CAS-SUPPORTのブログ 2012年12月分をEPUB3とKindle mobi形式にまとめました

昨年12月のブログ記事をEPUB3とKindle mobi形式にまとめて次のサンプルページに掲載しました。

CAS-UBサンプル・ページ

*EPUB3はこちら:12月のブログ記事(EPUB3版)
*mobiはこちら:12月のブログ記事(mobi版)

もとの(この)ブログはWordPressです。

手順は次の通りです。

1.WordPressから投稿のエクスポート機能をつかって、1か月分のファイルをエクスポート

2.CAS-UBの[ドラフト]⇒[インポート]でインポートファイルの形式をWordPpress(WXR)とします。

3.1.でエクスポートしたファイルを、指定してアップロード。

4.記事をすべて選んで「主原稿」に移します。

5.画像がエクスポートされないので、画像を直接アップロードします。

6.あとは細かい編集調整をおこなってEPUB3とKindle形式に出力します。

EPUBのベストプラクティス カバー画像の登録方法

多くのEPUBリーダーでは登録されている書籍のアイコンとしてカバー画像を表示します。このカバー画像の登録方法を調べてみました。

1.EPUB2
EPUB2ではカバー画像であることをEPUBリーダに伝えるために、metadateのmeta要素に次のように指定します。

【EPUB2の例】
metadata
<meta name="cover" content="cover-id" />

なお、manifestには、次のようにカバー画像に使用する画像ファイルが登録されていることが前提です。(metaのcontentの値とitemのidの値は一致していること。文字列は可変。)
manifest
<item id="cover-id" href="cover.jpeg" media-type="image/jpeg" />

2.EPUB3
EPUB3では、上の形式のメタデータは廃止されました。ただし、EPUB2のリーダ用との互換性のためにこれを残しておくことができます。そして、EPUB3リーダはmetaの方を無視しなければなりません。[1]

EPUB3の仕様では、manifestのitem要素のproperties属性に「cover-image」という値を指定することでカバー画像であることを示します。EPUB3の方がシンプルになったわけです。

EPUB3では、例えば、cover.jpgというファイルがカバー画像であることを示すには次のように指定します。(idの値は可変)。

【EPUB3の例】
<item properties="cover-image" id="ci" href="cover.jpg" media-type="image/jpeg" />

koboやiBooks3などの新しいEPUB3のリーダは、manifestのitem要素の属性を見ています。

3.Kindle
Kindleは、カバー画像をmetaとitem要素の両方に指定することになっています。

カバー画像を、仮に、id=”cover-id”、ファイル名=”cover_image.jpg” とするとき、Kindleは次のように登録します。

【Kindleの例】
metadata
<meta name="cover" content="cover-id" />

manifest
<item id="cover-id" href="cover.jpg" media-type="image/jpeg" properties="cover-image"/>

4.まとめ
ややこしい話ですが、EPUB3にEPUB2形式のmetaがあっても特に害はないようなので、両方登録しておくとEPUB2/EPUB3で共通になりますので都合が良いと思います。

なお、EPUBの場合、印刷製本した書籍と異なり、①EPUBリーダの書架または書籍一覧に表示されるアイコンとしてのカバー画像、②リーダで表示するときの先頭ページ、③iBooksのように見開き表示したときに初めて表示される画像ページなどの役割が明確になっていません。このあたりについては別途まとめてみたいと考えています。

5.追加:EPUBリーダの実装

iBooks3.0、Readium(0.5)、Adobe Digital Editions2.0では、上記のmetaとmanifestのitem要素の両方に画像を登録しないでも、先頭のxhtmlファイルの内容としてimg要素に画像ファイルを指定すると、書架アイコンにその画像が登録されます。つまり、これらのリーダを対象にする場合はmetaにもmanifestにもカバー画像を登録する必要がなく、先頭のxhtmlページをカバー画像のページとすれば良いことになります。(2012/12/8追記)

6.訂正:Kindle
(12/15)Kindleでは、itemのproperties属性はつけない。つまり、EPUB2方式でした。

[1] 3.4.8 The meta Element (OPF2) [OBSOLETE]
[2] Amazon Kindle Publishing Guidelines
[3] Amazon Kindleパブリッシングガイド(Appendix)日本語サポート

EPUBのベストプラクティス EPUB2用の目次NCXの出力はまだ必要か?

EPUB2では、目次にNCXという形式のファイルを使っていました。NCXはDAISY Consortiumによって標準化されたANSI/NISO Z39.86-2005, Specifications for the Digital Talking Bookという仕様の一部です[1]。

EPUB3では、NAV形式のXHTMLファイルを目次に使うことになっており、NCX形式の目次をEPUB2のリーダのために含めておいても良いことになっています[2]。

したがって、EPUB3リーダ専用のEPUBであればNCXを含む必要はありません。そこで、最近アップデートされたEPUB3リーダを対象として、NCXとNAV形式の両方の目次をもつEPUB3とNAV形式の目次のみ(NCXを含んでいない)もつEPUB3を作って、目次が表示されるかどうかについて比較してみました。

結果は次の表のとおりです。

(1) iBooks3.0、Kobo、ReadiumはNAVの目次を表示します。NCXの目次は必要としません。
(2) Adobe Digital Editions 2.0は、NCXの目次がないと目次が表示されないようです。
(3) なお、KindleのKF8形式については、「Kindle Publishing Guide」ではNCXが必須とされており、HTML形式の目次も必要とされています。実際の結果は後述の「Paperwhiteでの確認結果」をご覧ください(11/25追記)。

ということで、まだNCXを全廃というわけにはいかないようです。

表1 NCXとNAVの両方を含むEPUBと、NAVしか含まないEPUBの目次はどうなるか?

NCXとNAV NAVのみ
Readium 0.5 表示する 表示する
Adobe Digital Editions 2.0 表示する 表示しない
iBooks 3.0 表示する 表示する
Kobo 2.1.4 表示する 表示する
Kindle 2.71 NCXは必須と説明されている XHTMLの目次が必要とされている

表示する:目次が表示されるという意味。
表示しない:目次が表示されないという意味。

●Kindle Paperwhiteでの確認結果

1.NAVのみでNCXが存在しないEPUB3をKindleGen(2.7)でmobiに変換すると、「移動」メニュー「表紙」と「最後のページ」の間にグレー(無効)の「目次」が表示されます。NAVの内容は無視されているようです。
2.NAVとNCXと両方が存在するEPUB3をKindleGen(2.7)でmobiに変換すると、「移動」メニューの「表紙」と「最後のページ」の間に目次項目が表示されます。
3.1.と2.からKindle Paperwhiteは、NCXの内容を「移動」の目次項目として表示していることがわかります。
4.HTMLの目次[3]は、「表紙」の次の単独ページに表示されます。さらにHTMLの目次ページをガイドに登録すると「移動」の目次としても使われます。(ガイドの内容が「移動」の目次に表示されるのであれば、HTML形式の目次を用意した場合、NCXの目次は不要なのかもしれません。)

図1 HTML目次

図2 移動メニュー (頁の上部にポップアップ)

図3 「移動」メニューの内容

[1] Open Packaging Format (OPF) 2.0.1 v1.0.1 Recommended Specification September 4, 2010
[2] EPUB Content Documents 3.0 Recommended Specification 11 October 2011
EPUB Navigation Documents
[3] CAS-UBのKindle生成メニューでは、EPUB3のNAV.htmlにスタイルシートを設定して、HTML形式の目次として作成し、先頭ページに登録します。

EPUBのベストプラクティス linear=”no” のこと

EPUB2のベストプラクティスに、先頭ページに表紙(カバー)画像を登録して、spine要素のitemrefにlinear=”no”を設定せよ、という、つぎのようなものがあります。

Best practices in ePub cover images

ここでは、表紙のHTMLファイルを作り、manifestに次のように設定:
<item id="cover" href="cover.html" media-type="application/xhtml+xml"/>

そしてspineに
<itemref idref="cover" linear="no"/>

と設定せよとあります。しかし、これは採用できるでしょうか?

1年半程前(2011年春)、表紙をどうしようかと思案して、EPUBリーダの挙動を調べました。
しかし、iBooks2ではlinear=”no”を指定したページを表示するが、Adobe Digital Editionsの旧バージョン(1.5だったような)では、linear=”no”を指定したページを表示しない、という挙動の相違があったため設定を見送っていました。

最近、EPUBリーダが新しくなりましたので、何か変わったかと思い、もう一度調べてみました。次のようなコードのEPUBで試してみました。

manifest:
<item href="Text/opening.html" id="idopening" media-type="application/xhtml+xml" />

spine:
<itemref idref="idopening" linear="no" /> 
(linear=”yes”版)も用意。

●linear=”no”とlinear=”yes”(既定値)とでEPUBリーダの表示を比較した表

linear="no" linear="yes"
Readium 0.5 表示しない 表示する
Adobe Digital Editions 2.0 表示する 表示する
iBooks 3.0 表示しない 表示する
Kobo 2.1.4 表示する 表示する
Kindle 2.71 表示しない 表示する

となり、やはり、EPUBリーダによって挙動がまちまちです。

先日、電流協のEPUB研究会で、このことを報告しましたところ、参加者の方から次のようなコメントをいただきました。

・linear=”no” は本文のページとして表示しない内容に対して使うもの。注釈のようなもの。順番にめくっていっても表示されない。ページとして扱わないものに設定するのだろう。

ところでEPUB3仕様におけるitemref要素のlinear属性についての説明は次の2箇所にしかありません。

3.4.13 itemref要素より抜粋

linear属性は参照された項目が主要素なのか付随要素なのかを示す。これによりRSは本体コンテンツの表示を補足コンテンツと区別するために使っても良い。後者は、例えばポップアップ・ウインドウにしたり、音声レンダリングで省略したりされるかもしれない。

3.14.12 spine要素より抜粋

RSは、spine中の先頭にある主項目(linear=”yes”)を出版物の主たる閲読順序の始まりとする。そして、spineの中の主項目を順番に可視化する。

説明もサンプルも少ないので、これでは解釈統一のしようがないように思えますね。困ったものです。

ある方からEPUB2.0では、guide機能があって、guideに登録することでlinear=”no”を指定したページにもジャンプできたが、EPUB3.0でguideが廃止されてしまったためlinear=”no”を指定したページを表示する方法がリンクぐらいしかなくなっているという指摘をいただきました(11/22追記)。

CAS-UBでの数式の編集とEPUB・PDFでの数式表示について

CAS-UBでは数式を含むEPUB/PDFの作成を重要なテーマとして位置づけて開発に取り組んでいます。数式機能は当初の予定よりも正式リリースが遅れているため、多くのお客様にお待ちいただいています。そこで、ここでCAS-UBでの数式の取り扱いの現状と開発の予定について報告いたします。

1. 現状

1.1 入力方法
コンテンツの本文にインライン数式とディスプレイ数式を埋め込むことができます。CAS-UBでは本文をCAS記法で記述しますが、数式はAMS-LaTeX (以下、TeXと略記します)の記法で記述します。数式の範囲は$$~$$で囲むことで本文と数式を区別します。

1.2 出力方法
a. EPUB3
EPUB3のコンテンツ本文はXHTML5ですが、数式部分はMathMLの形式でXHTML5の中に埋め込みます。EPUB3を出力するときTeXの記法からMathMLに自動的に変換します。

b. PDF
数式をTeXの記法からMathMLに変換し、AH FormatterでMathMLをレンダリングしてPDF中に数式を埋め込みます。

c. Webページ
ブラウザはMathJaxを使って数式を表示できます。そこで、CAS-UBのWebページ(プレビュー)作成では、数式部分をTeXのまま出力、XHTMLにMathJax対応コードを埋め込みます。

1.3 ドキュメント・サンプル
上述の入力と出力の方法は、CAS-UBの公開マニュアルに記載されていませんが、現在、クラウド上では上の仕組みを使うことができます。

使用方法、記述例およびサポートするTeXの記法、および出力結果を次のところにサンプルとして公開いたしました。このサンプルは、開発途上のアルファ版の段階であることをご理解ください。

CAS-UBサンプルの「CAS-UBによる数式の扱い」をご覧ください。

2. 開発課題

現在、次の点を課題として開発を行なっています。一部は計画も含み、今後変更になる可能性がありますのでご了解ください。

2.1 AMA-LaTeX記法からMathMLへの変換
TeXで記述した数式をMathMLに変換するとき変換できない記述があります。変換可能な範囲を増やす開発を行ないます。

なお、別の方法として、CAS-UBで編集するコンテンツにMathMLを直接埋め込むことも検討しています。これによりTeXから変換できない数式、MathMLとして予め用意されている数式コンテンツをEPUBやPDFにインポートしたり、貼り付けたりできることになるでしょう。

2.2 MathMLのレンダリングの改善
PDF生成時に数式をより綺麗にレンダリングするため、AH Formatter V6のMathMLレンダリング機能の強化を行なっています。具体的には次のような項目です。

(1) 数式専用フォントへの対応
STIXフォントなどの数式専用のフリーフォントを使ったレンダリングも行なうようにします。数式専用フォントを利用することで、数学の記号類をより綺麗にレンダリングできるようになります。

(2) MathMLのレンダリングのチューニング
MathMLをより綺麗に表示するためのレンダリングのプログラムの見直しと改善を行なっています。

2.3 その他
数式番号の付与方法、番号の自動付与、本文から数式を参照するための仕組みを開発します。

2.4 数式リーダ
MathML数式を含むEPUBを表示できるリーダは、現時点ではFireFoxのプラグインのみです。新たなリーダがでてきたら随時評価を行ないます。

3. 日程

上記の開発課題への対応は今年10~12月に完了する予定です。

4. EPUBリーダ

4.1 MathMLを表示できるEPUBリーダ

2.4項の通り、CAS-UBで作成したEPUB3では数式はMathMLで表現されています。EPUB3の仕様上は問題ないのですが、実際には、これを正しく表示できるEPUBリーダはFireFoxのプラグインのEPUBリーダのみです。iBooks, Adobe Digital EditionsなどのほかのEPUBリーダでは正しく表示できませんのでご注意ください。

4.1 その他の選択肢

EPUB3リーダでMathMLのサポートが見込めない状況であれば、数式をSVGにして埋め込むことにするかもしれません(未定)。

「電子書籍制作仕様書 第一次素案」Web公開版(3/20)と配布資料の相違点

出版デジタル機構のWebページに公開されている「電子書籍制作仕様書 第一次素案」(2012年3月20日夜公開されたもの)と3月23日にフォーマット説明会場における配布資料(3月23日付け)を付き合わせるといくつか変更された点があります。

電子書籍制作仕様書 第一次素案

以下に気がついた変更点を列挙します。

B-1:リフロー型電子文書(DTPから制作する場合)
●アーカイブ用データ保存の項
Web)本ファイルを(2)アーカイブ用中間フォーマットファイルとして納品する
紙)本ファイルを(2)アーカイブ用中間交換フォーマットファイルとして納品する

●配信用電子書籍データ書き出し(パッケージング)の項
Web)校正は機構の用意する校正用仮配信サーバーを利用する。校正の方法や回数などの詳細は現在検討中
紙)*校正は機構の用意する校正用仮配信サーバーを利用し、1回のみ行なう。
(追加)
*出版社は仮配信サーバから電子書籍をダウンロードして校正する
*修正は中間交換フォーマットに戻って作業し、配信用データを再書き出しする

(注意)読点と長音は配布資料のまま

B-2:リフロー型電子文書(印刷底本からテキスト作成する場合)
●目次の項
Web)目次リンクを作成する。章・見出しなどの大項目は相互リンク、その下の小項目は片リンクとする
紙)目次リンクを作成する。詳細は別紙を参照

(注意)別紙は配布されていない

●校正の項
Web)校正はテキスト作成時(原稿校正)とパッケージング完了時(実記などによるレイアウト校正)の両方で行う
紙)校正はテキスト作成時(原稿校正)とパッケージング完了時(実記などによるレイアウト校正)の計2回のみ行う

注意)「実記」は配布資料のまま

Web)校正は機構の用意する校正用仮配信サーバーを利用する。校正の方法や回数などの詳細は現在検討中
紙)・パッケージング完了時の校正は機構の用意する校正用の仮配信サーバーを利用する
(追加)・出版社は仮配信サーバから電子書籍をダウンロードして校正する
(追加)・修正は中間交換フォーマットに戻って作業し、配信用データを再書き出しする

注意)「仮配信サーバ」は配布資料のまま

●アーカイブ用データ保存の項
Web)本ファイルを(2)アーカイブ用中間フォーマットファイルとして納品する
紙)本ファイルを(2)アーカイブ用中間交換フォーマットファイルとして納品する

JPO・コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)フォーマット説明会報告

3月23日、15時から17時に日本出版インフラセンター(JPO)が行なった「JPO・コンテンツ緊急電子化事業(緊デジ)フォーマット」(緊デジフォーマット)の説明会に参加しました。この説明会は、電子書籍制作会社、電子書籍販売会社、出版社制作部門担当者向けのものです。標準化委員会の沢辺 均氏よりフォーマットについての説明がありました。

説明の内容は、「出版デジタル化機構」のWebページより公開されている電子書籍制作仕様書 第一次素案に沿ったものでした。

電子書籍制作仕様書 第一次素案

注)説明会場において配布された資料をWebページ(3/23夜時点)と付き合わせたところ改訂された点がありました。右に改訂内容を一覧にしました。「電子書籍制作仕様書 第一次素案」Web公開版(3/20)と配布資料の相違点

以下では、Webページに公開されている仕様と重複する部分もありますが、説明会の内容のメモと会場での質問と回答です。

1.緊デジフォーマットは、緊デジ事業で制作する電子書籍の仕様書であり、同時に出版デジタル機構で制作する電子書籍の仕様書としても使う。(緊デジ事業ではJPOから「中核企業」に電子化を発注することになっており、3月23日に中核企業は株式会社パブリッシングリンクと決定した。)

以下、フォーマットの策定にあたっては次のことを考慮に入れた。

(1) 現実に販売できることを重点とした。ドットブック、XMDFは現実に販売する電子書店が多数ある。EPUB3は現実に作れる環境が整いつつあるが販売している店は少ない。PDFは販売している電子書店が少ないので採用しない。

(2) 技術の変化に耐えること。EPUB3が普及する可能性は高い。そこでEPUB3に簡便に手間をかけずに変換可能なフォーマットであること。フィックス型もそれなりに作る。再度OCRできる。

(3) 低コストでやりたい。

2.説明の段取り
・3月23日、27日に東京で説明会を行い、4月9日に東北でも説明会を行なう。
・説明会で意見が出たら、それを議事録とする。
・4月中には仕様を公開する。

3.電子書籍の制作
・緊デジ事業での制作はパブリッシングリンク(中核企業)が差配する。JPOはパブリッシングリンクに制作を発注する。
・出版デジタル機構は100万タイトルの制作を目指す。
・緊デジフォーマットは出版デジタル機構でも採用する。

4.緊デジフォーマットはA、B2種類で3パターンある。
A:フィックス型電子書籍であり、写真集、漫画型のようなものを対象とする。
B:リフロー型電子書籍である。リフロー型は制作コストの相違からB-1とB-2に分けた。この二つではコストに重大な差がある。
B-1はDTPデータなどのなんらかのデジタルデータがあるもの。
B-2は紙のもの。入力と底本との付け合せを含めて1文字1円を想定している。コストを減らすことができれば大歓迎である。

5.入稿と納入形式説明

A:フィックス型電子書籍
入稿データは紙の本で底本は1冊(可能なら2冊)

納品物は画像データと配信用データ
(1)画像データはすっぴんのものをアーカイブする。
(2)配信用は軽くなるようにする。

画像データはスキャンして作る。スキャン範囲は次の通り。
(a)カバー
・RGBカラーでスキャンし、販売時の書影につかう。
・背もスキャンする。
・折り返しから折り返しまで全部取る。

(b)底本
・グレースケール 600DPI原寸
・見返しの印刷は現場で判断する。
・本文は白でも一気にスキャンする。
・ゴミは飛ばす

アーカイブ用の保存フォルダー
・フォルダー名 20桁のe-コード コミックはe-コードが普及している。

配信用電子書籍仕様
・TIFFから変換する。
・余白に関しては迷っている。iPadなどは天地・小口・のどはビューア側で余白を自動的に取る。
スマホは余白が多いと厳しい。本には断ち落としのページがあるので、余白をギリギリまで落とすと困る。結局、余白のトリミングは頁ごとに判断する必要がある。
・配信形式はEPUB3にしたい。大きな決断である。とはいえ、強い要望があれば、XMDFも可能性がある。
・目次はクリッカブルマップによるリンクをつける。この仕様はコストアップの要因になるので、かなり揺れている。
・画像の長辺は1536ピクセル。7インチタブレット。

クレジットどうするか?
・紙の本の奥付けはスキャンする
・電子書籍のクレジットを追加する

B-1:リフロー型(DTPデータ)
入稿データ
・底本+DTPデータを提供する
・DTPのアプリケーション種類については相談して対処する。写研はどうするか?という相談受けた例もある。
・リフローはEPUB3間に合わないので、ドットブック、XMDFから作る。
・広告は捨てる。(スキャンとの違い。)
・奥付けは写真にする。

写真の権利関係を考慮する必要性を鑑みて、出版社の指示があるときは、写真をはずすことを可能とする。
・ページ幅60%以内の図表は近傍の段落の間におく
・ページ幅60%以上の図表は単独1ページとする
・図表のキャプションはワンセットで画像化する。

JIS第一水準、第二水準の範囲外はあえて画像を差し込む方式をとる。
タグにCIDコードをつける。CIDからUnicodeに変換できる。

交換形式からほぼ自動的にEPUBに変換できる。

校正は出版社が1回する。実際は出版社は校正はかなり苦労していると聞いている。
その理由として、現在のリーダはプリントアウトの機能が消えている。そうするとプリントしての校正ができない。
赤字をいれるときの戻し方ははっきりしていない。
ネットワーク上に出版社専用の書店ができないか、と考えている。
プリントができるようにする。
仮配信サーバからダウンロードして修正する。
中間交換フォーマットに戻って修正する。

B-2:リフロー型(紙:印刷底本からテキスト作成する)
・文字入力を人間がする
・平均10万円以上かかる。
・2回の校正を行なう。
・仮配信サーバからダウンロードして校正するスキームを作る。
・中間交換フォーマットに戻って修正する。
・アーカイブは中間交換フォーマットで行なう。

■質疑応答
1) パブリッシングリンクの出資会社は?
回答)
・ソニー、講談社、大日本、凸版ほか15社である。Webページからはサードプランニングが1社抜けている。
(永井専務理事)

2) 電子書籍の制作の手伝いをしたいが、出版社から制作会社に発注がいくのか。
回答)
・出版社から個々に発注はない。
・今後は電子化事業者への発注業務は、パブリッシングリンクから発注が行く。4月以降の段階で話をするのが一番良いだろう。
・東北の被災地支援がスキームに入っている。安くやるので中国でやる、というのはお断り。何からの形で被災地の復興支援として行ないたい。
(永井専務理事)

3) フィックス型でPDFの選択はなかったのか?
回答)
・PDFといえば透明テキスト付きPDFが多いだろう。しかしPDFの透明テキストを検索する機能は、電子書店のリーダの中では実現できていない。
・PDFは画像をくるんでいるものという理解であり、画像があれば必要に応じていつでもPDFに変換することが簡単にできる。
・効率を考えるとPDFでも良いが、PDFはアドビが主導権をもっているし、政治的に変わるのは望ましくない。
・PDFは売れないものを作るという点で脱落である。
(沢辺氏)

4) タグのつけ方は自由で良いのか?各社のアプローチの相違点はどうするのか?出版デジタル機構の方からサンプルは出てくるのか?
回答)
・中間交換フォーマットはXMDFとドットブックを包含しているので、どちらにもできる。
・そこの世界にこだわるのはやめようよ。という意識である。
・ボイジャーとシャープの両方が実現してきたことを包含していれば良い。
(沢辺氏)

5) フィックス型が中心とのことだが、それなら東北でもできる。東京で開催したのはなぜか?
回答)
・20億円をいきなり東北にもっていったらとまどうだろう。
・東京で出版社が長いお付き合いをしているところをきることはできない。
・東北で請け負ったけれども、翌年ゼロでは困るだろう。
・来年3月までとりあえず伸びた。
(永井専務理事)

6) 発注先の選択について客観性の確保はどうするのか?本ごとにやるのか?評点でやるのか?
回答)
・入札で安いところにお願いするわけではない。
・1万円でかかるものが1万2千円でもよい。
・事業の趣旨を生かして、多少値段が高くても良いのでという中核企業の公募をかけた。
(永井専務理事)

5) 現在、出版社の依頼で印刷用データを作ったりしている。出版社がスキームを通して、当社に出すように指名できるか?
回答)
・6万タイトルを電子化スムーズにやるには馴染みの企業に頼むのが良いが、それだと本来の趣旨である東北にお金が回らない。
・ジャンル別に優先順位をつけるかもしれない。
・16時の段階で仮申請175社 42,000タイトル。
・175社の中に大手の出版社は入っていない。だから間違いなく6万タイトルは超える。そうなると優先順位をつけざるを得ないだろう。これから計画を立てる。段取りを決めないといけない。
・期限は2013年3月末まで期間延長された。5月以降実施する。
(永井専務理事)

6) アーカイブファイルは誰が管理するのか?
回答)
・出版デジタル機構が代行したものはできるだけ速い機会に販売する。
(沢辺氏)

7) DTPデータから、固定レイアウトのEPUB3を制作しても良いですか?
回答)
・主流になるとは思わないが、制作してもよい。
(沢辺氏)

8) リフロー型電子書籍においては、レイアウトの再現性についての仕様がないですが、どの程度まで要求しますか?
回答) 
・小画像の配置を「近傍の段落の間」と言っているくらいでレイアウト再現性はあまり問わない。(沢辺氏)
・補足すると、再現性を要求する場合は出版社が自分で負担することになるだろう。
(永井専務理事)

9) 固定レイアウトのEPUB3はいろいろな作り方があり、今回の第一次素案だけではどうしたら良いかわからないですが。
回答)
これについては、今後仕様をつめて公開する。(沢辺氏)

■免責事項のお願い
このメモは個人的に理解した内容をまとめたものです。できるだけ正確を期したつもりですが、聞き違いや理解の間違いを含んでいる可能性があります。メモに記載された情報の利用はご自身の責任において判断されるようにお願いします。メモの内容が間違っていたことに関する責任は負うことができません。

EPUBをメジャーにするには「隗より始めよ」

EPUB3が制定されて「JBasic」、「EPUBJP」、「EPUB3用XHTML作成ガイド」のような規約書がでてきました。

JBasic
EPUBJP: EPUB3日本語ベーシック基準
・EPUB3用XHTML作成ガイド(技術評論社https://gihyo.jp/dp)

また、「EPUB3スタンダード・デザインガイド」のような仕様の解説書が出てきて、EPUB3の仕様に関する技術情報が増えてきました。

ところで、このような技術的な規約集はEPUB3で出すのが最適な分野だと思います。

・規約集は参照して初めて意味があるので、厚い書籍にしたら持ち歩けないですし、手元でパッとみようとしたらスマホで見るととても良いと思います。
・横書きなので無理にEPUB3にする必要はなく、EPUB2でも十分。
・EPUB2ならとりあえずiBooksをはじめとしてリーダはあります。
・EPUB版をiPad、iPhone、Androidなどの端末に入れておけばいつでも参照できます。

しかし、これらの中でEPUBで提供されているのは「EPUB3用XHTML作成ガイド」だけであとは皆PDFと紙です。推進者がEPUBを使ってないんじゃねー。こんなところにもまだままEPUBがメジャーになれない理由があるのかもしれませんね。

ということで、かくいうCAS-UBもサンプル書籍をもっとふやさなくっちゃなー。

隗より始めよ(かいよりはじめよ)

IDPFに加入、EPUBをはじめとする電子書籍の普及をめざす

CAS-UBのサービスを始めて6ヶ月経過して、現在、V2になりました。機能面ではまだよちよち歩きというべき段階であり、今後さらに検討・改良すべき項目が沢山あります。これは今後強化を続けます。

基本的なところとして、この仕組みで実際に電子書籍を制作できることは既に立証できたと考えています。そうすると、あとはどれだけの人に使ってもらえるか、ということなのですが、この点はEPUB3の普及にかかっています。

EPUB3が普及しなければ、現状のCAS-UBの利用価値も小さいことになります。なんとかEPUB3の普及を図らなければなりません。そんなことで、3月6日にEPUB3の仕様の制定しているInternational Digital Publishing Forum (IDPF)に加入することにしました。EPUB3の普及のために努力したいと考えています。

CAS-UBで作成したPDFとEPUBのサンプルファイル

CAS-UBで作成したPDFとEPUBのサンプルなどを紹介しています。

1.有償・無償で頒布の出版物

http://www.cas-ub.com/project/index.html

2.CAS-UB操作説明書

CAS-UBの操作説明書自体もCAS-UBで制作してEPUBとPDFにして公開しています。こちらからダウンロードしていただくことができます。

http://www.cas-ub.com/howto/support.html
※2014/9/13 「利用ガイド」のCAS-UB V2.2用を更新しました。

3.PDFとEPUBのサンプル

3.1 「電子書籍の時代」(サンプルテキスト)

3.2 「船中八策」(坂本 竜馬)
青空文庫より(図書カード:No.4254

(1) 縦組みEPUBとPDF

(2) 縦組みEPUBとPDF(画像中央配置のページを追加)

解説:「縦書き書籍(EPUB)で画像を左右中央配置するためのCAS-UBの指定方法

3.3 ランドマーク(Landmarks)を指定したEPUB3

ランドマーク関係は次をご参照ください。

3.4 SVGを直接spineに登録したサンプル

*SVG記事のサンプル:svg-entry-sample.epub

3.5 CAS-SUPPORTブログ記事のEPUB版

CAS-SUPPORTのブログ記事を月毎にWordPressからエクスポートしてCAS-UBでEPUB3にしてみました。ブログの月刊雑誌化!?です。
※WordPressの外部形式ファイル(WRX)インポート機能の利用例として

※2014/9/23リンク切れを訂正

4. CAS-UBによる数式の扱い

次はCAS-UBで数式を編集する方法に関する説明です。本機能は開発中であり、現在、アルファ版の段階です。今後、仕様を変更する可能性があることを予めご了承ください。

.CAS-UB で数式を使う方法について(開発中!暫定版)

5.CAS-UBで生成するPDFの基本版面のサンプル

http://www.cas-ub.com/samples/han-men-size.html

6. EPUB2段組

簡単な2段組のサンプル(EPUB3)

※iBooks(2.1.1)ではページ単位の2段組を正しく表示できません。上の簡単な例はファイルの最後まで2段組とした上で、2つのページに分割します(文字の大きさを変更するとわかります)。ページ単位で2段組にして欲しいところです。

7.CAS-UBのメルマガ変換を使って簡単な操作でメルマガをEPUBに!

メルマガテキスト(変換前)
メルマガから変換したEPUB(2014/9/23更新)
※本サンプルは「メルマガ変換」メニューの「メルマガ種別:メルマガT」の設定で変換できます。

8. EPUB Reader 評価用サンプル

2013/11/17