縦組みリフロー書籍のKindle PaperwhiteとiPad版での見え方の相違(メモ)

CA-UBで制作した縦組み書籍(mobi形式)がAmazon Kindle ストアで発売されました。

「転職の法律があなたを守る ―転職の法律36か条―」(Amazon Kindle版)(360円)

そこで、早速、自分で購入して、Paperwhite(以下、Kindle PW版)と、iOS版のKindleアプリ(Kindle for iPad V3.4 [2]。以下、Kindle iOS版)で見え方を比較してみました。Kindle PW版は縦組みリーダとして安定しています。一方、Kindle iOS版は不具合があり、電子書籍のリーダとしてまだ不安定という印象があります。こういった問題はいずれ解決されるでしょうから、あまり気にしなくても良いとは思いますが。

1.Kindle iOS版での縦組み

Mobi形式の電子書籍を、Send-to-KindleやUSB経由でコピーした電子書籍はKindle iOS版では縦組みになりません。しかし、AmazonのKindle Storeから正規に購入した本は問題なく縦組みになります。

2.目次

本書では、HTML目次をSpineの先頭に登録するとともにGuideに登録し、また別途EPUB版NCX目次を設定しています。[1]

(1) Kindle PW版でのナビゲーションは、HTML目次と移動メニューになります。移動メニューは次のように表示されます。

(2) Kindle iOS版では、HTML目次は表示されますが、NCXは表示されません。「移動」メニューには、HTML目次へのリンクが設定されています。

ちなみに Kindle iOS版では、HTML目次はつぎのように表示されます。

3.文字の位置

Kindle iOS版では文字種によって、行の中央に配置されない文字があります。本書で出てくる文字種はかなり少ないのですが、次のような文字に問題があります。

①丸付き数字

丸付き数字が行の右側に寄って、行間が広がっています。Kindle PW版は問題ありません。

②丸記号

丸記号(○)が行の右側に寄って、行間が広がっています。Kindle PW版は問題ありません。

③三点リーダ

三点リーダが行の左側に寄っています。Kindle PW版は中央になり、問題ありません。

4.縦中横について

索引語が2箇所以上出てくるときアラビア数字で順番を設定しています。このアラビア数字を正立させるため縦中横を指定しています。この縦中横指定した数字の表示が、Kindle PW版では正しいですが、Kindle iOS版は文字が小さく、しかも右によっています。次の図では(1)、(2)の中の1、2に縦中横を指定しています。

○マークアップ
<a href="0032.html#_30032_2e_2e1">(<span class="tcy">2</span>)</a>

○CSS
span.tcy {
-webkit-text-combine: horizontal;
-epub-text-combine: horizontal;
-moz-text-combine: horizontal;
-ms-text-combine: horizontal;
-o-text-combine: horizontal;
text-combine: horizontal;

}

(1)Kindle PW版

(2)Kindle iOS版

5.CSSのレイアウト

(1)Kindle iOS版では行の左右の空きがなくなるケースがあります。これはスクロールの仕方によっては右側の空きが現れるケースもあり、やや不安定です。

上のように行の右空きがなくなりますが、同一の箇所が、スクロールの仕方によって下のように表示されることがあります。

Kindle PW版は常に次の図のようになります。PW版は安定しています。

(2)同じような例ですが、次のようなケースもあります。マークアップやスタイルシートの指定は同じなので、不安定という印象を持ちます。

Kindle iOS版で角丸め・右空きがなくなるケース、同表示されるケース

Kindle PW版は常に次の図のようになります。

[1] Kindle mobi形式サンプルとKindle 専用のEPUBと一般のEPUBの相違点(リフロー型の場合)
[2] iPadはiOS6.0.1です。

Kindle mobi形式サンプルとKindle 専用のEPUBと一般のEPUBの相違点(リフロー型の場合)

CAS-UB V2.1でKindle正式対応しましたので、サンプルページのブログ記事EPUB版にKindle形式を追加しました。

CAS-UB Sampleの3.3 CAS-SUPPORTブログ記事のEPUB版-2012年11月のブログの項にあります。

簡単に相違点を説明します。

1.EPUB3形式は一般のEPUB3リーダ向けとなります。
2.mobi形式は次のKindle専用EPUB形式をKindlegenでmobi形式に変換した結果となります。
3.Kindle専用EPUB形式は、Kindle専用に最適化(特殊化という方が適切かもしれません)したEPUBです。

標準のEPUB3とKindle用のEPUBの相違点は次の通りです。

1.カバー画像の登録
(1)標準のEPUB3:
・manifest に登録:<item href="cover.png" id="idcoverpng" media-type="image/png" properties="cover-image"/>
なお、metaにもカバー画像を登録していますが、これはEPUB2リーダ用のためなのでEPUB3では意味がありません。

(2)Kindle専用EPUB形式: 
・metaに登録: <meta content="idcoverpng" name="cover"/>
・manifest に登録:<item href="cover.png" id="idcoverpng" media-type="image/png"/>

2.カバーページ
(1)標準のEPUB3: 
・cover.htmlを出力、そのimg要素にcover.jpegを指定する。cover.htmlをmanifestとspineに登録する。

※カバーページはnavやncxには登録していません。通常の書籍では目次に表紙は登録しないのでその類推からです。

(2)Kindle専用EPUB形式: 
・cover.htmlは出力しない。Kindleは、カバー画像として登録した画像を表紙として扱うため。

3.目次
(1)標準のEPUB3: 
・nav.htmlを出力し、manifestに次のように登録:<item href="nav.html" id="nav" media-type="application/xhtml+xml" properties="nav"/>
なお、ncxも出力していますが、これはEPUB2リーダ用に互換にするためですので、EPUB3では意味はありません。

(2)Kindle専用EPUB形式: 
・EPUB2形式の論理目次toc.ncxを生成する。
・・manfestに登録:<item href="toc.ncx" id="ncx" media-type="application/x-dtbncx+xml"/>
・・spineに登録:<spine toc="ncx">
・HTML形式の目次toc.htmlを生成する。
・・manifestに登録:<item href="toc.html" id="toc" media-type="application/xhtml+xml"/>
・・spineに登録:<itemref idref="toc"/>
・・toc.htmlをguideに登録:<guide><reference href="toc.html" title="Table of Contents" type="toc"/><reference href="cover.png" title="Cover Image" type="cover"/></guide>

Kindle専用EPUBをKindlegenでmobiに変換したときの、ログは次の通りです。CSSにKindleでサポートしていないプロパティを設定しているという警告がありますが、それを除くと警告・エラーはありません。

—ここから—

*********************************************************
Amazon.com kindlegen(Linux) V2.7 build 1019-d6e4792
コマンドライン電子書籍コンパイラ
Copyright Amazon.com 2012
*********************************************************

情報(prcgen):I1047: metadata が追加されました dc:Title “CAS-SUPPORT ブログ 2012年11月分”
情報(prcgen):I1047: metadata が追加されました dc:Date “2012-12-22”
情報(prcgen):I1047: metadata が追加されました dc:Creator “CAS-SUPPORT”
情報(cssparser):I10004: @import、@charset、および @font-face 以外のアットルールはサポートされていません。
情報(prcgen):I1002: ファイルを解析 0000011
警告(htmlprocessor):W28003: コンテンツの CSS プロパティに指定された値は Kindle リーダーではサポートされていません。プロパティの使用方法については、Kindle 出版ガイドラインをご参照ください: ‘position: relative’ ファイル内で:/tmp/mobi-2zYgdk/OEBPS/themes/normal-serif/common.css
警告(htmlprocessor):W28003: コンテンツの CSS プロパティに指定された値は Kindle リーダーではサポートされていません。プロパティの使用方法については、Kindle 出版ガイドラインをご参照ください: ‘position: absolute’ ファイル内で:/tmp/mobi-2zYgdk/OEBPS/themes/normal-serif/common.css
警告(htmlprocessor):W28001: コンテンツで指定された CSS スタイルは Kindle リーダーではサポートされていません。CSS プロパティの削除: ‘max-width’ ファイル内で:/tmp/mobi-2zYgdk/OEBPS/themes/normal-serif/common.css
情報(prcgen):I1015: PRC ファイルを構築します
情報(prcgen):I1006: ハイパーリンクを解決します
情報(prcgen):I1008: 読書開始位置を解決します
情報(prcgen):I1049: 目次を構築します URL:/tmp/mobi-2zYgdk/OEBPS/toc.ncx
情報(pagemap):I8000: 本の中にページマップが見つかりません
情報(prcgen):I1045: 本で使用されている UNICODE の範囲を計算しています
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: Basic Latin [20..7E]
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: Katakana [30A0..30FF]
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: Hiragana [3040..309F]
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: CJK Unified Ideographs [4E00..9FFF]
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: General Punctuation – other than Windows 1252 [2015..2017]
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: Chinese, Japanese, and Korean (CJK) Symbols and Punctuation [3000..303F]
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: Halfwidth and Fullwidth Forms [FF00..FFEF]
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: Geometric Shapes [25A0..25FF]
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: Arrows [2190..21FF]
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: Enclosed Alphanumerics [2460..24FF]
情報(prcgen):I1017: PRC ファイルを構築、カウントを記録します: 0000011
情報(prcgen):I1039: 最終的な統計情報 – テキストは以下に圧縮されました(元のサイズの%): 49.12%
情報(prcgen):I1040: 文書の識別子は以下の通りです: “CAS-SUPPORT_WTK_2012A11MQ”
情報(prcgen):I1041: ファイルフォーマットのバージョンは V 6
情報(prcgen):I1031: PRC ファイルを保存します
情報(prcgen):I1032: PRC が正常に構築されました
情報(prcgen):I1016: 強化 PRC ファイルを構築します
情報(prcgen):I1007: mediaidlinks を解決します
情報(prcgen):I1011: mediaidlinks を書き込みます
情報(prcgen):I1009: ガイド項目を解決します
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: General Punctuation – Windows 1252 [2013..2014]
情報(prcgen):I1046: UNICODE の範囲が見つかりました: Basic Greek [370..3FF]
情報(prcgen):I1017: PRC ファイルを構築、カウントを記録します: 0000020
情報(prcgen):I1039: 最終的な統計情報 – テキストは以下に圧縮されました(元のサイズの%): 49.79%
情報(prcgen):I1041: ファイルフォーマットのバージョンは V 8
情報(prcgen):I15000: おおよその標準 Mobi 送信可能ファイルサイズ: 0000455KB
情報(prcgen):I15001: おおよその KF8 配信可能ファイルサイズ: 0000475KB
情報(prcgen):I1036: mobi ファイルが正常に構築されました
—ここまで—

※疑問点

◎これで良いはずなのですが疑問が一つあります:Kindle paperwhiteの「移動」メニューに「目次」へのリンクが表示されません

19日のJEPAにおける説明会でも、目次へのリンクメニューから目次ページに飛べるようにするには、opfのguideにtocを追加すればよいとあります。また説明会の後、アマゾンの方にお聞きしたところ、目次ページ(toc.html)へのリンクは、guideにあれば、ncxに登録しなくても自動的に作られるとのことです。アマゾンの説明とPaperwhiteの挙動が食い違っているように思います。

ということで、またまた嵌っている・・・

何か、間違いがあるのでしょうか?ご存知の方ぜひお教えください。

◎そうそう、もうひとつ思い出しました。

アマゾンの資料には、目次(toc.html)はspineの先頭におくようにと書かれています。で、いまは、その通り先頭においているのですが、目次が先頭で本当に良いんだろうか?

普通の本は、扉や前付けの後ろに目次を置くのですが・・・

◎Kindlegenが出す、「本の中にページマップが見つかりません」というメッセージについては、アマゾンの「Kindle Publishing Guidelines」(Version 2012.4)には説明がありません。悩んでいる人が多いようです。どうも、page-mapはアドビの独自機能で、非標準。ページ番号とEPUBの記事の対応付けをするためのXML形式らしいです。

自動生成するカバー画像へのテキストの配置とレイアウトカスタマイズの方法(概略)

単発の単行本は、カバー画像をイラストレータなどで制作するのが良いでしょう。一方、メルマガなどでは、カバー画像に毎号変更になるテキストを埋め込む機能があると便利です。そこで、CAS-UBのV2.1ではカバー画像の自動生成機能を追加しました。

カバー画像の全体のデザインはEPUBに設定するテーマ毎に異なります。現在、テーマは横組み7種類、縦組み1種類の合計8種類あります。テキストはCAS-UBで出版物を登録する情報(出版物情報)データベースに登録したテキストを次図のように配置して画像化します。

図 CAS-UBで自動生成したカバー画像の例

・出版物タイトル、サブタイトル、発行年月日、などの登録情報を埋め込みます。
・例えば、出版物の概要には、出版物情報の「プロジェクトの概要」に設定したテキストを取り込みます。

このレイアウトはユーザーがご自分で変更することができます。
・カバー画像の元はタイトルページですので、タイトルページ用のCSS(opening.css)に修正を加えることになります。しかし、opening.cssはシステム側で用意していますので、一般のユーザーには変更することはできません。
・一般ユーザーは、style.cssの中にopening.cssに対する変更事項を記述する方法で、opening.cssのレイアウトをカスタマイズできます。
・画像生成は、AH Formatter[1]を使って行なっています。AH Formatterをプリント・メディアに位置づけて、プリント・メディアだけのレイアウト指定をすることで、EPUBリーダの表示レイアウトには影響を与えることなくカスタマイズ可能です。
・背景画像を自分で用意して、その上にテキストを配置するのもCSSを使えば簡単にできます。
・レイアウト設定は、標準のCSSに加えて、AH Formatterで独自拡張しているCSS機能を使うことができます。また、AH FormatterのデスクトップGUIを使えば、レイアウトをプレビューすることができます。
・カスタマイズ方法は近日中にドキュメント化して公開する予定です。

急いで行ないたい場合は、サポートまでお問合せください。

[1] AH Formatter

CAS-UBを本日V2.1にバージョンアップ。Kindle用に最適化したEPUB自動生成などを機能強化しました。

2012年12月20日にクラウド型電子書籍制作サービス(CAS-UB)をバージョン2.1としました。バージョン2.1では次の機能を強化しています。

Kindle用に最適化したEPUBを生成する機能

・アマゾンKindle用に最適化したEPUB(Kindlegenでmobiに変換する直前のEPUB)を生成する機能、およびそのEPUBをKindleのmobi形式に変換してダウンロードする機能を正式サポートしました。
・Kindle用のEPUBでは次のような点を最適化しています。
・カバー画像とタイトルページ(オプション)を出力します。カバーページは出力しません。
・カバー画像が指定されていないときは扉(タイトルページ)の内容からカバー画像を自動生成します。
・EPUB2用の論理目次に加えて、XHTML形式で本文の記事として扱う目次を自動生成してガイドに登録します。

Windowsヘルプ(CHM)形式の生成機能

・アプリケーション・マニュアル形式に向いた出版物の種類「マニュアル1」を正式サポートしました。
・「マニュアル1」を使うと、Windowsアプリケーションのヘルプ形式(CHM)の元ファイルをボタン一つで生成することができます。
・アプリケーション・マニュアルに最適化したレイアウトでPDFを出力できます。
・なお、今秋、バージョンアップしたアンテナハウスの『瞬簡PDF』ファミリーのマニュアルに添付しているPDFおよび製品のCHMヘルプはCAS-UBを使用して制作しています。

メルマガ変換機能の強化

・メルマガ変換で作成したEPUBを楽天KoboやAmazon Kindleストアに直ちに配信できるようにメタデータ等の設定機能を強化しました。
・メルマガ変換設定画面から、EPUBのメタ情報やカバー画像などを設定する機能を追加しました。
・これにより、電子書店に配信可能なEPUB版メルマガをワンステップで生成できます。

編集機能の強化

・出版物を構成する記事毎に過去の履歴(リビジョン)を一覧表示し、その中の指定した新・旧ふたつのリビジョンの差分を表示する機能を正式サポートしました。これを使って、記事の更新内容を確認したり、過去の記事に遡っていくことができます。
・セル結合やネストした表のような複雑な表を、CAS記法のテキストの中にXHTMLの表として埋め込む機能を正式サポートしました。
・出版物を構成するすべての記事の中の文字列を横断的に検索し、対話的に確認しながら指定した文字列に置換する機能を正式サポートしました。
・記事のタイトル、本文内の見出し、図・表のキャプションにCAS記法でマークアップする機能を追加しました。見出しやキャプションに簡単な数式を埋め込むことなどができます。

EPUB生成機能の強化

・V2.0まで「表紙」として扱っていたページを、V2.1では「カバーページ」と「タイトルページ(扉)」に分離しました。V2.0までの表紙は、カバー画像を指定したとき全画面画像の表紙となり、カバー画像を指定しないときテキストの表紙になりました。
・V2.1のカバーページには全画面のカバー画像のみを登録します。V2.0においてカバー画像を指定したときの表紙に相当します。
・V2.1のタイトルページは、書籍のタイトルなどを記述したテキスト(HTML)ページです。V2.0においてカバー画像を指定しないときの表紙に相当します。タイトルページを出力しない設定もできます。
・カバー画像が指定されていない場合、タイトルページに表示する内容からカバー画像を自動的に生成して登録します。V2.1では表紙画像を指定しないと自動的に表紙画像を作ることになります。仕様が変わっていますのでご注意ください。自動生成するカバー画像のレイアウトはタイトルページに対するCSSで設定していますので、ユーザーがレイアウトを変更することができます。
・メタデータ設定内容を見直しました。ISBNが指定されているときはISBNを優先的に出版物の固有識別子に指定します。ISBNが指定されていないとき版数と対応するUUIDを生成して固有識別子に指定します。

編集の変更点

・記事の種類を親子の関係から自動的に補完する機能を追加しました。例えば、章の下位の記事は自動的に節になるというような補完機能です。
・構成編集画面のメニューの配置を変更して、出版物記事のアウトライン(ツリー)編集をできるだけわかりやすく、使いやすくしました。

生成メニューの見直し

・出力にKindleの追加に伴い、媒体の並び順を変更しました。
・EPUB・Kindle生成設定で、EPUBのカバー画像指定画面をひとつの画面としました。
・EPUBに設定する出版物メタデータの設定画面を奥付け設定画面から「一般」画面に移しました。
・EPUB出版物の「概要」、「キーワード」をタイトルページに出力できるようにしました。
・PDF生成設定でソースコード用Monoフォントを利用可能としました。
・インポートとリストア時の処理の高速化。インポート時とリストア時に記事をバージョン管理システムに登録する方法を見直して高速化しました。

なお、出版物の種類「ノート1」のPDF生成機能を簡単なレポートなどに向いた形式に仕様を変更しています。本機能は開発中で未完成です。暫定公開の機能となります。

[1] 『瞬簡PDF』

CAS-UBで制作したEPUB版のKindle、Koboでの販売について(メモ)

楽天Koboに続き、Amazon Kindleによる電子書籍の販売が始まったことで、ようやく、CAS-UBなどで制作したEPUB版電子書籍を広く販売することができるようになりました。

EPUB電子書籍を取り扱うWeb販売サイトはこれまでもありましたが、やはり、Amazon Kindleの登場により、EPUB書籍の販売が初めて本格化したと言えます。

折角作った書籍も、流通・販売する手段がないのでは、宝の持ち腐れです。CAS-UBは、書籍をゼロから自分で作る人たち向けのサービスですので、流通・販売までの環境が整って、ようやくその真価が発揮できるというもの。

多数のタイトルをもつ出版社であればAmazonと直接契約して電子書籍を販売することができます。そうでない個人の著者や小さな出版社にとっては、どうなのでしょうか。

こうした人達のための情報として、自分で制作したEPUB書籍をAmazonなどで流す方法について簡単に整理してみました。まだまだ経験不足ですが、今日の時点でわかっていることをとりあえずご紹介します。

1.Amazon Kindleの場合

(1) Amazon Kindleから販売する場合、編集・制作者ご自身がKindle Direct Publishing(KDP)と契約して販売する

実際の体験例:「CAS-UBで制作したEPUB3をAmazon KDPで販売してみました

(2) Amazon Kindleへの流通契約を結んだ代理店を経由する方法。

  • エクスイズム、Kindleへの代理店として取り扱いを開始[1]

KDPの入稿形式は、EPUBのみではなく、Microsoft Word(主に英文)、HTML、XMDFも扱っています。しかし、EPUBの方がトラブルが少なく、また、最終版に近い形式で入稿できるという点で、Microsoft Wordによる入稿より遥かに優れているといえます。

KDPで本格的に販売することを目指すならば、カバー画像を制作するべきなのでしょう。しかし、たとえば、技術情報やちょっとしたノウハウを伝授したい人あるいは情報を共有するとこを目的にするのなら、カバー画像までプロに頼んで制作するのはなかなか大変です。そこで、このあたりはCAS-UBで自動的にできるように準備中です。

KDPは日本在住の場合、ロイヤリティは定価の35%になります。さらに、米国のIRS(日本の国税庁に相当)に30%の源泉税を納めることになりますので、手元にはいるロイヤリティは24.5%となります[2]。あとは、銀行に入金するのはロイヤリティが1,000円溜まってからとなります。

KDPを使うか、代理店を使うかは、どうでしょうか?

代理店のロイヤリティは、15%~20%(CAS-UBのアカウントなし)、25%~30%(CAS-UBのアカウントあり)となっています。Kindleので、KDPによる販売と大よそ同じです。代理店を使う場合の最大のメリットは、Webでいろいろな手続きを行なったり、書籍のメタデータの登録などの手間が省けることでしょう。また、Kindleだけではなくて、他の販売サイトへの取次なども一元化できることになります。

代理店の場合は、カバー画像の制作などの相談にも乗ってもらえますので、相談相手がほしい場合も、代理店経由の方が便利でしょう。

2.楽天Koboの場合

(1) Googleで検索してみますと、Kobo Writing Lifeという自費出版サービスがあり、日本語も使えるようになっているようです。但し、まだ試していません。

(2) エクスイズムで、Koboへの配信も行なっています。

3.その他

もうひとつの大所は、Google Playです。Google Playでの配信についても試してみたいと思っていますので、また後日整理いたします。

[1] EPUB3の制作代行からストア販売支援まで【eXism Short Magazine】スタート
[2] 源泉税は、日米租税条約にもとづく書類を提出すれば不要になります。また、Amazonから源泉徴収票を入手して日本で確定申告すれば、還付されるのではないかと思いますが、未確認です。税のことは税務署で相談してみると良いと思います。

Kindlegenの奇妙な動作に、再び、はまる―表紙画像が表示されないのはなぜ?

CAS-UBの12月20日Kindle mobi形式正式サポートの機能をチェックしていて、またまたKindlegenの奇妙な動作にはまってしまいました。

CAS-UBの12月20日版ではカバー(表紙)画像について、ユーザーが画像ファイルを指定していないとき、システムが扉(タイトルページ)から自動生成する機能を用意します。そして、そのカバー画像をKindleのカバー画像として登録します。

しかし、うまく登録できないように見えることがあります。次の図をご覧ください。同じようなタイトルページから自動生成したカバー画像をもつふたつのEPUBファイルをKindelgenでmobiに変換し、二つのmobiファイルをKindle Paperwhiteのドキュメント一覧で見たものです。

・テストデータ
ロゴがないmobiファイル
ロゴがあるmobiファイル

右は、カバー画像が見えますが、左はカバー画像がない状態(Kindleが自動的に作った画像)となっています。

なぜなのかなあ?

変換する前の、ふたつのEPUBファイルのカバー画像の相違は、一方は、EPUBファイル内に発行所ロゴがないため、タイトルページから画像を生成するときにブロークンイメージになっているもの、他方は発行所ロゴが正しくはいっているものです。

Kindelgenでmobiに変換する前のEPUB3をiBooks3で見ますと次のようになります。EPUB3の状態では、二つのカバー画像の相違点は、ロゴがあるかどうかのみです。

・テストデータ
ロゴがないEPUB3
ロゴがあるEPUB3

変換元のEPUBに入っている画像ファイルは、いずれも、600×800ピクセルのPNGです。ロゴがないほうはファイルサイズ4.54KB、ロゴがある方はファイルサイズ24.3KBという相違です。

わずかな相違にみえるのですが、Kindlegenで変換したmobi形式を解凍してみますと、なぜか、まったく異なります。

・ロゴがないほうの変換結果(mobi8のフォルダー下のimageフォルダー)

・ロゴがあるほうの変換結果(mobi8のフォルダー下のimageフォルダー)

・600×800ピクセルのPNGが一方はGIFになり、他方はJPEGになっています。
・両方とも180×240ピクセルのサムネイル画像(JPEG)ができています。

ということで次のような疑問が沸きます。

(1) PNGからGIFまたはJPEGに変換する使い分けはどうなっているんだろう?
(2) ロゴがないほうもサムネイル画像ができているのに、Paperwhiteのドキュメント一覧でカバー画像が表示されないのはなぜ?

(1) はKindlegenが画像をGIFにしようが、JPEGにしようが別に好きなようにやって構わない、要はきちんと表示できればそれで良い、といえば終わりですが、問題は(2)です。
(2) はPaperwhiteのバグではないかと思うのですが・・・

アウトライン、アウトライン、アウトラインーWordのアウトライン→CAS-UBのアウトライン→PDFとEPUBのアウトライン

1.Microsoft Wordのアウトライン機能

Wordでは、多くの場合、印刷レイアウトで文書を編集すると思います。印刷レイアウトではアウトラインを操作するメニューは見えません。「見出し1」「見出し2」というような見出しスタイルを設定すると文字の大きさなどの「見出しスタイル」の一部としてアウトラインが設定されます。

①Word文書の「印刷レイアウト」表示

②Word文書の「アウトライン」表示

Wordの表示モードをアウトラインに切り替えると、文書のアウトライン構造が見えます。この画面ではアウトライン・メニューの左右矢印(← →)により段落のアウトラインレベルを直接操作することができます。

2.CAS-UBのアウトライン

CAS-UBではひとつの出版物を複数の記事に分割して構成することができます。Word文書をCAS-UBにインポートするときは、Wordのアウトラインのレベルで文書を分割します。分割点として、レベル1~レベル3を選択できます。

次に分割の概念と例を示します。

2-1 アウトライン・レベル1で分割

上の例にあげたWord文書をレベル1で分割すると次のようになります。

①概念図

②読み込んだ結果(ドラフト→主原稿に移したところ)

最初の記事の編集メニューでは、タイトルが「見出し1-1」となり、見出し1-1の本文と見出し1-2とその本文および見出し1-3とその本文は、本文編集フォームにあります。見出し1-2の行頭は「=」でマークアップされており、見出しであることがわかります。

2-1 アウトラインレベル2で分割

①概念図

②読み込んだ結果(ドラフト→主原稿に移したところ)

レベル1の記事を章とし、レベル2の記事を、その下位に配置するツリー構造になります。

3.PDFとEPUBにおけるアウトライン

次に、このようにしてCAS-UBで編集した出版物をPDFとEPUBにしてみます。なお、PDFとEPUBにするとき、章番号や節番号を自動的に付与することができますが、このためには、記事に「章」「節」という属性を設定する必要があります。

なお、章番号や節番号を付与しない設定にできますので、たとえば、各記事の番号をご自分で手でつけている場合は、章番号・節番号を生成しないように設定してください。

3-1 PDF生成

①レベル1で分割した結果をPDFに出したとき

②レベル2で分割した結果をPDFに出したとき

①と②ではPDFには違いがありません。なぜならば、PDFにするとき、すべての記事を先頭から結合してひとつにまとめるためです。見出しの配置(左寄せ、余白)、フォントのサイズ、明朝・ゴシックなどは設定変更できます。

3-2 EPUB

①レベル1で分割した結果をEPUBに出したとき

EPUBファイル

②レベル2で分割した結果をEPUBに出したとき

EPUBファイル

①と②の相違は、章のタイトルと章の本文、節のタイトルと節の本文、といった組毎にひとつのファイルになっているか、それとも章のタイトル以下が章単位でひとつのファイルになるか、の相違です。つまり、ファイルの分割点の相違のみです。

EPUBで章の扉を単独のファイルにするかどうか、などの扱いは次のように考えます。

(1)章扉を作り、章扉のテキストをセンタリングしたり、画像を配置するなどの扉独自の扱いをする場合はファイルを分割しておくほうが良いと思います。
(2)章の見出しと本文の間には空きを入れるだけで、見出しと同一ページに本文や節を続けていく場合は、ファイルを分割しない方が良いことになります。

CAS-UBで制作したEPUB3をAmazon KDPで販売してみました

CAS-UBは12月20日のアップデートで、Amazon Kindle対応を正式機能とする予定です。そのチェックもかねて、CAS-UBで制作したEPUB版の書籍をKDP(Kindle Direct Publishing)で販売してみました。

ためしということで、今回、個人でKDPアカウントを作ってみました。KDPにアカウントを作ることはいまさら説明することもないくらい簡単です[1]。

素材としては、CAS-UBで今年の初めから書いてきた「縦組みにおける英数字正立論」をEPUB3にしたものを使います。

Kindleでは表紙(カバー)画像とか目次について守ったほうが良いガイドがありますが、今回はこれを無視して、表紙画像なし、目次はEPUB標準のNAV形式とNCX目次の両方を設定しています。

12月10日の朝8時過ぎ(出社する前)にアップしました。そうしましたら、夕方16時過ぎにはもうKindle Storeで発売されました。わずか8時間程度でリリースというすばやさです。

・今回、表紙画像を用意しませんでしたので、表紙画像なしとなっています。表紙画像なしでも販売はできるようです。
・販売元が「Amazon Services International, Inc.」になっています。
・とりあえず、値段は240円(3ドル)としてみました。価格には税込みか税別かは記載されていません。

今回はテストが目的なので、自分で購入してみます。Kindleで本を買うのは簡単です。購入後にアカウントサービスでMy Kindleを見ると購入した書籍が保管されています。

ここから端末(Kindle Paperwhite)に配信してみます。Papewhiteで問題なく最後まで読むことができます。

Kindle本をPCにダウンロードすることもできます。

ダウンロードしたKindle本のファイルは拡張子azw3となっています。このファイルをMobiUnpack 0.47で開こうとしましたが、エラーになります。アップロードする際「DRMなし」で設定したので、DRMが原因ではないと思いますが、MobiUnpack 0.47は、azw3形式には未対応なのでしょうか? ということで残念ながら、EPUBからの変換結果がどうなっているかは確認できません。

iPad版のKindleアプリでもクラウドからダウンロードして読むことができます(次の図)。

自分で本をアップロードして、自分で1冊購入したのですが、販売レポートを見ると、「な!なんと!販売実績2冊」です!!

どなたか、奇特な方にお求めいただいたようです。ありがとうございました!

ということでCAS-UBで制作したEPUB3本をKindleで発売する第一段階のテストは終わりました。

あとは、表紙画像と目次ですね。

・表紙画像は、CAS-UBでは、ユーザーが自分で用意することができますので、その機能を使えば問題ないだろうと思いますが、12月20日版で表紙画像を自動生成する機能があります。それが使えるかどうか? 確認しておきたいと思います。

・今回制作したのはEPUB3形式ですが、NCX形式の目次も設定しています。Papwewhiteでは「移動」メニューに、この目次が表示されますので、最低限の目次は付いています。しかし、本文にHTML形式の目次も用意するのがベターです。この機能も12月20日段階で用意する予定です。

なにはともあれ。CAS-UBで制作したEPUBをKDPで販売するのは思いのほか簡単です。販売数量を増やすのは、また別の問題なのですが。

[1] 本当は契約書をきちんと読まないといけないのです。実はそれが一番時間がかかるでしょう。とりあえず注意すべきことをあげておきます。KDPの著者ロイヤリティは35%と70%があるのですが、日本では35%しかないので選択の余地がありません。また、アマゾンの米国法人との契約になるため、著者のロイヤリティから、30%をアマゾンが源泉してIRS(合衆国の国税徴収機関)に収めます。このため、著者に払われるのは定価の35%×70%になるようです。但し、日米租税条約に基づく書類を提出することで30%のIRSへの源泉税支払いは免除されます。
[2] (12/15)読み返したところ、説明文中でNAVとNCXを取り違えている箇所がありましたので、訂正しました。

Word 文書をCAS-UBでEPUBにーCAS-UB Wordインポートはどこまでできる?

1昨日と昨日の2日間、CAS-UBのWordインポート機能を用いて、簡単にEPUBが作れることを紹介しましたが、今回はさらに突っ込んで、Word の機能の「どこまで」が利用できるのか、もうちょっと突っ込みたいと思います。

次のよく使うであろう項目について、WordからCAS-UBへのインポートで設定が再利用できるかどうかを示します。
なお、Wordインポート機能につきましては、逐次改善の予定です。

機能名 結果 備考
見出し
強調(太字)
強調(イタリック)
下線
箇条書き
外部リンク
表の挿入
写真、画像の貼り付け 作成方法に依存することがあります。
SmartArt ×
囲み文字、囲み線 ×
ルビ(ふりがな) Word2003以前(doc)では不可
取り消し線 ×
上付き、下付き文字

いかがでしょうか。Wordでこれだけ作れば、CAS-UBへインポートした後の編集はさらに容易になります。

Word 文書をCAS-UBでEPUBに~Wordのアウトライン機能を使おう!(EPUB生成)

(昨日の続き)CAS-UBにインポートした原稿を記事編集画面で確認したのち、EPUBに出力してみましょう!

次が、「記事編集」画面のトップ画面です。昨日ご紹介したように、Wordのアウトライン機能を使うと、このように自動的にツリー構造で記事がエントリーされます。

各記事エントリーを見てみましょう。
各記事は、下図のように、Wordのアウトライン設定に従って、見出し「レベル1」(または「レベル2」)は、記事の「タイトル」に反映され、各見出しレベル直下に配置された「本文」は、編集画面に反映されています

誤字脱字や、表現を変えたりするときは、この画面を使って編集を行います。

下図は、「構成編集」の画面です。

ここでは、「出版物の型」を設定します(緑色の円枠)。どんな形で出版物を出したいのか、というところを設定するのですが、「書籍1」が通常の冊子物書籍となります。

書籍の構造について、上下の記事の入れ換えや削除指定等を行うには、「構成編集」画面で行うことができます(今回はやりません)。

最後に、「生成」リンクをクリックします。EPUB出力の最終工程に入りました!

CAS-UBでは、リフロー型のEPUB2、EPUB3、Kindle(暫定対応中)のほか、PDF、Webスナップショット、HTMLヘルプ(Windowsアプリケーション用)を生成できます。今回は、EPUB3を生成します。

生成画面から「EPUB3」生成設定カテゴリから本文内容設定を選択、表示します(下図)。

ここで、CSSのテーマを決めます。CSSのテーマとはEPUB向けの書籍の全体的なレイアウトと考えてください。いくつか種類があるので、好きなテーマを選択し、保存します。

これで、最低限の設定は済みました。画面の右上「EPUB3を生成」リンクをクリックします。確認画面が出ます。しばらく待って、確認のリンクをクリックします。生成完了だと、確認の文字が「ダウンロード」に変わります。生成途中の場合は、上部に「生成中」と出ます。

ダウンロードリンクをクリックし、任意の場所にダウンロードします。
EPUB3のリーダーはいくつかあります。まとめて紹介しているサイトがありますので、ぜひご覧ください。

下の図は、Adobe Digital Editionsで表示したEPUB3です。

Wordに貼り付けられた画像ファイル(png、jpegなどラスター画像。図形描写は不可)や、表をそのままCAS-UBに反映することができます。