『PDFインフラストラクチャ解説』0.37版をリリースしました。Flashの概要を追加しています。

新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

『PDFインフラストラクチャ解説』0.37版を発行しました。
昨年8月に0.36版を発行して以来、しばらくとまっていましたが、久しぶりの更新となります。

今回は、正月にFlashを勉強して、24章PDF代替形式の中の24.3項Flashの内容を書きました。PDFとFlashの比較的近い応用分野は電子ブックです。Flashのアニメーションを使って、ページをめくり動作を表現した電子ブックは、一時かなり流行になりました。電子ブックはちらしやカタログなどの分野が主体ですが、一部では読み物にも使われています。

ちなみに、アンテナハウスも「アウトライナー 速ワザ」という製品でPDFからFlash電子ブックへの変換をサポートしています[1]。Flashというのは商品名なので、SWFというファイル形式という方が適切です。本製品を開発した当時は、SWFファイルの仕様書を利用して再生ソフトを作ることができませんでしたので、ソフトの機能も電子ブック制作のみです。

Flashと言いますと、いまでは旧聞となりましたが、スティーブ・ジョブスがiOSでFlash Playerをサポートしない方針を出して話題になりました。その後の展開を見ますと、後述のように、アドビは、AndroidでのFlash Playerサポートもやめてしまいましたので、スティーブ・ジョブスの考えの方が正しかったようです。

前回Flashの動向について調べたのは、もう5、6年前ですが、Flashの世界はかなり変わっています。第一にSWFフォーマットが完全オープンになって仕様書を使って再生ソフトを作っても良くなったこと。第二にアドビはFlash PlayerからAIRに舵を切ったことです。Android版のFlash PlayerはAndroid 4.0までは正式サポートされていますが、それ以降はなくなりました。さらに、最新のAndroid 4.4では動かないようです。AIRはFlashアプリケーション用としてAndroid, iOSの最新版でも提供されています。

Flashは、アニメーションからスタートしましたが、最近はもっぱら動画配信に使われるようになってきています。また、AIRはスマホ用のゲームの制作配信環境としての利用も促進しているようです。このようにFlashは、徐々にPDFからは遠ざかっていると言ってよいでしょう。

『PDFインフラストラクチャ解説』は、CAS-UBで執筆、PDF版とEPUB3版を同時に無償配布しています。
EPUB3版は、CSSレイアウト・テーマを小さな画面用のテーマに変更しました。

○ダウンロードは: http://www.cas-ub.com/project/index.html#pdfinfla

【追記:2016/1/21】
2016年1月に本書発売となり、無償配布を終了させていただきました。(『PDFインフラストラクチャ解説』POD版とKDP版が揃い踏みとなりました
【追記:ここまで】

[1] 「アウトライナー 速ワザ」
[2] CAS-UB