『XSL-FOの基礎 – XML を組版するためのレイアウト仕様』POD出版顛末記

『XSL-FOの基礎 – XML を組版するためのレイアウト仕様』のプリントオンデマンド(POD)による紙版が発売になりました。5月13日にPOD取次よりストアに配信されたのですが、本日、確認しましたところ、三省堂オンデマンド(神田本店のオンデマンド本コーナー)で発売となっていました。三省堂は19日付けですから6日後で発売です。既に10日を経過したのですが、アマゾンとか、ウェブの書斎、hontoウェブストアではまだ発売になっていません。

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三省堂オンデマンド オンデマンド和書(その他出版社)の項

早速、三省堂に電話しましたところ、1冊30分かかるということでした。そこで3冊注文して夕方帰り道に立ち寄って入手しました。次の写真です。

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『XSL-FOの基礎』の元ネタは、2001年から2002年頃のセミナーのテキストです。XMLが登場したのは1998年、XSL-FOは2001年に最初の仕様(V1.0)が完成しました。弊社では、その頃、XSL Formatterの販促のため、XSL-FOのセミナーを十数回開催しました。それから十数年経過しました。そのうち、セミナーだけでは人が集まらなくなり、ワークショップ(XSL School)形式にしてしばらく行っていました。XSL Schoolはイーエイドの藤島さんがXSL-FO解説を担当されていましたが、残念ながら藤島さんはなくなられてしまいました。そこで、今回はセミナー以外の方法として本の出版を企画しました。

XMLドキュメントはニッチな分野です。XMLドキュメントを組版するのはXMLの中でもニッチです。XSL-FOはそういう意味ではニッチを二乗した分野になります。特に日本国内では商業書籍のテーマとしての成立は望むべくもありません。このため十数年経過しても、まだ日本ではXSL-FOをきちんと解説した書籍は発行されませんでした。世界でも数少なく、英語でも古くからある本が数種類のみで、XSL-FOを解説した新刊本はありません。『Definitive XSL-FO』のKen Holmanさんももはや引退モードです。但し、なぜか、ドイツ語では新しく数冊出ています。さすがにグーテンベルグの国だけあります。

しかし、こうしたニッチな世界でもPODを使えば出版自体は成り立ちそうです。CAS-UBは、もともと、こうした用途を狙っていたものです。ということで、昔のテキストをCAS-UBを使って書籍用PDFとし、POD出版を企画してみました。XSLはV1.1になって新しい機能がいろいろ追加されていることもあり、仕様書と格闘すること2カ月弱かかりましたが、ようやく初版ができあがりました。

ゼロから書けば、少なくとも3か月位はかかるでしょう。そうしますと出版単独で人件費までカバーするのはなかなか難しいと思います。ビジネスとしてうまく回す方法はないものでしょうか? もう少し、いろいろトライしてみたいと考えています。

[1] facebook
[2] XSL-FO の基礎 – XML を組版するためのレイアウト仕様
[3] PODで『XSL-FOの基礎』の出版を準備中です。
[4] 『XSL-FOの基礎』画像制作のこと。Word経由でインポートした画像は印刷品質の劣化が激しいため、第2版ではできるだけSVG形式に変更した件。
[5] 『XSL-FOの基礎 第2版』は全文をWebでも公開。CAS-UBのWeb生成機能でプリントオンデマンド用PDFもWebページもワンタッチで完成。

メルマガEPUB版をiBooksで読んでみると・・・

以前にCAS-UBにメルマガをEPUBにするインポート機能をつけていることを書きました。

今日はその続きですが、メルマガをEPUBにしたものをiBooks(新しいiPad)で表示してどうしたら読みやすくなるかを考えて見ます。

材料としては次の2種類のメルマガを使わせていただきました。

1.小寺信良の「金曜ランチボックス」 2012年6月15日 Vol.030 「夜間飛行」から配信のもの
2.津田大介の「メディアの現場」 2012年6月13日 Vol.36 「夜間飛行」から配信のもの

「夜間飛行」はメルマガをテキスト形式の他にEPUB形式でも配信しています。「金曜ランチボックス」は「夜間飛行」のシステムで自動的にEPUB形式に変換しているようですが、「メディアの現場」は、津田大介氏の事務所(ネオローグ)が独自にEPUB形式にしてから、それを配信しているようです。

そこで、現在、それぞれのメルマガで配信されているEPUB版(オリジナル版と略記)と、CAS-UBでEPUB形式に変換したもの(本文ゴシック、本文明朝)2種類とを比較してみました。なお、CAS-UBのスタイルシートは現在開発中のアルファ版ですので、正式提供時は変更になることがあります。(スタイルシートは、本日現在クラウドから指定できません)。

1.小寺信良の「金曜ランチボックス」の場合
a) オリジナル版

b) CAS-UB本文ゴシック

c) CAS-UB本文明朝

2.津田大介の「メディアの現場」の場合
a) オリジナル版

b) CAS-UB本文ゴシック

c) CAS-UB本文明朝

3.備考

2種類のメルマガEPUB版についてそれぞれ1画面だけ紹介しました。少し特徴を挙げます。

1)iBookは、特に指定しないと本文がかな漢字はゴシック体、英数字がプロポーショナルの明朝系フォントになります。オリジナル版はそのような表示になっています。

印刷の場合はこういう使い方はしないのではないかと思いますが、URLのような長い英数字列が頻繁に出てくる場合、これでも良いかという気がします。

2)CAS-UB本文ゴシック版は、見出しも本文もゴシック体を有効になるように指定しています。

本文の行送りが少し狭いような印象があります。また、メルマガを自動的にEPUBにするとURLがそのまま見えてしまいますので、URLの表示に工夫が必要なように思います。

3)CAS-UB本文明朝版は、見出しはゴシック、本文が明朝体に指定しています。

新しいiPad位の解像度になりますと、本文を明朝にしても十分読むことができるように思います。ただ、ちょっと画面が白すぎるのが気になりますね。

さて、読者の皆様はこの3種類でどれが一番読みやすいと感じますか。いかがでしょうか。コメントをいただけるとありがたいです。

《注意》現在、CSSスタイルシートは開発中のため実際のサービスで提供されるものは変更になると思います。ご了承ください。