CAS-UBによる本の制作工程: ECMJ流!  巻末に出典記事のリストを作成する例のご紹介 

ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則を編集中です。

昨年の10月頃から初めて4巻までは既にリリース済み[1]。昨日までに5巻目が大方できました。現在、著者に幾つか不明点を問い合わせていますのでそれが決着すれば完成です。

5巻目は、人財育成とか仕事の仕方とかに関係する記事を整理しています。記事を各巻にどのように割り当てるか、どのように章建てするかとか、節の並び順の整理とか、用語の統一、言い回しの統一など細かいことを直すのに、文章を平均すると3回くらいは読んでいます。内容に感心することが多い!

5冊目はあまりEコマースのテクニカルな話が出てこなくて考え方に関する内容です。著者の石田麻琴さんは1980年生まれですので、まだお若いのに、考え方には私が師と仰ぐ稲盛 和夫(盛和塾)塾長とかなり通じるところがあります。つまり哲学があるということなのですが。第5巻はお勧めです。

さて、前置きが長くなりましたが、第5巻の本文を編集し終わり、索引を作ろうという段階で、はたと困りました。この巻は考え方に関する記事が多いので索引の作りようがないような気がします。もちろん無理して用語を拾って索引を作ることはできますが、そもそも記事を丸ごと読まないとあまり意味がありません。用語単位で拾う索引はそれほど意味がないような気がします。

本書の章建ては次のようになっています。
20170117-mokuji

第1章は次のように24本のブログ記事から構成されています。
20170117

そうしますと記事単位で読み直したいときに、目次からその記事を簡単には探せません。CAS-UBでは目次の生成時に、章だけにするか、節までにするかなどのレベルを設定できます。仮に、節まで目次に出しますと次の図のようになります。

20170117-mokuji-2

これでは、目次の項目が多すぎて全体像をつかみにくくなります。

そこで、参考文献の形式で元記事(出典ブログ)のリストを作ることにしました。

次のようにします。
1)参考文献を用意します。これは、新規記事作成で、「記事の種類」に参考文献を指定します。

20170117-reference

2)参考文献にブログの一覧をテキストで入力します。
これは元のエクセル表からでも良いですし、節まで出力した目次からテキストをコピーして貼り付けても出来ます。

3)各項目に箇条書きに指定します。次の図の行頭「*」が箇条書きのマークアップです[2]

4)参考文献の項目から本文の節へのID参照を設定します。
・CAS-UBでは各記事、見出し、キャプションには自動的にIDがふられます。
・ID参照メニューで、そのIDの一覧を表示します。
・参照元にID参照を設定します。ID参照設定は図のアンダーラインです。

20170117-id

5)ブラウザで内容表示しますと次のようになります。

20170117-preview
収録ブログ一覧の各記事から節へのリンクが張られていることが確認できます。

6)PDF生成時に、このリンクをどのように表示するかは、「PDFレイアウト詳細設定」の参照先表示方法で選択できます。ここでは参照先をページ番号だけにします。

20170117-ref-disp

7)PDF生成をしますと次のようになります。

20170117-final
参照先のページ番号が自動的に設定されます。デジタルデータとして使うときのためにPDFのリンクも設定されています。

本書は本文が二段組みですので、参考文献も二段組みにする方が良いかもしれません。

(1/31追記)
最終版では、参考文献を二段組みとしました。

1月31日にPODの本が届きました[3]ので、早速、写真にしてみました。次のようになっています。

20170117

[1] ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ
[2] 参考文献では箇条書きが独自形式(固定)になっています。番号なし箇条書きの行頭の記号はなくて各行がハンギングインデントとなります。
[3] ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則シリーズ第5弾 『Eコマース”売れる”チームづくりのポイント! ~着実に成長するための考え方、取り組み方~ 』発売になりました。
[4] アンテナハウス書籍・総合目録

新年おめでとうございます。今年もワンソースマルチユースとプリントオンデマンド本の実践をますます推進します。

新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

いよいよ2017年が始まりました。昨年末のブログでも説明しましたが、CAS-UBは2016年からプリントオンデマンド(POD)で本を出版するためのPDF生成技術の開発に重点的に取り組んでいます。そして実際に本を作って販売する実践に取り組んでいます。2017年も、さらにこれを強化し、EPUBとPDFでワンソースマルチユースの本作りを推進します。

CAS-UBを使って本を簡単に作れる仕組みを提供する目的は、だれでも効率的な情報の伝達と知識の共有ができるようにして、社会の発展に寄与することにあります。

これまでの歴史において新しい技術・知識や経験の伝達は印刷と出版によって行われてきたのは詳しく説明するまでもない周知の事実でしょう。現在は、その役割分担として、だんだん電子書籍のウエイトが大きくなる一方で印刷書籍が不要になりつつあると言われています。長い目でみますとどうなるかは予測を超えるところですが、電子書籍は、まだ紙を置き換えるほどの段階には達していません。これからしばらくの間は、紙の本も役割がなくなることはないでしょう。ワンソースマルチユース制作を、簡単に、誰でもつかえるようにする必要があります。

まず、「先ず隗より始めよ」ということで、アンテナハウス電子出版プロジェクトでは昨年からプリントオンデマンドによる本の販売実践に力をいれております。昨年は、CAS電子出版として10タイトルをプリントオンデマンドで実践出版しました(一覧は下記)。

昨年の10月から、ECMJ流!のシリーズをCAS-UBで編集・制作してシリーズとして順次リリースしています。ECMJ!流は、Eコマースビジネスの人財育成コンサルタント会社であるECマーケティング人財育成の石田麻琴社長のブログ[1]を本にするものです。

石田社長は2013年8月から毎日ブログを書いているのですが、このブログは毎日全力投球100%出し切る姿勢で書かれており、ひとつひとつの記事はすばらしい内容です。
しかし、ブログという形態には、論理を順序立てて説明しにくく、情報を伝えるという点で若干の欠点があります。これは本にする目的は、ブログという形式では難しいが本ならできることを提供するできます(詳しくは、「ブログと本の比較」を参照)。本について言えば、もちろん、編集の仕方次第ではあります。うまく編集することで分かりやすさを作り出すことができるでしょう。

2016年発売CAS電子出版タイトル・一覧
『PDFインフラストラクチャ解説』 1月発売
『XSL-FO の基礎 – XML を組版するためのレイアウト仕様』
『スタイルシート開発の基礎 – XML と FO で簡単な本を作ってみよう』
『MathML 数式組版入門』
『瞬簡PDF作成7 ユーザーマニュアル』
『DITAのすすめ』
『瞬簡PDF書けまっせ7 ユーザーマニュアル』
『おにぎり水産 鬼切社長のEコマース奮闘記: ~とある地方の笹かまぼこ工場がネットショップを成功させるまで~』
『E コマース成功のための土台づくり~ネットのマーケティングを徹底的に理解せよ~』
『今日からできるEコマースの集客戦略!: ~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~』

ブログと本の比較
【ブログの弱点】
・ブログの記事としての寿命はそれほど長くありません。ブログへのアクセス数は1週間程度で細々としてしまいます。
・ブログで昔書いた記事はどんどん埋没してしまいます。カテゴリー分けなどで埋没を避けようとしても限界があります。
・ブログは日記と同じようなものでひとつひとつの記事が断片的となりがちです。そこで、自分の主張をテーマとして設定し、順を追って論理的な展開をするにはあまり向いていないと思います。
・ブログは改訂しません。日記に似ており、一過性です。

【本の長所】
・1冊毎にパッケージ化されますので、情報としての寿命は長くなります。
・また、本は1冊ずつ切り離した形で販売しますので、単品としてプロモーションをしやすくなります。
・数百ページをひとつのパッケージとし、テーマによって章建てすることで、順を追ってひとつの主題を展開しやすくなります。というよりも本の多くは予め構成を考えて執筆されます。
・本は改訂し、議論を深め・進化できます。

[1] ECマーケティング人財育成ブログ

CAS-SUPPORT ブログより6年間を振り返る(2)

前回は、CAS-SUPPORT ブログから6年間を振り返るの前半でした。今回は後半2014年~2016年を振り返ってみたいと思います。

2014年

毎年一番最初に開催される大きな展示会はPageです。Page 2014での第一印象は電子書籍ブームは去ったということでした[1]。ちなみに、ブームが去ったということは、電子書籍がビジネスとして成長していないということを意味するわけではありません。むしろ、興味本位というと言い過ぎかもしれませんが、新たなビジネスチャンスを探して電子書籍界隈に大勢の人が集まった時期が終わり、地道なビジネスとしての取り組みのフェーズに移行したということを表します。

2014年はEDUPUBへの取り組みが注目された年でもあります[2]、[3]

2013年のEPUBマニュアル研究会は2014年も継続して行い報告書を発行しました[4]

2015年

2014年でEPUBに対する新規需要の盛り上がりが一段落したこともあり、2015年のCAS-UBプロジェクトでは、本をプリントオンデマンドで作るための最適なPDFレイアウトの検討に重点的に取り組みました。

まずは、基本版面の見直しを行いました[5]、[6]。日本語の本の場合、特に本の構成や扉の設定があまり標準化されておらず大きな構造がバラバラです。CAS-UBでは、記事の種類毎に、部分的にレイアウトを変更できます。この機能を強化してプリントオンデマンド用のPDFをより複雑なレイアウト構成にできるようにしました。例えば縦組の本に横組のページをいれるなどになります[7]

2015年末には過去に出版した報告書や本をアマゾンのプリントオンデマンドによって販売を開始しました。

2016年

2016年前半は、主に自社の製品や技術に関連する啓蒙書を、プリントオンデマンドで出版することに積極的に取り組み、例えば次のようなタイトルを発行しました。

『PDFインフラストラクチャ解説』POD版とKDP版が揃い踏みとなりました。
『XSL-FOの基礎 – XML を組版するためのレイアウト仕様』POD出版顛末記

2016年後半も、CAS-UBでプリントオンデマンドで本を出版するためのPDF生成技術の開発に重点的に取り組んでいます。

現在は、POD出版の実践として、ECMJ流! インターネットマーケティングのシリーズを出版しています。POD本を出す実践を積み、同時に開発課題の整理・CAS-UBの機能拡張を行っています。

[1] Page2014 終了しました。電子書籍のブームは去り、組版ソフトに注目があつまりました。
[2] EDUPUB プロファイル仕様 (5/28ドラフト) のあらまし
[3] EPUB標準化関連活動のアップトゥデイト 2014/9/15
[4] 『マニュアルEPUB化ハンドブック2015年版』紙版もアマゾンで販売開始。制作期間等を整理しました。
[5] 本のかたちを考える:基本版面のパラメータ設定の考え方を整理してみました
[6] 本のかたちを考える:四六判・基本版面の推奨値を検討する(案)
[7] CAS-UB V3.0をクラウドサービスにて提供開始。PDF縦組を大幅に強化しました。

10月24日 CAS-UB 五周年記念セミナーのスライドと動画をアップしました。

昨日は市ヶ谷にてCAS-UB 五周年記念セミナーを開催致しました。
CAS-UBのWebサービスは、10月20日にV4.0となりました。

今回の機能改善で、編集操作がかなり使い易くなりました。

またPDFレイアウト指定についても、実際にプリントオンデマンドの本を書いて出版したりしながら、問題点を洗い出して改善しています。

セミナーのスライドと、デモに使いました動画をこちらに用意しましたので、ぜひご覧下さい。

1.セミナーのスライド(PDFをダウンロード)

2.動画(MP4ファイルを表示します)
(1)新出版物を作り『蕎麦の味と食い方問題』(青空文庫)をコピーする
(2)ルビ、縦中横、リンクをマークアップする
(3)Wordからの外部入力の操作例
(4)PDF生成の基本設定
(5)PDF生成のレイアウト調整
(6)PDFの後書きのページ内配置と見出しの指定変更
(7)『XSL-FOの基礎』 サンプルレイアウト改善の例

関連ブログ
1. CAS-UB V4.0の公開予定についてのご案内(予告)
2. CAS-UB V4の編集画面を垣間見る。V3では構成編集と編集画面が別でしたが、統合しました。
3. CAS-UB V4.0 デジタルファーストへ向けて、CAS記法の強化
4. CAS-UB のWebサービスV4.0をリリースしました
5. CAS-UBの編集デモファイル 見出しを付ける

CAS-UB V4.0 デジタルファーストへ向けて、CAS記法の強化

CAS-UB V4.0の機能強化ポイント・その2は、CAS記法の強化です。具体的な強化ポイントは「CAS-UB V4.0の公開予定についてのご案内」をご覧下さい[1]。ここではなぜCAS記法が必要かをざっとお話します。

1.出力媒体に合わせた制作作業が一般的
原稿から紙の本(PDF)、EPUB、Webページを作るためには、それぞれの成果物に併せて原稿をレイアウトする必要があります。通常のやり方は、原稿ができたら①PDFを作るときはInDesignなどのDTPで組版処理を行い、②またEPUBを作るときは、素材からそれなりのツールで制作作業を行い、③Webページを作るときは、また素材からWebページ用の編集ツールで制作する、という風に出力媒体に合わせて制作作業を行います。

さらに多くの場合は、紙の出版物を作るためにInDesignで制作したPDFを使って校正をすすめて完成させ、そのデータからEPUBやWebなどの成果物を作ることが多いでしょう。最近はブログを含むWebページやからスタートするケースが増えているかもしれません。いずれにしても表示する媒体が先立っています。

2.CAS-UBでは出力媒体に合わせた制作作業は最小
CAS-UBの特徴は成果物毎の制作は行わずに編集ができたら、それぞれのボタンをクリックするだけで、紙用の成果物、EPUB、Webページを作ります。

原稿をコンテンツとして仕上げ、そこから様々な媒体に一気に展開します。これこそが本来のデジタルファーストと考えます。

3.汎用的なコンテンツを作るためのCAS記法
デジタルファーストを実現するためには、原稿の編集において、様々な出力に使える汎用的なコンテンツを準備することが必要です。CAS-UBのUBはUniversal Bookという意味で、汎用的な書籍内容のことです。

構造はマークアップという方式で付与します。マークアップの標準はXMLですが、編集時にXMLを直接マークアップするのは専門的な知識が必要です。そこで、XMLに関する専門的な知識がなくても、相応のマークアップができるようにしたのがCAS記法です。CAS-UBではCAS記法を覚えなくても本を作れますが、しかし、覚えていただくとより表現力がアップします。

来週のセミナーでは、このあたりについても、もう少し具体的に、また、分かりやすくお話したいと考えています。

[1] CAS-UB V4.0の公開予定についてのご案内(予告)

10月24日(月)バージョンアップ内容についてご案内するセミナーを予定しています。お申し込みはこちらからどうぞ:
http://www.cas-ub.com/user/seminar.html

■PDF関連情報
流通によるプリントオンデマンドでの出版が現実のものとなった今、その活用の課題を考える。(2017年1月時点)

「CAS-UBによるPDF生成のためのガイド」 Web版試作のお知らせ

弊社では、今年度の目標として、製品の利用ガイドや、機能リファレンスなど製品ドキュメントのWeb化を進めています。

このことは前回のブログで紹介いたしました:「瞬簡PDFシリーズのマニュアルのWeb公開と冊子の販売」

瞬簡PDFシリーズをはじめとして、弊社製品のマニュアルの多くは、CAS-UBを使って編集・制作されています。CAS-UBではワンソースでPDF、EPUB、HTMLヘルプを生成できます。さらに、次期バージョンの目標としてWeb形式の生成機能を充実することを掲げています。

CAS-UB自身のマニュアルも、CAS-UBを使って制作し、PDFとEPUB形式で公開してきました:CAS-UB サポート&ガイド

次期バージョンからはWeb形式でも公開する予定です。とりあえず、現行バージョンの「CAS-UBによるPDF生成のためのガイド」のWeb版を試作しました。

HTML形式(試作)(2016.7.12)

試作ですので、いろいろ不適切な部分があるかもしれませんが、お試しいたければと存じます。

【お詫び】CAS-UBの現在バージョンでもWeb生成ボタンあります。しかし、これまでは機能が限定的でした。紹介させていただきました製品マニュアルを始め、「CAS-UBによるPDF生成のためのガイド」の試作Web版は、開発途上のCAS-UBで制作したものです。本機能はまたユーザーの方には公開されていません。しばらくお待ちください。

■PDF関連情報
流通によるプリントオンデマンドでの出版が現実のものとなった今、その活用の課題を考える。(2017年1月時点)

『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる? (5) 『PDFインフラストラクチャ解説』のプリントオンデマンド制作と販売

最初、PODで本にしてみたところ、PDFと紙での版面の印象の違いが大きいのに驚いた。本の内容をPDFにして画面で読むのと、同じPDFから印刷・製本して、本として読むのを実際に試してみると想像以上に印象が違う。どうやらPDFと紙の本は全く別物である。

POD版の試作とレイアウト改良

そこで、『PDFインフラストラクチャ解説』の制作中、PODで実際に本を作ってみて、基本版面や表などのレイアウト設定値をより読み易くなるように変更を重ねた。変更したレイアウト設定値を、CAS-UBの「PDFレイアウト設定」のデフォルト値として反映する。こうすれば、新しく本を作るときに、同じことを繰り返さなくて済む。

PODを3回試作した。
・初回のPOD試作 2013年2月 0.24版 256ページ (詳しくは
・第2回POD試作 2013年7月 0.33版 258ページ (詳しくは
・第3回POD試作 2014年3月 0.39版 268ページ (詳しくは

PODで作った本を外部の人などに評価してもらい、基本版面、見出しの文字サイズ・配置・番号の付け方、表の罫線の引き方・セルの空き・本文と表の文字の大きさの関係などを改良した。

基本版面

日本語組版におけるページの文字レイアウトは基本版面で設定する[1]。本書は、B5判型、横組・一段、文字サイズは10ポイント(pt)と決めていた。そのとき、行送り(文字サイズと行間を足した値)、字詰め数(一行の文字数)と行数(一頁の行数)を変更できる。この三つの設定を変更するだけでもページの印象はかなり変わる。

POD 判型 文字サイズ 行送り 字詰め数 行数
0.24版 B5

10pt 19pt 38 30
0.33版 B5 10pt 18pt 39 33
0.39版 B5 10pt 17pt 39 36
リリース版 B5 10pt 16.8pt 39 35

文字だけのページで四つの版面を比較してみる。
v024-1
図1 0.23版
v033-1
図2 0.33版
v039-1
図3 0.39版
v100-1
図4 リリース版

0.24版は行間の空きが広く、また上下の余白が広い。ページに余裕を感じる。
0.33版と0.39版を比較すると0.39版は印刷領域が上下に広く、上下余白がやや余裕がない印象がある。
リリース版は行間を少し詰めて、1行減らしたので上下の余裕を感じる。35行にするか、36行にするかは迷うところである。

表の組版

表のスタイルは当初は、すべてのセルの周囲に罫線を引き、ヘッダ行に網掛けする(レポートスタイル)としたが、最終的にはJIS X4151に定められているスタイルとした。CAS-UBでは、PDF生成時に、どちらかのスタイルを選択できる。また、表のセル内文字の大きさ、セル内のテキスト配置、テキストと罫線の間の空きについてもバージョンを重ねる毎に調整した。

v024-2
図5 0.24版の表

v100-2
図6 リリース版の表

図の大きさ

本書には図版が多数あるが、大きさは一律ではない。PDFを出力するとき、図の大きさはマークアップで指定できる。次は、図の幅を版面の60%にした例である(図8 リリース版)。

[[[:fig =コードポイント・字体・字形
{{:width=60% Unification-JIS.png | Unification-JIS.png}}
]]]

図のキャプションの位置も上と下を選択できる。リリース版では、図のキャプションは図の下に配置することとした。ちなみに、市販の書籍でもキャプションを図を下に置くことが多い。
v024-3
図7 0.24版の図

v100-3
図8 リリース版の図

PODのためのPDF仕様

PODのためのPDFは、アマゾンPOD仕様をベースとしている。

・PDFバージョンは1.3(透明を使えない)
・CAS-UBではPDF/X-1a:2001を指定する(PDF/X-1a:2001はPDF 1.3ベース)
・塗り足し(判型のサイズの外側に3mm)
・判型は新書~A4まで
・頁数は24~746
・ページには所定の余白が必要

POD用PDFとオンライン配布用PDFの比較

オンラインで読むためのPDFと、PODに使うためのPDFは別々に作成する必要がある。そこで、CAS-UBに、オンライン閲覧用PDF設定から、PODに使うPDF設定への変更メニューを追加した。次の点に注意が必要である。

・POD用PDFは周囲に3mmの余白が必要である。
・PDF/X-1aでは、印刷範囲(BleedBox)に注釈を置けない。
・PDFではリンクを注釈で扱うので、POD用PDFには次のようなリンクが出せない。
・目次から本文へのリンク、索引語から本文へのリンク、本部の参照リンクなど。
・POD用PDF(PDF/x-1a)では画像のカラー表現をCMYKに変換する
PODPDF-setting
図9 CAS-UB POD設定

POD版の本の販売

現在、PODで本を作る業者に依頼すれば、どこでも少部数でも製本した本を作れる。これまでにもCAS-UBで制作したレポート類を数冊、POD業者に外注して印刷・製本した実績がある。

こうして作成した本は、自社の直販と、アマゾンのe託を使って販売していた。電子版はインターネットでダウンロード販売できる。これに対して、紙の本は梱包して物流に乗せる必要がある。このため、低価格の書籍を、直接販売するのは手間とコスト面で難しい点がある。これまで出した本は、比較的高価格である。

もう少し割安になる流通手段を期待していたところ、2015年終わりにインプレスR&D社がPOD取次を始めたので、この機会に契約してPOD出版で販売することとした。

次の表はアマゾンのe託とPOD取次を比較したものであるが、e託と比べて、POD取次方式は各段に効率的である。

取り扱い POD製作 取り扱い費用 在庫負担
e託 街の業者 年会費9,000円。定価の40% 在庫負担あり。アマゾンの倉庫に納品するコストもかかる
POD取次 アマゾンが印刷製本 定価の38% PDFで取次に渡すので、在庫負担と納品コスト負担なし

e託は、常にアマゾンの倉庫の在庫をチェックして在庫がなくなったら倉庫に納める必要がある点、不便であり、コストも高い。POD取次ではPDF納品となるのがありがたい。

KPD用の書籍制作と販売

CAS-UBでは出版物の原稿を一回制作すれば、ワンボタンでEPUB、Kindle mobi形式にできる。Kindle mobi形式の販売はアマゾンKindle用のみであるが、EPUBにすればアマゾン以外の電子書店で販売できる。但し、取次を使わないのであれば個人出版を受け付けるストアのみで販売することになる。

KDPの方は、既にいろいろな本をKDPで販売していたので特段新しいことはなくスムーズに出版手続きを行えた。

PODとKDPの発売時期をできるだけ揃えたかったので、KDP登録作業は1週間後に行った。
無料配布版があることがひっかかってしまったが、無償版の配布を終了して翌日にはリリースとなった。POD版の方が発売まで予想外に日数がかかった。

販売促進

PODとKDPを使えば、誰でも、低コストで本を出版できる。大きな部数で印刷・製本して在庫を持たなくて済むのは助かる。しかし、出版したら売らなければならない。

出版社から出版される場合は、取次から書店に配本される。本自体が宣伝材料になる。しかし、個人で本を出版したら、まず、その存在を知ってもらわなければならない。存在を知られないかぎり出版していないのと同じである。

『PDFインフラストラクチャ解説』については、本を制作する段階からfacebookグループを作って参加者を募集してきた。しかし、トピックが一般大衆向けではないためか、参加者はまだ少ない。

PDFinterest facebook グループ

本を紹介するために簡単なWebページを作った。これだけでは不十分である。

『PDFインフラストラクチャ解説』Webページ

販促活動の一環として、2月16日に出版記念講演会を開催した。

『PDFインフラストラクチャ解説』出版記念 特別講演会のお知らせ

販売状況

PODで少部数の出版ができるといっても、ビジネスとして成立するかどうかは別である。まだ数字をまとめる段階ではないが、簡単にレポートする。

POD版の実績は、まだ不明である。

KDPでは、Kindle独占(セレクト)の選択ができる。現在のところ、セレクトとして登録・販売している。セレクトにするとロイヤリティ70%である。さらにアマゾンのプライム会員は毎月1冊を無料で読めるが、KDPセレクトで販売している本がその対象になるようだ。

多い日は1日500頁(KENP)以上読まれている。どうも、休日に読まれることが多いようなのは興味深い。KDPの販売部数に比べて、読まれるページ数がだんだん増えているようだ。これは、本の単価が高いことが原因かもしれない。

20160222
図9 販売部数(上)とプライムで読まれたKENPページ数(下)

現在までの実績は27部(KDP)であり、ロイヤリティは2万円強。KENPは、読まれたページ数を恐らく端末の差を調整した値のようだ。これがどのように金額に換算されるかは不明である。

いづれにせよ、単独のプロジェクトとして収支を計算すれば、制作・販売コストの回収はともなく、人件費の回収ができるかどうかはまだ分からない。長く売れれば、意外に売上が増えるかもしれない。

[1] 『日本語組版処理の要件(用語集)』では、組方向、段数、文字サイズ、字詰め数(文字数/一行)、行数、行間と段間で指定する。
[2] 『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる?
[3] 『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる? (2)紙の本と電子の本をワンソースで作りたい
[4] 『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる? (3) 電子テキストは印刷ではなく、音声の暗喩と見る方が良い
[5] 『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる? (4) 『PDFインフラストラクチャ解説』の実践例より
[6] プリントオンデマンドの本を作る デジタル書籍制作Webサービス CAS-UB

『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる?

最近、プリントオンデマンド(POD)が流行っているようです。流行っているといっても全国的な流行なのか、私の周りだけの流行なのか、いまのところ、まだはっきりとは見極めがつきませんが。

CAS-UBの目標は、紙の本と電子の本の両方を同時に作りだすことです。

さて、そうしますと、紙の本と電子の本があります。で、この両者について『本をコンピュータで作る』ということをもう少しブレークダウンして考えてみます。

紙の本を作るには、印刷と製本の工程が欠かせません。しかし、これをCAS-UBで完結するのは無理です。そこで、1冊から印刷・製本ができるPODの普及を期待し、また、その使いこなし術を会得したいところです。

一つの論点=課題として、PODに使えるデータをコンピュータで作れるかどうか? があります。ここをもう少し、ブレークダウンすると次の3項目になるでしょう。
・本文のPDF
・包みの表紙のPDF
・POD用のメタデータ(表形式が多い)

電子の本は、現在、EPUB3.0がデファクトスタンダードになっています。

と言ってしまうと話が終わりそうです。しかし、もう少し現実に戻りますと、最近、弊社の電子出版サービスにEPUBを作ってもらえないかという引き合いが増えてきています。その内容を聞いてみますと、EPUB3.0ではなく、電書協ガイドだったり、別のガイドだったりします。EPUB2をベースにした独自仕様もあります。そうそう、Kindleも独自仕様だったりします。

EPUB3.1の標準化が進みつつあります。EPUB3.1ができても、それで終わりではなく、今後も変化するでしょう。

そうしますと、電子の本についての論点=課題の一つは多様なフォーマットにどう対応できるか? ということになるのでしょうか。

まだ、タイトル課題への回答にはなっていませんが、今日は、この辺で。

続きは:『本をコンピュータで作る』のは、いま、どこまでできる? (2)紙の本と電子の本をワンソースで作りたい

■PDF関連情報
流通によるプリントオンデマンドでの出版が現実のものとなった今、その活用の課題を考える。(2017年1月時点)

『PDFインフラストラクチャ解説』POD版とKDP版が揃い踏みとなりました

『PDFインフラストラクチャ解説』ですが、1月21日にPOD版が発売となり、紙(POD)版+電子(KDP)版が揃いました。

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アマゾン 
POD版の紹介ページ
KDP版の紹介ページ

POD版は1月6日にストアに納品されていますので、発売まで2週間かかっています。どうやら新年営業開始直後で本が溜まっていたために遅れたようです。

KDP版は1月14日に登録したところ、15日に「お客様が提出されたKDPコンテンツを調査させていただいたところ、ウェブ上で無料公開されているコンテンツが含まれていることが判明しました。(略)」の連絡が来ました。どうやら、無料配布版(未完成版)が引っかかったようです。そこで、無料配布版を削除して、再登録し1月16日発売となりました。

このあたりのスピード感は、自動化度の度合ではないかと想像します。本をPODで作るのは完全な自動になっていない(できない)?

■PDF関連情報
流通によるプリントオンデマンドでの出版が現実のものとなった今、その活用の課題を考える。(2017年1月時点)

近日発売!『PDFインフラストラクチャ解説』出版記念 特別講演会のお知らせ

アンテナハウス株式会社(本社:東京都中央区、資本金:4,000万円、社長:小林 徳滋)は、2016年2月16日16時から、東京市ヶ谷にて『PDFインフラストラクチャ解説』出版を記念した記念講演会を開催いたします。

『PDFインフラストラクチャ解説』は紙に代わって情報化社会を支えるインフラとなったPDFについて、システム開発者などの理解を促進することを目的としています。アンテナハウスのブログで2005年10月から2008年7月にかけて1000日間にわたって連載された「PDF 千夜一夜」の記事に、オリジナルの内容を加えてPDFや関連領域を網羅的にカバーしています。10年以上の歳月にわたって制作され、2016年1月に出版の予定です。

記念講演会では、本書編著者の小林 徳滋より書籍Web制作サービスCAS-UBを使ってPDFを制作し、ブックオンデマンドで本を作り、またAmazonのKindleストアなどで販売するに至った過程と、新しい出版の方法を分かりやすく解説します。

さらに、メインゲストとして、PDFの国際規格ISO32000やPDF/Xなどの派生規格の作成に参加されている画像電子学会フェローの松木眞氏をお招きして、PDFのこれからについてご講演いただきます。

講演会の後、懇親会の開催も予定しています。(詳細は、別途ご案内します)

本講演会は無事終了しました(2016・3・18追記)。
講演会の内容スライド&ビデオ:『PDFインフラストラクチャ解説』 出版記念特別講演会の資料公開 (2016年2月16日 in 市ヶ谷健保会館)

セミナーの概要・タイムテーブル

16:00~16:10 主催者挨拶
16:10~17:00 だれでも本を出版できるPOD出版時代を迎えて
『PDFインフラストラクチャ解説』の制作過程
アンテナハウス代表取締役社長/小林 徳滋
17:00~18:00 ISO32000: PDFの国際規格の現状とこれから(仮題)
画像電子学会フェロー/松木 眞 氏
18:00~18:10 参加者質疑応答
休憩
18:30~20:30 記念懇親会

開催概要・お申し込み

開催日時 2016年2月16日(水)16時00分~18時10分
開催場所 市ヶ谷健保会館 E会議室
住所・アクセス 東京都新宿区市谷仲之町4-39
都営新宿線曙橋駅下車徒歩8分
都営大江戸線牛込柳町駅下車徒歩8分
参加費 講演会のみ:1,000円(税込)
懇親会は講演会にお申込みいただいた方に、別途ご案内致します。
定員 30名(事前予約制)
お申し込み 次のページからお申し込みをお願いします:
http://peatix.com/event/138690

■PDF参考情報
流通によるプリントオンデマンドでの出版が現実のものとなった今、その活用の課題を考える。(2017年1月時点)