CAS-UBでEPUB制作。Wordで作成した原稿をEPUBにするまでの流れと出来上がり具合のご紹介。

CAS-UBによる出版物の作成の流れを理解していただくためWordで原稿を用意して、EPUB3を作成する流れを例として説明してみます。

1.Wordの原稿を用意してCAS-UBにインポートするまで

(1) Wordの原稿を用意する

まず、Word2007で原稿を執筆します。Wordの印刷プレビューでみますと、でき上がりは全体で5ページとなりました。

Word-previiew
図1.1 Word文書の印刷プレビュー

CAS-UBにうまく取り込むには、Word文書でできるだけWordのスタイル機能で書式を設定します。この文書では、Wordのスタイルを使った箇条書きを作成し、原稿の見出しには図のようにアウトラインを設定しています。

Word-outline
図1.2 Word原稿のアウトライン

できあがった原稿はWordのdocx形式、ファイル名を「PDFAの作り方.docx」として保存します。

(2) 出版物新規作成

今度はCAS-UB側で出版物を作ります。まず、ログイン後の出版物一覧画面で左上の [出版物新規作成] をクリックします。

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図1.3 出版物新規作成

なお、CAS-UBにはWordの原稿を直接EPUB3に変換する「Word変換」もあります。Word変換を使えば途中のステップを全部飛ばしてEPUB3を生成できます。ただし、きめ細かい編集や設定を行なうことはできません。そこで、ここではWordをインポートしてEPUBをステップ・バイ・ステップで作成してみます。

(3) 出版物ファイル名とタイトルを設定

出版物のファイル名やタイトルを設定します。ファイル名は「how-to-PDFA」、出版物のタイトルは「PDF/Aとその作り方」とします。このふたつが必須項目です。出版物の種類は「書籍2」を選択します。それ以外は設定は変更しないで、一番下の [作成] ボタンをクリックします。

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図1.4 ファイル名とタイトルの設定

サーバー上で[作成]処理が終わると、記事がなにもない出版物がCAS-UBのサーバー上にできます。

(4) 外部データ入力でWordファイルをインポート

(1)のステップで作成したWord原稿ファイルをこの出版物にインポートします。このためには[外部データ入力]をクリックします。

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図1.5 外部データ入力をクリック

すると外部データ入力画面になります。

インポートファイルの形式は「Microsoft Word 2003 XML」とします。(この指定でdocx形式のファイルを変換できます。)インポート先は「主原稿」とし、記事に分割するアウトラインレベルは「1」とします。いずれも既定値のままです。ここで、[参照] ボタンをクリックして、最初に準備したWord文書を開きます。

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図1.6 原稿のWordファイルを指定する

これで準備ができましたので、[インポート]ボタンをクリックします。すると画面に「記事の変換中」という表示が出て、しばらくしますと「主原稿」に変わります。

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図1.7 インポート完了

画面の表示が「主原稿」に変わるとインポートが完了しています。そこで [主原稿] をクリックすると画面が切り替わり、記事のツリーが表示されます。

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図1.8 インポート成功すると記事が3つできる

Wordの原稿をインポートした結果、アウトライン1のレベルで分割されて3つの記事になっています。Wordの見出しが、各記事のタイトルになります。記事タイトルの左のペンシルアイコンをクリックすると記事内容の編集画面に変わります。ここで、インポート結果を確認して、必要があれば記事の内容を追加したり訂正したりできます。

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図1.9 最初の章を「記事内容編集」画面で開く

2.書誌編集

CAS-UBでは、表紙と奥付に出力するデータを書誌情報から引用しますので、表紙と奥付に記載が必要な項目は書誌情報に記入しておきます。また、書誌情報は、EPUB3などのメタデータとして登録されます。

書誌情報は、書誌編集画面で登録します。

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図2.1 書誌編集の選択

[書誌編集] をクリックすると書誌編集画面に移ります。著者のプロフィールと版数・発行年月日を入力します。

(1) 著者のプロフィール

書誌編集画面のプロフィール・著者を選んで[編集]ボタンをクリックし、さらに[追加]をクリックします。

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図2.2 著者のプロフィール追加

著者のプロフィール編集画面が表示されますので、ここで、必要事項を入力します。今回は、「著者の名前(ペンネーム)」、「著者のプロフィール」、「公開する連絡先」の欄に記入しました。

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図2.3 著者のプロフィール項目に入力

入力完了したら、[保存]ボタンをクリックして戻ります。

(2) 版数・発行年月日の設定

書誌編集画面で改訂履歴を選んで[編集]ボタンをクリックし、版数と発行年月日を入力して[追加]ボタンをクリックして戻ります。

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図2.4 版数と発行年月日の入力

3.EPUBの生成

EPUBを生成するには、出版物タイトルの表示の下にある [生成] をクリックします。

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図3.1 生成画面への切り替え

クリックすると生成画面に切り替わります。EPUB3の生成の前に生成設定を変更します。

(1) [一般]設定でCSSのテーマを選択

EPUB3の [一般] をクリックします。

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図3.2 一般設定

クリックすると、一般設定画面になります。ここで、「CSSのテーマ」を設定します。テーマはお好みですが、ここでは「ノーマル明朝(EPUB3)」を選択します。テーマを選択したら、最後に、右下の[保存]ボタンをクリックして変更を保存してください。

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図3.3 一般でCSSのテーマを選択

CSSのテーマを選択しないと、テーマが「未定」のままになり、EPUB3を生成したときレイアウト指定のない状態となりますので、お好みのテーマを選択するようにしてください。

(2) タイトルページで出版元ロゴを指定

次に[タイトルページ]をクリックします。

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図3.4 タイトルページの設定

タイトルページは、本扉に盛り込む内容を設定します。また、EPUB3の[カバー画像]設定でカバー用の画像(cover.pngなど)を指定しない場合、CAS-UBはカバー画像を自動生成します。タイトルページ設定が、自動生成画像に盛り込む項目にもなります。ここでは発行元のロゴをアップロードします。

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図3.5 タイトルページでロゴを指定

発行元ロゴはJPEG形式で用意してください。用意したJPEGファイルを参照して選択、アップロードすると ‘publisherLogo.jpg’という名前で、クラウド・サーバーの画像フォルダーに保存されます。アップロードが終わったら、[保存]ボタンをクリックして設定を保存してください。

(3) EPUBの生成実行

[EPUB3を生成] をクリックすると、「生成確認」と大きく表示されて生成を開始します。

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図3.6 EPUB3生成

生成には少々時間がかかります。「ダウンロード」に表示が変わったら生成完了です。

生成の完了を待たずに他の作業をしたり、ログアウトしてPCをシャットダウンしても、生成処理は行われていますので、後で生成結果をダウンロードできます。生成画面で、・・・を生成の下に生成済み・・・ダウンロードといったリンクが表示されていれば、そのリンクから前回生成した結果をダウンロードできます(生成済みのファイルは、システムのメンテナンス時などに削除されますので保持期間は保証できません)。

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図3.7 前回の生成結果をダウンロードする

(4) ダウンロード

[ダウンロード] をクリックすると生成されたEPUBがダウンロードされます。

ブラウザの設定によってはダウンロードされずにブラウザ上でEPUBが表示される場合があります。このときは表示されてから「コピーを保存」で保存するか、[ダウンロード] 表示を右クリックすることで表示されるメニューから [名前を付けてリンク先を保存](ブラウザにより表現が異なる場合があります)を実行するなどしてください。

4.完成したEPUBをiBooksで表示

完成したEPUB3をiBooksで表示してみましょう。

(1) カバー画像とナビゲーション

カバー画像はCAS-UBで自動生成したものです。ナビゲーションは、既定値で章と節までを取り込んでいます。なお、ナビゲーションに取り込むレベルは[一般]設定の「目次の生成」で変更できます。

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図4.1 表紙とナビゲーション

(2) タイトルページと本文先頭

[一般]設定で「タイトルページ」を生成するとしていますので、先頭にタイトルページが入ります。また章には自動的に章番号をつけています。タイトルページの内容は書誌情報から自動生成しています。タイトルページを生成しないようにしたり、章番号の自動設定を停止することもできます。

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図4.2 タイトルページと本文先頭

(3) 第3章の先頭

第3章の先頭部分です。

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図4.3 第3章の先頭部分

(4) 本文の最後と奥付け

本文の最後の部分と奥付けです。奥付けは、書誌情報から自動生成しています。奥付けを生成しない設定もできます。

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図4.4 本文の最後と奥付け

最後に
いかがでしょうか。CAS-UBを使えば、Wordで原稿を準備してから、ものの10分でEPUB3を作ることができます。
特に、「Word変換」という直接変換もあります。こちらはまさにEPUB直行便。Word変換を使えば、いろいろ覚える必要もなく、Word文書をEPUBに変換することもできます。

Word2Epub

Word文書のテンプレートの設計や独自の変換メニューを用意することもできますので、関心をお持ちの方は、cas-info@antenna.co.jpまでお問合せください。

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9月4日(水)午後に新CAS-UBご紹介セミナーを開催します。
詳細とお申し込みはこちらからどうぞ▼
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8月1日 CAS-UB V2.2ベータを公開しました。参考文献リストの自動生成など専門的な書籍の制作機能とマークアップ支援ボタン・ドラッグ&ドロップ構成編集など使いやすさも向上

8月1日の定期メンテナンスにてCAS-UBのV2.2ベータ版を公開しました。

V2.2では「機能追加」、「編集の操作性向上」、「メニューの変更」を行ないます。「機能追加」に記載の新規項目は正式サービス開始までベータ版の位置づけになります。

機能の追加

  • フォント埋め込み機能を追加します。ユーザーがアップロードしたフォントを埋め込むことができます。フォント・フォルダーにアップロードしたフォント名をマークアップで指定するとともに、フォントファイルをEPUBに埋め込みできるようにしました。
  • 参考文献作成機能を追加しました。ユーザーが参考文献フォルダーにアップロードしたBibファイルから参考文献一覧を自動作成します。BibTeXのような機能です。Bibファイルに記述した文献には参考文献IDが自動的につきます。参考文献ID参照からリンクを作成できます。
  • SVG記事の機能を追加しました。全画面SVGをEPUBに登録することができます。
  • 数式編集機能を強化しました。数式はMathML、SVG、LaTeXで記述することができます。また、ブロック数式に数式IDを付与することで、数式番号を自動生成できます。

編集の操作性向上

  • 「記事内容編集」画面の記事タイトル編集フォームの下に、CAS記法マークアップをボタンで入力する「マークアップ支援ボタン」を追加しました。「見出し」「箇条書き」「表」「画像」「テキスト配置」「強調」「ルビ」「索引」「インクルード」「リンク」「ID参照」のマークアップができます。
  • 「構成編集」でファイルを選択してドラッグ&ドロップで順序を入れ替えたり、記事ツリーの親・子関係を変更する機能を追加しました。
  • 「ID一覧を更新する」ボタンがつきました。「ID参照」に表示するIDの一覧が古いままのとき、最新情報に更新できます。
  • 編集中の記事の保存をショートカット(Ctrl+Alt+S)でできるようになりました。
  • 【注意】記事本文編集フォーム下の「画像アップロード」「インクルードアップロード」は、画像とインクルード・ファイルのアップロードのみでマークアップはできなくなりました(V2.2完成までに改善予定)。

メニューの変更

  • 「出版物一覧」/「出版物情報編集」/「出版物新規作成」のメニューバーを廃止しました。
  • 「出版物一覧」は「ホーム(出版物一覧)」に統合しました。「出版物情報編集」は「書誌編集」に変更して、編集メニューに統合しました。「出版物新規作成」は出版物一覧画面のメニューバー左端のものに統合になります。
  • 「構成編集」の記事ツリーの各記事タイトルのリンクが変更になります。
     〔旧〕タイトルのクリックで内容表示でした。
     〔新〕タイトル左のアイコンをクリックすると記事の内容表示になります。ペンシル形のアイコンをクリックすると記事編集画面になります。
  • 「主原稿」の名称を「出版物」に変更し、出版物のタイトルもあわせて表示します。
  • 「記事編集」の記事ツリーの各記事タイトル左のアイコンをクリックすると当該記事の内容表示になります。
  • 「内容表示」の画面のメニューに「ホーム(出版物一覧)」へのリンクを追加しました。

その他

  • V2.2利用ガイド(仮)を公開しました。

3月1日JEPAにて、「EPUBのビジネス分野での活用を広げる」セミナー開催

3月1日JEPA(日本電子出版協会)主催でEPUBのビジネス分野での活用を広げるセミナーを開催します。

○第一部は、BPIAで立ち上げた「EPUBマニュアル研究会」での活動報告をいたします。実際のところ、企業の業務マニュアルはWordで作成されていることが多いので、CAS-UBとの関係では、Wordインポート機能が重要なポイントになると思います。

○第二部では、CAS-UBとアンテナハウスのEPUBリーダー「AH Reader Preview」をご紹介します。
第二部では、開発中のXMDF生成機能を始めてデモンストレーションしたいと考えています。CAS-UBは、ワンソースから、PDF、EPUB、Kindle、XMDFなどの様々な出版形式を作り出す真のデジタルファーストを実現するサービスを目指しています。

■概要

企業の業務マニュアルは組織の目的を達成するための行動標準を記述したものです。
業務マニュアルを電子化し、スマートフォン、タブレットなどに入れて持ち歩くことでいつでもどこでも使うことができるようになります。しかし、電子化されたからといって、皆に使ってもらえるマニュアルになるとは限りません。「どのように使ってもらうか」(ユーザビリティ)を工夫したり、マニュアルを不断に見直すシステムが組織の中に必要になります。

BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会)では、EPUBがマニュアルの世界でも標準技術として普及するとの見通しの下、ユーザー企業の立場から、ユーザビリティを様々な角度から研究しておく必要性を感じ「EPUBマニュアル研究会」を立ち上げました。この活動についてご説明します。
また本セミナーの第二部では電子書籍制作ツールCAS-UBについて紹介いたします。

■第一部

BPIA(ビジネスプラットフォーム革新協議会) EPUBマニュアル研究会報告
15:00~15:30 EPUBによるマイマニュアル・いつでもマニュアルの時代
講師:片貝システム研究所 研究員 木村 修三

15:30~16:00 CAS-UBでWordからEPUBに簡単に変換する
(Wordで書かれたマニュアルなどをEPUBにする手順とデモ)
講師:アンテナハウス株式会社 営業グループ 石井 岳美

16:00~16:20 250ページの業務マニュアルをEPUBにしてみての考察
講師:株式会社イトーキ 企画本部 BPR推進室長 森本 俊彦

16:20~ 質疑応答

■第二部 

新しい発想の書籍制作ツールCAS-UBのご紹介
16:40~17:10 ワンソースからPOD用PDF、EPUB、Kindle、XMDFを生成するCAS-UBでデジタルファースト出版に乗り出そう。クラウド・サービスなのでマニュアル、白書、専門書などの共同編集ができます。
講師:アンテナハウス株式会社 代表取締役 小林 徳滋

17:10~ 付録:AH Reader概要紹介
クラウド型EPUB/電子文書リーダー”のWebアプリケーション。XML自動組版エンジンとして世界的に評価をいただいている AH Formatter を組版に使用しており、CSS3拡張、数式、多言語組版対応などに対応。

■○開催概要とお申し込み
http://kokucheese.com/event/index/74444/