HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(3) WHATWGのHTML5にみるセクションの深さと見出しランク

前回[1]は、W3CのHTML5.1では、セクションの階層の深さと見出しのランクが一致するように変更になったことを説明しました。HTML5についてはWHATWGでも仕様を公開しています[2]。この最新版(Last Updated 12 April 2017)で、セクション階層と見出しのランクについてどのように記述されているかを調べてみました。

WHATWGの仕様説明

4.3.3 The section elementの最初の例では、トップレベルの見出し(A)、第二階層(sectionで囲まれている)の見出し(B、C)はh1です。

<article>
 <hgroup>
  <h1>A</h1>
  <h2>…</h2>
 </hgroup>
 <p>…</p>
 <section>
  <h1>B</h1>
  <p>…</p>
 </section>
 <section>
  <h1>C</h1>
  <p>…</p>
 </section>
</article>

この例説明には、セクションがトップレベルか、第二階層か、第三階層かを気にすることなく、h1タグを使うことができるとなっています。前回調べたW3CのHTML5.1とは考え方が相反しています。

4.3.6 The h1, h2, h3, h4, h5, and h6 elements
h1~h6が見出しのランクを意味すると説明されています(W3Cと同じです)。アウトラインについては、見出しランクによる暗黙の階層のレベルとセクションによる階層と両者を混用したものが同じである、ということです。

<body>
 <h1>A</h1>
  <h2>B</h2>
  <h2>C</h2>
  <h2>D</h2>
   <h3>E</h3>
  <h2>F</h2>
</body>

<body>
 <h1>A</h1>
 <section>
  <h1>B</h1>
 </section>
 <section>
  <h1>C</h1>
 </section>
 <section>
  <h1>D</h1>
  <section>
   <h1>E</h1>
  </section>
 </section>
 <section>
  <h1>F</h1>
 </section>
</body>

<body>
 <h1>A</h1>
 <section>
  <h2>B</h2>
 </section>
 <section>
  <h2>C</h2>
 </section>
 <section>
  <h2>D</h2>
  <section>
   <h3>E</h3>
  </section>
 </section>
 <section>
  <h2>F</h2>
 </section>
</body>

このあたりは、W3CのHTML5のままになっていると言えます。

4.3.11 Headings and sections には次のような記述があります。

“The first element of heading content in an element of sectioning content represents the heading for that section. Subsequent headings of equal or higher rank start new (implied) sections, headings of lower rank start implied subsections that are part of the previous one.”

(日本語訳)[3]より引用
「セクショニングコンテンツの要素においてヘディングコンテンツの最初の要素は、そのセクションの見出しを表す。同等以上のランクに属する後続の見出しは、新しい(暗黙の)セクションを開始し、低いランクの見出しは、前のセクションの一部である暗黙のサブセクションを開始する。どちらの場合も、要素は暗黙のセクションの見出しを表す。」

問題点
この説明によれば、単純に考えるとsection要素の先頭に一番ランクの高い見出しを置かなければならないという制約を生み、body(セクションルート)やsection要素の先頭の見出しはh1にリセットされるということを意味します。

つまり、HTML5では

セクション開始
h2中見出し
テキスト
h1大見出し
テキスト
セクション終了

というような見出しの付け方はできないということになりそうです。このような見出しの付け方をすると、HTML5の解釈によるアウトラインは、中見出しが最上位階層、大見出しがその下の階層となります。

う~ん。このような考え方では本のコンテンツを記述するのは難しいかもしれません。それとも、セクション開始の先頭には省略されたh1タグがあって、その次のh2中見出しはh1のサブセクションである。そしてその次のh1はh2の作るサブセクションの親である、という解釈はできるのでしょうか? それができるなら、アウトラインの階層と見出しの階層が一致します。さて、ちょっとやっかいです…

[1] HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(2) HTML5.1 (W3C)では、セクションの深さと見出しのランクは同じとなった
[2] HTML Living Standard
[3] 4.3.11 見出しとセクション

■連載
(1) ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。
(2) HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。
(3) Word2013のWord文書をHTML形式で保存を試してみる。その問題点は?
(4) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(1)
(5) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(2) HTML5.1 (W3C)では、セクションの深さと見出しのランクは同じとなった(前回)
(6) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(3) WHATWGのHTML5にみるセクションの深さと見出しランク(前回)

HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(2) HTML5.1 (W3C)では、セクションの深さと見出しのランクは同じとなった

前回のブログでは、主にHTMLの見出し要素h1~h6について、W3CのHTML5を対象に見ました。2016年11月勧告のHTML5.1ではこのあたりがかなり変更となっています。今回は、W3CのHTML5.1について見てみます[1]

その前にもう一度用語を整理します。
セクションルート:独自のアウトラインを持つことができる。そして、セクションルートのアウトラインはその祖先のアウトラインには寄与しない。セクションルートには次の要素があります。

・body, blockquote, details, fieldset, figure, td

セクション内容
見出しとフッターの範囲を示します。セクション内容の要素には次があります。

・section, article, aside, nav

h1~h6の見出し要素は、(暗黙またはセクション内容でマークアップされているかに関わらず)セクションの見出しを示します。h1~h6は見出しのランクを示します。ランクによって文書のアウトラインを作ります。section要素はアウトラインを明示化します。次図の左と右では文書のアウトラインは同じです。

アウトラインは、アクセシビリティのための支援ツールなどで見出しの重要度を示すのに使うことができます。

4.3.10. Headings and sections[2]に、セクションと見出しについての詳しい説明があります。この部分がHTML5.1では次のようになりました。

「セクションには、セクションのネストレベルと同じランクの見出しを含むことができる。著者はセクションのネストレベルからみて適切な見出しを付けるべきである。ひとつのセクション内容に複数の見出しを付けて、暗黙のセクション生成に頼るのではなく、明示的にセクションを包むことを推奨する。」

HTML5では、各section要素の最初に<h1>で見出しを置くと分かりやすいという説明がありました。この他の幾つかのサンプルと共に、敢えなく沈没してしまいました。

そうすると、最初の話に戻りますが、Wordの見出しレベル1の扱いが問題になります。Wordのスタイル機能「見出し1」を使って文書を作成して、HTMLで保存すると、HTMLの構造は次の図の右のようになります。

これは、そのままではHTML5.1の4.3.10. Headings and sectionsに書かれた内容に準拠とはならないかもしれません。

例えば、次の図のようなケースはどうなるのでしょうか?

左と右が同じであることは分かります。h1の次にh2が出てくれば、新しいサブセクションが開始されるからです。では、h1の次にh1がでてきたとき、h2の次にh1が出てきたときはどうなるんでしょうか? 4.3.10. Headings and sectionsによれば、いずれのケースでも新しいセクションが始まることになります。新しいセクションはbodyと同ランクですので、bodyが暗黙に分割されると考えられます。HTML5ではこのことが、サンプルとともに文章として書かれていました[3]。しかし、HTML5.1でこのサンプルは削除されてしまいました。

セクション化の闇は深い?

次は、WHATWAGの仕様をチェックしてみたいと思います[4]

[1] HTML 5.1 W3C Recommendation, 1 November 2016
[2] 4.3.10. Headings and sections
[3] HTML5.0 4.3.10.2 Sample outlines
[4] HTML Living Standard — Last Updated 31 March 2017

■連載
(1) ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。
(2) HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。
(3) Word2013のWord文書をHTML形式で保存を試してみる。その問題点は?
(4) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(1)(前回)
(5) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(2) HTML5.1 (W3C)では、セクションの深さと見出しのランクは同じとなった(今回)

HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(1)

前回のブログではWordのHTML保存を検討しました。そこで、浮かび上がった1つの検討事項がh1要素の使用方法です。

Wordのスタイルで「見出し1」を設定した段落はHTML保存するとh1要素にマップされます。Word文書では見出しスタイルは一般的であり、「見出し1」は結構頻繁に使います。つまり、WordでHTMLを作るとh1要素がたくさん出てくる可能性があります。

HTMLにおいては、h1要素の使い方には少し注意が必要です。第一にTwitterのログをみますと、どうも、h1要素の使い方にはいろいろ議論があるようです[1]。また、W3CとWHATWGの主張の違いもあるようです。

第二にSEO(検索エンジン最適化)の観点からの注意があります。SEOの本を読みますとh1タグは最上位のタグであり、ページで一回だけ使うようにとされています[2]。SEOの本ではHTML5の仕様という観点よりも、Googleなどの検索エンジンがどのように評価するかという観点です。

ということでこのあたりを掘り下げてみます。

最初に、W3CのHTML5仕様[3]をみてみます。HTMLにはh1~h6という見出しランクの要素が規定されています。HTML5の4.3.10 Headings and sectionsを見ますと、h1~h6要素はセクションの見出しとして使うとされています。h1~h6はHTMLのツリー構造上は明示的に階層を作りません。しかし、h1~h6があると暗黙に新しいセクションが始まり、そのセクションは階層を作ることが想定されています。

例えばh1要素に続いて、h2要素があれば、暗黙に新しい下位のセクションができます。そして、h2は新しい下位セクションの先頭の見出しとなります(図)。h1の次にh6が出てくるようなランクが不連続(1⇒6のようなジャンプ)でも暗黙のツリー構造では1階層の変化です[4]

HTML5でsection要素が導入されました。セクションはsection要素で明示的に階層化できます。そして、section要素で階層構造を作り、そのsection要素の先頭にセクションの見出しとしてh1を置くという方法が仕様書に記載されました。ここで、暗黙の階層化(sectionでマークアップしない)と明示的な階層化(sectionでマークアップする)という2つの階層化の方法ができたことになります。

sectionは見出しが作るセクションの範囲を規定する要素(sectioning content)です。しかし、セクションのルート(sectioning root)ではありません。セクションのルートはblockquote、body、fieldset、figure、tdの4つです。新しいsectionはセクションのルートの子供か、そのsectionの先祖のセクションの一部となります。

仕様書の4.3.10.1、4.3.10.2項に、この2つの方法の関係の取り扱いの例が幾つか出ていますが、複雑でやっかいです。

2016年11月に勧告となった、HTML5.1では削除された機能のリストの中に次の項目があります。

・先頭にh1要素を置いたsection要素を入れ子にしてアウトラインを作る[5]

このあたりがどうやらHTML5.1で変更になったようですので、HTML5の例をあまり深入りしないで次回はHTML5.1を見てみましょう。

[1] h1要素は複数回使って良いのか!? HTML5.1に関するW3CとWHATWGの主張の違い
[2] 例えば、『いちばんやさしい新しいSEOの教本』(安川 洋他著、株式会社インプレス発行、2015年8月11日)p.114には「h1タグはページ内に1回のみ使用する。」とある。
[3] HTML5 A vocabulary and associated APIs for HTML and XHTML W3C Recommendation 28 October 2014
[4] CAS記法ではh1~h6がマークアップされたとき、divを生成して明示的にツリー構造を作っています。CAS記法リファレンスの「見出し」の行の例を参照してください。CAS-UBでも同様にランクがジャンプしてもdivの階層変化は1つにしています。
[5] Features removed

■連載
(1) ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。
(2) HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。
(3) Word2013のWord文書をHTML形式で保存を試してみる。その問題点は?
(4) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(1)(今回)
(5) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(2) HTML5.1 (W3C)では、セクションの深さと見出しのランクは同じとなった(次回)

Word2013のWord文書をHTML形式で保存を試してみる。その問題点は?

最近、HTMLをどう作るかを再考しています。HTMLの書き方で一番原始的な方法は、テキストエディタで書くことです。それではあまりに効率が悪いのでもう少し簡単に作る方法が必要なことは明らかです。で、ここ10年近くWordでHTMLを作るという問題をあまり考えていませんでしたが、まずはWordでHTMLを作る方法を調べています。

ということは前回も書きましたが、前回「HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。」として、Webにでていたサンプルを見ました。

今回はその続きで、自分で作成したWord文書で調べてみました。作成した文書は次のものです:
・オリジナルのWord文書[1](こちらからダウンロード)
・Word文書をPDF化:(PDFをダウンロード)


図 PDFを画像化したもの(先頭ページ)

これをWord2013でHTML保存してみます。


図 Webページ形式で保存

保存したHTML形式:リンクをクリックすると開きます。

保存したHTML形式を表示しますと、Wordの次の指定はそのまま生きています。
・段落枠による囲み
・段落の文字サイズ
・見出し
・段落と段落の空き
・表

このHTMLのソースを見ますと、こんな感じです。

図 Word2013でHTML保存したHTMLファイル

このHTMLはHTMLのタグとCSSでレイアウトを指定しています。見出しレベル1がh1タグになるためh1タグが複数出てきています[2]。表のタグも正しく付いているようです。多くの属性値は引用符で囲まれていません。

HTML+CSSの表現として大きな問題はないと思いますが、このHTMLを使い回すときはとても難しいでしょう。例えば、他のHTMLと一緒にして、二つの見栄えを揃えようとします。もし、二つのHTMLでフォント指定(サイズ、フォントファミリー)異なっていたとします。すると見栄えを揃えるにはフォント指定を統一する必要があります。しかし、フォント指定がHTMLタグツリーの末端にばらばらに指定されているため、統一する編集はかなり面倒なことにあります。HTMLでこのような操作をするよりも元のWord文書に戻ってWord文書で編集したくなると思います。

ということは、ここで作るHTMLはあくまで出来上がった文書を単独でパブリッシュする(最終用途)ために使うものということです。Wordで保存したHTMLを使って、例えば、他のWebサイトに組み込んで全体のレイアウトを統一したり、EPUBを作ったりするなどの流用は難しいのではないでしょうか。

[1] 3月22日のニュースリリースの原稿です。ニュースリリースはこちら
[2] SEOの本を見ますと、h1タグはHTMLの最上位に1回使うというのが基本的とされているようです。確かに、大見出しは1ページ(1HTMLファイル)あたり1つが望ましいと思います。しかし、HTMLの仕様ではh1タグをHTMLの最上位要素として1回だけしか使うという制限はありません。HTML5では文書をsectionで分けて、各sectionタグの子供としてh1タグを使います。そしてh1~h6の新しいランクタグは新しいセクションを暗黙に作るという考えのもとで、sectionタグはそれを明示的にするという考えのようです。すると、h1⇒p1⇒h1⇒p1の順序でタグが出てきたときは、h1⇒p1⇒section(h1⇒p1)と考えることになるのでしょうか。

■連載
(1) ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。
(2) HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。
(3) Word2013のWord文書をHTML形式で保存を試してみる。その問題点は?(今回)
(4) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(1)(次回)

HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。

このところ、CAS記法[1]の便利さになれてHTMLを作る他のオプションを忘れかけていました。

しかし、まだ巷ではHTMLを簡単に作る方法で苦労しているようです。そういう方には、CAS記法を使ったら如何ですか? と言いたいところです。しかし、いきなり結論を出しても、ということで、まずは久しぶりに現状を調べてみましょう。最近は、どんなのがあるんだろうねぇ。

こういうときはググるというわけで、「Office HTML 変換」で検索! 最近のGoogle検索はパーソナライズされていますので、すべての人が同じ結果になるかどうかは分かりませんが、私の画面でトップに来たのはこちらです。

「ワード文書を Web ページに変換する」
Last Update:12/22/2016 21:58:35

となっていますので新しいですね。どれどれ。

どうやらマンション管理組合関係のWord文書をHTMLに変換する話のようです。Word2007/2010の「名前を付けて保存」でHTML形式に保存しているようです。ああ、これはもう10年以上前に試した記憶があるなあ、と思って読んでみました。

この「ワード文書を Web ページに変換する」というWebページを作成された方は、Wordで紙に印刷するようにレイアウトした紙のページをWebページでも再現しようと考えておられるようです。そして、変換前のWordのレイアウトをWeb化したときのレイアウトを比較して「レイアウトが崩れること、その原因」についてのまとめがあります。

これはまさにWordで文書を作成している人の典型のパターンです。

まず、Wordの文書は紙に印刷することを想定しています。そして一定のサイズをもつ紙の印刷面にうまく適合するように、そして分かりやすいように画像や文字の大きさを決めてレイアウトするわけです。

しかし、Webページはコンピュータの画面で表示するものです。で画面はWebページを読むコンピュータの種類、最近ではスマホで見る方が多いと思います。スマホの画面でみるかタブレットの画面で見るかなど、使う人の時間やあるいは通勤途上、会社、自宅などの場所によって千差万別になります

ですので、そもそもWebを作るときには印刷レイアウトをそのままWebで再現したい、という発想はあまり良くないんですね。

ではどうしたら良いでしょうか?

まずは、Webページ=様々な画面で見たときに問題がない、というようなWord文書の作り方をする必要があります。このWebページで紹介しているようなチラシ的なレイアウトをした文書はWebに持って行くのはあまり適切ではないでしょう。

WordでHTMLを作るといったときは、まずWord文書の作り方を次のように変える必要があると思います。

・見出しと本文を明確に使い分ける。
・そして見出しの階層は文字の大きさではなくスタイルで表す。
・本文は段落を意識して書く。
・段落の種類(例えば、引用、箇条書きなど)はレイアウトで区別するのではなく、スタイルで区別する。

こうなると、結局、Wordで簡単にHTMLを作る=まずガイドラインの作成から? そのガイドラインはいままでのWord文書の作り方の発想転換を迫るものになって、結局は受け入れられるまでに時間がかかる? やれやれ。

[1] CAS記法リファレンス
[2] 前回:ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。

■シリーズ
(1) ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。
(2) HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。
(3) Word2013のWord文書をHTML形式で保存を試してみる。その問題点は?
(4) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(1)

ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。

2017年になってから久しぶりにWebページを自分で編集・更新をし始めています。XHTML形式のWebページをoXygenというXMLエディタ[1]で編集しているのですが、このところ毎日Webページ制作の生産性の低さに辟易しています。

少し遡っての個人的な経験ですが、私は2000年頃からドキュメントの多くをXML(XHTML)で作成するようになり、Webページなども簡単なHTMLタグの組み合わせで作成していました。それらのWebページはXHTMLタグでマークアップして簡単なCSSでレイアウトを施したものです。今から見ますと原始的なものですが、この頃のマークアップ編集はAntenna House XMLエディタという自社開発のXMLエディタを使っていました。この間、Antenna House XMLエディタは、開発があまり進まず、時代の流れに遅れてしまい、結局、販売も断念してしまいました。

その間、HTMLのタグを直接編集するのはどうも生産性が低いのでなんとかうまい解決策がないものかと考えていました。そうした経験からWiki記法のような簡易マークアップを使ってHTMLを書くことで、HTML制作の生産性を高めることができるだろう、と考えました。それが、2010年にCAS-UBの開発を開始した一つの理由です。CAS-UBはWiki記法を拡張したCAS記法をつかってHTML文書を記述します[2]。これは檜山正幸さんという天才的なアーキテクトに設計していただいたものです。自分で言うのもなんですが、いつも良く出来ていると感じます。CAS記法をなかなか普及させられないのは、偏に私のマーケティング力が足りないからだと反省します。

もう一つの理由は、出版の世界は一品生産のため、DITAマニュアルの制作システムのように大きな投資が必要なシステムを作るのは難しいので、PDFとEPUBを作る仕組をWebサービスとして提供するのが向いているのではないかと考えたことです。CAS-UBは出版物を作る仕組としてうまく機能するようになっています。まだまだ改善が必要ですが。

そうしたことで、2011年頃から、業務上の文書はOffice、簡単なWebページはブログ、出版物にするときはCAS-UB、といった使い分をしていました。そんなことで、個人的には問題も感じなくなり、もうワンソースマルチユースには課題はないだろうなどと考え始めていたのです。そして、ワンソースマルチユースの大きな課題であるソースドキュメント編集の問題について、やや忘れかけていました。

で、久しぶりにWebページ(HTML)をXMLエディタ(oXygen)で編集し始めて、HTML直接編集の生産性がさらに低下しているのに辟易しています。ずっと、HTMLの生産性が低い理由は、コンテンツ(原稿)とタグ(マークアップ)の二つを同時に考えるためと思っていました。しかし、今回、久しぶりにWebページを編集してみて、レイアウトのための余計なクラス属性や余計な階層構造が、さらに生産性を下げる原因になっている、と痛感しています。

ちなみに、今『CSS設計の教科書』(谷 拓樹著、インプレス発行、2016年2月第1版第4刷)を読んでいます。この本を見ますとCSSのセレクタには要素ではなく、クラス属性を指定する方を推奨しています。要素のセマンティクスにはあまり依存しないで、div要素に多数のクラスを設定し、CSSではクラスのセレクタを使って部品化し組み合わせる方法などがあります(pp.45-52 OOCSS)。こうなってきますと、今度はコンテンツの編集の際に、レイアウトのためのクラスの設定を適切に行わなければならなくなります。結局、HTMLの編集において、テキストや画像コンテンツ、セマンティクスとしてのHTMLタグ、さらにCSSレイアウトのためのクラス属性の設定、という三つを同時に考慮しなければなりません。これはちょっと? です。

見栄えの良いWebページを作るために、CSSが複雑になりメンテナンスしにくいのでクラス属性を組み合わせ、今度は内容を書くのが大変になる! って本末転倒しているように感じます。どうしたら良いんでしょうかね。

また、最近、2回ほど学術情報XML推進協議会のセミナーに参加して、皆さんの意見も伺い、久しぶりにコンテンツ制作の問題がまだ課題なんだな、と痛感している次第です。ということで、HTMLのオーサリングについて、改めて整理し直そうと考えているところです。

[1] oXygen
[2] CAS記法リファレンス
[3] 次回 HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。

■シリーズ
(1) ワンソースマルチユースの課題:HTMLソースのオーサリング問題を改めて考えてみようと。
(2) HTMLを手軽に作る方法を再検討します。手軽といえば、まずWordでHTMLを作ることが思いつきます。
(3) Word2013のWord文書をHTML形式で保存を試してみる。その問題点は?
(4) HTMLを簡単に作る方法:h1要素の話(1)

Submission Request to W3C from Vivliostyleについての若干の感想

Current Status of Japanese Typography Using Web Technologies(Submission Request to W3C from Vivliostyle)日本語訳

という文書が1月27日付けで発表されているので、ざっと見てみた。以下に若干の感想を記す。

まず、この文書の中で一番重要なポイントは「Implementations that support pagination, such as EPUB readers or PDF formatters, do need to support such features.」(日本語訳「EPUBリーダーやPDFフォーマッタなどのページネーションをサポートする実装は、そのような機能をサポートする必要があります。」)という点だろう。

もともとJLReqは、紙に印刷する書籍の組版に関して整理したものである。従って、JLReqを議論の前提にする以上、縦横の大きさをもつページの概念が必須である。ページの概念を無視すれはかなりの部分が意味を失ってしまう。

一方において、ブラウザは画面に高速に表示することを目的としている。そしてページサイズの概念はブラウザには必要ない。このため、CSSの勧告仕様または勧告候補だけでは、まだページの大きさを指定できない。CSS Paged Media Module Level 3という仕様にページの大きさを規定する方法があるが、これはまだWorking Draftの段階であり[1]、正式な仕様として参照できる状態ではない。

CSS Paged Media Moduleの歴史は古い。一番最初は1999年にHPのRobert Stevahn氏がWorking Draftを出している。その後、2004年に勧告候補まで行ったが、次の2006年版ではまたWorking Draftに戻ってしまった。CSSを紙への印刷に使おうとするとページの大きさの指定は必須であるのに、正式な仕様ではそれができない状態がもう長いこと続いているわけだ。

現在、リフローのEPUB3を表示するリーダーは、ページ捲りを実装しているものが多い。しかし、これらは各リーダーの独自実装である。ページ捲りの一つとして、例えば、章の見出しを画面の上下・左右中央に配置したいときは縦と横のサイズを指定して、その中央に置くのが素直なはずだ。しかし、CSSではそういう指定はできない。このため、日本語のEPUB3ではトリッキーな指定をせざるを得なくなってしまっている。

このように、紙に限らず、画面表示を前提とするEPUBリーダーやブラウザでページめくりをきちんと実装しようとすればCSS Paged Media Module Level3を実装することが必要になる。

そこまでの理屈は良いとして、CSS Paged Media Moduleがブラウザの世界で受け入れられるかどうかが問題である。なぜならば、CSSの仕様開発作業はブラウザベンダーの主導で進んでいて、ブラウザベンダー以外はほとんど影響力を持っていないからである。さらに言うならば、CSS2.0で勧告になった項目でさえも、ブラウザが実装していないことを理由にCSS 2.1で削除されてしまったものもある。その一例がここで問題にしているページの大きさである。CSS2には@pageというルールがあり、CSS2.0ではそこに’size’プロパティでページの大きさを指定できた。しかし、CSS 2.1では’size’プロパティは削除されてしまった。’size’はCSS Paged Media Moduleに移行した。こうした経緯を知っていれば、CSS Paged Media ModuleをCSS3の勧告にもっていくのが困難なことは予想に難くない。

CSSがサポートしないためにできないことがいろいろあるのは確かである。そしてこれに正面から取り組もうとすると、現状のCSSワーキンググループと長く熾烈な論争になるのは確実である。このサブミッションがどう受け止められるか、興味深いところである。

[1] CSS Paged Media Module Level 3 W3C Working Draft 14 March 2013

『XSL-FOの基礎 第2版』は全文をWebでも公開。CAS-UBでプリントオンデマンド用PDFを作り、Web生成機能でWebページもワンタッチで完成。

『XSL-FOの基礎 第2版』では、プリントオンデマンド(POD)版、電子書籍(Kindle、EPUB)版で販売すると同時に、新たにWebページで全文をお読みいただけるようにしました。

本書の目的は、XSL-FOについてもっと多くの人に知ってもらうことです。そこで、PODで売るだけではなくWebページを通じてお読みいただけるようにするのが良いと考えました。こう考えたもう一つの理由は、CAS-UBのマニュアルのWeb版です。CAS-UB V4からマニュアルをPDF版とWeb版で公開しています。

CAS-UBサポート&ガイド一覧

公開してから約半年経過しまして自らの使い方を振り替えってみました。マークアップ(CAS記法)であそこはどうだったかな? というところを見ようとしますと、このオンラインWebページは大変便利です。結局、この半年間PDF版はほとんど利用しなくて、大抵Web版で済ませていることに気が付いてしまいました。これは少々ショックなのですが、やはりマニュアルのようなものはWeb版がPDF版より遙かに便利なことは認めざるを得ません。

Web版はCAS-UBでPDF版の原稿からワンソースで作成できます。

CAS-UBではWeb版の形式として(1)目次と本文を別のWindowに分割した形式と(2)目次を通常のWindowに表示する形式の2種類があります。


図1 目次と本文を別のWindowに分割した形式


図2 目次を通常のWindowに表示する形式

目次と本文を別のWindowに分割した形式は、AH Formatterのページで公開しています。☞『XSL-FOの基礎 第2版』の内容を読む

ちなみに、同じワンソースから作ったPOD版用PDFを表示しますと次の通りです。PDFのナビゲーションもしおりを使えばそんなに悪くないと思うのですが。やはり、Webではワンタッチで表示できるのに、PDFは全文をダウンロードして、別アプリを起動して表示しなければならないという点が煩わしいように思います。

WebにPDFを統合する方法をもう少し考えると良いんでしょうか?

何にしましても、ワンソース・マルチユースで出版物を制作できるCAS-UB、これからはWeb生成機能についても強力アピールして行きたいと考えております。よろしくお願い致します。

【追記】
目次を通常のWindowに表示する形式は、当初公開していましたが、Googleにインデックスされないため削除しました。もしかすると重複コンテンツと見做されているのかもしれません。

『XSL-FOの基礎』画像制作のこと。Word経由でインポートした画像は印刷品質の劣化が激しいため、第2版ではできるだけSVG形式に変更した件。

『XSL-FOの基礎』は初版は2016年5月に初版をリリースしましたが、今回は大幅に改訂して第2版となります。改訂の一部として、多くの画像をラスターからベクトル(SVG形式)に変更しました。以下、このことを少し説明します。

本書にはXSL-FOのオブジェクトとプロパティの説明の一部として組版結果の紹介をしています。例えば、こんな感じです。

組版結果はPDFです。初版では、組版結果の多くはPDFを表示して画像スクリーンキャプチャしていました。最初のうち原稿をWordで書いていましたので、スクリーンから切り取ってWordに貼り付けていたものもあります。原稿のWord文書をCAS-UBで取り込んだとき、このラスター画像もCAS-UBに取り込まれます。途中からはCAS-UBで原稿を直接書いて編集しましたので、スクリーンをキャプチャしてPNGファイルとして取り込んだものもあります。初版の画像制作は、主に次のようなフローになります。

こうした画像を画面で見ている限りでは、それほど見栄えに差がないのですが、プリントオンデマンドで紙に出力しますと画像の品質の差が歴然となります。Wordに貼り付けて(CAS-UBのWordインポートで)CAS-UBに取り込んだ画像は品質が非常に悪くなります。一方、PNGファイルをCAS-UBに取り込むときは、印刷したときの画像の品質はPNGの精度(ピクセル数)次第です。特に、文字がはいっているような画像は品質が低いと問題があります。

ということで第2版ではできるだけPDFからベクトル画像(SVG)を作ることにしました。SVGを作る方法はいろいろあると思いますが。今回は自社開発のPDFビューアのSVG切り出し機能を使いました[PDF加工画像化ツール]。この操作は次のようになります。


図1 PDFを開く


図2 SVGにしたい範囲を選択


図3 SVG形式で保存

SVGにした画像はPNG形式も用意しています。PDF生成時はSVG形式を使い、EPUB生成時にはPNGに差し替えるようにしました。残念ながらKindleではSVGを正しく表示できないことがあるためです。

SVGからPNGへの変換は「置換」機能を使います。

複数の画像ファイルを用意しておき、出力形式によって画像を使い分ける機能はCAS-UBのWeb制作サービスの中に取り込んでいきたいものです。これは次のバージョンアップの課題の一つといたします。

参考資料
1. 技術書典2と『PDFインフラストラクチャ解説』第1.1版、『XSL-FOの基礎 第二版』のご紹介
2. 『XSL-FO の基礎 – XML を組版するためのレイアウト仕様』

技術書典2と『PDFインフラストラクチャ解説』第1.1版、『XSL-FOの基礎 第二版』のご紹介

4月9日にアキバ・スクエアにて技術書典2が開催されます。詳しい情報はこちら:技術書オンリーイベント。僕らが作る。 技術書オンリーイベント 第2回、開催決定!

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CAS電子出版は今年も技術書典に参加します。実は、この1年間、技術書関係の新しい出版物を出していないためちょっと迷いました。しかし、とにかく継続が大事ということで恥ずかしながら昨年と同じタイトルで参戦します。振り返りますと無駄に1歳加えてしまったこの1年でした。

でもそうはいっても全く同じではということで、『PDFインフラストラクチャ解説』を第1.1版に、『XSL-FOの基礎』を第二版に改訂しました。

『PDFインフラストラクチャ解説』1.1版はすでに販売しておりますので、詳しくは次のページをご覧ください。
「PDFインフラストラクチャ解説 電子の紙PDFとその周辺技術を語り尽す第1.1版」

この1年の変化を振り返りますとPDF 2.0=ISO 32000-2がそろそろ出版されることが大きいかなということで、付録にPDF 2.0の概要を追加しています。但し、ISO 32000-2仕様書はまだドラフトのため、本文には加えず付録としました。初版をお求めいただいた方のために付録部分はWebでも公開しています。
PDFインフラストラクチャ解説 付録:もうすぐ出版されるPDF 2.0の概要

『XSL-FOの基礎』第二版はかなり大幅に改訂しています。初版は、昨年6月に開催された初回の技術書典に間に合わせるため突貫で出版したこともあり、説明の内容や特に図版の出来が不十分でした。今回は、昨年の技術書典の後に改訂作業をした分と、さらに第二回に間に合わせるように修正した分を合わせますとかなり大幅な書き直しとなっています。前よりもだいぶ良くなったと思いますが。

こちらは、まだPODで発売になっておりませんので、発売次第ご案内いたします。

参考資料
1.6月25日技術書典 大盛況でした。XMLの本にも大きな関心を寄せていただきました。
2.技術書典 再来週末(6月25日)開催! 出展に向けて準備中!
3.技術書典出展のお知らせ