EPUB3.0のアクセシビリティを高めるためのガイドライン

EPUB3.0形式の電子書籍のアクセシビリティについては、EPUB3.0を制定した団体であるIDPFが制作して配布している「EPUB 3 Accessibility Guidelines」[1]を紹介する。

EPUB3.0のパッケージ中は、XHTML5、CSS、SVGとJavaScriptというWebコンテンツ形式で構成する。従って、アクセシビリティの基本はWebアクセシビリティ、つまり、WCAG(Webアクセシビリティガイドライン)とWAI-ARIA(アクセシブルなリッチインターネット・アプリケーション)である。但し、EPUB3.0には、PLS辞書(発音辞書)、ナビゲーション文書のような独自の機能もある。

EPUB3.0では、音声読みあげツールなどの支援技術を使ったときにも、本の読み順が分かりやすいようにマークアップしなければならない。EPUB3.0のアクセシビリティを高めるポイントは非常に多岐にわたる。

EPUB 3 Accessibility Guidelinesは、次の構成になっている。

1. 意味
・論理的な読み順
・epub:type属性
・スタイルの分離
2. XHTMLコンテント文書
2.1 一般
・言語
・ページ番号
・インライン・フレーム
2.2 整形
・ボールドとイタリック
・リンク
2.3 前付
・出版された仕事
・目次
・イラストの一覧
・表一覧
2.4 本文
・部・章・節
・見出し
・表
・箇条書き
・説明
・図
・画像
・画像マップ
・オーディオ
・ビデオ
・脚注・後注
・注釈
・文脈の区切り
2.5 後付
・文献一覧
・索引
3. MatML
・説明
4. SVG
・言語
・タイトルと説明
・部品
・テキスト内容
・リンク
・スタイル
・対話性
5. EPUB スタイルシート
・色
・背景とイメージ
・隠れた内容
・重要なルール
・CSSのプロパティ参照表
6. 固定レイアウト
・XHTML
・イメージ
7.ナビゲーション
・目次
・ランドマーク
・ページリスト
・図一覧
・表一覧
8.メタデータ
・ONIXコードリスト196
・Schema.orgアクセシビリティ・メタデータ
9.メディアオーバレイ
・概要
・ハイライト
・箇条書き
・表
10. テキストから読み上げ
・概要
・PLS辞書
・SSML
・CSS3スピーチ
11. スクリプトに依る対話性
・プログレッシブ・エンハンスメント(UAの能力に応じて機能を拡張)
・コンテンツの妥当性
・WAI-ARIAとカスタムコントロール
・フォーム
・ライブ領域
・キャンバス
12. 準拠
・参考資料:セクション508

[1]EPUB 3 Accessibility Guidelines(このWebページもEPUBも、最初の「Getting Started」の見出しがO’Reilly本の広告へのリンクになっているので注意)。この資料は、Webページとして閲覧できるほか、EPUB形式でも無料でダウンロードできる。
[2] アクセシビリティとは(草稿)
[3] 著作権法とアクセシビリティ(草稿)
[4] アクセシビリティという言葉がどのように使われているか
[5] PDFのアクセシビリティ。ワンソースマルチユースのもう一つの応用。

PDFのアクセシビリティ。ワンソースマルチユースのもう一つの応用。

PDFへのアクセシビリティとはPDFの形式で表された情報や知識の利用しやすさである。

1.PDF形式で表される情報の主な種類

・PDFは紙への印刷物をデジタル化したものであるが、最近は、印刷物ではない3D画像や動画を埋め込んだり添付することもできるようになっている。
・印刷物として表された知識は文字(テキスト)が中心であるが、写真や絵画のようにテキストで表せないものもある。
・テキストの一部にイラストのような図版、写真、表を含むことも多い。
・書物のような冊子を表すPDFについては、目次・索引・リンクなど必要な情報を探し、そこにたどり着くための仕組みもある。
・PDFはJavaScriptプログラムを使ってアクションを設定できる。

2.PDFのアクセシビリティについて定めた規格

PDFのアクセシビリティについて定めた規格には、PDF/UAとWCAGをベースとする規格の二つがある。

(1) PDF/UA(ISO 14289-1:2014)
ISO 32000-1:2008 をベースとして、アクセシブルなPDFのための要求項目を決めている。2008年に初版、2012年に改訂、2014年に再び改訂された。主な内容は、次の通り。
・ファイルの識別方法(5節)
・要求項目まとめ(6節)
・ファイル形式への要求項目(7節)
・準拠リーダーへの要求項目(8節)
・準拠支援技術への要求項目(9節)

7節のファイル形式への要求項目が中心である。1.で簡単に紹介したようにPDF中には多様な情報を含んでおり、要求項目は多岐に渡る。見出しだけを挙げると次のとおりである。
・一般(7.1)
・テキスト(7.2)
・グラフィックス(7.3)
・見出し(7.4)
・表(7.5)
・箇条書き(7.6)
・数式(7.7)
・ページのヘッダー・フッター(7.8)
・注釈と参照(7.9)
・オプショナル・コンテント(7.10)
・埋め込みファイル(7.11)
・アーティクル・スレッド(7.12)
・電子署名(7.13)
・非対話フォーム(7.14)
・XFA(7.15)
・セキュリティ(7.16)
・ナビゲーション(7.17)
・注釈(7.18)
・アクション(7.19)
・XObject(7.20)
・フォント(7.21)

PDF/UAは、まずタグ付きPDFでなければならない。特に本文については、7.2から7.9できめ細かくタグを付けることが要求されている。例えば、見出しはH1タグをルートとし、H2H3…と順を追って階層化した見出しタグを付けなければならない。図にはFigureタグを付け、図のキャプションにはCaptionタグを付けなければならない。

(2) Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0(ISO/IEC 40500:2012)
  日本語版JIS X8341-3:2010
Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0(原文)
WCAG 2.0 ガイドライン(日本語訳)

Webコンテンツ一般のガイドラインであり、PDFもその一種として対象としている。WCAG2.0は高レベル(抽象度の高い)ガイドである。

具体的なテクニック解説文としてPDFの作り方に関する説明がある。
Techniques for WCAG 2.0(原文)
WCAG 2.0 実装方法集(日本語訳)
PDF Techniques for WCAG 2.0(原文)

「WCAG 2.0 実装方法集」は、準拠基準ではなく実装の解説である。

例えば、文書をスキャンして画像化したPDFはPDF/UA準拠ではない。PDF/UA準拠にするには機械可読としてタグを付ける。WCAG 2.0 実装方法集にはその例が記載されている、という関係である。

3.ワンソースマルチユースの応用としてのアクセシブルPDF生成

全体として、PDF仕様の複雑さと、アクセシビリティ要求の難しさを考慮すると、アクセシブルレベルの高いPDFを手作業で制作するのはかなり難易度が高い。PDF/UA準拠にするために、できあがったPDFに後から手作業でタグ追加するのは効率を考えると良い方法といえない。オーサリングの段階で文書を構造化しておき、タグをPDFに自動的に埋め込む必要がある。

アクセシブルなPDFを自動的に作れないと製作コストが許容できないほど高くなってしまうだろう。このようにコンテンツから印刷用PDFと共にアクセシブルなPDFを自動生成することは、ワンソースマルチユースのもう一つの応用になるであろう。

[1] アクセシビリティとは(草稿)
[2] アクセシビリティという言葉がどのように使われているか
[3] PDFのアクセシビリティ。ワンソースマルチユースのもう一つの応用。
[4] EPUB3.0のアクセシビリティを高めるためのガイドライン

アクセシビリティという言葉がどのように使われているか

国連の「障害者の権利に関する条約」をみると、原文では“access”という単語は63か所出てくる。普遍的な用語である。

原文では“accessibility”は9か所に出てくる。しかし、日本語訳にはアクセシビリティという単語は出てこない。原文の“accessibility”が出てくる箇所の対訳を下記に示す。

《まとめ》
「障害者の権利に関する条約」において、アクセシビリティは障害者にとっての施設やサービスの利用のしやすさを意味する言葉として使われている。

《記》

1.前文(V)

(v) Recognizing the importance of accessibility to the physical, social, economic and cultural environment, to health and education and to information and communication, in enabling persons with disabilities to fully enjoy all human rights and fundamental freedoms,

【訳文】
(v) 障害者が全ての人権及び基本的自由を完全に享有することを可能とするに当たっては、物理的、社会的、経済的及び文化的な環境並びに健康及び教育を享受しやすいようにし、並びに情報及び通信を利用しやすいようにすることが重要であることを認め、

2.第3条
Article 3 General principles
The principles of the present Convention shall be:

(f) Accessibility;

【訳文】
第三条 一般原則
この条約の原則は、次のとおりとする。

(f) 施設及びサービス等の利用の容易さ

3.第9条 見出し
Article 9 Accessibility

【訳文】
第九条施設及びサービス等の利用の容易さ

4.~8.第9条本文
1. To enable persons with disabilities to live independently and participate fully in all aspects of life, States Parties shall take appropriate measures to ensure to persons with disabilities access, on an equal basis with others, to the physical environment, to transportation, to information and communications, including information and communications technologies and systems, and to other facilities and services open or provided to the public, both in urban and in rural areas. These measures, which shall include the identification and elimination of obstacles and barriers to accessibility, shall apply to, inter alia:
(a) Buildings, roads, transportation and other indoor and outdoor facilities, including schools, housing, medical facilities and workplaces;
(b) Information, communications and other services, including electronic services and emergency services.
2. States Parties shall also take appropriate measures:
(a) To develop, promulgate and monitor the implementation of minimum standards and guidelines for the accessibility of facilities and services open or provided to the public;
(b) To ensure that private entities that offer facilities and services which are open or provided to the public take into account all aspects of accessibility for persons with disabilities;
(c) To provide training for stakeholders on accessibility issues facing persons with disabilities;
(d) To provide in buildings and other facilities open to the public signage in Braille and in easy to read and understand forms;
(e) To provide forms of live assistance and intermediaries, including guides, readers and professional sign language interpreters, to facilitate accessibility to buildings and other facilities open to the public;
(f) To promote other appropriate forms of assistance and support to persons with disabilities to ensure their access to information;
(g) To promote access for persons with disabilities to new information and communications technologies and systems, including the Internet;
(h) To promote the design, development, production and distribution of accessible information and communications technologies and systems at an early stage, so that these technologies and systems become accessible at minimum cost.

【訳文】
1.締約国は、障害者が自立して生活し、及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にすることを目的として、障害者が、他の者との平等を基礎として、都市及び農村の双方において、物理的環境、輸送機関、情報通信(情報通信機器及び情報通信システムを含む。)並びに公衆に開放され、又は提供される他の施設及びサービスを利用する機会を有することを確保するための適当な措置をとる。この措置は、施設及びサービス等の利用の容易さに対する妨げ及び障壁を特定し、及び撤廃することを含むものとし、特に次の事項について適用する。
(a)建物、道路、輸送機関その他の屋内及び屋外の施設(学校、住居、医療施設及び職場を含む。)
(b)情報、通信その他のサービス(電子サービス及び緊急事態に係るサービスを含む。)

2 締約国は、また、次のことのための適当な措置をとる。
(a)公衆に開放され、又は提供される施設及びサービスの利用の容易さに関する最低基準及び指針を作成し、及び公表し、並びに当該最低基準及び指針の実施を監視すること。
(b)公衆に開放され、又は提供される施設及びサービスを提供する民間の団体が、当該施設及びサービスの障害者にとっての利用の容易さについてあらゆる側面を考慮することを確保すること。
(c)施設及びサービス等の利用の容易さに関して障害者が直面する問題についての研修を関係者に提供すること。
(d)公衆に開放される建物その他の施設において、点字の表示及び読みやすく、かつ、理解しやすい形式の表示を提供すること。
(e)公衆に開放される建物その他の施設の利用の容易さを促進するため、人又は動物による支援及び仲介する者(案内者、朗読者及び専門の手話通訳を含む。)を提供すること。
(f)障害者が情報を利用する機会を有することを確保するため、障害者に対する他の適当な形態の援助及び支援を促進すること。
(g)障害者が新たな情報通信機器及び情報通信システム(インターネットを含む。)を利用する機会を有することを促進すること。
(h)情報通信機器及び情報通信システムを最小限の費用で利用しやすいものとするため、早い段階で、利用しやすい情報通信機器及び情報通信システムの設計、開発、生産及び流通を促進すること。

9 第31条 
3. States Parties shall assume responsibility for the dissemination of these statistics and ensure their accessibility to persons with disabilities and others.

【訳文】
3 締約国は、これらの統計の普及について責任を負うものとし、これらの統計が障害者及び他の者にとって利用しやすいことを確保する。

[1] アクセシビリティとは(草稿)
[2] 著作権法とアクセシビリティ(草稿)
[3] PDFのアクセシビリティ。ワンソースマルチユースのもう一つの応用。
[4] EPUB3.0のアクセシビリティを高めるためのガイドライン

著作権法とアクセシビリティ(草稿)

以前に書いたアクセシビリティとは(草稿)は、まだ十分にカバーできていない範囲があるようです。原稿提出を(勝手に)延期して、もう少し調べています。

その一つは、著作権法です。著作権法は、書かれたテキストだけではなく、音楽のようにもっぱら聞くだけの著作物、映画や演劇のような見て聞く著作物、プログラム著作物など幅広い著作物をカバーしています。

まず、印刷などで出版されている著作物を読むことができない(プリントディスアビリティ)人々向けには、著作権法第37条の例外規定があります。そこでは、①点字の作成と送信ができ、②政令で認められた者は文字を音声にするなど必要な方式で複製して公衆通信を行うことができます(第37条3項)。

また、聴覚で認識する方式で発表されているものについては、聴覚障害者向けに、著作権法第37条の2での例外規定で、政令で認められた者は音声のテキスト化や複製、貸出を行えます。

政令で認められた者には、障害者向け福祉施設・団体などの他、大学図書館、国会図書館、図書館法・学校図書館法などで定める図書館が該当します。

第37条および第37条の2に定める例外規定は、いずれも著作権者や著作権者の許可を受けたものが行っていないときに限ります。そこで、出版元が制作・販売を開始したときや、障害者向けに制作したものを一般に販売するときには別途取り決めが必要になります。

著作権法は日本の国内法ですが、国際的な利用を推進するために、2013年にマラケシュ条約が制定されています。マラケシュ条約は、2016年1月現在では発効していませんが、批准する国が増えていますので遠からず発効するでしょう。

第二の追加ポイントですが、プリントディスアビリティな人々向けの情報提供の仕組みとしては、点字システムが古くから使われていますが、近年はデジタル録音方式(音声DAISY)の利用が増えています。さらに、画面上で読み上げている箇所をハイライト表示するなど、音声・画像・テキストを同期できるマルチメディアDAISYの普及が始まっています。マルチメディアDAISYは、現在、日本国内ではDAISY2仕様によるものが多いようです。

DAISY4仕様は制作のために使うものとなり、配布形式はEPUB3と統合されました。EPUB3出版物には印刷物を読むことに困難な人にとってアクセシブルでないものも多く含まれますが、配布形式としてEPUB3を採用することで、アクセシブルな出版物の総数が増えることが期待されています。

[1] アクセシビリティとは(草稿)
[2] アクセシビリティという言葉がどのように使われているか
[3] PDFのアクセシビリティ。ワンソースマルチユースのもう一つの応用。
[4] EPUB3.0のアクセシビリティを高めるためのガイドライン

アクセシビリティとは(草稿)

アクセシビリティとは
国際連合(国連)の障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)では、アクセシビリティとは障害者にとっての施設やサービスの利用しやすさのことである。日本では年齢や身体障害の有無に関係なく、誰でも必要とする情報に簡単にたどり着け、利用できること、すなわち情報アクセシビリティと同義に使うことが多い。さらに、情報アクセシビリティの中でも特にウェブアクセシビリティが重視されている。

障害者権利条約
国連の障害者権利条約は2006年に成立したが、日本では国会での批准を経て効力が発揮したのは、2014年2月19日である。障害者権利条約の第9条はアクセシビリティ(英文)の見出しがあり、障害者が自立して生活し、及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にすることを目的として、①建物、道路、輸送機関その他の屋内及び屋外の施設(学校、住居、医療施設及び職場を含む。)、②情報、通信その他のサービス(電子サービス及び緊急事態に係るサービスを含む。)を簡単に利用できるようにすることとしている。

障害者基本法と障害者差別解消法
日本では、障害者権利条約批准のための国内法整備として、障害者基本法の改正(2011年)と障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)が制定(2013年)された。日本の国内法とそれに基づく施策では、施設やサービスの利用しやすさ、あるいは障害者の社会参加の障壁の解消にバリアフリーという言葉を充てている。障害者基本計画には、情報アクセシビリティという項目がある。そこでは、「障害者が円滑に情報を取得・利用し,意思表示やコミュニケーションを行うことができるように,情報通信における情報アクセシビリティの向上,情報提供の充実,コミュニケーション支援の充実等,情報の利用におけるアクセシビリティの向上」を推進するとしている。このように、日本では情報アクセシビリティに力点をおいており、障害者権利条約と用語のずれがある。これは歴史的なものであろう。

情報アクセシビリティの向上
第三次障害者基本計画(2013年度~2017年度)で情報アクセシビリティの向上に向けて次の取り組みが行われている。
(1)情報通信における情報アクセシビリティの向上
○障害者に配慮した情報通信機器及びサービス等の企画,開発及び提供を促進する。
○日本工業規格等標準化を進めるとともに,国際規格提案を行う。また,各府省における情報通信機器等の調達は,情報アクセシビリティの観点に配慮して実施する。
○国立研究機関等において障害者の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発を推進する。
○障害者に対するIT相談等を実施する障害者 ITサポートセンターの設置の促進等
(2)情報提供の充実等
○身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律に基づく放送事業者への制作費助成,「視聴覚障害者向け放送普及行政の指針」に基づく取組等の実施・強化により,字幕放送(CM番組を含む),解説放送,手話放送等の普及。
○聴覚障害者に対して,字幕(手話)付き映像ライブラリー等の制作及び貸出し,手話通訳者や要約筆記者の派遣,相談等を行う聴覚障害者情報提供施設の整備を促進する。
○身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律に基づく助成等により,民間事業者が行うサービスの提供や技術の研究開発を促進し,テレビや電話等の通信・放送サービスへのアクセスの改善を図る。
○電子出版は,視覚障害や学習障害等により紙の出版物の読書に困難を抱える障害者の出版物の利用の拡大に資すると期待されることから,アクセシビリティに配慮された電子出版の普及に向けた取組を進めるとともに,教育における活用を図る。
○日本銀行券が,障害者等全ての人にとってより使いやすいものとなるよう,五千円券の改良,携帯電話に搭載可能な券種識別アプリの開発・提供等を実施し,券種の識別性向上を図る。
○ 心身障害者用低料第三種郵便を検討する。
(3)意思疎通支援の充実
○手話通訳者,要約筆記者,盲ろう者向け通訳・介助員等の養成研修等により人材の育成・確保を図り、また派遣,設置等による支援を行う。
○情報やコミュニケーションに関する支援機器の開発促進と,障害者に対する給付,利用の支援等を行う。
○意思疎通に困難を抱える人を支援するための絵記号等の普及及び利用の促進を図る。
(4)行政情報のバリアフリー化
○利用しやすさに配慮した行政情報の電子的提供の充実に取り組むとともに,地方公共団体等の公的機関におけるウェブアクセシビリティの向上等に向けた取組を促進する。
○災害発生時に障害者に対して適切に情報を伝達できるよう,障害特性に配慮した情報伝達の体制の整備を促進する。
○政見放送への手話通訳・字幕の付与,点字又は音声による候補者情報の提供等,障害特性に応じた選挙等に関する情報の提供に努める。
○知的障害者等にも分かりやすい情報の提供に努める。

ウェブアクセシビリティ
ウェブコンテンツのアクセシビリティについては、Web技術の標準化を行なう団体であるW3C (World Wide Web Consortium) よりWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0が勧告されている。これに基づき、日本国内では「高齢者・障害者等配慮設計指針 −情報通信における機器・ソフトウェア・サービス − 第3部 ウェブコンテンツ」(JIS X 8341-3)が制定されている。WCAG 2.0/JIS X 8341-3は、HTML、CSS、PDFで作成する情報コンテンツを、アクセシブルにするために守るべき項目が提示されている。

[1] 著作権法とアクセシビリティ
[2] アクセシビリティという言葉がどのように使われているか
[3] PDFのアクセシビリティ。ワンソースマルチユースのもう一つの応用。
[4] EPUB3.0のアクセシビリティを高めるためのガイドライン