今年もPage2013に、CAS-UBやAH Formatterを中心に出展いたします。

アンテナハウスは、2月6日(水)~2月8日(金)東京・池袋サンシャインシティコンベンションセンター TOKYO(展示ホー ルD:文化会館2F) で開催されるPage 2013に出展します。

■Pageでの弊社の主要出展内容

主に次の製品を展示いたします。説明員がデモの用意をしてお待ちしていますので、ぜひご来場ください。

1) CAS-UB

ワンソースでブックオンデマンド書籍のためのPDF制作、EPUB・Kindle形式の電子書籍の制作を同時に行なうことができます。

2) XMDFtoEPUB変換ツール

XMDFのソースXMLから、EPUBに変換できます。「電書協フォーマット」対応のEPUBを出力することもできます。

3) AH Formatter

(1) 多言語組版

AH FormaterV6.0では南アジア・東南アジアの文字はデバナガリ(Devanagari)文字とタイ(Thai)文字のみのサポートです。V6.1でインド系文字にベンガリ(Bengali)、グジャラーティ(Gujarati)、タミール(Tamil)、テルグ(Telgu)、グルムキ(Gurmukhi)、オリア(Oriya)、カンナダ(Kannada)、マラヤラム(Malayalam)の8文字を追加、東南アジア系文字にクメール(Khmer)文字の組版をサポートします。

(2) 数式組版

数式組版についてもV6.1に向けて機能強化中です。

■出展情報
ブース番号:D-26
入場費用 :1,000円(下記までお問い合わせいただければ無料入場券を送付いたします)
お問い合わせ:03-5829-9021 
e-mail:sis@antenna.co.jp

プリント・オン・デマンド(POD)の衝撃ーーインプレスR&D 「Next Publishingメソッド」セミナーの感想

1月22日のJEPA EPUBセミナー「インプレスR&D 『Next Publishingメソッド』紹介」はショックでした。

○セミナー資料は注を参照

『Next Publishingメソッド』の、プリント・オン・デマンド(POD)による冊子版とEPUBによる電子書籍を同時に作って販売するというハイブリッド出版のコンセプトは、2010年スタート時のCAS-UB開発の狙いそのもの[1]。インプレスR&Dの井芹社長のコンセプトとCAS-UBのコンセプトは、制作システムの開発コンセプトという観点ではまったく同じと言って良いほどです。

後述のようにCAS-UBはWebサービスとして、むしろ、インプレスR&D の「Next Publishing Tool」よりもだいぶ先行していると言っても過言ではありません。そういう意味で、本セミナーもテクニカルな、システムという観点では新味を感じることはありませんでした。しかし、ビジネスとしての展開という点では、インプレスR&Dが既に一定のビジネスモデルの段階に達しているのに、CAS-UBはまだ新しいビジネスモデルを提案できていません。

インプレスR&Dの井芹社長のまとめによりますと、ハイブリッド出版では、「Amazonの販売のケースで、電子は紙の25%(Kindle登場前は5%)」だそうです。つまり、Kindle Storeが開店した今の時点でも、紙の方が3倍売れているということになります。従って、EPUB版だけではなく同時に紙版を出すのは必須です。

トラディショナルな出版では、最初に印刷で大部数を刷ってしまうために様々な理由でハイリスクとなります。そこにPODを採用する妙味があります。

CAS-UBの開発スタート時のコンセプトは、大よそ、そうなるだろうと予想した上で、これを簡単に実現する出版制作の仕組みを提供する、ということです。

これを実際に、出版のビジネスとして実行して、数値で実証的に示し、ビジネスモデルとして提示したということが『Next Publishingメソッド』の衝撃です。

『Next Publishingメソッド』が、Word文書をEPUB化するのに使っている「Next Publishing Tool」のデモンストレーションを拝見したのは今回が初めてです。そして、このデモを拝見して、「Next Publishing Tool」の弱点がどこかも直ぐに分かりました。おそらくEPUBを作るシステムとしては、CAS-UBの方が優れていると思います。

また、プリント・オン・デマンド用のPDFを作る仕組みも、手前味噌ですがCAS-UBの方が優れていると思います[2]。

CAS-UBで、実際にPODによる冊子本とEPUB/Kindleの電子書籍を制作・販売したひとつの例を次に紹介しています。

「転職の法律があなたを守る」プリント版ができあがりました

この「転職の法律があなたを守る」の冊子版のできばえは、出版社の方も「うそだろ」といった、というほどです。EPUB版は楽天Kobo ストアで販売しています。また、Kindle版はアマゾンのKindleストアから販売しています。

「転職の法律があなたを守る」EPUB版(楽天Koboストア)
「転職の法律があなたを守る」Kindle版(Kindle Store)

このように書籍を作るシステムとしては、『Next Publishingメソッド』とCAS-UBはおなじことができます。また、CAS-UBはWebサービスとして開発していますので、その分、自社の社内ツールと思われる「Next Publishing Tool」よりも汎用的です。

しかし、残念ながら、現在のところ、CAS-UBは、お客さんの視点からはEPUBを作るサービスとしてしか見られていないように思います。

アンテナハウスでは、CAS-UBのトレーニング・セミナーを開催しています[3]が、このセミナーに見えるお客さんはほとんどがWordからEPUBを制作する、ということに惹かれているようです。

このように残念ながら、CAS-UBはPODのツールとしてはほとんど注目されていません。

この理由はPODが単に本を作るための方法論として捉えられてしまっているためだろうと思います。本を作るための方法論として考えれば、PODを行なうにしても、InDesignで版下を作れば十分です。PODだけの目的でCAS-UBを使う理由はそれほどありません。

しかし、PODとEPUBをデジタルファーストの手段として、もっと広義には新しい出版ビジネスのモデル構築手段として捉えなければならない、ということだろうと思います。

つまり、CAS-UBを新しいビジネスモデルとして提示する、ということをしなければいけないのです。これができていない、ということを痛烈に反省しました。

[0] セミナー資料:EPUB 第20回 インプレスR&D 「Next Publishingメソッド」紹介
[1] ハイブリッド出版という言葉は、2010年末のプレゼンで既に使いました。また、2011年2月のWebでも使っています。その後、あまりにもダサいと考えて削除してしまいましたが。当時のニュース・リリース:ニュース・リリース
[2] 本当はその理由を具体的に説明しないと公平ではないと思いますが、このブログではシステムの優劣を論じるのが目的ではないので、とりあえず省略します。
[3] CAS-UBのトレーニング・セミナー

PDFはなくなり、EPUBが代わって普及する、というシナリオ

最近、会う人毎に、「いずれは紙はなくなるだろう。紙がなくなれば、紙をデジタル化したものであるPDFも一緒になくなるだろう。そのとき、PDFにとって変わるのはEPUBだろう。」と吹聴しています[1]。

紙はいずれなくなるだろう、ということは20世紀の終わり、OA機器が登場したころからペーパーレス・オフィスとして取りざたされてきました。しかし、紙がなくなるというのは、特に日本においては、あまり現実性をもって受け止められてきませんでした。ところが、最近状況は変化しているようです。

(1) 紙の需要は減少している

紙の需要の統計を見てみますと、新聞用紙は2006年の376万トンをピークに減少しています。印刷・情報用紙も1,204万トンをピークに減少に転じています[2]。10年以上に渉って紙がなくなるといわれながら、予想を裏切って紙の需要が増えていたのですが、しかし漸く2006年を転換点にして実際に減少傾向に転じています。2008年のリーマンショック以降はさらに大幅減になっています。

2006年の転換はWebの影響でしょう。ではこれからはどうなるでしょうか?

タブレットが普及し始めたのは2010年ですが、最近のタブレット人気を見ますと、今度はタブレットも紙の減少に拍車をかけるのではないでしょうか。2012年以降の統計に注目したいところです。

(2) 紙がなくなると、ボーンデジタル文書をPDFにする必然性はなくなる

PDFは紙に印刷する情報を、紙を想定するレイアウトを維持したままでデジタルデータにしたものです。つまりPDFは紙を模倣するデータ形式です。紙とPDFは技術的には一連托生と言えます。紙が要らない時代には電子的に閲覧するデータをPDFにしなければならない理由はまったく存在しません。

オフィスで一般的なA4用紙サイズにテキストをレイアウトしたPDFは、9.7インチ・ディスプレイのiPadでも、画面上の文字が小さくて読むのにかなり苦労します。これから一人で複数台のタブレットを使う時代がやってくるのでしょうが、そのときは、おそらく6インチ、7インチのタブレットも使い分けることになるはずです。6インチ、7インチのタブレットではA4用紙サイズのPDFでは文字が小さすぎてとても読むことができません。

デジタル機器の画面で閲読することを考えると、PDFはあまり適切ではないと言えます。

(3) PDFに変わるデジタルデータ形式はWebそれともEPUB?

いままでのところ、紙が減少している原因はWebです。つまり、紙=PDFはWebに敗れつつあると言っても過言ではないのです。では、今後ともすべてがWebに移るでしょうか?

ここで注目したいのがいま電子書籍の形式として注目を集めているEPUBです。WebとEPUBを比較しますと、Webはパッケージして流通させることができないという欠点をもつのに対して、EPUBはパッケージして流通させることができます。その点で従来の書面や冊子にとって変わることのできる特性を備えています。

このように「紙がなくなるときPDFもなくなり、それに代わるものとしてEPUBが普及する」というシナリオにはかなりの現実性があります。

(4) ではEPUBが紙に変わって普及するための鍵はなんでしょうか?

いくつかあげてみます。

a. 閲読デバイスの解像度の飛躍的アップ

iPadの最初のものを買ったときは、iBooksがそれほど読みやすいとも思わなかったのですが、レティナディスプレイ版に変えてからは非常に読みやすくなりました。やはりディスプレイの解像度が高くなることは非常に重要です。このスピードなのですが、iPadの初版からレティナディスプレィ版まで1年半程度しかかかっていません。解像度がこのスピードで高くなるとすると、もうそう遠くない時期に紙に印刷するのと遜色のない解像度による画面表示ができるようになるでしょう。

b. 通信速度のアップとDropboxのようなファイル共有方式の普及

PCで文書を作成し、それをiPadに送るのが非常に手軽にできるようになりました。PC+iPad+Dropboxと高速なWiFiを組み合わせれば、PDF・EPUBを手軽にiPad(iBooks)にデータを送ることができます。紙に印刷するのと同等の便利さで端末を使って、電子文書を読むことができます。

c. EPUBをレンダリングするリーダ

EPUBを可視化するための必須でかつ重要な要素はEPUBリーダであり、優れたEPUBリーダの登場がキーポイントなのは自明です。
これについては、EPUBのレンダリングエンジンとしてWebKitの開発が進んでいます。当社でもAH Readerを用意しています[3]。

(5) EPUB時代がもうすぐ到来する

自分自身が会社で読む書類について言えば、紙に印刷することは、この半年の間にほとんどなくなりました。まだ他の人からもらう文書はPDFが多いのですが、自分で作る文書はEPUBが多くなっています。電子文書を読むのにiPadを使っているとEPUBで読むほうがはるかに読みやすいのです。もうすぐEPUB時代が到来するのではないか、という実感をもっています。

[1]これはかなり大げさで、書面として存在する文書をデジタル化するときはやはりPDFが便利です。つまり、紙の消滅過程は、まず、ボーンデジタルの文書が紙に出力されなくなり、これはPDFの消滅に繋がるだろうと思います。次に書面を電子化するステップですが、これは紙そのものの電子化なのでPDFが残る可能性があります。
[2]日本製紙連合会・紙板紙の需要推移
[3] AH Reader

CAS-SUPPORTのブログ 2012年12月分をEPUB3とKindle mobi形式にまとめました

昨年12月のブログ記事をEPUB3とKindle mobi形式にまとめて次のサンプルページに掲載しました。

CAS-UBサンプル・ページ

*EPUB3はこちら:12月のブログ記事(EPUB3版)
*mobiはこちら:12月のブログ記事(mobi版)

もとの(この)ブログはWordPressです。

手順は次の通りです。

1.WordPressから投稿のエクスポート機能をつかって、1か月分のファイルをエクスポート

2.CAS-UBの[ドラフト]⇒[インポート]でインポートファイルの形式をWordPpress(WXR)とします。

3.1.でエクスポートしたファイルを、指定してアップロード。

4.記事をすべて選んで「主原稿」に移します。

5.画像がエクスポートされないので、画像を直接アップロードします。

6.あとは細かい編集調整をおこなってEPUB3とKindle形式に出力します。

「転職の法律があなたを守る」プリント版ができあがりました

CAS-UBで制作した「転職の法律があなたを守る」PDF版からブック・オン・デマンドで制作した本ができあがりました。

前回のブログ(12/29)でご紹介しましたように、本書の電子版は12月下旬にAmazon Kindlストアで発売されました。

「転職の法律があなたを守る ―転職の法律36か条―」(Amazon Kindle版)(360円)

これで電子版と紙版がそろったことになります。紙版はこんな感じです。

(1) 表紙

(2) 目次

(3) 本文

○書誌情報
書名:「転職の法律があなたを守る―転職の法律三六か条―」
版型:新書版、索引含めて171頁
発行日:平成25年1月18日(第一版)
著者:小林 秀男
発行所:アンテナハウス株式会社CAS電子出版
ISBN: 978-4-900552-08-1
定価:本体680円+税

昨年はKindleストアが日本で開店するなどの動きがあり、電子書籍に注目が集まっています。長い目でみますと、書籍は電子化し、紙が減っていくのは確かです。しかし、まだしばらく(数年以上)は紙と電子の並存が重要な課題です。

CAS-UBを使うと、特別な再編集の手間をかけることなく、高品質の電子書籍(EPUB版、Kindle版)と印刷した本を同時に作り出すことができます。