの(462頁)、http://www.kyodo.co.jp/(改行)feedback@kyodo.news.jp(以上、全角形で横倒し)(560頁)、

以上は、ラテンアルファベットについて、割合規則が明確なように思います。つまり、原則正立です。外来語であることを明示的に示したとき、URLが横倒しです。つまり横倒しが例外です。かならずしも、全角形・半角形ではありません。

(3) 計量単位の項
ところが、主な計量単位と種類の項(590-597頁)にはラテンアルファベットの正立と横倒しが混在で出てきます。

3-a. 正立:E, P, G, M, k, h, da, d, c, m, μ, n, p, f, a(アト), a(アール),A, ac, LD50, Ω, Å, oz, nm, M, ct, K, Kt, 24K, cd, Ci, GW, kW, C/kg, Gy, K, G, COD, ppm, cc, Sv, J, pH, dB, eV, AU, t, tn, N, Kt, Kn, Pc, Pa, BOD, ppm, ppb, ppt, μs, bu, FLOPS, MFLOPS, Bq, Hz, μm, M, nm, MPH, M, μ, MIPS, lx, R

3-b. 横倒し:I.U., floz, cpm, car, Gal, gal, Kcal, MeV, GeV, TeV, lbt, Ltn, barrel, bit, byte, nsec, psec, (discomfort index, DI), hPa, MHz, kHz, rad, rem, lot

3-aを見ますと、どうも、1文字は正立、2文字も正立で縦中横として表記、3文字以上は大文字なら正立で縦に並べるという規則のようです。但し、3-aでppm, ppbが正立になっているのは例外ですが、これは定義箇条の見出しだからでしょうか。3-bで、小文字が混じった3文字となりこれは横倒し、( )内で英文表記とセットになっているときは大文字2文字(DI)でも横倒としているようです。全角形とか半角形の区別はないようです。

共同通信社のハンドブックは新聞の表記ともかなり類似していると思いますが、まとめると次のようになります。

(1)アラビア数字はすべて正立で横倒しはない。但し原則2文字まで(まれに年齢などで上下の括弧内3文字)が縦中横です。縦中横の頻度が多いと思います。

(2)ラテンアルファベットも原則として正立と思います。3-bでみるように単位が小文字交じりで3文字以上になったときのみ横倒し表記となります。

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縦組み書籍における英数字の使われ方―その2” への3件のコメント

  1. ピンバック: 縦組み書籍における英数字の使われ方 | 電子書籍、電子出版のCAS-UBブログ

  2. こういうの、たいてい運用している間に例外が出てきます。カメラ雑誌ではASA400とかの400は縦中横だったわけですが、その後ASA DIN 1000とかが出てくると、横倒しにできず、4桁で縦中横になってしまいました。
    ワープロの時代も全角英数は縦に使うことを考えていましたが、度Cのような合字は中途半端なものとなってしまいました。
    組版では横のダブルコーテーションを縦ではダブルミニットは秒とは別にUnicodeのダブルプライムとも違う日本独特のグリフに置き換える習慣があり、JIS化されてパソコンに引き継がれていますが、こういうものをいつまでも踏襲しなければならないものかどうかも考えものです。大体日本の組版はパンクチュエーションの使い分けが曖昧なままです。(国語教育も含めて)

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