Adobe Digital Editionsの1.8.1 preview版(ADE 1.8.1)は基本EPUB2なのだが、縦書きとかルビを使えるということで人気が出ている。
で数式はどうかなと考えて、CAS-UBで作成中の「CAS-UBで数式を使う方法について」からEPUB3を生成して、ADE 1.8.1で表示してみたところ次の図のようになった。
残念ながらMathMLによる数式はまだ表示できないようだ。
正しくは、数式の表示例2は次のようになって欲しいところ。
ちなみに、左側のナビゲーション・ウインドウが空なのはCAS-UBが出力するEPUB3ファイル(アルファ版)ではナビゲーションとしてNAV形式しか出力していないためである。EPUB3ではナビゲーションファイルの形式がNAV形式になるのだが、ADE 1.8.1はEPUB2ベースということで、NAV形式を未サポートである。
ちなみにADE 1.8.1に限らず、NAV形式をサポートしているEPUBリーダはまだ数少ないようだ。こうしたことで、CAS-UBでもEPUB3出力にNCXを入れるべきか入れざるべきかまだ思案中なのだが。
昨日のJBasic08の検討会の様子ではナビゲーションファイルとしてNCX形式(EPUB2用)とNAV形式(EPUB3用)の両方を含めることを推奨するということになりそうだ。
1.The EPUB Navigation Document
It must contain exactly one EPUB Navigation Document conformant to the content requirements defined in EPUB Navigation Documents — Content Conformance [ContentDocs30].
2.The NCX feature defined in [OPF2] is superseded by the EPUB Navigation Document [ContentDocs30]. EPUB 3 Publications may include an NCX (as defined in OPF 2.0.1) for EPUB 2 Reading System forwards compatibility purposes, but EPUB 3 Reading Systems must ignore the NCX in favor of the EPUB Navigation Document.
ということなので、EPUB3.0にはncx形式のファイルを入れても良いが、しかしEPUB3にはNAV形式のナビゲーションを用意しなければならず、EPUB3のリーダはNCXを無視しなければならない。従ってEPUB3対応のリーダ用に限定するならNCXは無駄である。
つまり、NCXはあくまでもEPUB2リーダでEPUB3を読むときの補助手段という位置づけである。
逆にEPUB3で新しく拡張されたコンテンツ記述方式を多様している場合、これをEPUB2のリーダで読むとコンテンツが正しく表示されない恐れが大きい。そういったご表示を防止するためにも、EPUB3コンテンツにはNCXを入れないほうが良い可能性もある。