デジタル時代のレイアウトは、ユーザーの目に見えない神プロセス

『印刷用語ハンドブック』(帆風出版プロジェクト編、印刷学会出版部発行、2007年5月第2版)の3-3-5 レイアウトには、つぎのようにあります。

整理した原稿をまとめ組み立てる設計図で,文字,図,表,写真などの配置,大きさ,色など次工程への指示書となるものを指定することをレイアウト,または割付(わりつけ)といい,主にデザイナーの仕事である。(p. 72)

最近、ある案件で営業担当者からの相談がありました。お客さんはPDFにテキストボックス注釈をつけたいらしいのです。元のデータはデータベース(DB)に入っているらしいのにどうやってPDFがつくられるのか、営業担当者からお客さんに問い合わせしてもピンとくる返答が得られない、とのことです。

DBから新規にPDFを作り、その際に同時にテキストボックス注釈をつけるのであれば、弊社の製品では「AH Formatter」が最適です。AH Formatterでは、PDFへテキストボックス注釈を付けることができます。

AH Formatter
PDF出力における注釈

また、PDFが既にできているのであれば、弊社の製品では「PDF Tool API」で、PDFにテキストボックス注釈をつけられます。

PDF Tool API

ですので、PDFにテキスト注釈を付けるとして、それが:
①新しく作るPDFに対してなのか
②既存PDFに対してなのか
で弊社から提案するべき製品が異なります。

PDFにテキスト注釈をつける、という要件だけでなく、もう少し詳しい情報が必要です。

お客さんに面談させていただき、そのあたりを確認しました。そうしましたところ、どうやら、ご担当の方は、DBに入力すればPDFができると想定していたようです。

私たちのような組版ソフトのベンダーの担当者は、DBからPDFを作るにはレイアウト指定が必要、ということを常識として知っているわけです。しかし、普段、できあがったDBやWebを使っている立場から見ますと、フォームでデータを入力すれば自動的にPDFがでてくるように見えるわけです。

最初に紹介したアナログ印刷では、デザイナーという職種が担うレイアウト工程という役割分担があります。レイアウトが目に見える工程です。

それに対して、DBに入っているようなデジタルのデータからPDFを作るというデジタルな出版処理では、レイアウトという工程が利用者の目に見えなくなっています。

現代のデジタルパブリッシングにおいては、レイアウトはXSL-FOやCSSというレイアウト指定言語を使う開発者と自動組版ソフトが水面下で担うわけです。

ユーザーから見ますと、レイアウトは神プロセスです。