JPO・コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)フォーマットの第一次素案ではターゲットデバイスを7インチタブレットとしています。
そこで、7インチタブレットを書籍のリーダとしてどの程度まで使えるかを調べてみました。
〔結論〕現在主流の7インチタブレットは文字中心の電子書籍を読むためのリーダとしては不十分です。現状では、漫画・イラスト/写真集のように文字の少ない書籍でないと読者にはつらいでしょう。
〔注意〕現在の主流7インチタブレットの画面解像度は縦1024×横600ドットです。そして上の結論は1024×600ドットの場合です。新しい7インチタブレット製品は縦1280×横800ドットのものが出てきていますので解像度が上がると結果はまた変わると思います。
〔計算〕7インチタブレットのひとつであるICONIA Tab A100(縦1024×横600ドット)の画面で、書籍版面上の1文字に割り当てられるドット数を計算すると次のようになります(次の図には比較のためiPadの値を併記。また、余白はトリミングしないという前提です)。
計算式:
画面上の1文字に割り当てられるドット数=文字の大きさ(ポイント)/72 × 横ドット数/判型横幅(インチ)
〔実機確認〕実際の端末で表示すると、文字中心の頁をすいすい読むには16ドット/1文字くらい必要です。上の図では黄色にマークしたあたりが普通に読めると思われる範囲です。ただし、読みにくい・読みやすいというのは個人差があると思います。一般にPCの画面で漢字を表示するには1文字16ライン必要といわれていることと対応するように思います。
・ICONIA Tab A100で、16ドット/1文字になるのは新書の場合です。B6判、四六判では10ポイントの文字が16ドット/1文字となります。市販の書籍の頁を表示すると文字が少し小さくなります。
・iPadは横768ドットありますので、iBooksではA5以下の判型の文字が16ドット/1文字となります。つまり10インチのタブレットであれば市販書籍の頁をそのまま表示して読むことができるでしょう。
・余白をトリミングすると、トリミングしないときよりも版面を大きく表示できます。そこで、電子化にあたって余白量をできる限り小さくするような処理が望ましいことになります。つまり固定レイアウト電子書籍では余白をプリントとは異なる使い方をする必要があると思います。
〔テストデータ〕CAS-UBで判型別に基本版面をPDFで作成してみました。下記よりご覧いただくことができますので、端末をお持ちの方はお試しのうえ、コメントにご意見をお寄せください。