EPUB 3.1 開発計画の概要 2015/10/20現在

EPUB3.1の開発が始まっています。状況をざっと整理しておきます。

・開発計画承認:2015年7月8日
・議長:Markus Gylling, IDPF、Tzviya Siegman, Wiley
・副議長:Garth Conboy, Google、Brady Duga, Google
・期限:2016年1月最初の草稿仕様、遅くても2016年第4四半期終了

開発計画概要:

EPUB 3.1 Work Plan

フォーカス
・ばらばらに開発されたモジュールの統合
・単純化。あまりサポートされていない機能は廃止しても良い。
・スクリプトと対話性について規則を明確化
・オープンWebプラットフォーム:W3CのDigital Publishing Interest Groupとベクトルを合わせる、サーバーサイドの表現
・新機能 機能要求に基づき追加が可

制約
・できるだけ後方互換性を保つ
・実装可能性を考慮して、新機能は保守的に追加

レポジトリー:https://github.com/IDPF/epub-revision/wiki/EPUB-3.1

10月8-9日初回のF2F会議(ニューヨーク)が開催された。参加者36名。
 議事録

【テーマ別コンセンサス】
・Journals(情報誌)―特別なサブグループにはしない。
・Metadata―特別なメタデータ表現言語は要求しない。外部リンクとする。
・Web-friendly manifestation―EPUBのWebフレンドリーな表現が必要なことに合意。
・Serialization―HTML表現の検討を続ける。epub:接頭辞はHTMLでは使えないのでどうするかを検討する。当面ssmlはHTMLでは表現できないがXHTMLのみ可とするで良い。
・Scripting―特別な合意はなし。
・External resources―外部リソースが必要な分野(スクリプト、リーダーのためのデータ、フォントなど)を認識。
・Restructuring―傘になる仕様を検討する方向。

【感想】
一番熱が入っているのはEPUB-Webの分野のように見えます。また、HTML表現についてもどうやら認められそうな雰囲気です(現在はXHTMLのみ)。HTMLについては予定調和的コンセンサスな気がします。

EPUB3.1というマイナーなバージョン番号と短い開発期間としては、大きなテーマが盛り込まれているのが懸念事項です。開発がスタートしたばかりなので、今のところ議論百出です。今後どちらの方向へ進むか興味深いところです。個人的にはEPUB-Webに期待するところが大きい。

EPUB標準化関連活動のアップトゥデイト 2014/9/15

9月16日からEDUPUB Tokyo 2-14[1]が開催されます。そこで、EPUB標準化活動とEDUPUBについて1月時点[2], 6月時点[3]に引き続き進捗を整理してみます。

※9月18日更新しました。配布可能オブジェクト(Distributed Object)を追加。注釈をEDUPUB関連に移動。

1.EPUB 3.0.1 
EPUB 3.0.1は6月26日付けでIDPFの勧告仕様となりました。
EPUB 3.0.1

2. EPUB関連仕様
(1) 索引(EPUB Index)
・仕様書は勧告手前で2月28日公開(6月時点から変化なし)。
EPUB Indexes 1.0

(2) ハイブリッドレイアウト (Advanced-Hybrid Layout Working Group)
・8月27日にドラフト仕様書が改訂されました。この3か月で1歩前進しています。
EPUB Previews
EPUB Multiple Renditions
EPUB Region-Based Navigation
Magazine Structural Vocabulary

(4) 辞書
ワーキング・グループとしてのドラフトが2月4日付けで公開(6月時点から変化なし)。
EPUB Dictionaries and Glossaries Working Group Draft 20140204

3.EDUBPUBプロファイル
EDUPUBプロファイル仕様は、9月8日にドラフト第2版が公開されました。2014年内に最初のバージョンを完成させる予定です。
EPUB 3 EDUPUB Profile Draft Specification 8 September 2014

4. EDUPUB関連仕様
(1) 注釈(Open Annotation)
・ドラフト仕様書は5月28日公開(6月時点から変化なし)。
Open Annotation in EPUB Draft Specification 28 May 2014

(2) 配布可能オブジェクト
・ドラフト仕様書は5月28日公開(6月時点から変化なし)。
EPUB Distributable Objects Draft Specification 28 May 2014

(3) Widgets
EDUPUB用WidgetはGitHubとGoogle Docsをベースに議論が進んでいます。
IDPF/widgets
EPUB Widget Packaging and Integration

[1] EDUPUB Tokyo 2014
[2] EPUB標準化関連活動のアップトゥデイト 2014/1/18
[3] EPUB標準化関連活動のアップトゥデイト 2014/6/15
[4] EDUPUB プロファイル仕様 (5/28ドラフト) のあらまし

EPUB標準化関連活動のアップトゥデイト 2014/6/15

EPUB標準化関連活動について、前回、1月までの進展を整理しました。[1]今日はその続きです。

1.EPUB 3.0 本体
EPUB 3.0.1 概要
変更点

○進捗
2月28日にドラフト仕様からIDPFのProposed Specification(February 28, 2014)となる。
~4月25日 パブリックレビュー
現在、勧告仕様化のためのIDPFメンバー投票中。投票期間は6月11日~6月25日まで。

2.関連プロファイル仕様
1)EPUB Index(索引)
EPUB Indexes 1.0
2月28日にProposed Specificationに進んだ。

2)ハイブリッドレイアウト (Advanced-Hybrid Layout Working Group)
3月26日にパリでワークショップを開催。
IDPF Workshop on EPUB Comics/Manga – March 26 (Paris)
内部的に改訂されているが、公開されている仕様はドラフトの状態から進展していない。

3)EPUBの辞書と用語集(Dictionaries and Glossaries working group)
EPUB Dictionaries and Glossaries
2月に公開ドラフト第一版が発表された。

4)注釈:Open Annotation (EPUB)
Open Annotation in EPUB
5月28日に公開ドラフト第二版が発表された。

5)EDUPUB
EDUPUBはもっとも活発です。2月から5月までの進捗は次の通りです。
① ワークショップ
a.2月にソルトレークシティで第2回ワークショップを開催
EDUPUB Salt Lake City Workshop Report
ポイントは次の通り。
*第一回のBoston ワークショップからの進展について。最初のパネルでEPUBを教育コンテンツの配布媒体として利用することが実践的かどうかを議論。
*評価、結果、分析に関して。たとえば、IMSのQTI、Caliper分析フレームワークにより、結果を集めたり、リアルタイムのレベル付けすること、などについてプレビュー。
*第一回ワークショップ後にIDPFに二つのサブグループができた。各WGからの報告があった。
**コンテント・グループはEPUBのマークアップ・プロファイルを作成中で、ワークショップ前に最初のEditor’sドラフトを出した。
**二つ目のグループは学習オブジェクトのような、分離したオブジェクトの配布を検討している。ドラフトは近々出す予定(2/27時点)。(5/28公開のEPUB Distributable Objectsが該当するのだろう)。
**shcheme.orgのメタデータを統合するガイドができた。
JEPAによる日本での報告会
b.6月にオスロでの第3回ワークショップを予定
EDUPUB Europe 2014
EDUPUB Europe Program June 19, 2014

②仕様案
EDUPUB関連の公開資料リスト

5月28日に、EDUPUBプロファイルなどのドラフト仕様が公開された。これらの仕様をオスロのワークショップでレビューする予定である。

EPUB 3 EDUPUB Profile
EDUPUB Structural Semantics
・Open Annotation in EPUB (上記)
EPUB Distributable Objects
EPUB Widget Packaging and Integration

[1]EPUB標準化関連活動のアップトゥデイト 2014/1/18