UBテキストの使用例 ― 記事の構成を変更する

弊社では来週26日(月)よりAntenna House PDF Driver V7.5をリリースする予定です[1]。この利用ガイドは、Microsoft Wordで原稿を編集して、Web版はCAS-UBで作ります。

原稿のWordファイルをCAS-UBにインポートしたところ、記事ファイルが次のような構成になってしまいました。

このような記事のタイトルだけのファイルがいくつもできています。これはWordのインポートの時、見出し(スタイル)で記事を分割しているためなのですが、このままWebページにしますと次のようになります。

見出しだけのHTMLファイルができてしまうんですね。こうした見出しだけのHTMLファイルが沢山あると、Webの内容を前から順番にナビゲーションするときなどにクリック回数が増えることになります。こうした構成はあまり使い勝手が良くないのではないでしょうか。

このように分断されてしまった記事を一つに繫げるとき、昨年12月に追加したUBテキスト機能[2], [3]を使うと便利です。

まず、出版物の全体(または記事の構成を変更したい箇所)をUBテキストとして外部のテキストエディタにペーストします(下図左)。次に記事のタイトル部分を取り出して、前の記事の見出しにします(下図右)。

そして、編集後のUBテキストファイルをCAS-UBにアップロードします。

これにより次のように記事が合併できます。

編集後にWebページを生成すると次のようにタイトルだけのHTMLファイルはなくなります。

タイトルだけのHTMLファイルを無くす方が、Webのナビゲーションがし易いと思います。ぜひ、一度お試しください。

[1] PDF出力を行うGDI型仮想プリンタードライバー『Antenna House PDF Driver V7.5』 リリースのお知らせ
[2] CAS-UBで編集中の出版物をダウンロードし、テキストエディタで編集し、元に戻す
[3] CAS-UBで編集中の出版物をダウンロードし、テキストエディタで編集し、元に戻す(2)UBテキスト

CAS-UB:章見出しのPDF用CSSレイアウトカスタマイズ

CAS-UBでは、出版物の編集作業ではレイアウトのことはあまり考える必要がありません。

レイアウトはPDF/EPUB/Webページを生成するときレイアウト設定のボタンで指定します。各成果物の出力レイアウトは、予めテーマとして用意されているものから選択します。

それだけですと、お気に入りにならないことがありますので、さらにそれをカスタマイズできます。今回はCAS-UBのPDFレイアウトカスタマイズとして「章見出し」のデザインをCSSでカスタマイズする事例を紹介します。

章タイトルをCSSでデザインする

PDFのレイアウトをカスタマイズするには、専用のCSS「styleset-pdf.css」ファイルが必要です。先ずは空っぽのCSSファイルを作成しましょう[1]

章見出しのつくり

章見出しのレイアウトを変更するには、章見出しがどのようなレイアウト構成を持っているかを事前に把握しておく必要があります。

下の図を見ながら確認しましょう。

CAS-UBの記事編集画面の上部には、「タイトル」欄と、その横に「記事の種類」リストが並んでいます。

記事の種類が「本文:章」となっているとき、「タイトル」欄に挿入されているテキストがPDF出力したとき、「章見出し」になります。

次にCSSの構成を見ていきます。

EPUBに限らずPDF出力でも、「章」と設定されたタイトルには、デフォルトで「章番号」が付与されます(CAS-UB 生成画面より、PDFの「レイアウト設定」画面で変更が可能)。章番号を見出しに出す場合、これもCSSでカスタマイズすることができます。

PDF出力の場合のCSS属性は下記のとおりです。

項目 クラス属性 分類
章タイトル s-title-level1 ブロック
章番号 s-title-level1-number インライン
章タイトル・テキスト s-title-level1-text インライン

単純なものならば、この3つのクラス属性についてCSSを指定するだけで、見映えのする章見出しをデザインできます。

レイアウト設定例

章タイトル-縦組扉中央 章番号:黒地白抜き、章タイトル:白地黒抜き

章見出しのPDFレイアウトを予めCAS-UBの生成画面より、PDF:レイアウト詳細設定で設定しておきます。

  • 見出し番号レベル:1:章のみ(0:番号なし以外を選択)
  • 章扉の作り方:章扉を作り、その裏のページから節
  • 章扉の文字組方向:縦組
  • 章扉のタイトルの行進行方向の:中央
CSSコード
.s-title-level1{
font-weight: bold;
}
.s-title-level1-number{
padding:0.8em 0.8em 0 0.8em;
background-color:black;
border:1px solid black;
color:white;
}
.s-title-level1-text{
padding:0.8em;
border:1px solid black;
}

章タイトル-縦組扉なし、ライン

PDF:レイアウト詳細設定

  • 見出し番号レベル:1:章のみ(0:番号なし以外を選択)
  • 章扉の作り方:章は作らず、章は改ページで始まる
  • 章(見出しレベル1)>位置 レベル1:行頭寄せ
CSSコード
.s-title-level1{
font-weight: bold;
margin-top:-0.25em;
padding-top: 0.75em;
border-top:2px solid black;
border-right: 2px solid black;
padding-right:3px;
}
.s-title-level1-number{
background-color:black;
color:white;
}
.s-title-level1-text{
margin-top:1em;
}

PDF出力はEPUBと異なり、ユーザーが任意のレイアウトプロパティを設定することはできません。できることが限られていますが、ある程度のデザイン力はありますので是非この機能を使ってみてください。

PDF出力用のCSS設定については、CAS-UBサイトの「サポート&ガイド一覧」より、CAS-UB PDF生成のためのガイド「第6章 見出しと本文にメリハリを付ける」をご参照ください。

CAS-UBサポート&ガイド一覧

[1] PDFのレイアウトカスタマイズ用のスタイルシートファイルはCSS(Cascading Style Sheets)の書き方を採用していますが、CSSそのものではなく、使えるプロパティの名前や値はCSSとは若干違いますのでご注意ください。

CAS-UBで編集中の出版物をダウンロードし、テキストエディタで編集し、元に戻す(2)UBテキスト

(前回)
今回はUBテキストについて解説します。

UBテキストは、CAS-UBの一つの出版物全体を表すテキスト形式です。UBテキストを理解するには、最初にCAS-UBの出版物の構成方法を理解する必要があります。

次の図は、例として『投資信託による資産運用のイロハ』という書名の出版物を対象に、CAS-UBの編集画面の記事一覧を示したものです。

CAS-UBの出版物は複数の記事から構成しており、この出版物は7つのファイルから構成されています。記事一覧では各記事に1~7の番号が付いていますが、番号は仮に付けているものです。

記事一覧には各記事のタイトル、ファイル名、記事の種類を表示しています。

タイトルは記事単位で見たときの最上位の見出しになります。例えば、記事の種類が「章」のときタイトルは章見出しに相当します。ファイル名はサーバー側で記事を管理するときの名前です。出版物の中ではユニークでなければなりません。
記事の種類は、出版物の中での記事の位置付け/役割を表します。どのような記事の種類があるかは、ユーザーガイドの「4–1 記事の種類一覧」を参照してください。

ユーザーガイドの「4–1 記事の種類一覧」

この出版物のUBテキストは次のようなテキストファイルです。ダウンロードしたファイルの一部のみ示しています。

+ updated: 2017-08-01T05:36:46+0900
+ ahax$kind: article
+ author:  
+ title: 『投資信託による資産運用のイロハ』
+ name: publ
+ ahax$entryClass: book3

++++++++
+ updated: 2017-07-25T05:47:43+0900
+ ahax$kind: article
+ name: i01-0001
+ ahax$parent: publ
+ ahax$entryClass: body-title

.

.

.

.

.

:center 『投資信託による資産運用のイロハ』

:center 毎月分配型を中心に

++++++++
+ updated: 2017-07-24T11:07:11+0900
+ ahax$kind: article
+ title: はじめに
+ name: i01-0002
+ ahax$parent: publ
+ ahax$entryClass: preface

どんなひとでも普通に生活していくには、…
(省略)
…

++++++++
+ updated: 2017-07-19T07:43:57+0900
+ ahax$kind: article
+ title: 投資信託とは
+ name: i01-0003
+ ahax$parent: publ
+ ahax$entryClass: chapter

投資信託(ファンドとも呼ばれます)は、…
(省略)
…

++++++++
+ updated: 2017-07-25T09:31:13+0900
+ ahax$kind: article
+ title: 基本知識
+ name: i01-0004
+ ahax$parent: publ
+ ahax$entryClass: chapter

本章では投資信託のリターン…
(省略)
…

++++++++
+ updated: 2017-07-24T08:17:43+0900
+ ahax$kind: article
+ title: 最後に
+ name: 201707240759
+ ahax$parent: publ
+ ahax$entryClass: postface

Webなどのニュースやブログを見ますと、…
(省略)
…

:end 著者

8個の‘+’の並んだ行と、それに続く‘+’で開始する行が記事の先頭(記事のヘッダー)です。

‘+ title’に記事のタイトル、‘+ name’に記事のファイル名、‘+ ahax$entryClass’に記事の種類(記事クラス名)が設定されます。

UBテキストのファイル形式についての説明は、ユーザーガイドの「5–2 UBテキスト」の項をご参照ください。

ユーザーガイドの「5–2 UBテキスト」

(続く)

CAS-UBで編集中の出版物をダウンロードし、テキストエディタで編集し、元に戻す

先日のバージョンアップで追加した二つ目の新機能を紹介します。

CAS-UB V5からクラウドで編集中の出版物を外部に取り出し、使い慣れたテキストエディタで編集して、元に戻せるようになりました。

このテキスト形式はUBテキストという名前です。UBテキストを取り出したり元に戻したりする画面は、編集画面の「ダウンロード」をクリックして表示します。

「ダウンロード」をクリックすると次の画面になります。この画面でUBテキストを取り出したり、戻したりします。

UBテキストとはCAS-UBの出版物全体を表現できるテキスト形式です。
UBテキストZIP形式を使うと、画像ファイルも一緒に入出力できます。

UBテキストでできること
1.出版物の取り出しと戻し
・ダウンロードで保存すると出版物全体を取り出します。
・テキストエディタで出版物全体を編集してアップロードで元に戻すことができます。

2.一部の記事だけの更新
・出版物全体から、一部の記事だけを切り取って編集して戻すことができます。
・記事をテキストエディタで、新しく書いて既存の出版物に追加することもできます。

3.全部の記事をテキストエディタで書く
・UBテキストをゼロからテキストエディタで作成することもできます。

上記の1.のような使い方ではUBテキストについて詳しい知識は必要ないでしょう。しかし、2.、3.のような使い方をするには、CAS-UBの出版物の記事とUBテキストの構造について詳しく知っていることが前提になります。

次回は、UBテキストについて少し詳しく説明します。

CAS-UB V5のプレゼン資料:デジタル出版物制作Webサービス CAS-UB V5による シングルソースパブリッシング
関連記事:CAS-UB V5にアップグレードしました。レスポンシブなWebページ生成や、UBテキスト機能の公開などが目玉です。

Wordに埋め込まれたイメージ画像の解像度はどうなるか?

Microsoft Wordで原稿を書くとき、イメージ画像(イメージ)をWord文書の中に埋め込むことが多い。そのWord文書をCAS-UBに取り込んで、特にPDFを生成してプリントオンデマンド(POD)で印刷本にするとイメージの解像度が低くてぼやけてしまう経験がある。こうしたイメージはできればベクトル図形にするべきだが、画面のスナップショットなどはそうもいかない[1]

PODで本を作るときなど、これは大きな問題なので対応策を考える必要がある。

そこで、Wordに埋め込まれたイメージの解像度の扱いについて調査してみた。なお、以下の調査結果は次の条件による。
・PNG形式とJPEG形式についての調査結果を説明する。以下の調査結果は、JPEG、PNGとも共通である。
・Wordのバージョンは2013(32ビット)、動作環境はWindows10(64ビット)で調査した。

なお、解像度は縦横のピクセル数(px)とインチあたりのピクセル数(ppi)という2つの意味で用いているので注意(参考資料[2]を参照)。

Wordに埋め込まれたイメージの解像度の扱いは、Wordの内部でのイメージの持ち方に依存する。Office Open XML(OOXML)[3]でWordの内部のイメージはVMLのシェープ形式(旧形式)またはOOXMLのシェープ形式(新形式)のどちらかである。

(1) Wordの編集の画面に、イメージファイルをドラッグ&ドロップするとイメージは旧形式として保存される。
(2) イメージファイルをコピーしてWordの編集画面にペーストするか、Wordの「挿入」の「画像」で表示されるダイヤログでイメージを編集中の文書に挿入すると新形式として保存される。

Wordの「ファイル」「オプション」には、ファイル内のイメージの扱いについての設定がある(次の図)。この設定は新形式で保存されたときのみ有効である。

・「ファイル内のイメージを圧縮しない」にチェックがない状態(デフォルト)では、イメージの解像度は次の条件で圧縮される。
 取り込んだイメージの解像度をZ0pxとする。
 文書の中のイメージの幅をXmmに編集したとする。オプションで設定した既定の解像度をRppiに設定しているとき、その幅に入るイメージの解像度Z1pxは次のようになる。
 Z1=X/25.4(mm/inch)*R(ppi)
 Wordの中のイメージの解像度Zpxは、Z=min(Z0,Z1)
 
例えば、A4用紙(幅210mm)に左右各30mmの余白を設定しているとき、版面の幅は150mmである。150mmの幅は既定の解像度220ppiのとき、150mm/25.4*220=1299pxに相当する。

このため横幅がそれよりも大きい解像度のイメージは圧縮される。横幅は1299よりも小さい解像度のイメージはそのままの解像度でファイルに保存される。厳密には多少の許容範囲があり、例えば横幅1300pxのイメージは圧縮されない。

もし、Wordの編集画面でイメージの表示幅を55mm設定にして保存すると、元のイメージの解像度が55mm/25.4*220=477pxよりも大きなとき、477pxに圧縮されてしまう。
Wordで保存したファイルには圧縮された画像だけが保存されるので元に戻せない。

・「ファイル内のイメージを圧縮しない」にチェックすると、Word上でのイメージの表示幅にかかわらずイメージは圧縮されない。

イメージの解像度をWordに勝手に変更されたくない場合は、「ファイル内のイメージを圧縮しない」にチェックしておく必要がある。

なお、ドラッグ&ドロップで配置したイメージは旧形式となるが、旧形式に対しては、「ファイル」「オプション」の、ファイル内のイメージの扱いについての設定は影響を与えない。つまりドラッグ&ドロップで配置したイメージはWordの編集でサイズを表示サイズを変更しても影響を受けない

旧形式で保存されるイメージを圧縮するには、イメージを選択して表示される「図ツール」「書式」タブの「図の圧縮」ボタンをクリックして表示される「図の圧縮」ダイヤログで設定する。

【参考】
1.『XSL-FOの基礎』画像制作のこと。Word経由でインポートした画像は印刷品質の劣化が激しいため、第2版ではできるだけSVG形式に変更した件。
2.解像度とは
3.Office Open XML(OOXML)

FormatterClubセミナーでの、CAS-UBのスライドと動画を公開しました。

7月7日七夕の日のFormatterClubセミナーは、40数名のご参加いただき、大変盛況でした。大変暑い日でしたが、お集まりいただきました皆様に感謝申し上げます。

早速ですが、セミナーのCAS-UBプレゼン資料を下記に公開いたしました。参考にしていただければと存じます。

1. CAS-UBのスライド
「デジタル出版物制作Webサービス「CAS-UB」 ワンソースマルチユースのポイント AH FormatterによるPDF作成を中心に(スライドシェア)

2. 動画
CAS-UB操作の流れ(MP4形式動画)(CAS-UB Webページにて)

CAS記法によるWebページの作成:Webページ内の参考資料へのID設定と、本文から内部リンクを設定する方法

CAS-UBで次のようなWebのリンクを設定する方法を紹介します。

(1) Webページの末尾に参考資料のリストを作る。
(2) Webページの本文から、参考資料へのページ内リンクを設定する。

出来上がったWebページはこんな感じです。


図1 リンク元


図2 リンク先

HTMLで、このようなページ内部のリンクを作るには、リンク先の要素にid=id値を設定し、リンク元のアンカータグ(aタグ)のhref属性に#id値を設定します。

CAS記法では次のようにします。リンク先の要素にはユーザー独自idのマークアップを使います[1]。CAS-UBでユーザー独自のidを付けるには、二つの方法があります。難しい方法と簡単な方法があります。利用ガイドでは難しい方法のみを詳しく解説しています。(難しい方法には、自動化処理のための用途があるのですが)ここでは単にリンクを設定するだけの簡単な方法をご紹介します。

次のようにすれば良いです。

1.リンク先に:id=id値 という属性名と属性値を設定する
2.リンク元に[[#id値|アンカーテキスト]] というマークアップをする。

上の例では次のようになります。

1.リンク先
CAS記法のマークアップ:
*::nolabel:id=s1 [1] [[http://stackoverflow.com/questions/42618628/how-to-convert-office-file-to-image/43161134|How to convert office file to image]]
HTMLでは右のようになります:
<ul class=”nolabel”><li id=”s1″>[1] <a href=”http://stackoverflow.com/questions/42618628/how-to-convert-office-file-to-image/43161134″ >How to convert office file to image</li>

2.リンク元
CAS記法のマークアップ:
StackOverflow の質問(英語)[[#s1|[1~]]]より引用
HTMLでは右のようになります:
StackOverflow の質問(英語)<a href=”#s1″ >[1]より引用

::nolabelはリンクとは関係なく、CSSで箇条書きのラベルを付けないようにするためのクラス属性の設定です。
:id=s1 が箇条書きの項目(li)のid属性になります。

参考資料
[1] CAS-UBでは見出しや図・表のキャプションには自動的にidを設定します。ユーザーがCAS記法で設定するidについては、自動設定のidと区別するためにユーザー独自idという表現をしています。これは、HTMLでは通常のid属性にあたります。
[2]第9章 CAS記法の属性マークアップリファレンス
[3] ここでCAS-UBで作ったHTMLを埋め込んだWebのページ: Microsoft Office(マイクロソフト オフィス)のファイルを、プログラム開発者が自力でPDFや画像に変換するには、どうしたら良い?

ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。

2017年になってから久しぶりにWebページを自分で編集・更新をし始めています。XHTML形式のWebページをoXygenというXMLエディタ[1]で編集しているのですが、このところ毎日Webページ制作の生産性の低さに辟易しています。

少し遡っての個人的な経験ですが、私は2000年頃からドキュメントの多くをXML(XHTML)で作成するようになり、Webページなども簡単なHTMLタグの組み合わせで作成していました。それらのWebページはXHTMLタグでマークアップして簡単なCSSでレイアウトを施したものです。今から見ますと原始的なものですが、この頃のマークアップ編集はAntenna House XMLエディタという自社開発のXMLエディタを使っていました。この間、Antenna House XMLエディタは、開発があまり進まず、時代の流れに遅れてしまい、結局、販売も断念してしまいました。

その間、HTMLのタグを直接編集するのはどうも生産性が低いのでなんとかうまい解決策がないものかと考えていました。そうした経験からWiki記法のような簡易マークアップを使ってHTMLを書くことで、HTML制作の生産性を高めることができるだろう、と考えました。それが、2010年にCAS-UBの開発を開始した一つの理由です。CAS-UBはWiki記法を拡張したCAS記法をつかってHTML文書を記述します[2]。これは檜山正幸さんという天才的なアーキテクトに設計していただいたものです。自分で言うのもなんですが、いつも良く出来ていると感じます。CAS記法をなかなか普及させられないのは、偏に私のマーケティング力が足りないからだと反省します。

もう一つの理由は、出版の世界は一品生産のため、DITAマニュアルの制作システムのように大きな投資が必要なシステムを作るのは難しいので、PDFとEPUBを作る仕組をWebサービスとして提供するのが向いているのではないかと考えたことです。CAS-UBは出版物を作る仕組としてうまく機能するようになっています。まだまだ改善が必要ですが。

そうしたことで、2011年頃から、業務上の文書はOffice、簡単なWebページはブログ、出版物にするときはCAS-UB、といった使い分をしていました。そんなことで、個人的には問題も感じなくなり、もうワンソースマルチユースには課題はないだろうなどと考え始めていたのです。そして、ワンソースマルチユースの大きな課題であるソースドキュメント編集の問題について、やや忘れかけていました。

で、久しぶりにWebページ(HTML)をXMLエディタ(oXygen)で編集し始めて、HTML直接編集の生産性がさらに低下しているのに辟易しています。ずっと、HTMLの生産性が低い理由は、コンテンツ(原稿)とタグ(マークアップ)の二つを同時に考えるためと思っていました。しかし、今回、久しぶりにWebページを編集してみて、レイアウトのための余計なクラス属性や余計な階層構造が、さらに生産性を下げる原因になっている、と痛感しています。

ちなみに、今『CSS設計の教科書』(谷 拓樹著、インプレス発行、2016年2月第1版第4刷)を読んでいます。この本を見ますとCSSのセレクタには要素ではなく、クラス属性を指定する方を推奨しています。要素のセマンティクスにはあまり依存しないで、div要素に多数のクラスを設定し、CSSではクラスのセレクタを使って部品化し組み合わせる方法などがあります(pp.45-52 OOCSS)。こうなってきますと、今度はコンテンツの編集の際に、レイアウトのためのクラスの設定を適切に行わなければならなくなります。結局、HTMLの編集において、テキストや画像コンテンツ、セマンティクスとしてのHTMLタグ、さらにCSSレイアウトのためのクラス属性の設定、という三つを同時に考慮しなければなりません。これはちょっと? です。

見栄えの良いWebページを作るために、CSSが複雑になりメンテナンスしにくいのでクラス属性を組み合わせ、今度は内容を書くのが大変になる! って本末転倒しているように感じます。どうしたら良いんでしょうかね。

また、最近、2回ほど学術情報XML推進協議会のセミナーに参加して、皆さんの意見も伺い、久しぶりにコンテンツ制作の問題がまだ課題なんだな、と痛感している次第です。ということで、HTMLのオーサリングについて、改めて整理し直そうと考えているところです。

[1] oXygen
[2] CAS記法リファレンス
[3] 次回 HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。

■シリーズ
(1) ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。
(2) HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。
(3) Word2013のWord文書をHTML形式で保存を試してみる。その問題点は?
(4) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(1)

『XSL-FOの基礎』画像制作のこと。Word経由でインポートした画像は印刷品質の劣化が激しいため、第2版ではできるだけSVG形式に変更した件。

『XSL-FOの基礎』は初版は2016年5月に初版をリリースしましたが、今回は大幅に改訂して第2版となります。改訂の一部として、多くの画像をラスターからベクトル(SVG形式)に変更しました。以下、このことを少し説明します。

本書にはXSL-FOのオブジェクトとプロパティの説明の一部として組版結果の紹介をしています。例えば、こんな感じです。

組版結果はPDFです。初版では、組版結果の多くはPDFを表示して画像スクリーンキャプチャしていました。最初のうち原稿をWordで書いていましたので、スクリーンから切り取ってWordに貼り付けていたものもあります。原稿のWord文書をCAS-UBで取り込んだとき、このラスター画像もCAS-UBに取り込まれます。途中からはCAS-UBで原稿を直接書いて編集しましたので、スクリーンをキャプチャしてPNGファイルとして取り込んだものもあります。初版の画像制作は、主に次のようなフローになります。

こうした画像を画面で見ている限りでは、それほど見栄えに差がないのですが、プリントオンデマンドで紙に出力しますと画像の品質の差が歴然となります。Wordに貼り付けて(CAS-UBのWordインポートで)CAS-UBに取り込んだ画像は品質が非常に悪くなります。一方、PNGファイルをCAS-UBに取り込むときは、印刷したときの画像の品質はPNGの精度(ピクセル数)次第です。特に、文字がはいっているような画像は品質が低いと問題があります。

ということで第2版ではできるだけPDFからベクトル画像(SVG)を作ることにしました。SVGを作る方法はいろいろあると思いますが。今回は自社開発のPDFビューアのSVG切り出し機能を使いました[PDF加工画像化ツール]。この操作は次のようになります。


図1 PDFを開く


図2 SVGにしたい範囲を選択


図3 SVG形式で保存

SVGにした画像はPNG形式も用意しています。PDF生成時はSVG形式を使い、EPUB生成時にはPNGに差し替えるようにしました。残念ながらKindleではSVGを正しく表示できないことがあるためです。

SVGからPNGへの変換は「置換」機能を使います。

複数の画像ファイルを用意しておき、出力形式によって画像を使い分ける機能はCAS-UBのWeb制作サービスの中に取り込んでいきたいものです。これは次のバージョンアップの課題の一つといたします。

参考資料
1. 技術書典2と『PDFインフラストラクチャ解説』第1.1版、『XSL-FOの基礎 第二版』のご紹介
2. 『XSL-FO の基礎 – XML を組版するためのレイアウト仕様』
3.Wordに埋め込まれたイメージ画像の解像度はどうなるか?

CAS-UB 操作紹介ミニ動画が20本になりました。

CAS-UBはデジタル技術を活用して本を作るWebサービスです。その特徴は、次のような点にあります。

(1)小説のようなほぼ文字だけの本ではなく、図版や表などを多用する専門書も編集・制作できること
(2)EPUBだけではなく、プリントオンデマンドのためのPDFを簡単なパラメータ設定のみで作ることができること

特に紙の本は、できあがったものを見ますと、一見簡単にできていそうに見えます。しかし、実際に本を作ってみますと、まず本の編集・制作作業はかなり複雑です。紙の本には長い歴史があり、表紙・扉・前書・目次・本文・後書・索引などの多くの構成要素があります。さらに日本語の本は横組・縦組があり、綴じ方(開き方)が反対になります。他にどんな点が難しいかは下記の参考資料(本のワンソースマルチユース制作〜その理論・実践・未来)をご覧ください。本の制作にあたっては、このような諸要素を予め配慮する必要があります。

こうしたことから、商業出版社では、専門的な知識をもつDTP制作者や制作会社に制作作業を外注していることが多いようです。しかし、本の制作を外注して行うと日程や費用が掛かってしまいます。さらに、DTPで制作するとPDFに特化してしまうため、EPUBなどの電子書籍にするのに別途の日にちがかかります。

CAS-UBは、コンピュータを使って、本の編集・制作作業をできるだけ自動的に行い、知識の伝搬・技術・産業の発展に欠かせない専門的な本の生産性を高めるのが目標です。

やや複雑なCAS-UBの編集操作やPDFの作成を、直感的に理解していただくために、次のミニ動画を用意しています。それぞれ1~2分ですので、ぜひご覧ください。なお、この中の動画の多くは、ECMJ石田社長のブログを、ECMJ流Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズという本にする過程を録画したものです。

CAS-UB紹介動画一覧

新しい出版物の作成
編集機能について
図版と画像の扱い
本の構成を編集する
PDF生成

なお、動画の内容は随時追加・改訂していく予定です。

参考資料
本のワンソースマルチユース制作〜その理論・実践・未来
CAS-UB Webページ
ミニ動画作成のきっかけになった10月24日セミナーのプレゼンテーション