索引論再訪ー索引の目的とは。索引をどうやってつくるか?

先月(2016年12月11日)索引についてのブログを書きました[1]。これは、「ECMJ流Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ第三弾」の索引作りに際していろいろ考えたことをまとめたものです。本書は12月中旬に『今日からできるEコマースの集客戦略!: ~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~』として無事発売されました[2]

さて、今度はシリーズ第四弾の索引作り中です。シリーズ第四弾はほとんど編集完了して、現在、索引の調整を中心に最終調整中です。タイトルは『Eコマース「勝者の秘訣」はデータ活用にあり!~「データをとって毎日改善」を繰り返そう~』です。発売されましたら、ブログなどでご紹介しますのでしばらくお待ちください。なお、アンテナハウス書籍・総合目録には出版済みのすべての本を紹介していますので、関心をお持ちのかたはぜひチェックしてみてください。

さて、索引についてまた考えてみます。

索引の目的は

これは前回も書きましたが、第一は用語や固有名詞について本文中にでてきた場所を示すですが、これが索引の一般的用法でしょう。
・こんなことが書いてあったな? どこにあったかだろうか? と思って探す。
・本を読み進めて人物が出てくる。同じ名前が前に出てきたな? どこにあっただろうか? と思って探す。

第二は、本の内容を理解する。通常の本ではこの用途は少ないと思います。編集がしっかりしていて、目次もしっかりできていれば、内容を理解するために索引をたどっていく必要はないように思います。しかし、全体の構成を考えて執筆されているわけではない本もあります。ブログ本はその一つです。もともとは日記のようなものですので全体の構成を考えられているわけではありません。

そういえば、現在、『米欧回覧実記』(久米邦武編著、慶應義塾大学出版会、2008年6月刊)を読んでいるのですが、これは一種の旅日記ともいえます。本シリーズは全5巻ですが、別冊で総索引があります。総索引はテーマ別事項索引、人名索引、地名索引に分かれています。テーマ別事項索引はこの第二の目的にも使えるものです。例えばテーマのひとつに「音楽会」があります。索引の中見出しが音楽会、項目は「プロイセン王立劇場におけるオペラ」、「ボスtンの太平楽会」、「リヴァプールのパイプ・オルガンの演奏」、「ワシントンの国立劇場のオペラ招待」となっています。

索引語

さて、索引にどんな言葉を選ぶかのが適切か? 本文に出てこない言葉を索引語にするのはどうか? が次の疑問です。 これは索引の目的にも関係するでしょう。索引を階層化する場合は、第一階層の索引語は見出しとしての役割も担いますので、抽象度が高い用語、あるいは、本文に出てこない用語が多くなりそうです。

索引の形式は

索引のレイアウト形式ですが、索引は二段組が主流です。現在、本文二段組は少数派ですので、多くの場合索引と本文の版面は異なることが多いでしょう。また、本文が縦組でも索引は横組が多くなっています。

索引の構成方法

索引の作成方法の一つに構成方法があります。例えば、まず、索引自体を事項索引、人名索引、地名索引のように大分類する。それから索引の中で親子の索引、兄弟の索引を作ることは一般的です。

先達の索引作成例

先達の索引例として、まずは、上に述べた『米欧回覧実記』をあげておきます。

関連
[1] 索引の作り方を考える。一歩進んで、本文に出てこない索引語や、索引語の階層化の試み。
[2] ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズ第3弾 『今日からできるEコマースの集客戦略!: ~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~』

CAS-SUPPORTブログの索引関連その他の過去記事
[1] CAS-UBの編集デモ動画 新ファイル : 索引を追加する
[2] EPUB・PDFで索引や親子索引を作るためのCAS記法の例
[3] CAS-UBではEPUBに索引を自動的に出力できます。

新年おめでとうございます。今年もワンソースマルチユースとプリントオンデマンド本の実践をますます推進します。

新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

いよいよ2017年が始まりました。昨年末のブログでも説明しましたが、CAS-UBは2016年からプリントオンデマンド(POD)で本を出版するためのPDF生成技術の開発に重点的に取り組んでいます。そして実際に本を作って販売する実践に取り組んでいます。2017年も、さらにこれを強化し、EPUBとPDFでワンソースマルチユースの本作りを推進します。

CAS-UBを使って本を簡単に作れる仕組みを提供する目的は、だれでも効率的な情報の伝達と知識の共有ができるようにして、社会の発展に寄与することにあります。

これまでの歴史において新しい技術・知識や経験の伝達は印刷と出版によって行われてきたのは詳しく説明するまでもない周知の事実でしょう。現在は、その役割分担として、だんだん電子書籍のウエイトが大きくなる一方で印刷書籍が不要になりつつあると言われています。長い目でみますとどうなるかは予測を超えるところですが、電子書籍は、まだ紙を置き換えるほどの段階には達していません。これからしばらくの間は、紙の本も役割がなくなることはないでしょう。ワンソースマルチユース制作を、簡単に、誰でもつかえるようにする必要があります。

まず、「先ず隗より始めよ」ということで、アンテナハウス電子出版プロジェクトでは昨年からプリントオンデマンドによる本の販売実践に力をいれております。昨年は、CAS電子出版として10タイトルをプリントオンデマンドで実践出版しました(一覧は下記)。

昨年の10月から、ECMJ流!のシリーズをCAS-UBで編集・制作してシリーズとして順次リリースしています。ECMJ!流は、Eコマースビジネスの人財育成コンサルタント会社であるECマーケティング人財育成の石田麻琴社長のブログ[1]を本にするものです。

石田社長は2013年8月から毎日ブログを書いているのですが、このブログは毎日全力投球100%出し切る姿勢で書かれており、ひとつひとつの記事はすばらしい内容です。
しかし、ブログという形態には、論理を順序立てて説明しにくく、情報を伝えるという点で若干の欠点があります。これは本にする目的は、ブログという形式では難しいが本ならできることを提供するできます(詳しくは、「ブログと本の比較」を参照)。本について言えば、もちろん、編集の仕方次第ではあります。うまく編集することで分かりやすさを作り出すことができるでしょう。

2016年発売CAS電子出版タイトル・一覧
『PDFインフラストラクチャ解説』 1月発売
『XSL-FO の基礎 – XML を組版するためのレイアウト仕様』
『スタイルシート開発の基礎 – XML と FO で簡単な本を作ってみよう』
『MathML 数式組版入門』
『瞬簡PDF作成7 ユーザーマニュアル』
『DITAのすすめ』
『瞬簡PDF書けまっせ7 ユーザーマニュアル』
『おにぎり水産 鬼切社長のEコマース奮闘記: ~とある地方の笹かまぼこ工場がネットショップを成功させるまで~』
『E コマース成功のための土台づくり~ネットのマーケティングを徹底的に理解せよ~』
『今日からできるEコマースの集客戦略!: ~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~』

ブログと本の比較
【ブログの弱点】
・ブログの記事としての寿命はそれほど長くありません。ブログへのアクセス数は1週間程度で細々としてしまいます。
・ブログで昔書いた記事はどんどん埋没してしまいます。カテゴリー分けなどで埋没を避けようとしても限界があります。
・ブログは日記と同じようなものでひとつひとつの記事が断片的となりがちです。そこで、自分の主張をテーマとして設定し、順を追って論理的な展開をするにはあまり向いていないと思います。
・ブログは改訂しません。日記に似ており、一過性です。

【本の長所】
・1冊毎にパッケージ化されますので、情報としての寿命は長くなります。
・また、本は1冊ずつ切り離した形で販売しますので、単品としてプロモーションをしやすくなります。
・数百ページをひとつのパッケージとし、テーマによって章建てすることで、順を追ってひとつの主題を展開しやすくなります。というよりも本の多くは予め構成を考えて執筆されます。
・本は改訂し、議論を深め・進化できます。

[1] ECマーケティング人財育成ブログ

CAS-SUPPORT ブログより6年間を振り返る(2)

前回は、CAS-SUPPORT ブログから6年間を振り返るの前半でした。今回は後半2014年~2016年を振り返ってみたいと思います。

2014年

毎年一番最初に開催される大きな展示会はPageです。Page 2014での第一印象は電子書籍ブームは去ったということでした[1]。ちなみに、ブームが去ったということは、電子書籍がビジネスとして成長していないということを意味するわけではありません。むしろ、興味本位というと言い過ぎかもしれませんが、新たなビジネスチャンスを探して電子書籍界隈に大勢の人が集まった時期が終わり、地道なビジネスとしての取り組みのフェーズに移行したということを表します。

2014年はEDUPUBへの取り組みが注目された年でもあります[2]、[3]

2013年のEPUBマニュアル研究会は2014年も継続して行い報告書を発行しました[4]

2015年

2014年でEPUBに対する新規需要の盛り上がりが一段落したこともあり、2015年のCAS-UBプロジェクトでは、本をプリントオンデマンドで作るための最適なPDFレイアウトの検討に重点的に取り組みました。

まずは、基本版面の見直しを行いました[5]、[6]。日本語の本の場合、特に本の構成や扉の設定があまり標準化されておらず大きな構造がバラバラです。CAS-UBでは、記事の種類毎に、部分的にレイアウトを変更できます。この機能を強化してプリントオンデマンド用のPDFをより複雑なレイアウト構成にできるようにしました。例えば縦組の本に横組のページをいれるなどになります[7]

2015年末には過去に出版した報告書や本をアマゾンのプリントオンデマンドによって販売を開始しました。

2016年

2016年前半は、主に自社の製品や技術に関連する啓蒙書を、プリントオンデマンドで出版することに積極的に取り組み、例えば次のようなタイトルを発行しました。

『PDFインフラストラクチャ解説』POD版とKDP版が揃い踏みとなりました。
『XSL-FOの基礎 – XML を組版するためのレイアウト仕様』POD出版顛末記

2016年後半も、CAS-UBでプリントオンデマンドで本を出版するためのPDF生成技術の開発に重点的に取り組んでいます。

現在は、POD出版の実践として、ECMJ流! インターネットマーケティングのシリーズを出版しています。POD本を出す実践を積み、同時に開発課題の整理・CAS-UBの機能拡張を行っています。

[1] Page2014 終了しました。電子書籍のブームは去り、組版ソフトに注目があつまりました。
[2] EDUPUB プロファイル仕様 (5/28ドラフト) のあらまし
[3] EPUB標準化関連活動のアップトゥデイト 2014/9/15
[4] 『マニュアルEPUB化ハンドブック2015年版』紙版もアマゾンで販売開始。制作期間等を整理しました。
[5] 本のかたちを考える:基本版面のパラメータ設定の考え方を整理してみました
[6] 本のかたちを考える:四六判・基本版面の推奨値を検討する(案)
[7] CAS-UB V3.0をクラウドサービスにて提供開始。PDF縦組を大幅に強化しました。

CAS-SUPPORT ブログより6年間を振り返る(1)

CAS-SUPPORTのブログは2011年1月より初めて12月末でちょうど6年となります。あっという間に6年経ってしまったのに驚きます。年末でもあり、この機会にいままでのブログの見出しをWebで一覧としました。

CAS-SUPPORTのブログ 目次

なお、このWebももちろんCAS-UBで制作しています。制作の工程から動画として作成し、動画一覧に追加しました。

CAS-UB紹介動画一覧より、「Webページ生成」をご覧ください。

もともと、このCAS-SUPPORTブログは、CAS-UBのサービスを利用されている人や、サービスに関心を持っていただいた方向けの情報を中心として企画したものです。そのためCAS-UBの新しい機能の紹介や関連イベントの情報が多くなっています。

CAS-UBの目的は、ワンソースマルチユース技術を本作りに応用して、いままでよりも簡単・便利に、良い本を作れるようにしようということです。そこで、こうした目的に合致する範囲で、本の制作に関わるデジタル技術の話題も随時取り上げています。こちらの方は、全般的&公平ということではないですが、世の中の出来事や変化を反映しています。

ということで、CAS-SUPPORTブログの6年間の変化を振り返ってみたいと思います。まず、最初の3年間です。

1.2011年はEPUB3の将来性が話題の中心

2010年が電子書籍元年ということで、特にEPUB3の標準化がホットなテーマとなりました。ブログを始めた2011年の頭ではEPUB3の仕様制定作業の途中でした。

そのため、2011年時点では、EPUB3が普及するのかどうかは見通しが付いておらず、またEPUB3をどのように制作するかについての手探りの状態でした。この頃のブログ記事では、EPUB3についての紹介や作り方、Adobe Digital Editionの表示機能などの記事も多く、またセミナーでもEPUB3の将来性についてテーマにしています。この頃がEPUB3の制作や表示という基本機能について、一番ホットな時期だったように思います。

しかし、2011年はEPUBを作っても販売する方法が少なかったのです。一方で、EPUBだけでなく、CAS-UBでPDFを作りプリントオンデマンドで本にすることも行っています[1]、[2]

2.2012年はKindleが日本で営業開始、EPUB3が主流になる

2012年になってEPUB3の話題はやや少なくなり、前半は停滞期でした。2012年の話題はなんと言っても日本でのKindleストアの営業開始でしょう。Kindleストア、KDPのサービス開始により漸く、EPUB3で本を作れば誰でも広く本を売れるようになりました。書籍出版社の間でも準備が進んでいたようで、2012年9月には電書協EPUB3制作ガイド V1.0が発表になりました。

CAS-SUPPORTのブログでも短い記事ですが10月25日よりKindleの営業開始を伝えています[3]。CAS-UBもKindleのmobi形式をサポートしました。ブログでもEPUB3とmobiの相違点などを何度か取り上げています。

やや専門的ですが2012年には縦組のとき英数字の向きの既定値をどうするかについての熱い議論がありました。

2012年から『PDFインフラストラクチャ解説』のEPUB版を制作して配布をはじめました[4]

3.2013年はEPUBを業務マニュアルに使う研究会に取り組む、またPDFも本格的に試作

2012年にKindleや楽天Koboが営業を開始して、EPUB3による電子書籍はポピュラーになりました。

2013年にはEPUBマニュアル研究会に参加して、業務マニュアルのEPUB化に取り組みました。CAS-UBは、当初からPDFの自動的制作、EPUB&PDFによるワンソースマルチユースを目標にしていました。これらの話題をあわせてJEPAで報告会を開催致しました[5]

【続く】

[1] CAS-UBで制作した書籍のPDF版を発売しました。
[2] CAS-UB で制作したPDFからプリントオンデマンドで本ができました。
[3] Amazon Kindle登場、iBooksが縦書きサポート
[4] 「PDFインフラストラクチャー解説」EPUB本の0.1版を公開
[5] 3月1日JEPAにて、「EPUBのビジネス分野での活用を広げる」セミナー開催JEPA 第22回 EPUBセミナーでの「新しい発想の書籍制作ツールCAS-UBのご紹介」スライドなど

ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズ第3弾 『今日からできるEコマースの集客戦略!: ~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~』

「ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズ」第3弾『今日からできるEコマースの集客戦略!: ~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~』が、アマゾンプリントオンデマンド、およびKindle版で発売となりました。

このシリーズは株式会社 ECマーケティング人財育成の石田社長のブログをトピック別に整理して書籍の形式で発刊するものです。シリーズ第三弾にあたる本書のトピックは、インターネットマーケティングでもっとも難しく、Eコマース運営者の誰もが頭を悩ます「集客戦略」です。

ECMJ3-

本の情報
書名:『今日からできるEコマースの集客戦略!: ~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~』
シリーズ名:ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則
著者:株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役 石田麻琴
発行元:アンテナハウス株式会社CAS電子出版

○POD版
ページ数:A5版文字サイズは9ポイントで1行18文字2段組、33行/1ページ。全184ページ(タイトルページ、目次、奥付含む。)
価格:2,179円(消費税込み)
ISBN:978-4-900552364
販売店:アマゾン(amazon.co.jp)

○電子版
当初はKindleのみ(Kindleセレクト)で販売していますので、Kindle Unlimitedでお読みいただけます。先々は他の電子ブックストアでも販売する予定です(そのときはKindle Unlimitedではお読みいただけなくなります。また価格も変更となります)。
ISBN:978-4-900552371(アマゾンのASIN:B01M72RPUK)
電子版発売元・価格:Kindle版:税込1,250円(Kindle Unlimited対象)

内容のご紹介

マーケティングで有名な法則にAIDMAがあります。AIDMAのAは認知と言われますが、認知における第一の段階は存在を知ることです。いくら良いサービスを提供し、いくら優れた商品を提供したとしても、消費者あるいは販売したい潜在的な顧客に存在を知ってもらえければ決して使ってもらえません。サービスの利用者が増えない・商品が売れない一番大きな原因は「知られていない」からです。

特に、道行く人に、通りがかりに目にして貰う機会がある実際の店舗、またお店の棚に実際の商品が陳列されるリアルの世界と比べると、インターネットの世界では、端末画面の上に表示されなければ、存在を知って貰う機会がゼロとなります。そこでE コマース事業を成功させるために最初に取り組むべきなのは「集客」です。現在、Eコマースサイトの大部分は集客を広告に頼っています。しかし、Eコマースサイトは無数に増えていきますので、広告に頼るだけでは収益がどんどん低下してしまいます。

本書ではいつの時代も変わらない「原理原則」の視点からEコマースの集客戦略について語られている記事をまとめています。ショッピングモールの検索対策、Googleアナリティックスの見方、データに基づく広告枠の選択、バナー広告クリック率の向上方法、広告効果の検証法、広告画像の制作、広告テキストの制作など豊富なテーマを取りあげており、インターネットマーケティング担当者にとって、目から鱗が落ちるようなヒントが満載されています。

目次
はじめに
第1章 集客はE コマース事業のキーポイント
第2章 広告で成果を生む秘訣
第3章 メルマガ
第4章 検索
第5章 コンテンツマーケティング
第6章 Web サイト運用改善
第7章 アイデアを絞る
第8章 「違い」をつくる
第9章 競合分析
第10章 制作のポイント・スマホ対応・WEB と紙
索引

詳細目次
下記は本文のオリジナルブログ一覧です。

第1章 集客はE コマース事業のキーポイント
インターネット集客。ネットショップの存在を知ってもらう3つのパターン【no.0798】
新規顧客の集客方法は、詰まるところ4つしかない。【no.0251】
ネット広告で新規顧客を集めるための原理原則。【no.0255】
検索エンジンからの自然流入を増やすために。【no.0262】
メディア拡散のヒントは、メディアの傾向を知ること。【no.0269】
リアルビジネスはインターネットでも勝てます。【no.0277】
紹介してもらうこととは、話題にしてもらうこと。【no.0285】

第2章 広告で成果を生む秘訣
ヤフーショッピングの無料化でのEC業界の影響は? 【no.0043】
ヤフーの「eコマース革命」は改善のチャンス!【no.0044】
ヤフーショッピング広告戦略のポイント・考え方。前編 【no.0045】
ヤフーショッピング広告戦略のポイント・考え方。後編 【no.0046】
ヤフーショッピング広告戦略のポイント・考え方。終【no.0047】
広告の成果データの開示で、ヤフーショッピングの出店者をもっと賢く・・! 【no.0048】
ショッピングモール広告枠との格闘。積み重ねが大事です。【no.0320】
Yahoo!ショッピングの広告CPCをなんとかして、半分にしたい!【no.0323】
ネット広告の掲載回数は、コントロールできるのか?【no.0327】
「これをしちゃいけない」はあるが、「これをすればいい」はない。【no.0331】
マーケティングの「魔法の杖」は、地中に埋もれている。【no.0335】
新設のYahoo!ショッピング広告の取捨選択の方法【no.0338】
ネットショップで広告を使うふたつの目的を理解しよう。 【no.0149】
初めて広告を買うときの選定方法。ここは競合にのっかっていこう【no.0977】
広告はネットショップ運営の花形!広告作成のコツを考える。【no.1002】
広告画像は「お客様を馬鹿にしてるんじゃないのか?」と不安になるくらいわかりやすく。【no.1003】
広告画像と比べると、広告テキストは比較的作成のポイントが明確。【no.1004】
成果管理表を作成して、1回1回の挑戦を最大限ノウハウにする。【no.1005】
広告戦略は、「広告選び」が勝負の半分を決める。【no.1096】
スマートデバイスが変える、看板広告の広告価値【no.0456】
EC事業の損益分岐点と顧客生涯価値から広告費率を考える。 【no.0127】
インターネット広告の費用対効果が悪い、は果たして本当なのか?【no.0543】
楽天サーチワード広告が使える理由。【no.0209】

第3章 メルマガ
ネットショップにおけるメールマガジンの成果検証の方法。数値項目編【no.0520】
ネットショップにおけるメールマガジンの成果検証の方法。検証具体策編【no.0523】
ネットショップにおけるメールマガジンの成果検証の方法。顧客セグメント編【no.0526】
ネットショップにおけるメールマガジンの成果検証の方法。セグメントの切り方編【no.0529】
ネットショップのメールマガジン、テキストメルマガでいくかHTMLメルマガでいくか【no.0775】
セグメンテーションをしただけで、お客様の反応が変わる不思議【no.1073】

第4章 検索
ショッピングモールの検索順位を考えるときの「原理原則」。 【no.0162】
検索順位アルゴリズムに適応するため実践&検証を繰り返す。 【no.0164】
自分の頭の中にない言葉を、検索することはありません【no.0388】
「検索」で新しいお客様に知ってもらうための「原理原則」1【no.0684】
「検索」で新しいお客様に知ってもらうための「原理原則」。2【no.0688】
「検索」で新しいお客様に知ってもらうための「原理原則」3【no.0698】
「検索」で新しいお客様に知ってもらうための「原理原則」4【no.0705】
「検索」で新しいお客様に知ってもらうための「原理原則」。5【no.0712】
「検索」で新しいお客様に知ってもらうための「原理原則」。6【no.0719】
「検索」で新しいお客様に知ってもらうための「原理原則」。7【no.0733】
「検索」で新しいお客様に知ってもらうための「原理原則」。8【no.0740】
「検索」で新しいお客様に知ってもらうための「原理原則」。9【no.0747】
「検索」で新しいお客様に知ってもらうための「原理原則」。10【no.0753】
楽天、ヤフー、DeNA、どこでも同じ。ショッピングモールのランキング・検索順位の使い方【no.0620】
インターネット×コンテンツの時代。「検索」ははたしてどうなる?【no.0736】

第5章 コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングは、現代おける「修行」です。 【no.0165】
オウンドメディアに取り組むことの効果5選。前【no.0183】
オウンドメディアに取り組むことの効果5選。後【no.0185】
ネットビジネスでメディアとブログに取り組む価値。【no.0291】
ブログを継続するための、「ネタ」に対する考え方。其の壱【no.0442】
ブログを継続するための、「ネタ」に対する考え方。その弐【no.0446】
ブログを継続するための、「ネタ」に対する考え方。其の参【no.0453】
ブログを継続するための、「ネタ」に対する考え方。その四【no.0458】
ブログを継続するための、「ネタ」に対する考え方。その五【no.0465】
これでコンテンツマーケティングの鬼?ブログを継続するためのコツ。前半【no.0639】
これでコンテンツマーケティングの鬼?ブログを継続するためのコツ。後半【no.0641】
売上が上がらないなら、毎日ブログを書いてみてはいかがでしょう。【no.0617】
どこでブログをやった方がいい?プラットフォームを活用するか否か【no.0795】
マーケティングブログを毎日書き続けて、2年が経過しました。【no.0730】
ブログを活用してインターネットから新規顧客にリーチする。5つのポイント【no.0813】
本日999回目。ECMJブログを1,000日間続けてわかったこと。【no.0999】
ブログを書き続けていると何かが起こる。それがお客様の「インサイト」【no.0802】
続・ブログを1,000回続けていてうれしかったことがありました。【no.1020】
ブログを書くのは毎日ではなく、月2回1,000文字でも意味があるか。【no.1076】
情報発信は出し惜しみしない。100%を出すつもりでいく【no.0926】
インターネット活用は定期的な「更新」と「発信」ができてこそ【no.0925】
お客様への「能動的なアプローチ」をマーケティングの「軸」にする【no.0918】
ブログはなぜ1,500文字なのか!?大切なのは「自分ルール」を徹底すること【no.0817】

第6章 Web サイト運用改善
まずはここから徹底的に。WEBサイト運用改善アプローチ。その壱【no.0941】
まずはここから徹底的に。WEBサイト運用改善アプローチ。その弐【no.0942】
まずはここから徹底的に。WEBサイト運用改善アプローチ。その参【no.0943】
まずはここから徹底的に。WEBサイト運用改善アプローチ。その四【no.0946】
まずはここから徹底的に。WEBサイト運用改善アプローチ。その五【no.0947】
まずはここから徹底的に。WEBサイト運用改善アプローチ。その六【no.0948】
「数」のWEBメディア、「質」のWEBメディア。最後に勝つのはどちら?【no.0953】
御社のウェブサイト改善の優先順位、もしかしたら少しズレてるかも【no.0544】
WEBサイトの良し悪し。初見ではっきり言えることはひとつだけです【no.0954】

第7章 アイデアを絞る
あなたはインターネット広告を全てストップできる? 【no.0069】
「成果が上がらない」ことのほとんどの理由は「ただ単に知られていない」だけ【no.0430】
人は、お金を使うと頭を使わなくなる。汗水も流さなくなる。だから勝てない。前編【no.0662】
人は、お金を使うと頭を使わなくなる。汗水も流さなくなる。だから勝てない。後編【no.0663】
改善のアイデアは、絞れば絞るほど生まれてくる。絞らなきゃ生まれない。前【no.1047】
改善のアイデアは、絞れば絞るほど生まれてくる。絞らなきゃ生まれない。後【no.1048】
「広告を使わない」で試行錯誤する、もがく。そんな自分ルールから始める【no.1038】
広告を使わないことで培われるもの。「頭を使う」ともうひとつは?【no.0880】
「やると決めたことをやる」ために、3つの環境を整える。【no.1037】

第8章 「違い」をつくる
「違い」は非効率から生まれる。まず「最高」を想像しよう【no.0395】
「違い」は「非効率」から生まれる。「非効率」から「効率」を見出せば「強み」になる【no.0432】
ネットショップの「違い」や「差別性」で悩んだら、「雑誌」をチェックしてみるといい【no.0828】
「違い」をつくるため、徹底的に情報発信して自分自身がメディアになる【no.0838】
「ひと手間」を徹底することで、サービスの「違い」をつくる【no.0899】
「違い」をつくって、「違い」に共感してくれるお客様をひたすら探す【no.0940】
数ある競合の中から選ばれる「潜在的な集客力」をつくる【no.0975】

第9章 競合分析
競合分析の習慣をつける具体的な方法。【no.0242】
競合分析は「原因」と「結果」を意識する。【no.0247】
ネットショップの「競合分析」。数字をつかむことの難しさ【no.1009】
ネットショップの「競合分析」。ひとつの競合を点ではなく線でみる【no.1010】
自社の商品が市場で「負け」ていないか。丁寧にチェックする【no.1058】
実は意外と「やりきれ」ていない競合調査。まず最初にやることは?【no.1072】

第10章 制作のポイント・スマホ対応・WEB と紙
画像撮影、画像加工、恐るることなかれ!無料でできること、お金をかけるところ【no.0984】
ネットショップのイメージ画像撮影は事前の準備がポイント【no.0841】
ネットショップ出店で最初につまづくのはページの制作。【no.0050】
ネットショップのページ制作。どこから手を付ければいい?【no.0648】
ページ制作の成功事例や理論は、あくまで次の改善を考えるための材料【no.0649】
スマホ対応の流れは一旦止まったようだけど・・【no.1032】
コンテンツ制作の方針、店舗情報の表示、回遊性の3つのポイントからスマホ改善を考える【no.1033】
大切なのはスマホを使うお客様の「ご不便、ご不満」を解決すること【no.1034】
紙とWEB。編集とマーケティングの最大の「違い」とは!?前半【no.0530】
紙とWEB。編集とマーケティングの最大の「違い」とは!?後半【no.0536】
紙(カタログ)通販がネットショップをやるとき気をつけること。【no.0203】

既刊本紹介

[1] 既刊本と併せてぜひお読みください。
1. 第一弾「おにぎり水産 鬼切社長のEコマース奮闘記: ~とある地方の笹かまぼこ工場がネットショップを成功させるまで~」
2. 第二弾「E コマース成功のための土台づくり~ネットのマーケティングを徹底的に理解せよ~」
[2] ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズ
[3] アンテナハウス書籍一覧

索引の作り方を考える。一歩進んで、本文に出てこない索引語や、索引語の階層化の試み。

ここしばらくの間、CAS-UBで「ECMJ流Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ第三弾」を編集していました。いよいよ大詰めで索引を作成しています。本書はインターネットマーケティングの実践法について紹介する目的で、株式会社 ECマーケティング人財育成の石田社長が毎日書いているブログ[1]をトピック別に整理して書籍の形式とするものです。ブログの形をとっていますが、世の中に星の数ほどあるぬるいブログではなく石田社長の実践経験が力を抜くことなく100%語られるという日本でもめずらしいものです。すでに、第一弾[2]、第二弾[3]はKindle版とプリントオンデマンド版で発売しています。

第三弾は、Eコマースサイトへの集客や広告の成果データを分析して広告の選択や効果を高めるためのさまざまな話題を含んでいます。ブログは1本が1,500文字の読み物なのですが、元原稿の性格上、同じトピックの記事が何回か取り上げられています。また、役に立つ内容がいろいろな箇所にちりばめられています。

そこで、索引を少し工夫してみました。ここで索引の工夫について具体的に説明する前に、書籍の巻末索引の役割や目的を考えてみましょう。

索引の役割

1.用語や固有名詞について本文中にでてきた場所を示す

索引の普通の目的は、紙の本を読んでいる途中で、ある用語の説明、土地の名前や人物の名前などの固有名詞が既に読んだページにあったような気がするけど、どこだっただろうか? と思って探すことにあります。索引がないと該当しそうなページに立ち返って探すわけですが、巻末索引があれば索引語でその記述位置を簡単に探すことができます。

この場合、索引語としては、本文中に登場する用語や固有名詞をそのまま採用し、巻末索引では、索引語について一番詳しく記述されている箇所を索引のページ番号として示すでしょう。

2.本の内容を理解する

では巻末索引を、著者の主張や本の内容について探す手がかりにできないでしょうか? これは、巻末索引を一種の目次としても使えるようにするということです。ポイントとなる概念を索引語として用意し、巻末の索引ページには、本文中の索引語に関連する位置を示すことになります。本の中に書かれている言葉でなく、書かれている言葉の上位概念を索引語としても良いでしょう。この場合、巻末索引は階層構造となります。

上位概念を索引語として階層構造とする

本の中で頻出する用語をビッグワードと呼ぶことにします。ビッグワードを索引語として採用しますと、出現するページの数が多くなります。索引で一つの用語の参照先ページの数が多くなると、探したい箇所を見つけるまでに索引から本文を探す回数が多くなり、探したい場所を見つけるのが難しくなります。

その場合、上位概念と下位概念に分けて索引を階層化すると便利になるでしょう。

さらに、これを追求すると索引を本の内容をたどる目的で使えるかもしれません。

例えば、本の内容によって「検索」という言葉がビッグワードになってしまった場合、検索を上位概念として、その下位の用語として「検索キーワード」、「検索順位の変化」、「検索エンジン対策」などを索引語として、親子関係で表すと良いでしょう。これを追求しますと、巻末索引をタクソノミーにする、という方向に行くかもしれません。

実際の例

とりあえず、今回は、幾つか大きなキーワードを、本の内容を探すことができる分類を示す用途として使って索引を作ってみました。次ができあがった本の索引ページです。うまく使えると良いですが。

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[1]株式会社ECマーケティング人財育成(トップがブログページ)
[2]『E コマース成功のための土台づくり~ネットのマーケティングを徹底的に理解せよ~』
[3]『おにぎり水産 鬼切社長のEコマース奮闘記: ~とある地方の笹かまぼこ工場がネットショップを成功させるまで~』

ワンソース・マルチユース実現の難しさ

ワンソース・マルチユースという言葉はかなり長く使われています。テクニカルドキュメントなどでは大きなシステムを構築して実現しているケースもいろいろ報告されています[1]。しかし、書籍の出版や学術誌の出版ではワンソース・マルチユースはまだ大きな流れにはなっていません。ここではワンソース・マルチユースがなかなか普及しないのはなぜかを考えてみます。

※本ブログをもう少し加筆して次に掲載しています。この続きは下記でどうぞ:
「ワンソース・マルチユース実践の難しさを考える」

ワンソース・マルチユースの仕組み

ワンソース・マルチユースを実現するには、まずソースの形式を決める必要があります。ソースの形式としては、DocBook、DITA、JATS、HTML5などXML/HTMLによるドキュメント形式を採用するのが便利です。XMLはもともとドキュメントをデバイスやアプリケーションから独立の形式で記述するために設計されたものです。

ソースの形式をどのようにするにせよ、ワンソース・マルチユースの出版工程は二つのステップに分けられます。第一はソースとなるドキュメントを用意する工程です。第二は、それをいろいろな目的に出版する工程です。ソースの形式をどう選択するかで、ソースドキュメントの制作の方法が影響を受けます。もちろん、出版工程も影響を受けます。

第一のステップ

ソースとなるドキュメントを執筆、校正して完成する工程です。XML/HTMLではテキストにマークアップ[2]する工程が必須です。マークアップが正しくないと第二ステップの処理ができません。執筆、校正を初めとして、第一のステップは、人手で行うのが主体です。

ドキュメントを制作する工程は、まだコンピュータで処理できるようになっていません。もっとも、現在、いま問題になっているDeNAのキュレーションサイトのコンテンツの収集についての記事を読むと、文章をリライトするコンピュータ処理は、驚くほど進歩しているようです[3]ので、将来は自動的にできるようになるかもしれません。恐ろしいことです。

第二のステップ

第二ステップはソースを加工処理してWebページ、PDF、各種のHELPなどを作成する工程です。XMLはもともとドキュメントをコンピュータで処理するための技術です。ソースドキュメントをXMLで用意することができれば、プログラムで様々な成果物を用意するのは容易です。

例えば、DITAではあまりレイアウトなどに拘らなければDITA-OTを使うだけで、HTML、PDFを初めとする多種類の出力が得られます。このように、ソース文書さえXMLあるいはHTMLで作ることができれば、いまの技術を使えば多種類の出力を作成するのは比較的容易です。

問題はなにか?

ワンソース・マルチユースの難しさはソースをどのように用意するかというプロセスにあり、マルチ出力は大きな問題ではありません。

これはXMLやHTMLが技術的に難しいということではありません。上で説明しましたように、第一ステップは人手で行われます。これを担当する執筆者・制作者は、現在、すでに一定のツールを使って一定の手順により作業を行っています。その作業のワークフローをそれまで慣れ親しんできた方法から変更するように説得するのが難しいのです。

特定の企業が主体性をもって限られた数のドキュメントを制作しているテクニカルマニュアルなどの分野でさえもなかなかワークフローの転換は難しいのです。多品種少量制作の典型である商業書籍の出版や事務局が責任をもった意思決定をしにくい学会などはさらに難しくなります。

[1] SAPの大規模DITA導入事例の進展(2016年11月)
[2] マークアップ
[3] DeNA「サイト炎上」MERY、iemoの原罪とカラクリ

改めて電子書籍とはなにかを考えてみる

Facebookに仲俣さんが投稿した記事[1]、に触発されて、電子書籍とは何かを改めて考えてみました。電子書籍とは何かを考える方法として、現在起きている現象から考える帰納的なアプローチと、電子書籍の由来から論理的に考える演繹的なアプローチがあると思います。現在起きていることを説明するアプローチはどちらかというとジャーナリストが得意な分野でしょうから、ここではやや演繹的なアプローチを取ってみます。

紙と電子
電子書籍を考えるときの軸としては、まずは紙の書籍との対比があります。

電子書籍=デジタルで配布・頒布される書籍であり、アナログで配布・頒布される紙の書籍と対比されるものとなります。紙の書籍は長い歴史をもちますが、デジタル書籍はコンピュータと通信技術の発展によって実現されたものです。デジタル書籍は、まだ数十年の歴史しかなく、これからの10年間でどうなるかさえも予想できません。

紙の書籍はものとしての実体があり、書店の棚に並んでいる書籍を手に取ってみることもできます。これに対して電子書籍はデジタルデータであり、触ってみることはできません。

紙の書籍はものとして所有することができます。本を所有し、棚に並べることは一種の知的シンボルでもあります。一方で電子書籍には実体がないということで、ものとして所有する感覚は味わえません。

逆に紙の本は重くてかさばり、本を置く場所をとるという弱点がありますが、電子書籍は何冊あっても重さはなく、置き場所に困ることはありません。

紙の本の内容は検索して探すことができませんが、電子書籍であれば内容を検索するのはお手の物です。

Webページと電子書籍
第二の軸はデジタルデータ同士、つまり電子書籍とWebページとの対比です。

電子書籍について前項で紙と比較したときの特徴の多くはWebページでも共通です。それでは、Webページと電子書籍の違いはどんなことでしょうか。

その前に、紙の書籍を少し考察して書籍とは何かを考えてみます。紙とWebページは歴史も発生も異なり水と油の関係ですので、その相違は自明のような気がしないでもないですが。

Webページは分散して配置された情報をリンクによってたどることができるように設定したものです。それぞれのWebページはインターネットの世界においてURLというアドレスが与えられてます。ここで注意すべき点はURLとはアドレスであり、情報の中身ではないことです。

インターネット上のURLというアドレスで特定できるWebページの内容は揮発性です。すなわち、昨日みたURLのWebページを今日再び見たら情報の内容が書き変わっている可能性があります。

書籍は長い間、印刷という方法によって複製され、製本されて形を与えられてきました。印刷では版を作ります。その版を作るまでの執筆と編集の工程によって内容は磨き上げられます。また、長いこと使われている印刷というアナログの複製工程ではある程度の数まとめて複製しないと安くなりませんでした。(但し、最近のデジタルプリンタによる印刷では1部からでも大量複製と同じコストで複製できますので、事情が変わりつつあります。)

このように考えてみますと、揮発性のWebページと版を確定する紙の書籍という対比が生まれます。デジタル書籍=電子書籍は、紙の書籍の概念から発展してきたものであり、リリースの前に内容を確定するもの、揮発性ではないと考えます。それに対してWebページは揮発性であり、随時更新されうるものと差別化できるのではないでしょうか。

青空文庫やWeb小説は、電子書籍なのかそれともWebページなのか、という問いがあります。これらは曖昧な境界の領域に当たると思いますが、揮発性なのか、内容が確定しているのかという観点でみますと、青空文庫やWeb小説は電子書籍に近いといえるのではないでしょうか。

著者の世界観
紙の本はほとんどの場合、一人または少数の著者が内容に責任を持って書いています。著者の考え方や思想・世界観の反映をしたものといえます。これに対して、Webページは、内容が揮発性なこと、あるいはWebサイトは大勢で作ることが多い、また相互にリンクをたどっていくなどの点で、特定の主体者の世界観を提示するのは難しいでしょう。

紙の書籍、電子書籍といった書籍は特定の主体の世界観を色濃く反映しているものです。それに対して、Webページで世界観を表現するのはなかなか難しいと思います。

著者の世界観が反映されるものなのかどうか、という点でみても、青空文庫やWeb小説は電子書籍に近いと思います。

パッケージ
紙の書籍は製本しカバーを付けるという形式でパッケージ化されています。EPUBのような電子書籍には製本や物理的なカバーはありませんが、EPUBは読み順が指定されまとめて1ファイルにまとめるという形でパッケージ化されています。

パッケージ化することでスマホや閲読端末に複製ダウンロードし、オフラインで読むことができます。オフラインで読むということは、URLと切り離されるということになります。その場合、これを特定する手段としてはISBNなどの管理番号や書誌ということになります。

ではパッケージ化されていることが電子書籍の必須要件なのでしょうか? パッケージされていないものを電子書籍と言えるかは、人によって意見が分かれると思います。

私の個人的な意見としては、パッケージは必須要件ではない、とする方に傾いています。

有償・無償
電子書籍の特徴として有償を指摘する意見があります。紙の本のように形があるものは自然に有償になりがちですが、有償・無償はビジネスモデル次第と思います。紙の書籍は作成・運搬・配布にお金が掛かりますが、紙の書籍を無償でばらまくことも十分あり得ます。そういえば、私のところにも、販促用のPR本も来ますね。

パッケージ化は有償で対価と交換しやすいのは確かです。私のいるソフトウェアの世界では、パッケージがどんどん縮小してWebサービスとなり、その対価の支払方式は、永久ライセンスから年間利用料方式(Subscriprion)に遷移しています。

本の読み放題は一種のSubscription制と言えます。電子書籍の世界でも読み放題が普及の兆しを示しています。読み放題になりますと、1タイトル毎の有償・無償という概念は希薄になるでしょう。

STM出版の分野ではSubscriptionだと提供者が寡占化してしまい、料金が高くなりすぎる、ということで、ゴールドOA(著者が出版料金を負担するオープンアクセス)方式が提唱され普及し始めています。

電子書籍という概念はまだできたばかりですし、これからどのように変わるかも分からず、もちろん人によりどう捕らえるかも千差万別でしょう。これからももっといろいろな形態や考え方がでてくるのでしょう。

[1] https://www.facebook.com/NakamataAkio/posts/10211194302834251

CAS-UB 操作紹介ミニ動画が20本になりました。

CAS-UBはデジタル技術を活用して本を作るWebサービスです。その特徴は、次のような点にあります。

(1)小説のようなほぼ文字だけの本ではなく、図版や表などを多用する専門書も編集・制作できること
(2)EPUBだけではなく、プリントオンデマンドのためのPDFを簡単なパラメータ設定のみで作ることができること

特に紙の本は、できあがったものを見ますと、一見簡単にできていそうに見えます。しかし、実際に本を作ってみますと、まず本の編集・制作作業はかなり複雑です。紙の本には長い歴史があり、表紙・扉・前書・目次・本文・後書・索引などの多くの構成要素があります。さらに日本語の本は横組・縦組があり、綴じ方(開き方)が反対になります。他にどんな点が難しいかは下記の参考資料(本のワンソースマルチユース制作〜その理論・実践・未来)をご覧ください。本の制作にあたっては、このような諸要素を予め配慮する必要があります。

こうしたことから、商業出版社では、専門的な知識をもつDTP制作者や制作会社に制作作業を外注していることが多いようです。しかし、本の制作を外注して行うと日程や費用が掛かってしまいます。さらに、DTPで制作するとPDFに特化してしまうため、EPUBなどの電子書籍にするのに別途の日にちがかかります。

CAS-UBは、コンピュータを使って、本の編集・制作作業をできるだけ自動的に行い、知識の伝搬・技術・産業の発展に欠かせない専門的な本の生産性を高めるのが目標です。

やや複雑なCAS-UBの編集操作やPDFの作成を、直感的に理解していただくために、次のミニ動画を用意しています。それぞれ1~2分ですので、ぜひご覧ください。なお、この中の動画の多くは、ECMJ石田社長のブログを、ECMJ流Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズという本にする過程を録画したものです。

CAS-UB紹介動画一覧

新しい出版物の作成
編集機能について
図版と画像の扱い
本の構成を編集する
PDF生成

なお、動画の内容は随時追加・改訂していく予定です。

参考資料
本のワンソースマルチユース制作〜その理論・実践・未来
CAS-UB Webページ
ミニ動画作成のきっかけになった10月24日セミナーのプレゼンテーション

注の配置:縦組の本の傍注 

縦組の本では、本文への注を傍注とする場合、左ページ(奇数ページ)の左側に付けるのが良いと思います[1]

ときに、下の図のように右ページ(偶数ページ)の左側に傍注を付けている本を見かけます。

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(『プーチンの国家戦略 岐路に立つ「強国ロシア」』(小泉 悠、東京堂出版、2016年10月)より。本書には数カ所このような傍注配置があります。)

上のような配置はあまり良い配置とはいえないと思います。

その理由としては次のことがあります。特に縦組は、見開きページの右ページから左ページへのテキストの連続性を横組よりも強く配慮する必要性があると思います。

(1)本文の間に傍注が配置されることとなり、右ページから左ページに読み進めるときの文章のつながりを分断してしまいます。
(2)視覚的には注と本文を混同する可能性は少ないと思いますが、読み上げなどでは途中に入ってしまう可能性があります。

[1] 日本語組版処理の要件(日本語版)4.2.6 縦組の傍注処理