ビジネス文書EPUB化普及促進に。ブラウザベースのEPUBリーダーを企業・団体向けに提供開始のご案内

アンテナハウスではWindowsとMac OS X用で使えるEPUBリーダー「AH Reader Preview2」を開発いたしました。本EPUBリーダーは、グーグルのChromeまたはChromiumベースのChrome互換ブラウザに拡張機能として組み込んで使う「Chromeアプリ」です。

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「AH Reader Preview2」は、DRMフリーのEPUB3.0ファイルを①ローカルPC(またはインターネット上)から開いて表示、②ライブラリーに登録、③注釈を記入・保存する、といった基本機能をサポートしています。

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本EPUBリーダーは、Chromeストアから限定配布するほか、関心をお持ちの方に直接提供致します。Chromeアプリの性格上次の制約があります。

  • Chromeに組み込んで、その拡張機能として使うには、Chrome Storeから配布するバージョンを組み込む必要があります。Chrome Storeから配布するバージョンでは、EPUBをインターネットから開くことができません。
  • IronなどのChrome互換ブラウザを使えば、企業内のURLなどから独自にAH Reader Preview2を配布して、ブラウザの拡張機能としてつかうことができます。

Windowsでは、次のような「Windowsのネイティブアプリっぽい」動作を実現できます。
・ショートカットの作成
・デスクトップ
・スタートメニュー
・タスクバーに固定

(1)「AH Reader Preview2」を企業内で利用されることをご希望の場合、無保証・無サポートならば無料で提供いたします。
(2) 動作保証やサポート支援が必要な場合は、サポート契約(有償)を締結していただくことでサポート・サービスを提供します。
(3) 機能の追加や独自バージョンをご要望される場合は、「AH Reader Preview2」に、有償で機能追加したり、カスタマイズ版EPUBリーダーを制作・提供できます。

関心をお持ちの方は、cas-info@antenna.co.jpまでお問い合わせください。(メールをお送りいただく場合、@を半角形にした上で送信してください)。

2011年に策定されたEPUB3.0から日本語の縦書きをサポートしたことで、EPUB3は電子書店から販売する電子書籍のデファクトスタンダードになりました。

一方、業務マニュアル、製品マニュアル、技術・事務文書などのビジネス関連文書の多くはPDFで配布・交換されています。PDFは画面の小さなタブレットやスマホでは読みにくいため、今後は、ビジネス関連文書をタブレットやスマホでも読みやすいようにEPUB形式で配布するようになると予想されます。例えば、IBMは既にオフィス文書の標準形式としてEPUBを採用しています[1]。また、米国ではカンファレンスなどの発表資料をEPUBで配布するケースが見られます[2]

現在、EPUBで作成したビジネス文書を表示しようとしてもWindows, Macなどではなかなか良いリーダーがありません。これは、多くのEPUBリーダーが電子書籍ストアから提供されているためです。電子書籍ストアから提供されているEPUBリーダーにはKobo、Book☆Walkerのようにストアとは関係なく制作・配布されている電子書籍を読めるものがあります[3]が、そのリーダーの多くは多かれすくなかれストアの販売促進の役割を担っています。

こうしたことから、今後はビジネス文書を表示するための優れた汎用EPUBリーダーが必要になるでしょう。AH Reader Preview2は、オフィス文書EPUBの表示用途の汎用EPUBリーダーとして位置付けています。

[1] IBM EPUBを社内文書の標準として使う
[2] Balisage: The Markup Conference 2014 Preliminary Proceedings
[3] EPUBリーダーを集めてみる

オープンソース収益化のモデル(メモ)

Gigazineに「オープンソースによる収益化への挑戦」[1]という記事がありました。内容はニューヨークタイムズのブログの記事の紹介のようです。これも一種のオープンソースの利用方法のようなものですが。オープンソースは、利用者には便利この上ないものです。

しかし、オープンソースを提供する立場で考えると、穴の開いたバケツで水(収益)をくむようなものです。収益が穴からこぼれてしまうので、ビジネスモデルとしては難しいところがあります。

ニューヨークタイムズの紹介しているBit Switch Networksの例は、フリーミアムモデルの一種でしょう。つまり、無償の見本と有償の製品を用意して、無償で客を集めて有償製品を売るという方法です。しかし、無料から有料への転換はなかなか難しいものです。

このほかによくあるモデルは補完モデルです。つまり、有償の製品を用意するとともに、無償の補完ツールをオープンソースで提供する方法です。小さな例ですが、アンテナハウスでもPDF5[2]というオープンソースを提供しています。これは、DITAで、AH Formatterという有償製品を選択してもらうためのツールです。PDF5があることによって、DITAのユーザーがAH Formatterを選択しやすくなります。差別化戦略の一つにもなります。

オープンソースの主流は、もっと広い意味での補完モデルでしょう。たとえば、Google がChromeを提供するのも結局は検索エンジンや広告媒体としてのGoogleの利用を増やそうということが目標と思われます。

あとはサービスモデルがあります。つまり、オープンソースの提供者は、自らがそのツールについて詳しいのですから、それを使って企業などに付加価値サービスを提供するというもの。アンテナハウスはDITAのスタイルシートを開発するサービスを行っています[3]が、これはPDF5というオープンソースをお客さんの企業のために自らカスタマイズするサービスです。サービスモデルの問題点は、競争相手も同じオープンソースを使うことができるので、結局、ノウハウを競争相手に提供することになりかねないことです。(続がちょっと:オープンソース収益化のモデル(メモ) 続き

最近、なかなかうまいなと感じたのは、Hypothes.isのモデルです。Hypothes.isについては前回のブログ「注釈実装と注釈サービスの拡大、EPUBリーダーでの実装、および注釈の標準化への動き。」[4]で紹介しました。自らを非営利法人として、スポンサーを募って資金を集める方法です。お金持ちの財団、大学の財団などの慈善団体から資金を集めるというやり方です。これは一種の喜捨モデルと言えます。

ここにいくつかの類型を上げましたが、実際のビジネスではもっといろんなモデルのために知恵を絞っていかねばならないと思います。

[1]オープンソースによる収益化への挑戦
[2]DITAをPDFにするには
[3]アンテナハウスDITAサービス
[4]注釈実装と注釈サービスの拡大、EPUBリーダーでの実装、および注釈の標準化への動き。