書籍(PDF)における章の起こし方

CAS-UBのPDFレイアウトV2は現在アルファ版として利用可能ですが、さらにもう少し機能を追加する予定です。

その一つに、章の扉を作成する機能があります。章扉を作ることになりますと、改頁位置にいろいろなパターンがでてきます。あらゆるパターンを想定すると複雑になりますのでパターンを絞りこむために実際の書籍がどうなっているか少し調べてみました。

章の扉を作るかどうか、またその時、節をどこから開始するかをケースに分けてみますと次の図のようになりそうです。

図書館で実際に書籍を調べてみました。とりあえず59冊の書籍を調べてみた結果は次のとおりです。
1.59冊章・節の構成に近いと思われるものが48冊ありました。残りの書籍は単純な章・節構成に当てはめるのが難しいものです。
2.そのうち、章の開始パターンを分類しますと、次のようになります。
(1)上の図①に該当するものが4冊
(2)②に該当するものが31冊
(3)③に該当するものが7冊
(4)④に該当するものが6冊

章扉をもつ書籍が48冊中35冊ですので、4分の3近くあり意外に多いことが分かります。

章扉は、本文縦組み横組みに関わらず奇数頁になっています。そして章の扉をもつ書籍の多く(35冊中31冊)は、章扉の次の頁から節を開始しています。

章扉を持たない書籍では、章を常に奇数頁から起こすか、それとも成り行きにより、奇数頁または偶数頁から起こすかはほぼ半々です。

章扉を置くかまたは章を常に奇数頁から起こす場合(48冊42冊が該当)は、前の章の本文の分量によって章開始の前頁の本文が空白になる頁が出現するはずです。しかし、空白の頁が実際に出現している書籍は29冊なので、3割近い本は空白がなくなるように文章の分量を調整したり、本文空白の頁にコラムを配置するなどの編集者の工夫が見られます。なお、本文空白頁がある29冊の中で1冊を除き、柱もノンブルもない完全な空白となっています。

柱の方式は48冊の中で片柱方式が37冊と圧倒的に多く、両柱方式は6冊と少数派です。なお柱のない書籍が4冊もあったのは意外です。あと1冊は柱がない代わりに爪がありました。また、片柱はすべて奇数頁への配置となっていました。

片柱のときその内容はたいてい章見出しとなっています。このあたりは、現在のCAS-UBのPDF出力レイアウト設定のデフォルト設定と一致しています。

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セマンティックスの役目とは

以下の話は、CAS-UBとは直接は関係ないのですが、「DITAの実践(第2版)」を読んでいましたら、「セマンティックスの役目」という節(3.8節、pp.30~35)に次のような言葉が出ていました。

1.セマンティックスは意味的に適切な要素でカプセル化して情報をすばやく見つけることができるようにする。
2.コンテンツの表現よりも、情報に正しくセマンティックスを追加することで情報提示に一貫性を持たせる。
3.意味的な要素とは、「である」というコンテキストを提供するメタデータである。
4.節や段落よりも小さな断片情報にクエリを通じてアクセスできる。
5.「ボールド」、「イタリック」のような表示方法を変更するマークアップは、翻訳などで問題が生じる。
6.XSLTを用いて、表示を組織的に統一できる。変更も容易になる。

以下にセマンテッィクス要素の例示があります。

・apiname
・cite
・cmdname
・codeblock
・codepath
・filepath
・lines(歌詞や詩など、行が意味を持つ)
・lq
・menucascade
・msgblock
・msgpath
・option
・parname
・screen
・state(状態)
・synph(コマンドや構文の一部)
・systemoutput
・term
・uicontrol
・varname
・wintitle

ここでいうセマンテッィスはかなり局所的で、マニュアルの中で使うものが多いようですが、参考になる考え方です。

○出典「DITAの実践(第2版)」(Julio Vazquez著、DITAコンソーシアムジャパン訳、エスアイビー・アクセス発行、2011年11月、ISBN978-4-434-15881-0)