索引について―階層化索引を簡単に作る方法を考えました。

前回[1]は、主に索引の目的について考えてみました。

今回はちょっと実践的に、ECMJ流!のシリーズの制作の際に階層化索引を簡単に作る方法を考案しましたので、それについてご紹介します。

階層化索引というのは例えば次のような形式です。この例では親階層が「Eコマース」、「Eコマース革命」です。その子供の索引として「大企業のEコマース」、「中小企業のEコマース」などがあります。Eコマースが共通ですので、表示を簡素化するためダッシュで代替しています。

○PDFのとき巻末に索引を自動生成し、ページ番号から本文の索引語位置への内部リンクを設定
20170131

○PDFのとき巻末に索引を自動生成し、索引語または(複数箇所あるとき)索引語のカウンターから本文の索引語位置への内部リンクを設定
20170131c

CAS-UBの編集画面には簡単な索引を作る対話式のダイヤログがあり、これを使えば1階層の索引を簡単につくることができます[2]

残念ながら、現在のところ、編集画面のダイヤログでは階層化索引を作ることができません。そこで、CAS-UBの編集画面で手入力でCAS記法のマークアップすることになります。

CAS記法のマークアップの説明はこちら:CAS記法リファレンス

親子の索引は本文に次のようにマークアップします。
[[[:mindex [[[:prim:key=xxx 親の索引語]]][[[:second:key=yyy 子供の索引語]]]]]]
xxxに親の索引語の読み、yyyに子供の索引語の読み

しかし、どうもまだるっこしいので、テキストファイルとして索引を用意する方法を考えてみました。

上の図の例の索引を作るには、次のようなテキストファイルを用意します。

[[[:nodisp:mindex [[[:prim Eコマース]]][[[:second:key=だいきぎょうの―― 大企業の――]]]]]]
[[[:nodisp:mindex [[[:prim Eコマース]]][[[:second:key=ちゅうしょうきぎょうの―― 中小企業の――]]]]]]
[[[:nodisp:mindex [[[:prim Eコマース]]][[[:second パソコンでの――]]]]]]
[[[:nodisp:mindex [[[:prim Eコマース]]][[[:second モバイルでの――]]]]]]

[[[:nodisp:index:key=Eコマースかくめい Eコマース革命]]]
[[[:nodisp:mindex [[[:prim:key=Eコマースかくめい Eコマース革命]]][[[:second:key=――いこうの2ねんかん ――以降の2年間]]]]]]

(:nodispは索引語をPDFとEPUBの本文に表示しないという指定です)

それで索引語検索して、ヒットしたところに、索引のマークアップを貼り付けていきます。こんな感じです。

(1)「大企業のEコマース」を検索します。
20170131a

(2)ヒットした中で索引を付ける箇所を選択します。この場合は(9,76)の位置に付けますので、(9,76)をクリックします。

(3)すると編集画面で(9,76)の位置にジャンプします。テキストファイルから

[[[:nodisp:mindex [[[:prim Eコマース]]][[[:second:key=だいきぎょうの―― 大企業の――]]]]]]

をコピーして、索引語の前に貼り付けます。

(4)貼り付けた結果は次の図のようになります。

20170131b

(5)PDFとEPUBを作成すると索引のページが自動的に作られ、索引の各項目から本文へのリンクが設定されます。本文の索引語が非表示でもリンク先としては有効ですので、索引のマークアップは索引からジャンプしたい箇所に設定して置くのが良いです。

[1] 索引論再訪ー索引の目的とは。索引をどうやってつくるか?
[2] 1階層の索引の作り方は、動画とブログで紹介しています。動画とブログは下記の過去記事をご覧ください。

CAS-SUPPORTブログの索引関連その他の過去記事
[1] CAS-UBの編集デモ動画 新ファイル : 索引を追加する
[2] EPUB・PDFで索引や親子索引を作るためのCAS記法の例
[3] CAS-UBではEPUBに索引を自動的に出力できます。
[4] 索引の作り方を考える。一歩進んで、本文に出てこない索引語や、索引語の階層化の試み。

CAS-UBの編集デモ動画 新ファイル : 索引を追加する

ブログの記事を整理した本文ができあがりました。本には索引が必要ですので、簡単な索引を設定します。

【シナリオ】
1.索引を設定します
(1) 本文で索引項目を選定します。日本語の漢字を含むときは、索引の読みを入力して、「CAS記法」をクリックすると索引がマークアップされます。
(2) アルファベット・カタカナ・ひらがなは読みの入力は不要です。
(3) 本文中に表示されない索引項目は位置だけ指定し、索引語と(必要なら)読みを入力します。索引のマークアップには:nodisp属性が付きます。
(4) PDFに索引を「出す」「出さない」を設定します。(索引項目が一つもないと、「出す」としても索引ページはできません。)
(5) 目次に索引ページが追加されています。
(6) 索引項目には本文へのリンクが設定されます。

※PDFの生成設定は本文二段組みとなっている。

【デモ動画】
索引を追加する(mp4動画です)

【デモ動画一覧】(それぞれMP4ファイルを表示します)
(1)新出版物を作り『蕎麦の味と食い方問題』(青空文庫)をコピーする
(2)ルビ、縦中横、リンクをマークアップする
(3)Wordからの外部入力の操作例
(4)PDF生成の基本設定
(5)PDF生成のレイアウト調整
(6)PDFの後書きのページ内配置と見出しの指定変更
(7)『XSL-FOの基礎』サンプルレイアウト改善の例
(8)ブログをコピーして節の本文に貼り付け、項の見出しを付ける
(9)目次に出す見出しのレベルを二つから一つに変更する
(10)検索、検索・置換する、記事の先頭はそのままにする
(11)Word文書で作成した「前書」を追加します。

CAS-UBの編集デモ動画 新ファイル : 前書を追加する

ブログの記事を整理した本文ができあがりました。そこで、Word文書で作成した「前書」を追加します。

【シナリオ】
1.本文第1章~第9章に「前書」を追加する
2.まえがきはWordの原稿で用意する
3.Wordの原稿からインポートする
4.記事の種類を「前書」に設定する
※「前書」は自動的に目次の前に配置する
 「前書」には番号は付かない

※PDFの生成設定は本文二段組みとなっている。

【デモ動画】
前書を追加する(mp4動画です)

【デモ動画一覧】(それぞれMP4ファイルを表示します)
(1)新出版物を作り『蕎麦の味と食い方問題』(青空文庫)をコピーする
(2)ルビ、縦中横、リンクをマークアップする
(3)Wordからの外部入力の操作例
(4)PDF生成の基本設定
(5)PDF生成のレイアウト調整
(6)PDFの後書きのページ内配置と見出しの指定変更
(7)『XSL-FOの基礎』サンプルレイアウト改善の例
(8)ブログをコピーして節の本文に貼り付け、項の見出しを付ける
(9)目次に出す見出しのレベルを二つから一つに変更する
(10)検索、検索・置換する、記事の先頭はそのままにする

EPUB3.0のアクセシビリティを高めるためのガイドライン

EPUB3.0形式の電子書籍のアクセシビリティについては、EPUB3.0を制定した団体であるIDPFが制作して配布している「EPUB 3 Accessibility Guidelines」[1]を紹介する。

EPUB3.0のパッケージ中は、XHTML5、CSS、SVGとJavaScriptというWebコンテンツ形式で構成する。従って、アクセシビリティの基本はWebアクセシビリティ、つまり、WCAG(Webアクセシビリティガイドライン)とWAI-ARIA(アクセシブルなリッチインターネット・アプリケーション)である。但し、EPUB3.0には、PLS辞書(発音辞書)、ナビゲーション文書のような独自の機能もある。

EPUB3.0では、音声読みあげツールなどの支援技術を使ったときにも、本の読み順が分かりやすいようにマークアップしなければならない。EPUB3.0のアクセシビリティを高めるポイントは非常に多岐にわたる。

EPUB 3 Accessibility Guidelinesは、次の構成になっている。

1. 意味
・論理的な読み順
・epub:type属性
・スタイルの分離
2. XHTMLコンテント文書
2.1 一般
・言語
・ページ番号
・インライン・フレーム
2.2 整形
・ボールドとイタリック
・リンク
2.3 前付
・出版された仕事
・目次
・イラストの一覧
・表一覧
2.4 本文
・部・章・節
・見出し
・表
・箇条書き
・説明
・図
・画像
・画像マップ
・オーディオ
・ビデオ
・脚注・後注
・注釈
・文脈の区切り
2.5 後付
・文献一覧
・索引
3. MatML
・説明
4. SVG
・言語
・タイトルと説明
・部品
・テキスト内容
・リンク
・スタイル
・対話性
5. EPUB スタイルシート
・色
・背景とイメージ
・隠れた内容
・重要なルール
・CSSのプロパティ参照表
6. 固定レイアウト
・XHTML
・イメージ
7.ナビゲーション
・目次
・ランドマーク
・ページリスト
・図一覧
・表一覧
8.メタデータ
・ONIXコードリスト196
・Schema.orgアクセシビリティ・メタデータ
9.メディアオーバレイ
・概要
・ハイライト
・箇条書き
・表
10. テキストから読み上げ
・概要
・PLS辞書
・SSML
・CSS3スピーチ
11. スクリプトに依る対話性
・プログレッシブ・エンハンスメント(UAの能力に応じて機能を拡張)
・コンテンツの妥当性
・WAI-ARIAとカスタムコントロール
・フォーム
・ライブ領域
・キャンバス
12. 準拠
・参考資料:セクション508

[1]EPUB 3 Accessibility Guidelines(このWebページもEPUBも、最初の「Getting Started」の見出しがO’Reilly本の広告へのリンクになっているので注意)。この資料は、Webページとして閲覧できるほか、EPUB形式でも無料でダウンロードできる。
[2] アクセシビリティとは(草稿)
[3] 著作権法とアクセシビリティ(草稿)
[4] アクセシビリティという言葉がどのように使われているか
[5] PDFのアクセシビリティ。ワンソースマルチユースのもう一つの応用。

ナビゲーションとは(草稿)

JEPAサイトで完成版公開
ナビゲーション

ナビゲーションは航法、航海術を表す言葉であり、船舶や航空機などを目的地まで導くことやその役割を意味する。近年は、インターネットのWeb、電子書籍などのデジタル出版分野でも目的とする情報にたどりつくことやそのための手段のことをナビゲーションというようになった。ちなみにHTML5でナビゲーション用のリンクをグループ化する<nav>タグが定義された。ここでは、デジタル出版物を中心としてナビゲーションについて検討する。

紙の出版物

紙の本ではナビゲーションという言葉は使わない。しかし、機能としてのナビゲーション、すなわち目的の情報に導く手段はいろいろある。紙の本で目的地を示す情報には、見出し番号と見出し、図表番号とキャプション、ノンブル(ページ番号)、柱などを用意する。目的地に導く方法として、ぱらぱらとページをめくって探す、目次から辿る、索引や図表一覧から辿るなどが使われる。さらに、ユーザーのカスタム情報として栞紐(しおりひも)を使う 、紙のしおりを挟む、付箋を貼るなどの手段を使うことがある。

PDF

PDFは紙の本をデジタル化したものなので、目的地を示す情報は紙で用意されている項目と同じである。目的地に導く方法は、PDFに用意するものとしては、アウトラインツリー(目的地毎にアウトライン項目を用意し、アウトライン項目をツリー構造で示したもので、Acrobatでは、アウトラインツリーを「しおり」表現している)、サムネイルなどがPDF独自の方法である。アウトライン項目、目次の見出し、索引の項目から目的地へのリンクを設定できる。

紙より便利な点は、リンクのテキストをクリックすると目的地にハイパージャンプできることである。PDFリーダーは、ページを捲る方法として「進む」、「戻る」、「先頭」、「最後」を用意しているのは普通である。しかし、紙のページをぱらぱらめくるのに相当する機能が用意されているPDFリーダーはあまり見かけない。読んでいるPDFに対してユーザーが自分専用の目的地のしるしをつけるためのカスタム手段は、PDFリーダーがサポートすべき項目であるが、こうした機能をもつPDFリーダーは見かけない。

EPUB3

EPUB3では目的地を示す情報として読者に見えるのは、見出し番号と見出し、図表番号とキャプション位である。EPUB3では柱で目的地を示すことができないし、特にリフロー型EPUBではEPUBリーダーが表示するページ番号は目的地を示すために使えない。ハイパーリンクの行先アドレスは、目的地を示すが可視化されない。

EPUB3では、目的地に導く方法として、ナビゲーション・ファイル(<nav>要素にepub:type=”toc” を指定したファイル)を必ず用意しなければならない。しかしナビゲーション・ファイルに記載する情報は標準化されていない。日本電子書籍出版社協会の電書協 EPUB 3 制作ガイドでは「版元から特に指示がないかぎり、カバーページ、目次ページ、奥付ページへのリンクのみとする」とされているなど、あまり重視されていない。むしろ、ナビゲーション・ファイルとは、別に、本文とは同様なレイアウトを設定する目次ファイルを用意することが多い。索引や図表一覧などは用意することができるが、市販の電子書籍ではあまり使われていない。

紙より便利な点は、リンクのテキストをクリックすると目的地にハイパージャンプできることである。EPUBリーダーは、ページを捲る方法として「進む」、「戻る」、「先頭」、「最後」を用意しているのは普通である。また、スライダーでページ素早く進むインターフェイスを用意しているEPUBリーダーもある。読んでいるEPUBでユーザーが自分専用の目的地のしるしをつけるためのカスタム手段をサポートするEPUBリーダーも珍しくない。しかし、全体としてEPUBのナビゲーションは紙と比べて機能が低い。

本の形を考える―段落のインデント(CAS-UBの場合どうするか(草稿))

CAS-UBでユーザーが段落・パラグラフ(p要素)を配置できる要素について検討してみます。以下は、CAS-UB実装メモであり検討中のものです。

注意)CAS-UBは内部的にはHTMLを主にクラス属性を使って拡張した形式でデータを処理しています。但し、コンテンツを記述するのは簡易マークアップ記法であるCAS記法を用いているため、HTMLで使うことのできるすべての要素の組み合わせを記述することができません。

〇章・節・項など(div class=”level2″~div class=”level9″)の内容
pはh1~h6タグの兄弟となる。

〇引用(blockquote)
pはblockquoteの子供である。
引用の中に見出し(h1~h6)を置いたとき、pはdivの子供でh1~h6の兄弟となる。

1.短い引用は段落の中に取り込む。MLAは散文なら4行以内は取り込む。([1]p.124)
2.散文の長い引用。([1]p.125)
2.1 一段落またはその一部だけを引用するとき、一行目を他の行よりもインデントしない。
2.2 二つ以上の段落を引用する必要があるとき、各段落の一行目を1/4インチだけ追加でインデントする。もし、オリジナルが最初の段落を深くインデントしてないなら、最初の段落をインデントしないで2段落以降のみインデントする。

〇表のセル(td, th)
HTMLのモデルではliの中にpを置くことができるがCAS記法では記述できない。
但し、HTMLの表を直接埋め込んだ場合には、表のセルはパラグラフを複数含むことができる。

〇箇条書きの説明(li)
HTMLのモデルではliの中にpを置くことができるがCAS記法では記述できない。liの内容が二つ以上のパラグラフをもつことはない。

〇用語定義リストの説明(dt)
HTMLのモデルではliの中にpを置くことができるがCAS記法では記述できない。liの内容が二つ以上のパラグラフをもつことはない。

〇特殊なブロック
CAS記法では、次の5種類のクラス属性をもつdiv(ブロック)を特殊化したブロックと言い、それぞれにスタイルをあらかじめ指定しています。
1. サマリー(div class=”sum”)
2. コラム(div class=”col”)
3. 注釈(div class=”ann”)
4. 画像(div class=”fig”)
5. 表(div class=”tbl”)

1~5でpはdivの子供である。
キャプションがあるとき、pは、div class=caption の兄弟となる。

〇検討事項
CAS記法ではクラス属性のないdivの中にパラグラフを記述できます。このときpはdivの子供となります。このdivの最初の子供であるpを先頭の段落とするべきかどうか?

その他例えば、パラグラフとパラグラフの間に、別のブロック要素が挿入されたときブロック要素の後に続くpは一つ目とするべきか、それとも二つ目(以降)とするべきか? →継続する段落はpにcont属性を付ける。

段落と段落の間に空きがあったとき。ポーズの空きがあるとき、空きの後の段落はどうするか?

〇参考資料
“Thinking with Type”[2]に、段落のレイアウト・スタイルの様々な見本が掲載されている。

[1] MLA Style Manual and Guide to Scholary Publishing
[2] http://www.thinkingwithtype.com/contents/text/#Marking_Paragraphs

本の形を考える―箇条書きのスタイル(草稿)

英語の本の箇条書き(リスト)のスタイルについて調べてみました。まだ、調査は不十分で規則として言えるような段階ではないですが。とりあえず整理してみます。この文章では、箇条書きとリストは同じ意味で用いています。

最初にルールブックの記述を見ます。

1.Hart’s rule[1]
・箇条書きにはディスプレイとインラインがある(p.286)

ディスプレイ・リストには3つのタイプがある(p.287)
・番号や文字で印をつける
・ビュレットで印をつける
・マーカーのないリスト

番号・文字・ビュレット(p.288)
・ローマン、イタリック、ポイント有無はデザインによる
・Oxford Style:1、(a)、(i)の順だが、1、(i)、(a)でも良い
・階層が深い時は、大文字のアルファベット、大文字のローマ数字を使っても良い
・項目の階層が無い時はビュレットのようなタイポロジカル記号を使う。ビュレットと項目テキストの間はenスペース。

番号もビュレットもない単純なリストでも良い

2.Chicago Style[2]

テキストの中に入るリストと縦に配置するリストがある。リストを縦に配置するのは次のとき。(6.124)
・タイポグラフィックに目立つようにする
・長い
・階層がある

項目を番号付ける時、番号にはピリオドを付けて、テキストは大文字で開始する。項目が2行以上になるときはハンギング・インデントとする。番号付きリストでは先頭は1行目のテキスト開始位置に揃える。インデントする代わりに項目間を空けても良い。(6.127)

項目が長い時は、番号付き段落としても良い。(6.128)

番号付きリストをさらに階層化するときは、番号と文字の両方を使ってよい。数字は最下位で桁ぞろえする。括弧で括る文字はローマンでもイタリックでも良い。階層が深い時の例:

Ⅰ.>A.>1.>a)>(1)>(a)>i)

(6.130)

3.実際の本におけるスタイル

実際の英語の本(4冊)で縦に配置する箇条書き(ディスプレイ)スタイルをチェックしてみました。まだ、確認したケースが少なく、基本的にデザイン依存ですので一般的な要件とは断言できませんが、次のようになっていました。

(1) ラベルのない箇条書き

実際の本では、番号や記号のラベルをつけないで項目を並べる箇条書きは、事例を挙げるまでもなくかなり頻繁にでてきます。その特徴は:
・ブロック全体の左余白は文脈依存
・ブロックの前・後の空きは文脈依存
・1項目の長さが2行になるとき、2行目以降は字下げする(ハングング・インデント)
・項目が短い時、2段組みされることがある
・項目の内容をいくつかのフィールドに分けることがあり、フィールド先頭をタブで位置揃えできると良い

(2) 番号なし箇条書き

番号なし箇条書きは、各項目の先頭にビュレットを置いて項目を目立つようにするものであり、ビジネス本などでは良く見かけます。その特徴は:
・ブロック全体の左余白は文脈依存である。しかし、敢えて言えばビュレットの位置をブロックのパラグラフ左開始位置に置くのが多いようだ。
・ブロックの前・後の空きは文脈依存である。
・項目と項目の間を項目内の改行幅よりも広くすることがある
・ビュレットと項目のテキスト間には若干の空きがある。項目が長い時、2行目は1行目のテキスト開始位置に揃える。

(3) 番号付き箇条書き
番号付き箇条書きもビジネス書などで頻繁に見かけます。その特徴は:
・ブロック全体の左余白は文脈依存である。しかし、敢えて言えば番号の位置をブロックのパラグラフ左開始位置に置くのが多いようだ。
・ブロックの前・後の空きは文脈依存である。
・番号と項目のテキストの間には若干の空きがある。項目が長い時、2行目は1行目のテキスト開始位置に揃える。
・第一階層の番号は通常はアラビア数字で区切りにはピリオドを付ける。

[1] “New Hart’s Rule” Oxford University Press 2005
[2] “The Chicago Manual of Style. 15th Edition” The University of Chicago Press, 2003

本の形を考える―最初の段落の先頭行字下げ規則は?

本の形を考える―段落と段落のスタイルを考える(草稿)(4月5日)[1]で次のように書きました。

英語の文章では先頭の段落は字下げせず、次の段落以降を字下げすることが多い

英語のスタイルの本で先頭段落の字下げについて明記している本は少ないようですが、”New Hart’s Rule”[2]には次のように記述されています。

章、節、項の見出しに続くテキストの最初の行は左マージンまでフルに配置され、パラグラフのインデントはない。続く各パラグラフの最初の行は通常インデントされる。(p.15)

このパラグラフ・スタイルを自動組版でできるだけ簡単に実現するには、先頭の段落とはなにかをプログラムで処理できるように規定する必要があります。そのために実際の本ではどうなっているかを調べてみました。

次に挙げる例は、”Making News at the New York Times”[3]の一部分です。

この本では、章、節の見出しに続く第1段落は字下げなし、第2段落以降は字下げするという標準的な段落スタイルで組版されています。

page150
図1 章のタイトルの直後の段落は字下げしない例(p.150)

本書はニューヨークタイムズの編集現場でのフィールド調査の報告で、記者に対するインタビューの引用箇所が多数あります。引用箇所の多くでは引用の直後の段落で字下げしていません。つまり直後の段落を第1段落として扱っているわけです。

p46
図2 引用の直後の段落で字下げしない例(p.46)

しかし、さらに調べますと、引用の直後の段落で字下げしている箇所も見つかります。

p80
図3 引用の直後の段落で字下げする例(p.80)

こうしてみますと、引用直後の段落を第1段落として扱うか、続きの段落として扱うかは文脈依存になるようです。

MLA Handbook[4]を見ても、引用文のブロックの直後の段落を継続段落(先頭行字下げ)とするか、最初の段落(先頭行を字下げしない)とするかは、文脈依存になっています。

実際の本では、段落と段落の間に、図、数式、引用、箇条書き、(プログラム)コードなどのブロックが入ることが多いのですが、それらのブロック直後の段落で字下げするかどうかを画一的なルールで処理するのは難しいようです。

[1] 本の形を考える―段落と段落のスタイルを考える(草稿)
[2] “New Hart’s Rule” Oxford University Press 2005
[3] Nikki Usher “Making News at the New York Times” The University of Michigan Press, 2014
[4] “MLA Handbook for Writers of Research Papers. Seventh Edition” The Modern Language Association of America, 2009 MLA Handbookは、学部レベルのレポート執筆要綱のガイドなので本文の記述ではなく、印刷された本のレイアウトを見ています。

本の形を考える―段落と段落のスタイルを考える(草稿)

段落のスタイルについて検討します。

1. 目的

段落のスタイルでは、段落全体をどのような大きさで、どのような種類の文字(フォントファミリー)で、どのように配置するかなどを指定します。段落の配置において考慮することは、段落と段落の間をどの程度空けるか、段落の先頭をどのように処理するか、段落の行の左右字上げ・字下げ、揃え(中央・左右)、段落の先頭や末尾の行が次の頁に1行あるいは1文字だけはみ出したときにどうするかなどです。

XSL-FOやCSSのようなスタイルシートの仕様では、様々な段落スタイル指定機能があります。しかし、XSL-FOやCSSは、このスタイル指定機能をどのように使いこなすべきかということは決めていません。使いこなしはあくまで指定する側に委ねられています。

CAS-UBのような本を作るためのツールでは、適切な段落スタイルを簡単に指定できるようにするのが大切です。段落スタイルは本の種類や文章の内容によって変わります。そこで何種類かのスタイルを用途に応じて簡単に選択し、切り替えできると便利です。現在のところ段落スタイルの切り替え機能は不十分ですが、今後、これを強化していく予定です。

2. 段落とは

最初に段落とはなにかを簡単にまとめます。段落に相当する英語はパラグラフ(Paragraph)ですが、この文章では段落とパラグラフを同じ意味に使います[1]

文章の区切りを大きく分けると、①章のような大きな区切り、②節のような中程度の区切り、③段落のような小さ目の区切りに分かれます。野口[2]は文章を長さで分類するとパラグラフ、短文、長文、本の4種類になると言っています(p.87)。段落は文章を構成する基本単位であり、本のテキストは段落の集合です。段落よりも小さな単位に文・センテンス(sentence)があります。段落は意味をもつ最小単位であり、文は文法的な最小単位です。

野口[2]は段落は150字程度が良いといいます(pp.89-90)。木下[3]は、原則として一つの文だけからなるパラグラフは書くべきではないとして、パラグラフの長さには制限がないが敢えていえば200字~300字といいます(pp. 72-73)。1行40字のときは行数にして数行~7,8行程度になります。一般の書籍を見ますともっと長い段落も頻繁にでてきます。一つの段落で1,000字を超えることもあります(吉川[4] pp.68-70) 。

英語の文章のパラグラフの長さについて規定は見たことがありませんが、実際の書籍を見ますとかなり長いパラグラフが普通に出てきます。パラグラフの長い英語の本を日本語に翻訳するとき、もし英語のパラグラフをそのまま日本語の段落にすると1段落がかなり長くなるはずです。実際に、日本語の翻訳本を調べてみますと段落が長くなっている傾向があるようです。

段落の長さと段落のスタイルには関係あるかもしれません。

3. 段落の区切りの可視化

段落が文章の意味的な塊であるならば、その区切りが明確になる段落スタイルを採用すると文章の意味が判りやすくなります。段落のスタイルは、段落間の空きと段落の先頭処理によって規定できます。次に段落の区切りを判りやすくするためのスタイルを検討します。

3.1 改行で段落を区切ること
段落の区切りでは行を改めるのが一般的です。では行を改めれば段落の区切りかというとそうではなく、改行していても段落の区切りでないことがあります。次のような例があります。

(1) 用紙に印刷する場合、段落内で文字を配置していくとき、基本版面(テキスト印刷領域)の幅の終わりで改行します。このような自然改行は段落の終わりではありません。自然改行と段落の終わりが一致した場合、改行だけでは段落の区切りが分りません。
(2) 行を配置していくとき、段落の途中で基本版面の一番下の行の終わりに至ったとき、改行と改頁が同時に行われます。
(3) 段落の中にブロック数式などを置いたときは、ブロック数式の後で改行しますが、次の行は段落の続きになります。
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図1 野口悠紀雄『金融緩和で日本は破綻する』ダイヤモンド社 2013年発行 p.35

3.2 段落間の空き

改行のみでは段落を可視化するには不十分です。このため段落を可視化するには、①段落間の空きを段落内の行間よりも広くするか、②段落と段落の間の行間と段落内の行間を同じとし、3.3の段落の先頭処理と組み合わせた段落スタイルを使います。

英語の本では段落間の空きを広く取ることで段落の区切りを明確にするスタイルもよく見かけます。

20150405b
図2 Eliot Kimber “DITA for Practitioners” XML Press 2012

段落間の空きを通常の行間より広くするとき、その空き量をどの程度にするかは段落スタイルの選択となります。

Webページや電子メールのように画面に表示する文章は段落間を空けるスタイルが一般的です。しかし、印刷物の通常段落ではあまり推奨されていません[5]。印刷物ではページの区切りがあるため(3.1の(2)のようなケース)で段落の区切りか、段落内のページの区切りかを視覚的に区別しにくくなるからとのことです。

3.3 段落の先頭処理
日本語の文章では段落の終わりで改行した上で、次の段落の先頭を1文字下げるのが一般的です。

英語の文章では先頭の段落は字下げせず、次の段落以降を字下げすることが多いようです。
20150405c
図3 “The Chicago Manual of Style, 15th edition”

但し、日本語同様にすべての段落を字下げしている書籍もあります。字下げのことをインデント(indent)、段落の字下げを paragraph indentionまたはparagraph indentationといいますが、Paragraph Indentionのことは『Chicago Manual』15版には出てきません。Googleで検索してみますと、14版では記述があり、15版で削除されたとあります[6]

英語の文章の場合、ドロップキャップ(Drop Cap)という、先頭文字を大きく・飾り文字とすることで段落の区切りを明確にする方法があります。
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図4 Smithsonian Books “Nationnal Air and Space Museum, Third Edition” 2009

ドロップキャップはすべての段落の先頭ではなく、最初の段落の先頭文字に対する処理です。日本語でもそのような本を見かけますが、あまり読みやすいとは言えません。ドロップキャップは装飾の一種でしょう。

3.3 課題

(1) 本の中には2.段落で定義したような段落だけではなく、引用文、箇条書き、注釈のようないろいろな種類の文章がでてきます。このようなときスタイルの定義をどうすると良いか?
(2) 3.3により、特に英語の文章の場合、最初の段落とはどのような段落かを定義することが大事になります。

[1] 段落―Paragraphの長さは日本語と英語でかなり違うことがあるようです。もしかするとParagraphは野口・木下のいうことと違う場合があるのかもしれません。しかし、ここでは文章の書き方を検討するわけではありませんので、段落とParagraphの意味関係には深く立ち入りません。
[2] 野口悠紀雄『「超」文章法』中公新書 2010年
[3] 木下是雄『理科系の作文技術』中公新書 2011年
[4] 吉川浩満『理不尽な進化』朝日出版社 2014年
[5] The Chicago Manual of Style Online. “Manuscript Preparation” Web http://www.chicagomanualofstyle.org/qanda/data/faq/topics/ManuscriptPreparation/faq0065.html 2015年4月5日
[6] ask.metafilter.com. “No indentation of initial paragraphs?” May 18, 2005. Web. http://ask.metafilter.com/18872/No-indentation-of-initial-paragraphs 2015年4月5日

『たのしい編集』

『たのしい編集』(和田文夫・大西美穂著、ガイア・オペレーションズ発行、2014年)
横127mm×高さ174mm(四六判の変形(?))、総頁数286、定価本体2,200円+税

20150214

35年に渡って本を編集してきたという和田さんが本づくりについてのアイデアやメモをまとめたものである。簡単なノウハウも含まれているので、同業者へのノウハウの開示にあたるが、むしろ後に続く若手に伝えておきたいメッセージをまとめたと解釈したい。

第一章 編集、第二章 DTP、第三章 校正、第四章 装丁、第五章 未来という構成になっており、幅広いテーマを扱っている。各章は2から6頁の短文をあつめており、短文ひとつひとつのテーマはエッセンスになっている。ブログ記事をあつめて本を作るのに近いかもしれない。全体として制作現場で本を形に作り上げるところに力点があるようだ。

各章の終わりにインタビューや参考図書の紹介があるなど、開始から終了まで一直線ではなく、回り道のある作り、雑誌的な作りになっている。全体をまっすぐ読むだけではなく拾い読みもできるし、肩がこらない。読んでいてたのしい本である。

また、和田さんは本づくりのたのしさということを繰り返し強調している。ご本人はもともと本を読むのが楽しく、その経験から出版の世界に入ったということなので、本そのものが好きで、また、ものを作ることも好きなのだろう。この本も自分の好きなように作ったようだ。なにしろ、たのしさのあふれた本である。

20世紀の終わり頃から、編集者がDTPを手にして自由な版面を作れるようになった、昔の活版や写植でレイアウトしようとすると、おそらく非常に手間がかかったであろうレイアウトをDTPを使えばいとも手軽にできる。「もうひとつの編集作業」(pp.98-102)では編集者がDTPをおこなう最大のメリットとして、「編集作業と密接に結びついた本づくりが可能になること」とあるが、本書の判型・版面・レイアウトから記事の構成まで、DTPによる手軽な版面作りの実践例でもある。

今後は、本のコンテンツはWebと競合する部分が増える。本という形態が存続するには、Webとの差別化が重大な課題になるだろう。そのためには、本書のように体裁にこだわって自分好みの本を作るというのはひとつの方策である。こういう方策は、自分で書いて、自分自身が発行元になっているからこそできることである。(読み返したらKindle Digital Publishing=電子本こそそうじゃないかと思いました! むむ。)

著者も電子書籍について、随所で言及しているが、「紙か、電子か」(pp.254-257)がそのまとめのようだ。この節の最後に「本とはパッケージにほかならない。」と断言した直後に「電子本の登場で、本という存在形式そのものへの再考が必要とされているのかもしれない。」という疑問を提示しているところに、著者の未来への迷いを感じる。