10月の主要EPUBリーダの新版登場でひとつ注目したいのが数式のサポート強化です。Readiumは3月にMathJaxを使ったMathML表示をサポートしました[1]。
これに対して、iBooksはMathMLの直接レンダリングを強化したようです。
表 メジャーなEPUBリーダのMathJaxサポート
項目 | iBooks3.0 (iOS6) | Adobe Digita Editions 2.0 |
Readium 0.5.3 | Kindle Previewer 2.7 (Kindle Paperwhite モード) |
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MS明朝 | ||||
MathMLサポート | MathML直接描画 | 未サポート | MathJaxによる | 未サポート |
1.iBooks3.0による表示例
(1) 図1の一番上の数式では最初の()が上下に伸びすぎています。二つ目の数式では「・」が親文字と離れすぎです。この2点を除くと大体使えると思います。
(2) 図2についても()が上下に伸びすぎている点を除くと使えると思います。
2.ReadiumによるMathMLの表示
ReadiumはMathJaxで数式を表示しています。Readiumによる表示を次に示します。こちらの方はすべての数式が綺麗に表示されています。
3.総合的にみて
EPUB3.0になって数式MathMLの表示がEPUB3.0リーダの標準機能になりました。まだ、EPUB3.0リーダによる数式表示機能の実装は全体として遅れています。しかし、iBooksが数式のMathML表示をサポートしつつあることが分かります。現状ではまだすべての数式をサポートできていないようですが、このペースですとあと半年もあればMathJax並みになりそうで、かなり期待が持てます。
[1] Readium 0.19 update adds MathML support
[2] 数式のサンプル (CAS-UBで作成したもの)