DITA Europe 2012 の第一印象

11月12日~13日の2日間、フランクフルトで開催されたDITA Europe 2012[1]に参加しました。前回2008年11月にミュンヘンで開催されたときに参加しましたので、DITA Europeは二回目です。

4年ぶりということで、下記に前回との違いを第一印象だけメモしておきます。今回の参加はDITA コンソーシアムジャパンの派遣視察団としての参加ですので、あまり詳しい話を書いてしまうのも問題。ということで詳しい報告は次回のDITA Festa 2013(2013年2月上旬開催予定)で行ないますので、ご期待ください。

で、昔のブログを調べましたが、どうもミュンヘンのレポートはビールを飲みにいった事ぐらいしか載っていません。前回の話は、記憶をたどっていますので、偏りがあるかもしれないですが。

1.参加者は前回より少し増えたような気がします。前回の冒頭講演はNokiaの方でしたが、今回もNokiaです。但し、部署が違っているようです。NokiaのDITAを採用する部署が増えているようなことを言っていました。

2.前回の発表では、DITAを使ったプロトタイプのシステムの報告がいくつか見られました。しかし、今回はプロトタイプの話は(私の聴講した中には)見当たらず実際に運用している報告のみでした。もう、プロトタイプを作ったというレベルでは、こうした専門のカンファレンスでの報告ネタにはならないということだと思います。
運用例も、製造業のマニュアル制作のみでなく、ヘルスケア分野とか、医薬品情報提供などの分野が報告されました。それだけ実用の幅が広がってきたということなのでしょう。

3.前回はマニュアルを中心に多言語化のコストダウンという話が目に付きました。しかし、今回はあまりそういう話はなく、再利用(Re-use)が大きなキーワードになっています。その再利用も、トピック単位だけではなくて、Conrefや、DITA 1.2で導入されたKeyref[2]などを利用して再利用性を高める例の報告が目立ちました。こうした技術的な報告が半分以上を占めていたようですが、このあたりはプレゼンの内容をもう少し詳しく調べる必要があります。

4.DITA 1.3の仕様開発が既に始まっています。DITA 1.3では機能を追加する案(ほしい機能を追加していく)と、もっと単純化しようという案もでています。両方とも妥当な意見と思いますが、今後の進展を見守る必要があります。

5.展示のほうも出展するベンダが増えています。特にCMS関係は前回とはだいぶ様変わりしています。こういう会議に参加するたびに強く感じるのは、特にDITAのようなニッチな分野では日本の国内だけではなくて世界中で展開しないとだめということです。

DITAは一言でいうと、ドキュメントを部品化して再利用する技術です。ある意味ではドキュメンテーションの工業化ということなのですが、ベルギーの方が、「CADの考え方をDITAに応用したらどうなるかという、要するにドキュメントを機械製品と同じように工業的につくれないか」というプレゼンをしたのには少々驚きました。自分のコンセプトを共有してほしいという趣旨であまり現実的な話ではないようですけど。このプレゼンは参加者も少なかったので、あまりまじめに取りあげるレベルではありません。

[1] DITA Europe 2012
[2] DITA 1.2 feature article: Keyref overview