市川せうぞーさんという方の記事「InDesignは電子書籍の中間ファイルたり得るか?」を発見しました。
URL:http://ebook.itmedia.co.jp/ebook/articles/1101/19/news056.html
この記事は2011年1月の掲載なので1年前のものですが、一読してまったく同意・同感、我が意を得た思いです。
この記事では「InDesign」で最初に書籍を制作して、その完成版から「EPUB」書き出しを行なうという作業の進め方は、次の点で「だめ」とする意見が述べられています。
○電子書籍を制作するワークフローの中心に「InDesign」を置く方法がだめな理由
1.InDesignから書き出されたEPUBは構造化されていない。するとEPUBをいろいろ書き直す必要があり、データが同期しなくなってしまう。
2.EPUB書き出しを前提にしてInDesignで出版物を作るには、特別な配慮が必要になり、それは本末転倒である。
3.InDesignを使わなくてもEPUBを簡単に作ることができる。
上の説明は、まったく同感です。この状況はいまでも変わっていないと思います。といいますか、InDesignのようなDTPは紙に印刷する出版物をコンピュータの画面の上で組み上げるためのソフトウェアです。つまり紙を前提にレイアウトするものなので、上の問題は、どんなにがんばっても本質的に解決できないと思います。つまり、EPUBのような、表示する環境によってレイアウトが変わる電子書籍の制作にDTPを使うのはまったく不合理です。
第2に、今後はEPUB形式で書籍を先行して発売して、ある程度需要がありそうなものを印刷するという出版の仕方は合理的だと思います。
EPUBは1部から流通させることができるのに対して、紙への印刷はある程度の数量がないと安くできません。100部、200部の書籍を印刷するのは1部あたりコストが高くなりすぎてあまり意味がないことは誰でもわかっていることと思います。従来は、売れるか売れないか分からない書籍を印刷して配本するというリスクを、出版社がすべて抱えていたわけで、中小の出版社の経営が厳しくなるのはこの過大なリスクを背負いこまざるを得ないという構造にあると思います。
EPUBで先行配信して、売れるかどうかの判定がかなりの確度でできれば、出版のリスクは相当に小さくできると思います。
CAS-UBを使えば、EPUBを出すのは極めて簡単になります。タグを覚える必要はまったくありません。それでできた書籍の内容をそのままPDFにすることもできます。ということで、CAS-UBは、今後、出版社にとって福音になるはず、と考えています。