『PDFインフラストラクチャ解説』をプリントオンデマンドで本にしてみました

CAS-UBで製作中の『PDFインフラストラクチャ解説』をプリントオンデマンドで紙の本にしてみました。表紙と本文のページは次のような感じになります。

○表紙

○本文

本書はCAS-UBのPDFレイアウトをプリントオンデマンドで本にして組版を評価する目的で用意したものです。ですので内容はまだ未完成でかなりスカスカです。また、イメージ画像の大きさなども未調整です。

しかし、PDFで見たときと紙に印刷してみた時では、余白・行間などの印象がまったく異なります。CAS-UBのPDFレイアウトはやはり本の形にしてみて評価ながら修正しないといけないようです。

それにしてもブックオンデマンドによる本作りはなかなかコスト面が厳しそうです。今回作ったのはB5版で10部、内訳はモノクロページとして目次:10ページ、本文:246ページ、表紙と裏表紙はカラーです。それで10部で18,000円弱(1部1,800円弱)となりました。

希望小売価格を2,500円程度に設定すれば赤字にはならないでしょうが、利益はでないでしょう。

次の図はAmazonのPOD価格をもとにページ数別に本の印刷と製本コストを計算したものです。参考のためWebで公開されている某POD本つくりのサイトの価格も比較してみました。こうしてみますと、今回作った本は、Amazonのプリントオンデマンド価格と比べると倍以上割高です。某社のサイトと比べると判型が異なりますが、なんとなく某社よりも高いような・・・

このままだと、販売価格は1頁あたり10円近くに設定しなければなりません。販売する本をプリントオンデマンドで作って、それを商売にするには印刷・製本コストをもう少し下げることが条件になりそうです。このあたりもう少し整理して、3月4日の次のセミナーでお話したいと考えています。

3月4日のセミナー:デジタルファーストの時代 売れる本の書き方を教えます~アマゾンで売れる本を作るには~

○『PDFインフラストラクチャ解説』(EPUB版、PDF版)は無料でダウンロードしていただくことができます。→CAS電子出版の紹介

2016年1月にPOD版とKDPで本書を発売しました。これに際し、無料ダウンロードは終了いたしました。

「紙か電子か」ではなく、「紙も電子も」の発想で。CAS-UBで電子と紙の本をシームレスに制作する

電子書籍に関して、「紙と比べて電子は**だからだめ」という趣旨の発言を時々見かける。一方で、電子書籍関係者はEPUBだKindleだとやかましく騒いでいる。新しい電子書籍制作ツールにしてもEPUB・Kindle版をつくることしかできない、という類のものが多い。

しかし、出版ビジネスのモデルを考える上では、紙か電子かという2者択一の議論ではなく、紙も電子もという議論が重要だと思う。どうやって紙と電子を両立させるか、その方法を考えなければならないのである。

紙の本と電子の本の製作と流通を同時・シームレスに実現するのはなかなか難しい。電子書籍と紙では製作や流通に関わる条件がまったく異なるためである。以下に、それぞれの製作に関わる点での特徴を思いつくままにあげてみる。

○電子書籍の特性

・コンテンツはテキストにXHTMLのタグをつけて表し、レイアウトはCSSで指定する。制作者がレイアウトを確定するのではなく、コンテンツを画面に可視化する電子書籍リーダが最終レイアウトを決定する。
・リーダは、タブレット、スマホ、などの閲読デバイスの上で動く。そこで、電子書籍が普及するにはまず閲読デバイスの普及が前提となる。デバイスの普及率はまだまだだし、書籍を読むタブレットになるとさらに普及台数は少ない。
・複製の製造コストはゼロであり、物としてのロットという概念はない。但し、初期契約金でXXX部のコピー権を買い取るというような契約としてのロットの概念はありうる。
・配布のための配信コストは、多くの場合、ほとんどかからない。
・電子書籍専門書店経由で購入しなければならない。そして、Amazon Kindle Store、楽天 Kobo、紀ノ国屋、など様々な専門書店ごとに独自の閲読システム、DRM(著作権管理)があるため、読者は専門書店別のサイロに入った状態になってしまう。
・配布形式は、これまでXMDF、ドットブックが中心であったが、現在は、KindleやEPUB3が増えつつある。フォーマットの過渡期でもあるのだ。

○紙の書籍の特性

・コンテンツは絶対寸法をもつページの上にレイアウトされる。制作者が最終レイアウトを完全にコントロールできる。
・紙に印刷したコンテンツを製本した状態が完成版であり、閲読デバイスは不要である。
・配布のためには、印刷製本する必要がある。印刷製本はボリュームによってコストがかなり異なり、大きなロットでの生産が有利になりやすい。これに対して講談社のように小ロットでも大き目のロットとおなじ単価になるようにしようという動きがある[1]。
・紙の本を印刷・製本するには多少の日数がかかる。但し、最近は、この日数も短縮されており少しの部数ならば1週間以内になっている。
・新しい動きとしてロットなしのBOD(ブックオンデマンド)が現実化してきている。エスプレッソブックマシンのように本を1冊から作る機械がでてきているし、AmazonのPOD(プリントオンデマンド)は1冊単位で注文による本作りを行なっているようだ。
・有形物なので、倉庫や配送などの物流コストがかかり、物流の仕組みが重要なポイントとなる。この点でもAmazonは注文に応じて1点から読者に直接送付する仕組みができている。
・書籍は書店を通じて基本的にどこでも同じものを入手できる。Amazonなどのオンラインショップでも同じものを買うことができる。

このように紙と電子では物理特性が根本的に異なる。このため製作・流通で紙と電子の両方を同時に考えるのは難しい。

しかし、上で挙げたように紙のほうも徐々に在庫レス・ロットレスという電子書籍的な特性を実現しつつある。特に、Amazonは紙の本を受注1冊から製作して流通させるという新しい仕組みを構築しつつある。Kindleという電子書籍だけではなくて、紙の本の流通でも静かな革命を起こしているのである。

○コンテンツ提供側としてはどう考えるか

コンテンツを提供する著者や出版社のビジネスは、売上を最大にすることがまず大事である。そのためには、紙も電子も同時に出し、さらに電子書籍はさまざまな形式を同時に用意して販売するのがもっとも有利だろう。

経営は売上を最大にするだけでは足りない。売上最大と同時に経費最小を実現しなければならないのだ。経費を最小にするには、一つのコンテンツから紙用のPDFと、様々な電子書籍をボタン一つで作り出して流通させる制作の仕組みがほしい。

○CAS-UBは紙も電子も一元的に製作するサービス

紙の組版やレイアウトに関する要件は、電子書籍と比べると極めて厳しい。このため、ボタン一つでEPUBを作るのは簡単だが、ボタン一つで紙の書籍用のPDFを自動的に作りだすのは難しかった。

このためには極めて強力な自動組版エンジンが必要なのである。強力な自動組版エンジンがないと、どうしても手作業によるDTPに頼らざるを得ない。これがこれまでの日本語書籍制作の制約であった。

CAS-UBは、自動組版ソフト「Antenna House Formatter」を使って、ここを突破することを目標としている。紙から電子書籍へと配布形式が移行する期間には、必ずCAS-UBのような仕組みが必要とされるだろうと考えたからである。

開発スタートしたのは電子書籍元年といわれた2010年春なので、そろそろ満3年になる。まだまだ完成というにはほど遠いが、漸く実用的に使えるレベルになってきた。

3月1日[2]、3月4日[3]のセミナーではこのあたりをご覧いただきたいと考えている。

[1]講談社が導入した国内初のデジタル輪転機を見てきた
[2]EPUB22 マニュアル、ビジネス文書でのEPUB活用(特に第二部)
[3]デジタルファーストの時代 売れる本の書き方を教えます~アマゾンで売れる本を作るには~

3月1日JEPAにて、「EPUBのビジネス分野での活用を広げる」セミナー開催

3月1日JEPA(日本電子出版協会)主催でEPUBのビジネス分野での活用を広げるセミナーを開催します。

○第一部は、BPIAで立ち上げた「EPUBマニュアル研究会」での活動報告をいたします。実際のところ、企業の業務マニュアルはWordで作成されていることが多いので、CAS-UBとの関係では、Wordインポート機能が重要なポイントになると思います。

○第二部では、CAS-UBとアンテナハウスのEPUBリーダー「AH Reader Preview」をご紹介します。
第二部では、開発中のXMDF生成機能を始めてデモンストレーションしたいと考えています。CAS-UBは、ワンソースから、PDF、EPUB、Kindle、XMDFなどの様々な出版形式を作り出す真のデジタルファーストを実現するサービスを目指しています。

■概要

企業の業務マニュアルは組織の目的を達成するための行動標準を記述したものです。
業務マニュアルを電子化し、スマートフォン、タブレットなどに入れて持ち歩くことでいつでもどこでも使うことができるようになります。しかし、電子化されたからといって、皆に使ってもらえるマニュアルになるとは限りません。「どのように使ってもらうか」(ユーザビリティ)を工夫したり、マニュアルを不断に見直すシステムが組織の中に必要になります。

BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会)では、EPUBがマニュアルの世界でも標準技術として普及するとの見通しの下、ユーザー企業の立場から、ユーザビリティを様々な角度から研究しておく必要性を感じ「EPUBマニュアル研究会」を立ち上げました。この活動についてご説明します。
また本セミナーの第二部では電子書籍制作ツールCAS-UBについて紹介いたします。

■第一部

BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) EPUBマニュアル研究会報告
15:00~15:30 EPUBによるマイマニュアル・いつでもマニュアルの時代
講師:片貝システム研究所 研究員 木村 修三

15:30~16:00 CAS-UBでWordからEPUBに簡単に変換する
(Wordで書かれたマニュアルなどをEPUBにする手順とデモ)
講師:アンテナハウス株式会社 営業グループ 石井 岳美

16:00~16:20 250ページの業務マニュアルをEPUBにしてみての考察
講師:株式会社イトーキ 企画本部 BPR推進室長 森本 俊彦

16:20~ 質疑応答

■第二部 

新しい発想の書籍制作ツールCAS-UBのご紹介
16:40~17:10 ワンソースからPOD用PDF、EPUB、Kindle、XMDFを生成するCAS-UBでデジタルファースト出版に乗り出そう。クラウド・サービスなのでマニュアル、白書、専門書などの共同編集ができます。
講師:アンテナハウス株式会社 代表取締役 小林 徳滋

17:10~ 付録:AH Reader概要紹介
クラウド型EPUB/電子文書リーダー”のWebアプリケーション。XML自動組版エンジンとして世界的に評価をいただいている AH Formatter を組版に使用しており、CSS3拡張、数式、多言語組版対応などに対応。

■○開催概要とお申し込み
http://kokucheese.com/event/index/74444/

CAS-UBのワードインポート機能を改善しました。またPDFインポートを仮公開しました。

昨日(2/14)の定期メンテナンスで、CAS-UBのインポート機能を改善しました。

1.Word 2003 XML形式のインポートを改善

今回改善したのは、Word 2003 XML形式(通称:WordML)からのインポート機能です。

○機能を追加した項目

・縦組みでワード文書に縦中横が設定されていたとき、CAS-UBでも縦中横のマークアップに変換します
・ワード文書の見出し(アウトラインレベルが設定されている)のルビ・縦中横をCAS-UBの見出しマークアップに変換します
・ワードでは、[Shift] + [Enter] で、段落途中入力した強制改行をCAS-UBの強制改行(\\)に変換します

Word2003以前のdoc形式、Word2007以降のdocx形式からのインポートは従来どおりで変更ありません。このため現在ワード文書のインポートでは、Word 2003 XML形式がもっとも良い変換結果になります。(doc/docx形式は、今後、改善予定)

DOC/DOCXファイルを Word 2003 XML形式にするには、マイクロソフトWordを使ってDOC/DOCXファイルを開き、名前を付けて保存を実行して「ファイルの種類」に Word 2003 XMLドキュメント(*.xml)を指定して保存ください。

2.PDFからのインポートを仮公開

PDFファイルからのインポート機能を仮公開しました。

PDFをEPUBに変換する方式には、(1)PDFの各ページを画像にする、(2)PDFをリフロー型のEPUBに変換するという二通りの方式が考えられます。

今回追加したCAS-UBのPDFインポート機能は(2)のPDFリフロー型のEPUBに変換する方式です。
PDFの中のテキストを取り出してCAS-UBの記事に変換します。

変換対象とするPDFは、文字コードを取り出すことのできるPDFです。スキャンして作成したPDFは対象外となります。

○CAS-UBのインポート機能の概要
Wordなどのインポート

『PDFインフラストラクチャ解説』1年振りに改訂しました。PDF版も配布開始です。

PDFの全貌を網羅した総合的解説書『PDFインフラストラクチャ解説』を1年振りに0.17版から0.23版に改訂しました。今回からPDF版も同時配布を開始しました。

PDF版とEPUB3版を、こちらから、ダウンロードしていただくことができます。

無償配布している出版物・「PDFインフラストラクチャー解説(仮)」

【追記:2016/1/21】
2016年1月に本書発売となり、無償配布を終了させていただきました。(『PDFインフラストラクチャ解説』POD版とKDP版が揃い踏みとなりました
【追記:ここまで】

次の目次項目の本文を追加しています。

15–1 PDF のパスワード方式セキュリティ
15–2 公開鍵と秘密鍵でセキュリティ設定
23–2 XPS
24–1 PDF の国際標準仕様
24–2 ISO 32000
24–3 PDF をベースとするプロファイル仕様
24–4 PDF/X ファミリー
24–5 PDF/X-1、PDF/X-1a
24–6 PDF/X-3
24–7 PDF/X-2
24–8 PDF/X-4
24–9 PDF/X-5
24–10 PDF/A ファミリー
24–11 PDF/A-1
24–12 PDF/A-2
24–13 PDF/A-3
24–14 PDF/E(ISO 24517)

また、PDFInterestグループでいただいたコメントへの対応など記述内容を修正した箇所があります。

この元になるブログ「PDF千夜一夜」を書いたのは2005年~2008年ですが、その後のPDFの普及ぶりは予想を上回るものがあります。また、ISOの標準の項も内容がかなり古くなっていました。この間の技術の進歩には驚くばかりです。

CAS-SUPPORTブログ記事2013年1月分のEPUB版・Kindle mobi版

2013年1月のブログ記事をEPUB3とKindle mobi形式にまとめて次のサンプルページに掲載しました。

○CAS-UBサンプル・ページ

*EPUB3はこちら:1月のブログ記事
(EPUB3版)
*mobiはこちら:1月のブログ記事(mobi版)

もとの(この)ブログはWordPressです。

手順は次の通りです。

1.WordPressから投稿のエクスポート機能をつかって、1か月分のファイルをエクスポート
2.CAS-UBの[ドラフト]⇒[インポート]でインポートファイルの形式をWordPpress(WXR)とします。
3.1.でエクスポートしたファイルを、指定してアップロード。
4.記事をすべて選んで「主原稿」に移します。
5.画像がエクスポートされないので、画像を直接アップロードします。
6.あとは細かい編集調整をおこなってEPUB3とKindle形式に出力します。

2013年3月4日 デジタルファーストの時代・売れる本の書き方を教えます セミナー開催!

電子書籍は昨年終盤からいよいよビジネス全開モードに突入です。

アマゾンでいかにして本を売るかが今年最大のテーマでしょう。ということで、3月4日月曜日 「デジタルファーストの時代・売れる本の書き方を教えます ~アマゾンで売れる本を作るには~」と題したセミナーを開催します。

CAS-UBは、ブックオンデマンド用のPDFとEPUB/Kindle用の電子書籍を同時に作り出すことができるという点で、世界でもっとも優れたサービスです。CAS-UBとアマゾンで今年を新しい出版ビジネスのスタートアップの年としたいと考えています。ぜひ、ゼミナーにご参加ください。

◆タイムテーブル

18:30~ 主催者挨拶
(アンテナハウス代表取締役社長/小林徳滋)
18:40~19:20 アマゾン(KindleとPOD)で売る本を作る方法の解説
(小林徳滋)
休憩
19:30~20:10 著者、編集者にお勧め!
2013年売れる本の書き方をやさしく教えます。(仮題)
(雑誌・書籍・自費出版・電子書籍ライター 舛本哲郎 氏)
20:10~20:30 eXism Short Magazineの紹介
クラウド型汎用書籍編集・制作サービス「CAS-UB」を使ったEPUBの制作代行と電子書店配信サービス
(エクスイズム/徳江一義)
20:30~終了 参加者質疑応答 閉会

◆開催概要
・日時 2013年3月4日(月)18時30分~20時30分(21時終了)
・開催場所 市ヶ谷健保会館 F会議室
 (円柱形ガラス張りの建物 1Fはレストラン アル・ファーロ)
 東京都新宿区市谷仲之町4-39
 都営新宿線曙橋駅下車徒歩8分
 都営大江戸線牛込柳町駅下車徒歩8分
・参加費:有償 
  受講料3,150円(税込)
・定員55名(事前予約制)

◆お申し込み先:
https://www.exism.co.jp/contact/form/seminarinq.html