索引論再訪ー索引の目的とは。索引をどうやってつくるか?

先月(2016年12月11日)索引についてのブログを書きました[1]。これは、「ECMJ流Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ第三弾」の索引作りに際していろいろ考えたことをまとめたものです。本書は12月中旬に『今日からできるEコマースの集客戦略!: ~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~』として無事発売されました[2]

さて、今度はシリーズ第四弾の索引作り中です。シリーズ第四弾はほとんど編集完了して、現在、索引の調整を中心に最終調整中です。タイトルは『Eコマース「勝者の秘訣」はデータ活用にあり!~「データをとって毎日改善」を繰り返そう~』です。発売されましたら、ブログなどでご紹介しますのでしばらくお待ちください。なお、アンテナハウス書籍・総合目録には出版済みのすべての本を紹介していますので、関心をお持ちのかたはぜひチェックしてみてください。

さて、索引についてまた考えてみます。

索引の目的は

これは前回も書きましたが、第一は用語や固有名詞について本文中にでてきた場所を示すですが、これが索引の一般的用法でしょう。
・こんなことが書いてあったな? どこにあったかだろうか? と思って探す。
・本を読み進めて人物が出てくる。同じ名前が前に出てきたな? どこにあっただろうか? と思って探す。

第二は、本の内容を理解する。通常の本ではこの用途は少ないと思います。編集がしっかりしていて、目次もしっかりできていれば、内容を理解するために索引をたどっていく必要はないように思います。しかし、全体の構成を考えて執筆されているわけではない本もあります。ブログ本はその一つです。もともとは日記のようなものですので全体の構成を考えられているわけではありません。

そういえば、現在、『米欧回覧実記』(久米邦武編著、慶應義塾大学出版会、2008年6月刊)を読んでいるのですが、これは一種の旅日記ともいえます。本シリーズは全5巻ですが、別冊で総索引があります。総索引はテーマ別事項索引、人名索引、地名索引に分かれています。テーマ別事項索引はこの第二の目的にも使えるものです。例えばテーマのひとつに「音楽会」があります。索引の中見出しが音楽会、項目は「プロイセン王立劇場におけるオペラ」、「ボスtンの太平楽会」、「リヴァプールのパイプ・オルガンの演奏」、「ワシントンの国立劇場のオペラ招待」となっています。

索引語

さて、索引にどんな言葉を選ぶかのが適切か? 本文に出てこない言葉を索引語にするのはどうか? が次の疑問です。 これは索引の目的にも関係するでしょう。索引を階層化する場合は、第一階層の索引語は見出しとしての役割も担いますので、抽象度が高い用語、あるいは、本文に出てこない用語が多くなりそうです。

索引の形式は

索引のレイアウト形式ですが、索引は二段組が主流です。現在、本文二段組は少数派ですので、多くの場合索引と本文の版面は異なることが多いでしょう。また、本文が縦組でも索引は横組が多くなっています。

索引の構成方法

索引の作成方法の一つに構成方法があります。例えば、まず、索引自体を事項索引、人名索引、地名索引のように大分類する。それから索引の中で親子の索引、兄弟の索引を作ることは一般的です。

先達の索引作成例

先達の索引例として、まずは、上に述べた『米欧回覧実記』をあげておきます。

関連
[1] 索引の作り方を考える。一歩進んで、本文に出てこない索引語や、索引語の階層化の試み。
[2] ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズ第3弾 『今日からできるEコマースの集客戦略!: ~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~』

CAS-SUPPORTブログの索引関連その他の過去記事
[1] CAS-UBの編集デモ動画 新ファイル : 索引を追加する
[2] EPUB・PDFで索引や親子索引を作るためのCAS記法の例
[3] CAS-UBではEPUBに索引を自動的に出力できます。

索引の作り方を考える。一歩進んで、本文に出てこない索引語や、索引語の階層化の試み。

ここしばらくの間、CAS-UBで「ECMJ流Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ第三弾」を編集していました。いよいよ大詰めで索引を作成しています。本書はインターネットマーケティングの実践法について紹介する目的で、株式会社 ECマーケティング人財育成の石田社長が毎日書いているブログ[1]をトピック別に整理して書籍の形式とするものです。ブログの形をとっていますが、世の中に星の数ほどあるぬるいブログではなく石田社長の実践経験が力を抜くことなく100%語られるという日本でもめずらしいものです。すでに、第一弾[2]、第二弾[3]はKindle版とプリントオンデマンド版で発売しています。

第三弾は、Eコマースサイトへの集客や広告の成果データを分析して広告の選択や効果を高めるためのさまざまな話題を含んでいます。ブログは1本が1,500文字の読み物なのですが、元原稿の性格上、同じトピックの記事が何回か取り上げられています。また、役に立つ内容がいろいろな箇所にちりばめられています。

そこで、索引を少し工夫してみました。ここで索引の工夫について具体的に説明する前に、書籍の巻末索引の役割や目的を考えてみましょう。

索引の役割

1.用語や固有名詞について本文中にでてきた場所を示す

索引の普通の目的は、紙の本を読んでいる途中で、ある用語の説明、土地の名前や人物の名前などの固有名詞が既に読んだページにあったような気がするけど、どこだっただろうか? と思って探すことにあります。索引がないと該当しそうなページに立ち返って探すわけですが、巻末索引があれば索引語でその記述位置を簡単に探すことができます。

この場合、索引語としては、本文中に登場する用語や固有名詞をそのまま採用し、巻末索引では、索引語について一番詳しく記述されている箇所を索引のページ番号として示すでしょう。

2.本の内容を理解する

では巻末索引を、著者の主張や本の内容について探す手がかりにできないでしょうか? これは、巻末索引を一種の目次としても使えるようにするということです。ポイントとなる概念を索引語として用意し、巻末の索引ページには、本文中の索引語に関連する位置を示すことになります。本の中に書かれている言葉でなく、書かれている言葉の上位概念を索引語としても良いでしょう。この場合、巻末索引は階層構造となります。

上位概念を索引語として階層構造とする

本の中で頻出する用語をビッグワードと呼ぶことにします。ビッグワードを索引語として採用しますと、出現するページの数が多くなります。索引で一つの用語の参照先ページの数が多くなると、探したい箇所を見つけるまでに索引から本文を探す回数が多くなり、探したい場所を見つけるのが難しくなります。

その場合、上位概念と下位概念に分けて索引を階層化すると便利になるでしょう。

さらに、これを追求すると索引を本の内容をたどる目的で使えるかもしれません。

例えば、本の内容によって「検索」という言葉がビッグワードになってしまった場合、検索を上位概念として、その下位の用語として「検索キーワード」、「検索順位の変化」、「検索エンジン対策」などを索引語として、親子関係で表すと良いでしょう。これを追求しますと、巻末索引をタクソノミーにする、という方向に行くかもしれません。

実際の例

とりあえず、今回は、幾つか大きなキーワードを、本の内容を探すことができる分類を示す用途として使って索引を作ってみました。次ができあがった本の索引ページです。うまく使えると良いですが。

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[1]株式会社ECマーケティング人財育成(トップがブログページ)
[2]『E コマース成功のための土台づくり~ネットのマーケティングを徹底的に理解せよ~』
[3]『おにぎり水産 鬼切社長のEコマース奮闘記: ~とある地方の笹かまぼこ工場がネットショップを成功させるまで~』