『マニュアルEPUB化ハンドブック2015年版(EPUBマニュアル研究会報告書)』発刊しました

アンテナハウスのCAS電子出版は、『マニュアルEPUB化ハンドブック2015年版(EPUBマニュアル研究会報告書)』のアマゾンKindle版を発売開始しました。

本書はビジネスプラットフォーム革新協議会(BPIA)に設置されたEPUBマニュアル研究会の2014年度の研究成果の集大成です。EPUBマニュアル研究会は、木村修三座長(片貝システム研究所)のもとに、主に業務マニュアルにEPUB採用を検討する企業・団体の有志、マニュアル専門家、およびベンダー(アンテナハウス。ソフトウェアパートナー)などの代表で構成された研究会です。

2014年度は研究会の第2年度にあたり、今年は各社で作成している、あるいは、新たにEPUB化を検討している業務マニュアルを持ち寄ってEPUB化してみる、ということを中心に実践的な研究を行いました。

業務マニュアルは、現在、Microsoft Wordを使って執筆されていることが多いことから、Wordを使って作成した業務マニュアルを、CAS-UBでEPUBにする方法を実際に試してみていろいろな問題を抽出して検討するということが中心になりました。

具体的な内容は、ぜひ、本報告書をお読みいただければと思います。

Amazon-EPUB-manual

Amazon Kindle 版のリンクはこちらです:http://www.amazon.co.jp/dp/B00PM0963K/

Screenshot_2014-11-19-19-24-09
図1 第1章の先頭(Android版Kindleアプリの画面)

テクニカルライティングの専門家である高橋慈子氏による業務マニュアルの企画から執筆の方法についてのレクチャーも有意義でした。本書第2章にはレクチャーの内容を整理した形で文章としても記載されています。この章もお勧めです。

Screenshot_2014-11-19-19-24-37
図2 第2章の先頭(同上)

本書の詳しいご案内はこちらにもございます。

『マニュアルEPUB化ハンドブック2015年版  EPUBマニュアル研究会報告書』

会員情報をEPUBとPDFとして、iOSアプリで配信するソリューションを開発、サービス開始

11月17日、アンテナハウスとオブジェクトテクノロジーと共同でニューズレターなどの会員情報をEPUB形式にしてiOSアプリの配信を始めたことを発表しました。

E-Book 2.0 Magazine の iOSアプリを提供開始

詳しい内容は、ニュース・リリースをお読みいただくとして、iOSアプリにすることで何が変わるかを整理してみましょう。

1.e-メールからアプリへ

ニュースレターやメルマガなどの会員制情報は定期的発行されます。従来は、毎号、購読会員向けに記事の見出しや本文を電子メールで通知しているものが多いでしょう。

しかし、ご承知のように電子メールは無償ということもあり大量のスパムが配信されています。折角会員向けに配信したメールはスパムメールの山にうずもれてしまいます。この結果、読んでほしい記事を読んでもらえる割合、あるいは、クリックレートは低下の一方です。

会員向けのニューズレターが読んでもらえないことでは意味がありません。また、ひいては契約更改にも影響があります。

そこで、モバイル向けのアプリの登場です。専用のモバイルアプリを使って情報を配信すれば会員に情報が見られない、ということはほとんどなくなります。

2.テキスト・WebからEPUB/PDFへ

本アプリの特徴は、配信コンテンツをEPUBとPDFで表していることです。

従来のコンテンツは。テキスト(文字のみ)か、Webページで配信されていました。

コンテンツの形式として、EPUB/PDFにすると何が良くなるでしょうか?

まず、テキストに比べると表現能力が格段に高くなります。

Webページは、綺麗にレイアウトされているというメリットはあります。しかし、Webブラウザはコンテンツをじっくり読むためには向いていません。ブラウザはナビゲーションする、つまり多くのリンク先をざっと見て回るためには良いのですが、じっくり読もうとするとあまり向いていないと思います。じっくり読んでもらうにはWebではなくて、PDF(紙)あるいはEPUBがより向いています。

3.会員向け情報とオープンアクセス(無償)情報

モバイルアプリを使うことで、会員向けの有償情報と誰でも読めるオープンアクセスの情報を相手によってアプリで切り替えることができるようになります。

この他、アプリを使って情報配信するメリットはもっといろいろありそうです。こうしたメリットを勘案しますと、いずれは、会員向けの情報を電子メールで情報を配信するということは少なくなって。モバイルアプリで配信するようになるものと予想します。

ということで、11月28日にセミナーを開催致しますので、関心をお持ちの方はぜひご参加ください。

無料セミナー:ニューズレターやメルマガPDF/EPUBのモバイル向け配信サービス

■iOSアプリはこちらからダウンロードできます(無償)。
『E-Book2.0 Magazine:出版メディアの現在をグローバルに読む週刊ニューズレター』(iTunesよりダウンロード)

【関連情報】
1. ニューズレターやメルマガPDF/EPUBのモバイル向け配信サービス 無償セミナー開催
2. 確実に・いつでもどこでも・ゆっくりとニューズレター配信サービス

多言語EPUBの作成において考慮すべき技術要件

先日に引き続き、EPUB3で多言語混在の文書を作るために、考慮にいれるべきことを整理してみます[1]

第一:言語の指定

EPUBファイルでは、日本語、英語、中国語というような言語の中でパッケージのデフォルトとなる言語を指定します。これはパッケージのメタデータに言語を指定するdc:languageという要素があり、そこに指定します[2]。このほか、メタデータの要素によっては言語を指定できるようになっています。

本文中で複数の言語を混在させるときには、コンテンツの各ファイル、またはその一部の要素やテキストの範囲に対して言語を指定します。

EPUB3のコンテンツの表現(XHTML5)では、任意の要素にlangまたはxml:langで言語を指定できます。xml:langはHTML形式とXHTML形式に移行しやすくするためのものなので、必ずlangが同時に指定されていなければなりません[3]。XHTMLをサポートしていないXML処理系で使うことを想定するのでなければ、XHTMLとして使うときでもlang属性のみを指定すれば良いことになります。

さらに、言語だけではなくてスクリプトを指定しなければならない場合があります。例えば、日本語文章で良く使われる外来語は、カタカナで表すこともラテン文字で表すこともできます。もっと、極端な例を挙げますと、ウイグル語のように、政治的な理由で、アラビア文字、キリル文字、ラテン文字、アラビア文字による表記強制を変遷している言語もあります。このように言語が同じでもスクリプトが変わることがあるわけです。但し、Unicodeでは文字コードからスクリプトを推定できることが多く、明示的に指定しなくてもあまり問題にはなりません。

第二:ページを読み進める順序

多言語文書では、ページを読み進める方向、ページの中で文字を書き進める方向を指定したいことがあります。日本語では同じ文書を、横書きでも縦書きでも表記できます。

EPUBでは、ページを読み進める順序は、spineの中のpage-progression-direction属性で全体のデフォルト値を指定します[4]。横書き、縦書きといった、文字を読み進める方向は、ファイルごとにwitiring-modeで指定できます。ページ単位で読む進める方向を変更できます。つまり縦組みの書籍(右開き)を指定しておき、一部のページを横組に指定できます。

日本語の縦書き書籍では、本文は縦組み、参考文献や索引は横書きというような例が頻繁に発生します。一冊の書籍に異なる読み進め方向を指定することはファイル単位ではできますが、現在のEPUBの仕様では、縦組みの書籍の中で後付け(たとえば、参考文献と索引)を複数のファイルで表現し、その後付け全体を左開きにするような指定はできません。

同じような理由で、英語(左開き)とアラビア語(右開き)を一つのパッケージにすることは現在のEPUB3仕様ではできません。

第三:文章中の多言語テキストの表示(表記)

第三は、文章の中で多言語の記述が存在していたときに、それをうまく表示できるかどうか、ということが問題になります。EPUBではコンテンツをUnicodeの文字列で表します。その文字列をEPUBリーダーが正しく表示できるかどうかということです。日本語や中国語のように、原則として正方形の文字を並べるだけの表記をするときは、Unicodeのコードポイントから文字の形を表示すれば良いので処理は簡単です。但し、縦書きでは句読点など一部の文字の形を入れ替える必要があります。

しかし、アラビア文字、インドの文字、東南アジアの文字は、Unicodeのコードポイントから文字の形にするだけでは足りません。アラビア文字、インドの文字は複雑なリガチャ処理が必要です。また、東南アジアの文字は文字コードの並びから音節を組み立てる処理が必要です。このような言語はEPUBリーダーがスクリプトを処理する機能を備えていないと正しく表示できません。

Unicodeの漢字は、日本語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語で同じ字体の漢字を一つのUnicodeのコードポイントに割り当てているため、Unicodeのコードポイントだけでは言語を決めることができません。漢字の中には、日本語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)で同じ字体であっても、字形が微妙に異なるものがあります[5]

現在のEPUBリーダーの多くは、多言語を表示できるフォントを内蔵しています。しかし、日本語のフォントで中国語の漢字を表示したりすると、現地のユーザーが違和感を感じる結果になります。そこで、特にCJKが混在するときは言語またはそれに代わるタグ・属性の指定が必須となります。

実用的な多言語のEPUBを作成するには、このようなことを考慮してEPUB3を作るにはどうすると良いか、また、そうして作ったEPUBファイルをEPUBリーダーがうまく表示できるかを調べてみなければなりません。

[1] この記事は、10/25:CAS-UB:多言語機能に魂を入れるため、ドキュメントの多言語化と、EPUBの多言語化を考える、10/29:Noto Sans CJK, Source Han SansフォントとAH FormatterによるPDF生成の続きです。
[2] The DCMES language Element
[3] 3.2.5.3 The lang and xml:lang attributes
xml:lang属性はXMLの仕様で定義された汎用属性。lang属性はHTML/XHTML仕様で導入されている属性です。
[4] 3.4.12 The spine Element
[5] 字体とは字の形の抽象的な概念。字形は具体的な字の形。字形はグリフとも言う。

電子書籍(EPUB)で画像の大きさを指定したいとき:CAS記法とCSSの書き方まとめ

EPUBでイメージ(画像)の表示サイズを指定する方法について、CAS記法によるコンテンツの書き方とCSSの書き方を整理してみました。

イメージはブロック配置するときと、インライン配置するときがあります。また、EPUBリーダー毎に挙動が違う(特に、iBooksは特殊[2])ため、できるだけいろいろなEPUBリーダーで有効になる指定方法を工夫する必要があります。

1.ブロック配置のイメージ
(1) コンテンツ(XHTML)
(a) CAS記法のマークアップ
[[[
{{画像ファイル名}}
]]]

(b) EPUB内コンテンツ(XHTML)のマークアップ
<div>
<img src=”画像ファイルへのパス” … />
</div>

(2)レイアウト指定(CSS)
div {
width:X%;
}
div img {
width:100%;
}

(3)説明
img要素に直接サイズを指定するとiBooksでは有効にならないため、イメージをdiv(ブロック範囲指定)要素で囲み、そのブロックの幅を指定します。img要素には幅100%を指定し、イメージがそのブロック内にぴったり収まるようにします。

2.インライン配置のイメージ
(1) コンテンツ(XHTML)
(a) CAS記法のマークアップ
[[[{{画像ファイル名}}]]]

(b) EPUB内コンテンツ(XHTML)のマークアップ
<span><img src=”画像ファイルへのパス” … /></span>

(2)レイアウト指定(CSS)
span {
display:inline-block;
width:Xem;
}
span img {
width:100%;
}

(3)説明
img要素に直接サイズを指定するとiBooksでは有効にならないため、イメージをspan(インライン範囲指定)要素で囲みます。インライン要素に指定した幅はCSS仕様上無視されます[3]のでdisplay:inline-blockとしてインライン要素の幅を指定します。img要素には幅100%を指定し、イメージがその中にぴったり収まるようにします。

3.CSSファイル
CSSの設定内容はstyle.css(ファイル名)で保存し、CAS-UBの「スタイルシート」メニューでアップロードします。すると、EPUB生成では、コンテンツ(XHTML)ファイルにstyle.cssが最優先で有効になるようにリンクされます。

【注意】
div、spanは一般的に使いますので、上のようなCSS指定では、全体に影響を及ぼすことがあります。従って、サイズを指定したいイメージを囲むdiv、spanにクラス属性またはIDを設定して、その属性を指定した要素だけに指定範囲を制限するのが良いでしょう。

4.例
(1) マークアップ
20141108a
図1 ブロック画像、インライン画像 (クラス属性:testを指定)

(2) style.css
20141108b
図2 ブロック画像、インライン画像のサイズを指定

(3) iBooksでの表示例
20111108c
20111108d

【参考資料】
[1] EPUBで画像の大きさを指定する方法を調べた。iBooks (1.2)はちょっと特殊だ!
[2] EPUBで画像の大きさを指定する方法を調べた、の続き
[3] EPUBで画像の大きさを指定する方法を調べた、の続きの続き
[4] iBooksで外字画像の大きさを文字サイズに追随させる方法の整理

Noto Sans CJK, Source Han SansフォントとAH FormatterによるPDF生成

10/25のCAS-UB:多言語機能に魂を入れるため、ドキュメントの多言語化と、EPUBの多言語化を考えるの続きです。

GoogleのNoto Sans CJKフォントとアドビのSource Han Sansは9月にそれぞれV1.001になりました。7月の初版(V1.000)からの変更点についてはアドビの資料「Source Han Sans V1.001」([1])の最後に詳しく出ています。これによりますと、各言語でかなり細かいチューニングが行われています。

最初に目につく変更点はV1.001からNoto Sans CJKとSource Han Sansのパッケージ方式が共通になり、次の表のようにそれぞれ4種類になったことです。

表1.フォントの構成

名称 説明 ファイル名
CJK OTF fonts with different default language 4言語のグリフを各ウェイトごとに1ファイルにまとめたもの。各ファイルはデフォルトで一言語のグリフをサポートし、GSUB’locl’を使えば他の言語をサポートできる。28ファイルある。 NotoSansCJKSC-hinted.zip, NotoSansCJKSC-hinted.zip, NotoSansCJKJP-hinted.zip, NotoSansCJKKR-hinted.zip
All-in-one CJK super OTC font 4言語×7ウェイトを全部ひとつにまとめたもの(Windowsは未サポート) NotoSansCJK.ttc
CJK OTC fonts 各ウェイトごとに4言語を1ファイルにまとめたもので7ファイルある。デフォルト言語の指定を行う。さらに、GSUB’locl’をサポートすればデフォルト以外の言語の指定ができる。(Windowsは未サポート) NotoSansCJK-[Weight].ttc
Region specific OTF subsets 4言語(地域別)のサブセット。グリフは各言語用のみである。4言語×7ウェイトの 28ファイルある。 NotoSansSC-[Weight].otf, NotoSansTC-[Weight].otf, NotoSansJP-[Weight].otf, NotoSansKR-[Weight].otf

使う側からしますと、どのフォントをインストールするべきかが気になります。

最初にCAS-UBでPDFを作成するという観点で調べてみました。上述のアドビの資料に選択のためのチャートが出ていますが、CAS-UBでPDF出力を行うのはAH Formatterです。

AH Formatterは、現在のところ、OTC形式のフォントを全くサポートしていません(Windowsも同じですが)。このため、CJK OTF fonts with different default languageか、Region specific OTF subsetsが選択肢となります。[2]

CJK OTF fonts with different default languageは、例えば日本語を基本言語とするシステムではNotoSansCJKJPをインストールし、日本語以外の言語のグリフはGSUB’locl’を使って選択します。このフォントではAH Formatterは、次のような動作になります。

1.日本語のグリフは通常に処理します。組版対象の文字列に日本語以外のスクリプトが指定されていると、その部分はPDFにフォント(グリフ)を埋め込みます[3]

2.言語指定があると、次のようにスクリプトを類推します。
xml:lang=”ja” –> script=”Jpan”
xml:lang=”ko” –> script=”Hang”
xml:lang=”zh-CH” –> script=”Hans”
xml:lang=”zh-TW” –> script=”Hant”

ということで、PDF生成では、CJK OTF fonts with different default language、Region specific OTF subsetsのどちらのパッケージもとりあえず使えるようです(ただし、[2] の事情でMR5をお待ちいただく必要があります)。

問題はEPUBの方ですが、これは次回に調査結果を報告したいと思います。
『多言語EPUBの作成において考慮すべき技術要件』に続く。

[1] Source Han Sans V1.001
[2] AH FormatterはV6.2MR3からNoto Sans CJK V1.000(当時は Region specific OTF subsetsのみ提供されていました)をサポートしています。しかし、今回、CAS-UBの試験用システムで使ってみましたところ、Noto Sans CJK V1.001でフォント側が変更になってしまったため、V1.001では正しくPDFにフォント埋め込みができません。次の、AH Formatter MR5でNoto Sans CJK V1.001対応の改訂版を提供する予定です。また、もし、AH FormatterのユーザーでOTC形式のサポートが必要という方は、AH Formatterのサポートまでご相談ください。
[3] スクリプト名については、ISO 15924: Codes for the representation of names of scriptsを参照。

EPUB・PDFで索引や親子索引を作るためのCAS記法の例

CAS-UBでは単純な索引はマークアップ支援機能の「索引」を使って入力できます(図1)。

20141012a
図1

マークアップ支援ダイヤログで索引語、その読みを入力して「CAS記法」ボタンを押すと次のようにマークアップされます。


行と列から構成する簡単な[[[:index:key=ひょう 表]]]をマークアップできます。

索引を見やすく、使いやすくするためには、汎用性の高い索引語を親とし、その親索引語の下に子供の索引語を整理する親子索引を付けると便利です。こうした親子索引はマークアップ支援機能だけでは入力できませんが、手入力で作成できます。

索引語「表」を親とし、「見出しセル」、「ヘッダ行」を子供の索引語にするには図2のようにマークアップします。

20141012b
図2 親子索引の指定例

解説
[[[:mindex …]]] :親子索引を指定します。
[[[:prim …]]] :親の索引語を指定します。
[[[:second …]]] :子の索引語を指定します。
:key=よみ よみが必要なときは読みを入力します。
:nodisp この例では、親索引語を非表示にしています。

内容表示(プレビュー)で表示すると図3のように見えます。親の索引語を非表示に設定していますので、本文中には親の索引語は表示されません。

20141012c
図3 索引語を指定した本文の内容表示(プレビュー)

上のように指定した記事をEPUB・PDFにすると親子の索引ができます。図4はEPUBとPDFの親子索引部分です。

20141012e
図4 EPUBとPDFの親子索引部分

EPUBで箇条書きのラベルを消すためのCAS記法例(親の要素に属性を付ける方法)

箇条書きには、番号なし箇条書きと番号付き箇条書きがあります。CAS-UBではそれぞれ図1のようにマークアップをします。

20141011a
図1 箇条書き CAS記法

番号なし箇条書きのマークアップは、次のようなHTMLに変換されます。


<ul>
<li>1項目目</li>
<li>2項目目</li>
<li>3項目目</li>
</ul>

CAS-UBで用意している「CSSテーマ」で番号なし箇条書き、番号付き箇条書きのレイアウトを指定しています。そこで、例えば「グリーン2」を選択してプレビューしますと、図2のように表示されます。

20141011b
図2 箇条書きを、(テーマ)「グリーン2」で内容表示(プレビュー)する

さて、この箇条書きのラベルを消したいとき、一番、手っ取り早いのは要素にlist-style:noneというスタイルを指定する方法です。

CAS記法では要素のマークアップの直後に’:’を置くと、その要素に属性が付きます。そこで箇条書きの先頭’*’または’#’に次の図3のようにマークアップしてみましょう。

20141011c
図3 箇条書きの項目にスタイル属性を指定

この内容表示(プレビュー)すると図4のようになり、最初の項目しかラベルが消えていません。

20141011d
図4 箇条書きの項目へのスタイル指定の内容表示

すべてのラベルを消すために、各’*’(li)要素へのスタイル指定を繰り返しても良いのですが面倒です。
通常は上位のulまたはol要素にスタイル指定してラベルを消すと楽ちんです。

このようなときのCAS記法は図5のように要素の直後に’::’をおいて属性を指定します。そうしますと1つ上の階層の要素に属性が付きます。

20141011e
図5 親の要素に属性をつけるマークアップ

このCAS記法の’::’に続く属性はHTMLでは次のように上位のul要素の属性になります。


<ul style="list-style:none">
<li>1項目目</li>
<li>2項目目</li>
<li>3項目目</li>
</ul>

内容表示(プレビュー)しますと、図6のようにすべての箇条項目のラベルが消えています。

20141011f
図6 親の要素に属性をつけて箇条項目のラベルを消す

Windowsの操作がうまくできずに、ヒステリーを起こす。これも、EPUBの光と影?

昨夜は、数十年振りに、とっても素人なユーザーの電話サポートをしてしまった。

なにしろ、皆帰ってしまった後で、電話がかかってきてお宅の納品したEPUBが云々と文句をいう。

いろいろ聞いてみると、EPUBをメールで受け取ってKindle Previewerでmobiにしようとして、うまくできたりできなかったりしているようだ。

お宅の仕事はまったくだめだとヒステリーを起こしているのだ。

話しているとヒステリーを起こして、電話をガチャンと切ってしまう。それで終わったかと思うと、また数十分後に電話がかかってきて文句をいう。
おかしかったから笑ってしまった。

今朝がた、つらつらよく考えてみた。

まず、EPUBをメーラーで受信して、Documentフォルダーに保存する。そこまではうまくできているようだ。うーーん。もしかしたら、それもできてないかもしれない。後で、担当者に聞いたところでは、ファイルがやたら大きくてファイル転送ソフトで送ったところ、ファイル転送ソフトを使えなくてヒステリーになったのでメールにしたとのことだから。メーラーでエラーになっている可能性もある。

そのあと、Kindle Previewerにドラッグ&ドロップするのだが、恐らく、EPUBをダブルクリックしてしまっているのだ。EPUBリーダーは、無論、インストールしてない。それでWindowsのExplorerが、「このファイルはサポートしていません。」というエラーメッセージを出す。

何回か改訂したEPUBを送っているのだが、うまくできるときもあるようだ。たぶん、ドラッグ&ドロップがうまくできたときだろう。

ということで、できたりできなかったりしてしまう。まあ、こういうレベルの人たちが、Kindleで電子書籍を販売しようとしているわけだ。

でも、コンピュータをうまく使えなくてヒステリーを起こすのもわからないではない。かく言う自分もときどき、Windows8のおかしな挙動にヒステリーを起こして、マイクロソフトに電話したくなることもある。

電子書籍(EPUB)で、テキストを画像に回り込みさせるためのCAS-UBの指定方法

今日は、CAS-UBで制作する電子書籍(EPUB)でテキストを画像に回り込みさせる指定方法を説明します。

CAS-UBの編集画面の「画像」入力支援ボタンで画像をアップロードすると、編集画面では次のようにマークアップが入力されます。


360ピクセル×360ピクセルの正方形画像

[[[:fig
{{img-360q.png}}
]]]
CAS-UBは、ブックオンデマンドに使えるPDF, 商用に耐えうる高品質な電子書籍・・・

解説
[[[:fig

]]]
は画像(fig)クラスの属性をもつブロックとなります。

CAS-UBのCSSテーマでは、画像はブロック内で中央配置するように設定されています(図1)。
20141001a
図1 CSSテーマ・グリーン2を指定してプレビュー(内容)表示したところ

この画像の周りにテキストを回り込みさせるには次のように指定します。:float-startは編集画面より追加入力してください。


360ピクセル×360ピクセルの正方形画像を左フロート

[[[:fig:float-start
{{img-360q.png}}
]]]
CAS-UBは、ブックオンデマンドに使えるPDF, 商用に耐えうる高品質な電子書籍・・・

解説
:float-start/:float-endはCAS-UBのCSSテーマに組み込まれている回り込み指定属性です。

:float-start 画像を行頭に配置してテキストを右(横書き)または下(縦書き)に回り込ませる。
:float-end 画像を行末に配置してテキストを左(横書き)または上(縦書き)に回り込ませる。

上のコードの例では、画像が行頭側に配置されて、テキストが画像の右に回り込みます(図2)。
20141001b
図2 テキストの回り込みをプレビュー

縦書き書籍(EPUB)で画像を左右中央配置するためのCAS-UBの指定方法

縦書きの書籍(EPUB)に画像だけのページを入れて、そのページで画像を左右中央配置するには次のように指定します。

1.「構成編集」で画像だけの記事を作る
2.画像のブロック([[[:fig 画像]]]を設定する(図1)

fig-center
図1 画像のブロックに :fig を指定

説明
行頭の[[[はブロックの開始、その直後の:figはそのブロックを画像ブロックとして扱うことを示します(クラス属性と言います)。
=に続く文字列はキャプションです。
{{画像ファイル名}} (代替テキストを入れるときは、|で区切ってテキストを置きます。{{画像ファイル名|代替テキスト}}
]]]でブロックの終了を示します。
マークアップ支援ボタン「画像」を使って画像をマークアップするとマークアップが自動的に設定されます。

3.その記事について次の設定をします(図2)
(1) 文字進行方向 「横書き」  この頁だけ横書きになります
(2) タイトルを本文に出す チェックをオフに
(3) タイトルを目次に出す チェックをオフに
fig-center2
図2 記事の横書き設定

説明
(1)文字進行方向は記事単位に指定できます。これにより電書協ガイド方式のタグを出力します[1]
(2)、(3)は画像の中央配置とは関係ありません。画像だけのページのタイトルを本文と目次に出さないための設定です。

4.EPUB生成のCSSテーマで「縦書き」を選択し、お好きなCSSテーマを選択します。EPUB全体が縦書きになります(図3)
fig-center3
図3 EPUB生成「一般」で縦書きを指定

5.EPUB3では、画像だけのページができて、画像が左右中央配置になります(図4)
centera
図4 画像とキャプションが左右中央に配置

説明
CAS-UBのCSSテーマではデフォルトで画像のブロック(.figが設定されているブロック)を中央揃えする設定がなされています。但し、この中央揃えは、横書きの左右中央、縦書きの上下中央として働きます。そこで、画像の入ったページだけを横書きに設定することにより左右中央揃えにできます。
ちなみに、中央配置とは「テキストの中央配置(text-align:center)」、すなわち、文字を書き進める方向で見た時の中央配置です。行を進める方向での中央配置は、EPUB3.0では簡単には指定できません。

(注意)ほとんどのEPUBリーダーはキャプションをテキストで設定すると画像が大きくなって上下に一杯になったときキャプションと画像を別ページに配置してしまいます(泣き別れ)(図5)。現在、このようなEPUBリーダーで泣き別れを避けるには画像とキャプションをまとめて一つの画像にするしかありません。
center
図5 画像とキャプションの泣き別れ

[1] CAS-UB 5月23日のアップデート、ファイル単位の組み方向設定で電書協方式CSSに対応
[2] EPUBとPDFのサンプルを「CAS-UBで作成したPDFとEPUBのサンプルファイル」の3.2 「船中八策」(坂本 竜馬)(2)に掲載しました。